運命者達の軌跡   作:藤崎葵

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よう、作者(オレ)だぜ☆

前回の投稿から2ヶ月以上経ってしまった……。地区行事やお仕事で色々動き回ってたんどすえ。

そんなわけで今回は猫が出ます。お猫様は正義!
いつも通りアキナ×ミコトで付き合ってる設定。レベル3の妄想とレベル2の空想に、レベル3の幻想をチューニングしたので解釈違いや苦手な方は観覧注意です。

光差す道となりたい方はスタンドアップしてどうぞ〜


猫のように甘えたい

 

 

「なーぅ」

 

「わぁぁぁぁ、かぁわぁいいぃぃぃぃ!」

 

ガラスの向こう側にあるカフェスペースの床を歩き回る多種多様な愛くるしい小動物───猫を見て少女は言いながら目を輝かせていた。

その様子を2人の男女が微笑まし気に見ている。

 

「ふふ。ヒカリちゃん、楽しそうですね」

 

「うん、連れてきた甲斐があるよ」

 

未だ猫達を見ながらはしゃいでいる少女───明導ヒカリを見ながら少年ともう1人の少女────明導アキナと西塔ミコトはそう言った。

彼らが訪れているのは最近オープンした猫カフェである。

何故、アキナ達がこの猫カフェに訪れているのか?

その理由は妹のヒカリにある。

彼女は現在中学3年生、俗に言う受験生だ。

運命大戦を勝ち抜いたアキナの願いにより、その身に巣食い生命力を奪って苦しめていた元凶であるシヴィルトが消滅し、健康を取り戻した彼女は兄と推しであり親友のミコトが通う高校を第一志望として受験勉強に励んでいる。

そんな頑張りを見せている妹に、アキナは少しでも息抜きをさせてあげられないだろうかと考えていたある日のこと。

たまたま学校で件の猫カフェの事を話している生徒達の会話を耳にしたのだ。

多種多様な猫を揃えており、サービスも充実していると巷では評判になっているのだが、中でもその店は業界でも珍しい個室形式での営業を行っている店であった。

もちろん通常のカフェスペースもあるのだが個室ならば事前に指定、ないし店側のお任せで選ばれた猫と誰を気にするでもなく触れ合えるという事でかなりの人気を博している。

この話を耳にしたアキナは妹の息抜きに最適なのでは?と考え、その日のうちに自宅にて彼女に行ってみないか聞いてみると

 

『行きたい! 出来ればみーたんも一緒に!』

 

秒でこの返答が返ってきた。

そんな妹にアキナは苦笑いを零しつつ、彼もミコトを誘いたいと思っていた為、すぐにお誘いのメッセージを入れるとこれまた秒で『仕事の予定を調整してもらうので絶対行きます!!』と返ってくる。

彼女がオフを取れそうな日を絞り込み、せっかくなので個室が取れればと考えたアキナは思い切って件の猫カフェに連絡を入れて訊ねてみると、運良く個室の予約に成功。

店員曰く『あと数分遅かったら二、三週間先になってましたね』ということらしい。

そうして日はあっという間に過ぎて本日、3人はこの猫カフェに訪れたという訳である。

ヒカリとミコトが愛くるしい猫達を眺めている間にアキナは受付へと赴き

 

「すみません。予約している明導なんですが」

 

「はい、明導様ですね。本日はご利用ありがとうございます。お時間は2時間となります。メニュー表にないオプションをご利用頂く場合は別途料金が発生いたします。ドリンクは室内のタブレットにてご注文してください。係の者がご案内いたしますので、この札を待ってあちらでもう少々お待ちください」

 

「わかりました」

 

説明を聞き終わり、店員から番号の書かれた札を受け取るとアキナは未だ店内の猫を見ながらはしゃいでいる2人の元に向かう。

 

「受付終わったよ。もう少ししたら係の人が案内してくれるって」

 

「わかりました。それよりアキナ先輩、私まで一緒して本当によかったんですか?」

 

戻ってきた彼にミコトが少々申し訳なさげに問うと、アキナは笑いながら

 

「ヒカリの希望でもあるし、俺も西塔さんを誘いたいと思ってたから気にしないで」

 

そう返した。

アキナからそう言われるもミコトは未だ申し訳なさげな表情なままだ。

この猫カフェの事は噂で聞いて気になっていた彼女は誘われた事自体は嬉しいと思っている。

アイドルである自分との交際が親しい身内以外にバレないようにするために、アキナと2人でお出掛けなどは避けているのでヒカリが一緒ではあるものの彼とこうしてお出掛け出来るのは彼女に取っては最高のご褒美だろう。

しかし、いざ合流して店に向かっている途中、ここの払いは全てアキナが持つと言われたのだ。

もちろんミコトはキチンと自分の分は自分で支払うつもりでいた為やんわりと断ったのだが、先程と同じように『誘ったのはこっちだから』と返されたのである。

それゆえに彼女は今も申し訳なさげにしているというわけだ。

そんなミコトに気付いたヒカリは

 

「みーたん、お兄ちゃんってば彼氏としてカッコつけたいみたいだから気にしなくてもいいんだよ」

 

猫をみていた視線をアキナに移してニヤリと笑いそう言う。

その言葉にミコトは僅かに頬を赤らめた。

対するアキナも照れたように自身の頬を指で掻いた後、軽く咳払いをして

 

「ヒカリ? そうやって揶揄うんなら、自分の分は自分で払おうな?」

 

彼にしては珍しい意地の悪い笑みを浮かべてそう返す。

 

「わわ、ごめんなさいお兄ちゃん!」

 

兄の言葉にヒカリは慌てた様子で謝ると、アキナは軽く肩を竦めつつ

 

「判ればよろしい」

 

そう言ってから今度はミコトへと視線を移し

 

「そういう事だからさ、本当に気にしなくていいよ」

 

彼は笑いかけてきた。

 

「……わかりました。今回はお言葉に甘えます。けど!」

 

ミコトは一度言葉を区切って

 

「今度こういう機会がある時は私が払いますからね? して貰ったらその分は必ず返したいんです」

 

「そっか。うん、わかった」

 

次いで出た彼女の言葉にアキナは微笑みながら頷くと、ミコトも満足したように笑顔を見せる。

そんな2人のやり取りをヒカリが微笑ましげに眺めていると

 

「お待たせいたしました。お部屋の準備が出来ましたのでご案内いたします」

 

奥から店員がやってきて彼らに声をかけてきた。

アキナが渡されていた札を店員に渡すと、そのまま彼らを上階への階段へと誘導。

2階に上がって突き当たりにある部屋のドアまで歩いていき、店員がドアの鍵を開けて彼らを中に入るよう促した。

部屋に入ると一畳分の空間が壁に囲まれており目の前にはもう一つのドア。

これは間違って猫が外に出てしまわないようにするために2段扉にしてあるのである。

最初ドアを閉めたのを確認してから二つ目のドアを開けると、八畳の空間にシングルとダブルのソファーと正方形のテーブルが設置されており、隅にはキャットタワーやオプションとして使用可能な猫用の玩具などが用意されていた。

部屋の中を感心した様子で一頻り見回した後、ソファーとテーブルの方にアキナ達が目を向けると

 

「なぅー」

 

「にゃー」

 

2匹の猫が鳴き声をあげてこちらの方へ目を向けてきていた。

 

「わぁ! あの白い子耳が垂れてる! スコティッシュフォールドだぁ!」

 

「隣の茶色い子はマンチカンだね。ホントに足短いんだぁ」

 

目に映った猫達を見てヒカリとミコトが声を弾ませながら言う。

アキナはそんな2人を微笑ましげに見た後、ふとキャットタワーに目を向ける。

タワーのてっぺんには丸まっている3匹目の猫の姿。

 

「あれってアメリカンショートヘアかな? 寝てるみたいだけど」

 

「みたいですね。マイペースな性格なのかも」

 

アキナ達の存在に気付いていないのか、はたまた図太いのかはわからないがタワーてっぺんで丸まっている猫は静かに寝息をたてている。

 

「では、お時間5分前になりましたら内線でご連絡いたします。その他ご質問等がございましたら内線をお使いください。それではごゆっくりどうぞ」

 

説明を終えた店員は会釈をしてから部屋を後にする。

それを見送ったアキナはテーブルに設置されているタブレットを手にとって

 

「とりあえず、ドリンク注文しようか? 2人とも何にする?」

 

『とろろ昆布ミルクティー!』

 

問いかけると声を揃えて返ってくる2人の返答。

一瞬呆気に取られるも、すぐに苦笑いをこぼし

 

「じゃ、それを3つ頼もうか」

 

タブレットを操作し、『とろろ昆布ミルクティー』の注文を行った。

 

 

 

 

 

 

アキナ達が個室利用を開始して1時間。

彼らは自分達に当てがわれた猫達と戯れていた。

人と接する事を目的としてある猫達は人懐っこく警戒する事なく『遊んでくれ』と言わんばかりに鳴きながらアキナ達に寄ってきた。

2時間コースのオプションで用意されている猫用玩具を使ってじゃらしたり、撮影も可能だったので猫と触れ合っている姿を写真に納めたり、とにかく可愛らしい猫達を堪能するヒカリとミコト。

その様子をアキナは2人掛けのソファに座って微笑ましげに眺めている。

注文したとろろ昆布ミルクティーを一口飲んで、彼はふとキャットタワーに目を向ける。

タワーの上では未だに3匹目のアメリカンショートヘアが寝息をたてていた。

 

(あの猫、ずっと寝てるな……結構騒いでるから起きても不思議じゃないのに。ミコトの言った通り本当にマイペースなんだろうなぁ)

 

気持ち良さげに寝ているアメリカンショートヘアを眺めながらアキナが思考を巡らせていると

 

「わぁ! マンチカンって本当に直立するんだ!」

 

ヒカリが目の前で直立するマンチカンに感嘆の声を上げている。

 

「マンチカンは足が短い分姿勢が安定するんだってさ」

 

「先輩、詳しいですね?」

 

アキナの言葉にミコトがそう言うと

 

「パンフレットの受け売りだよ。色んな猫の特徴が書かれてるみたいだ」

 

彼は言いながらテーブルに置いてあったパンフレットを手に取って彼女達に見せた。

興味を惹かれたミコトは彼の隣に座るとパンフレットを受け取りページを捲って内容を読み始めた。

簡易的ではあるが様々な猫の種類や特徴について書かれており、掲載されている写真もまた可愛らしいものが多い。

そうしてしばらくパンフレットを読んでいると、不意にミコトは自身の膝に何かが連続で押し付けられている感覚を捉え、視線を向けてみると白のスコティッシュフォールドがいつの間にやら彼女の膝の上に上がって両前足を交互に押し付けていた。

 

「この子ふみふみしてる。みーたんに甘えたいのかな?」

 

「そうかも。ふふ、可愛いなぁ」

 

ヒカリの言葉に応えてからミコトはスコティッシュフォールドの頭を軽く撫でてやる。

すると気持ちいいのか目を細め喉をゴロゴロと鳴らしながら彼女の膝の上で丸まり始める猫。

無防備に甘えるスコティッシュフォールドを優しい手つきで撫でながらミコトは微笑んでいる。

そんな彼女と猫をアキナも微笑ましげに眺めていた────その時

 

「にゃー」

 

鳴き声が聞こえ、アキナが目を向けてみると、そこにはキャットタワーのてっぺんで寝ていたはずのアメリカンショートヘアが視界に映った。

足元から見上げてくる猫に手を伸ばすと、指先に鼻を近付けて匂いを嗅ぎ始める。

数秒嗅いだ後、猫はアキナの手に自身の頭を擦り付けてきた。

かと思えばアメリカンショートヘアはその場から素早くアキナの膝の上に乗ってくる。

身を乗り出すようにしながら次いでアキナの頬に自身の頭をグリグリと押し付けてくるアメリカンショートヘア。

 

「どうした? お前も甘えたいのか?」

 

「うなぅ」

 

アキナの言葉に応えるようにひと鳴きすると、今度は彼の頬をペロリと舐めてきた。

 

「ちょ、やめろって、くすぐったいだろ?」

 

言いながらアキナは頬を舐めてくるアメリカンショートヘアを抱き上げ自身の膝の上に乗せ、顎の下辺りを指で軽く撫でてやると猫はゴロゴロと喉を鳴らして目を細めた。

喉から指を離し、今度は頭を軽く撫でてやると

 

「にゃぅー」

 

アメリカンショートヘアは気持ち良さげに鳴き声を上げる。

そのまま撫で続けていると、不意に視線を感じてその方向に目を向けてみた。

視線の主はミコト。

スコティッシュフォールドを撫でる手を止めてアキナの方をジッと見ていた。

否、見られているのはアキナではなく彼に撫でられているアメリカンショートヘアの方だ。

 

「どうしたの、西塔さん?」

 

不思議に思ったアキナが訊ねると、彼女はブンブンと被りを振って

 

「な、なんでもないです!」

 

慌てた様子でそう返してくる。

なおもアキナが疑問符を浮かべていると

 

「みーたん。いま、そのアメショちゃんのこと羨ましいって思ってたでしょ?」

 

備え付けの座椅子に座り、直立をやめているマンチカンを膝に乗せたヒカリがニンマリと笑いながらそう言ってきた。

 

「何言ってるんだ、ヒカリ?」

 

言葉の意図がわからずアキナが聞き返す。

 

「みーたんもそのアメショちゃんみたいに、お兄ちゃんに甘えたいんじゃないのかぁって思って」

 

彼からの問い返しにヒカリがミコトに視線を向けながら言うと

 

「はぇ?! ちょ、ヒカリちゃん!!」

 

ミコトは慌てながら声を荒げた。

その声に驚いたのか、彼女の膝の上で丸まっていたスコティッシュフォールドがビクリと反応してミコトの方を見上げてくる。

アキナは軽く溜め息を吐いて

 

「ヒーカーリー? 西塔さんが困ってるだろ? そういう揶揄い方するなら────今日から1週間、野菜マシマシ健康週間にするぞ?」

 

「え゛っ……それってセロリも……?」

 

放たれた言葉にヒカリは表情を青くしながら問うと

 

「当然」

 

これでもかというくらいの笑顔で彼は頷いた。

 

「わーん、セロリやだー!! みーたんごめんなさぁぁぁい!!」

 

苦手なセロリの増量宣言をされたヒカリは涙目になりながらミコトは謝る。

そんな必死な様子のヒカリをマンチカンが不思議そうに見上げており、ミコトも苦笑いを零していた。

 

「まったく……ごめんな、西塔さん」

 

「あはは……私は気にしてないから大丈夫ですよ? それより、3人で猫ちゃん達と写真撮りませんか? こんな機会滅多に無いですし」

 

呆れた表情で言うアキナにミコトはかぶりを振った後、そう提案してくる。

 

「さんせーい!」

 

「もちろんいいよ」

 

彼女の提案をアキナとヒカリが快諾すると、彼は膝の上にいるアメリカンショートヘアを片手で抱き上げ空いている方の手でスマートフォンをとりだしカメラモードにしてセルフタイマーをセットする。

スマートフォンを横向きにしてテーブルに置いている間にヒカリがマンチカンを抱えて座椅子から2人掛けソファに移動。

ミコトとヒカリが隣り合わせで座る目の前にアキナがアメリカンショートヘアを抱えながらしゃがみ込み、スマートフォンのシャッターボタンを押すとカウントダウンが開始された。

約5秒の間の直後にシャッター音が鳴り、アキナは抱えていたアメリカンショートヘアを床に降ろして画像を確認する。

同様にヒカリとミコトも覗き込むようにして撮れた写真を見た。

写し出された画像にはそれぞれ猫を抱えながら笑顔を見せる3人の姿、

ピンボケなどもしておらず鮮明に撮られた写真を見て 

 

「うん。よく撮れてる。後で2人の端末にも送っておくよ」

 

アキナがそう言うと2人は満面の笑みで頷いた。

その後も彼らは残った時間を猫達と楽しく過ごしたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ただいまぁ〜」

 

「お邪魔します」

 

猫カフェで楽しい時間を過ごしたアキナ達は会計を済ませ店を出た後、何処に寄り道するでもなく明導家へと帰宅していた。

この後アキナとミコトの2人でヒカリの勉強を見てあげる予定となっているからだ。

順番に手洗いとうがいをすませ、ダイニングで勉強するためにヒカリが自身の部屋へ勉強道具を取りに向かい、アキナとミコトが一息吐いた。

その時、来客を告げるチャイムが鳴り、対応するためにアキナが玄関へと向かった。

シリンダー錠を解除して玄関を開けると

 

「こんにちわ、アキナ」

 

「エ、エリカ?」

 

訪れたのは明星エリカ。

突然の彼女の訪問にアキナが驚いていると

 

「あ、来たんだ。グッドタイミングだね」

 

奥からヒカリが顔を出してそう言った。

事情がわからないため、エリカにも中に入ってもらい事情を説明してもらおうとダイニングへと彼女を通す。

当然の事ながらミコトも当然訪れたエリカに驚いたのは言うまでもない。

 

「で、なんで急にうちに来たんだ?」

 

落ち着いたところでアキナがそう問いかけると

 

「ヒカリに呼ばれたの。勉強見てほしいって」

 

エリカはそう返してくる。

 

「猫カフェでお兄ちゃんが会計してる間に連絡したんだよ」

 

「なんでまた? これから俺と西塔さんで見る予定にしてたのに?」

 

ヒカリの意図が掴めないアキナは疑問符を浮かべている。

するとヒカリはミコトに視線を向けた後、アキナへと視線を移し変えて

 

「2人とも、久しぶりに休日で時間が噛み合ったのに、私の息抜きに付き合ってもらっただけじゃなくて受験勉強にまで付き合わせるなんて出来ないよ」

 

そこで一度区切りを入れて

 

「だから後の時間は2人で過ごしてもらいって思ったの。それでエリカに連絡入れたんだよ」

 

言いながらエリカに目を向けると、当の彼女はやれやれと肩を竦めながら

 

「今日はたまたま暇してたし、アキナ(お兄ちゃん)推し(みーたん)の為なんて言われたら協力しないわけにはいかないでしょ。そういう事だから、ヒカリのお守りは私に任せて2人は思う存分イチャついてていいから」

 

そう言うとアキナとミコトを交互に見た後ニンマリと笑ってみせた。

 

「エ、エリカちゃん!?」

 

「ストレートすぎるだろ!?」

 

彼女の言葉に対して2人は揃えて声を荒げるも、当のエリカはどこ吹く風だ。

するとヒカリがむくれた表情で

 

「ちょっと、お守りって何? 聞き捨てならないんだけど?」

 

エリカへと抗議の言葉を口にする。

どうやら子供扱いされた事がお気に召さなかったようだ。

 

「間違ってはないでしょ? ほら、勉強始めるわよ。言っとくけど、私は厳しいからね」

 

「えぇー。少しくらい緩くして欲しいんだけどー」

 

「ダメよ。アキナ(お兄ちゃん)と同じ高校に通いたいんでしょ?」

 

「ぶー」

 

エリカの言葉に抗議するも軽く遇らわれたヒカリはますます膨れっ面となるも、それさえも軽く流しながらエリカはヒカリの背中を押すようにして彼女の部屋へと移動を促した。

ダイニングを出る際、アキナ達の方に視線を向けて軽くウインクしてみせるエリカ。

 

「……なんか、気を使わせちゃったみたいだな」

 

「そう、ですね……」

 

2人の間に微妙な沈黙が訪れる。

しかし数秒後

 

「とりあえずコーヒー淹れるけど、飲む?」

 

沈黙を破るようにアキナがそう訊ねてきた。

 

「あ、はい。いただきます」

 

「じゃあリビングの方で待ってて? すぐ淹れるから」

 

彼女にそう促すと、アキナはキッチンの方へと向かい食器棚から2人分のマグカップを取り出した。

その間にミコトは言われたとおりリビングの方に移動して備え付けのソファに腰を降ろした。

待つこと数分、2人分のコーヒーをトレーに乗せたアキナがリビングへとやってくる。

 

「熱いから気をつけて」

 

トレーから受け取ったマグカップは彼の言う通り熱く、ミコトは火傷しないよう少しだけコーヒーを啜ると、口の中にはコーヒー特有の心地いい苦味が広がっていった。

目の前にある小さなテーブルにトレーを置いてからアキナは彼女の隣に座ると、マグカップを手に取りコーヒーを一口啜って息を吐いた。

 

「改めて、今日はヒカリの息抜きに付き合ってくれてありがとう。ミコトも猫カフェは楽しめた?」

 

「もちろんですよ。猫ちゃん達も可愛かったですし、写真もいっぱい撮れたので大満足です!」

 

アキナの問いにそう応えると、ミコトはマグカップをテーブルに置いてスマートフォンを取り出して操作する。

表示されたのは猫カフェで撮った様々な写真。

しばらくの間2人で写真を眺めていたが、不意にミコトは写真をスクロールする手を止め

 

「あ……あの、アキナ先輩……」

 

「? どうしたの?」

 

どこか遠慮がちに声をかけてきた彼女に対し、アキナは疑問符を浮かべた。

ミコトは数秒目を泳がせていたが、やがて意を決したように彼の方に目を向け

 

「その、ですね……猫カフェで、ヒカリちゃんが言ってた事……なんですけど……アレ、間違ってない……んですよ」

 

頬を赤らめながらそう口にする。

猫カフェでヒカリが言った事。

それはアキナがアメリカンショートヘアに甘えられている時、ミコトがそれをジッとみていた時の揶揄いの言葉。

 

『みーたんもそのアメショちゃんみたいに、お兄ちゃんに甘えたいんじゃないのかなぁ』

 

それを思い出したアキナは改めて彼女の顔を覗き込んでみると、期待を込めた眼差しを彼に向けてきていた。

ミコトの意図を察したアキナは手に持っているマグカップをテーブルに置き、右手を優しく彼女の頬へと添えるとミコトはピクリと身体を身震いさせる。

そのまま彼女は頬に添えられた彼の手に自身の手を重ねると

 

「変……ですよね? 猫ちゃんに嫉妬するなんて……」

 

「そんな事ないよ。正直に言うと、俺もあのスコティッシュフォールドが羨ましいって思ったから」

 

ミコトの言葉に対し、アキナも照れたようにそう答えを返した。

2人は恋人関係にあるがアイドルであるミコトのスキャンダルを避ける為に、その関係を親しい身内以外には明かしてはいない。

それ故に互いに触れ合い甘えられるのは人目のない完全な2人きりの時のみである。

さらにミコトはアイドルとしての仕事、アキナはバイトがある為に時間が噛み合う事も稀なのだ。

そんな2人が猫相手とはいえ互いの想い人に人目も気にせず擦り寄って甘えている姿は本当に羨ましく思えたのだろう。

 

「……アキナ先輩……」

 

翡翠の瞳を潤ませながら、ミコトは身を預けるようにして彼に身体を寄せていく。

それを受け入れるようにアキナは彼女を抱き寄せ、優しくその腕の中に包み込むと、ミコトはさらに身体を擦り寄せていった。

衣服越しに触れ合う互いの肌の熱、そしてトクトクと脈動する胸の鼓動は2人に心地よい安らぎを齎していく。

 

「先輩……あったかい」

 

「ミコトも温かいよ」

 

しばらく抱擁し合っていた2人だが徐に身体を離し、互いの額をコツンと当てて微笑み合った。

 

「アキナ先輩……私、もっとくっついてたいです」

 

「うん、いいよ。おいで、ミコト」

 

ミコトからの要望をアキナが快く受け入れると、彼女は再び彼の両腕に包まれ、猫カフェで彼らに甘えていた猫のように、ミコトは彼の胸へと顔を埋めて甘え始めた。

そんな彼女の髪をアキナは優しい手つきで撫でていくと、彼女は嬉しそうに目を細めてその身を彼に委ねていく。

貴重な2人きりの時間を、スキンシップを交わしながら堪能する彼らを

 

「はあぁぁ……お兄ちゃんに甘えてるみーたん可愛いぃぃぃ……」

 

「貴女ね……覗き見なんて趣味悪いわよ?」

 

「とか言って、エリカだってしっかり見てるじゃん」

 

「うっさいわよ」

 

勉強する為に退散したはずのヒカリとエリカがリビングダイニングの入り口の陰から生暖かく見守っていたのである。

視線の先で、猫のように甘え合う(アキナ)推し(ミコト)

その幸せそうな光景に見ながら

 

「ホント、幸せそうなんだから」

 

エリカは何処か満足したような表情でそう呟いた。

 

 

 

この数分後、アキナ達のスキンシップを嬉々として覗いていた事がバレたヒカリはお仕置きとして猫カフェでは回避した『野菜マシマシ健康週間』を実施されることとなる。

その期間中、明導家から『セロリやだー!!』という悲鳴が何度も聞こえてきたとかそうでなかったとか。






実はこのお話の数日後、アキナ、スオウ、クオン、ケントの4人で同じ猫カフェを利用しるんですけど、オープンスペースのありとあらゆる猫がスオウに群がってもっふもふ状態になるっていう後日談も考えていたんですよね

ほら、スオウって無邪気(?)だし動物も警戒しなさそうだから……

どんな話を書いてほしい?

  • ほのぼのした話
  • 甘くイチャつく話
  • アキミコ以外の話
  • ファイト話
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