そんなこんなでアキナくんハピバ!! なんとか仕上がりましたよ……時間足りなかったからかなり雑な感じだけど
今回はメシネタ。例によってアキミコで付き合ってる設定。妄想と空想でオーバーレイネットワークを構築して幻想がカオスエクシーズチェンジしてるので苦手な方、解釈違い起こしそうな方は観覧注意
「好意を抱くよ。興味以上の対象という事さ」という方はスタンドアップしてどうぞ〜。
「さて、ミコトちゃん。準備はいい?」
「はい、ナオさん」
エプロンを身につけた員弁ナオは、同様にエプロンを身につけている西塔ミコトにそう問うと、彼女は真剣な表情で頷いた。
目の前には数多の食材と調理器具が並んでいる。
「いよいよ特訓の成果を発揮する時だよ!」
「頑張ります!」
そう、これから彼女達は目の前の食材を使って料理を始めようとしているのだ。
キッチンに立ち、意気込んでいるそんな彼女を
「みーたん張り切ってるなぁ」
「そりゃそうでしょ。今日という日のために努力して来たんだから」
「ですね。みーたん、がんばです!」
リビングダイニングで別の作業をしている3人の少女────明導ヒカリと明星エリカ、そして西園寺ユナが視線を向けながらそう口にする。
本日はヒカリの兄である明導アキナの誕生日。
現在彼女達は彼の生誕を祝うため、明導家にてミニパーティの準備をしている最中でヒカリとエリカとユナは飾りつけを、ナオとミコトが料理を担当する事になっていた。
本日の主役であるアキナは現在、ナオに指示された呼続スオウと藍川クオンの2人により、準備が終わるまで街の方へ連れ出されている状態だ。
また清蔵タイゾウ、黒崎キョウマもミニパーティに参加する事になっているのだが、2人は今詰めている仕事の目処をたたせてから来る事になっている。
調理担当にナオが当てられているのは当然であるとして、何故ミコトも調理担当になっているのか?
それは遡る事数ヶ月前の出来事。
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「ナオさん、私に料理の仕方を教えて下さい!」
商店街にある喫茶店、その店内の一角で、少女は目の前に座る女性────員弁ナオにそう言いながら頭を下げていた。
突然の申し出にナオは面食らった様子でいたが、すぐに止まっていた思考を回して目の前の少女────西塔ミコトに目を向けながら
「突然だねぇ。なんでまた急にそんな事お願いするのかな?」
「実は……ですね……」
そう問いかけると彼女は少し気恥ずかしそうにしながら事情を話し始めた。
事の発端は先日ヒカリから送られてきたメッセージ。
内容は『お兄ちゃんにお手伝ってもらったけどスオウさんに私が作った料理食べてもらったの!』というものだった。
その日はスオウの現保護者である叔父が仕事の都合で帰れなかった為、明導家に急遽泊まりに来たのである。
その時、ヒカリは手伝いを申し出て兄のサポートを受けながら『鶏肉とキャベツのコンソメ煮』を作りスオウに振る舞ったのだ。
ヒカリは好評価をもらえた事が嬉しかったらしく、真っ先にこの事をミコトに報告。
その文面から彼女が喜んでいるのがわかり、ミコトは微笑ましく思ったのだが同時に羨ましさも感じていた。
『自分もアキナに同じようにしてあげたい』
しかしながら彼女、西塔ミコトは料理の経験値は然程高くはない。
アイドルとして活動し、仕事にレッスンと忙しい日々を送っているからというのもあるが、自宅での彼女はかなりの『ぐぅたら』だ。
炊事は母親がしているので包丁を握った事など片手の指で数える程でしかない。
そんな料理の経験値が最低値の彼女が思い出したのは、以前アキナがナオから料理を教わったという話である。
思い立ったが吉日と言わんばかりにミコトはスマートフォンを操作し、ナオに『相談したい事があるので自分がオフの日に会えないか?』とメッセージを送ると、数分もしないうちに了承の返事が返ってくる。
そうして本日を迎え、現在の状況に至っているという訳だ。
話を訊き終えたナオはコーヒーを一口啜り
「なるほどねぇ。自分もヒカリちゃんのように好きな男の子に手料理を食べてもらいたいって事か。いやぁ、ミコトちゃんってばホント可愛いんだから」
ニンマリと笑いながら言うと、対する彼女は頬を朱に染めながら
「か、揶揄わないでください!」
そう言って返す。
「ごめんごめん。でも、そういう事なら協力するよ。けど───」
そこまで言うと不意にナオを考え込むような仕草を取った。
不思議に思ったミコトだったが、その沈黙もすぐに破れる。
「いやね、料理の事を教えるのは全然OKなんだけど、ミコトちゃんはお仕事で私はバイト、それにプロファイターになったからには地元を空ける機会も増えるだろうからどれだけ教えられるかなぁって思ってね」
そう、先も述べた通りミコトはアイドルとして活動しており仕事にレッスンと忙しく、ナオもナオとてバイトがあり、さらにはプロ試験に合格した事で念願であったプロのヴァンガードファイターとしても活動を開始している。
その為オフの日を合わせられる回数も限られる為、どれだけ特訓に注ぎ込めるかわからないという事だろう。
料理に限らず、技術の習得は試行回数を重ねる事が何よりの道筋だ。
ナオの言わんとしている事を察したミコトは
「やっぱり無理そうですか?」
申し訳なさげに訊ねてみると
「ん? いやいやそんな事はないよ。確かに試行回数を重ねるのが1番いいんだけどね。そだねぇ……それなら、目標を決めよう!」
「目標、ですか?」
「そ。もう少し先の話だけど、4月にはアキくんの誕生日があるよね? その日にミニパーティを開いて、そこで出す料理の一品をミコトちゃんが作る。これなら一つのレシピを集中して覚えられるし、一つ作れるようになれば後は自分で他のレシピも応用して練習出来るようになるからね。漠然と色々作るよりも効果的だと思うよ」
ナオからの提案にミコトは考える素振りを見せた。
確かに彼女の言う通り、一つの事を反復する方が様々な事を漠然と試行回数を重ねるより効率が良い。
共に忙しく、時間が取り辛いミコト達にとってはこれ以上ない特訓法とも言えるだろう。
ほんの少し考えたのち、ミコトはナオに視線を向けて
「確かにそうですね……わかりました、それでお願いします!」
彼女の提案による料理特訓を願い出る。
「その意気やよし! それじゃ、まずは何をマスターするかを選ぼうか」
「はい!」
こうしてミコトはナオからの料理指導を受ける事となり、その日のうちにマスターするレシピを選択。
その後は時間が会う時にナオの住むアパートにて料理特訓が行われ、最初は包丁の持ち方から入り、材料の切り方や下処理の仕方に調味料選びと基本的な事を覚えながら選んだレシピ習得の為の特訓を積み、そして今日、その成果を発揮する時がやってきたのである。
*********
「じゃ、始めよっか。切る材料多いし、アシストが必要な時は言ってね?」
「わかりました。でも、なるべく1人で頑張ります」
ナオの言葉にそう返すと、ミコトは軽く深呼吸してから目の前にある材料を確認する。
皮剥きされたニンジン2本と同じく皮剥きされている玉ねぎが1個と1/2個、ブロックベーコンとバターと薄力粉に牛乳。
そして白のビニール袋の中にピンポン玉サイズの何かがいくつか入っているのを確認すると、まずミコトはニンジンに手を伸ばし、一口大のサイズに切っていく。
そのスピードは速くはないが丁寧な手つきで確実にカットされている。
粗方切り終わったニンジンを耐熱容器に移し替えて上からラップで蓋をしたのち、レンジに投入して600Wで加熱を開始した。
設定した時間は7分。
ニンジンをレンジ加熱している間にブロックベーコンを拍子切りにし、次いで玉ねぎを厚さ3ミリほどの薄切りにしていく。
切ったそれらをボウルに入れたあと、ミコトは白のビニール袋に入っている食材を取り出した。
出てきたのはピンポン玉サイズのキャベツ、いわゆる『芽キャベツ』と言われるものだ。
芽キャベツはキャベツと違いわき芽が結球するのが特徴の改良種であり、小さいながらも優れた栄養素を含んだ食材である。
取り出した芽キャベツを網目のあるボウルに入れて軽く洗い、次いでIHの電源を入れて鍋に熱を入れていく。
ある程度熱がこもったところでオリーブオイルを大さじ一杯と小さじ一杯分ひいて拍子切りにしたベーコンと薄切り玉ねぎを投入し、塩胡椒をふって中火設定で炒めていく。
玉ねぎが透き通り始めたところでレンジ加熱が完了したニンジンと芽キャベツを鍋の中に入れ、水700mlとコンソメ顆粒を大さじ二杯加えて蓋をし、中火設定のままタイマーを10分にセットした。
この煮込みの間の時間を使い、ミコトは次に有塩バター50gと薄力粉70g、そして牛乳を600ml分用意する。
まずはバターを耐熱容器に移してラップをしてレンジに入れ600Wにて1分加熱。
加熱が終わり溶けたバターに薄力粉を加えて混ぜ合わせ、なめらかになったところで少しずつ牛乳を加えていきとろみをつけていく。
これはホワイトソース。
そう、彼女が今作っているのはアキナの得意料理でもあり、好きな食べ物でもあるシチューだ。
しっかりととろみがついたところで再度ラップをかけてレンジに入れ、今度は600Wにて3分加熱。
加熱が完了したホワイトソースをミトンを装着した手で取り出してからしっかり混ぜ合わせ、完了したところでタイマーが作動してIHが自動で停止した。
蓋を開け、ミコトは先程混ぜ合わせたホワイトソースを鍋の中に投入ししっかりと混ぜ、再びIHの電源を入れて今度はタイマーを3分の弱火設定にして煮込みを開始した。
工程に一区切りついたミコトが小さく息を吐くと
「お疲れ様。なかなか手際良かったよ。特訓の成果、ちゃんと出てるねぇ」
「そ、そうですか?」
別の品を担当しているナオに声をかけられた。
好評価に対してミコトは照れた様子で自身の頬を指で掻く仕草を取った後
「あの、出来たら味見してもらえませんか?」
「んー。それはダメかな」
ミコトの申し出に対し、ナオはかぶりを振りながらそう返す。
「味見は自分でするのが一番だよ。それに、ミコトちゃんが作ったソレを最初に口にするのはやっぱりアキくんじゃないとね?」
返ってきたナオからの言葉に対し、ミコトは何処か不安げだ。
ナオとの料理特訓で何度も繰り返し作ってはいるものの、やはり自信が持てないのだろう。
そんな彼女の心情を汲み取るように
「ちゃんとレシピ通りにやってたし大丈夫。ミコトちゃんは自信を持ってアキくんに食べてもらえばいいんだよ」
そう告げた後、次の瞬間には「もし低評価するようなら私が許さないし?」と言いながら悪戯っぽく笑ってみせる彼女に、ミコトは一瞬呆気に取られるも
「あはは! そうですね。ありがとうございます、ナオさん!」
笑顔を見せながら彼女に頷いて返した。
「さて、飾り付けの方も大体終わったみたいだね。こっちも後はレンジで蒸すだけだし、そろそろアキくん達に戻ってくるよう連絡入れないとね」
リビングダイニングに目を向け言いながらナオはスマートフォンを取り出してアキナへとメッセージを送ると、材料が添えられた大きめの耐熱容器にラップをかけてレンジへと投入。
タイマーをセットしてスイッチを押したと同時にIHのタイマーが加熱終了の音を鳴らした。
鍋の蓋を開けると白い湯気が立ち上り、ホワイトソースのいい匂いが彼女達の鼻腔をくすぐった。
お玉で少量掬い上げ、小皿に移したシチューをミコトは口に流して味見。
嚥下した後、納得したようにミコトは頷く。
準備は整った。
あとは彼に────アキナに食べてもらうのみ。
程なくしてスオウとクオンに連れられたアキナが帰宅。
同時に仕事の目処をたたせたタイゾウとキョウマも明導家に訪れた。
手洗いとうがいを済ませた後、あれよあれよと言う間に『本日の主役』タスキをかけられたダイニングテーブルの一角にある椅子へと座らされ、彼を取り囲むようにして皆が並び
「アキくん、誕生日おめでとう!!」
ナオからの祝福の言葉と同時に皆がクラッカーの紐を引っ張ると、炸裂音と共に紙吹雪が放たれて辺りに舞い散った。
次いで他の者たちからも『おめでとう』と祝福の言葉が紡がれる。
当のアキナは照れたように頬を指で掻いて
「ありがとうございます、ナオ先輩。みんなもありがとう」
そう感謝の言葉を返す。
「お兄ちゃん。コレ、みんなからの誕生日プレゼントだよ!」
言いながらヒカリが綺麗に包装されたやや大きめな箱をアキナに差し出すと、彼はそれを受け取って
「ありがとう、ヒカリ。開けてもいいかな?」
問いかけるとヒカリは満面の笑みで頷いた。
丁寧に包装紙を剥がしてみると、出てきたのは万能包丁セット。
通常の包丁から出刃包丁と刺身包丁に果物ナイフ、果てはパン切り包丁まで同梱されており、あらゆる調理に対応した包丁のセットである。
「前にお兄ちゃんが包丁そろそろ変えないとって言ってたの思い出してね。ネットで探してタイゾウさんに取り寄せてもらったんだ」
そう言ってヒカリがタイゾウに視線を向けると、当の彼はニッと笑いながら
「アキナくんはもっぱら炊事をするみたいだし、プレゼントにするならいいヤツをと思ってね」
サムズアップを向けてくる。
「そっか。ありがとうございます、タイゾウさん。大事に使わせてもらいます」
「さてさて。プレゼントも渡した事だし、そろそろ食事にしよう。ヒカリちゃんとミコトちゃんは配膳手伝ってね。他のみんな、特にアキくんは大人しく座って待機!」
アキナがプレゼントを受け取り終わると、ナオは食事の用意のためにヒカリとミコトを配膳の手伝いに呼び、他の者たちは素直に彼女の指示に従った。
ダイニングテーブルには本日の主役であるアキナ、スオウとクオンが座り、リビングスペースに用意された大きめの短脚テーブルにはタイゾウとキョウマ、ユナとエリカがそれぞれ席に着く。
しばらくするとナオ達が盛り付けられた料理を運び、彼等の前へと並べていく。
小さめの小皿にはスライスされた鶏もも肉、レンコン、サツマイモが盛り付けられている。
これはナオが作った品で、スライスした鶏ももとレンコンとサツマイモを耐熱皿に重ねていき、オリーブオイルと塩胡椒をかけてレンジで蒸したものだ。
隣には付け合わせのサラダと適量に切られたフランスパン。
そしてメインとして深めの平皿に盛られたシチューが並べられる。
全員に配膳し終え、ミコトとヒカリはダイニングテーブルの方の席につき、ナオはリビングスペースの短脚テーブルの方の席に着く。
「じゃ、まずは本日の主役のアキくんからどうぞ」
「わかりました。それじゃぁ、いただきます」
ナオに促されたアキナは手を合わせてからスプーンを手に取り、シチューを掬って口の中に運んでいった。
咀嚼すると口の中には煮込まれて溶け出したニンジンと玉ねぎ、そして芽キャベツの甘みと旨みが広がっていく。
しっかり咀嚼したのち嚥下すると、アキナは感動したかのように息を吐き
「美味しい────。凄く美味しいです、このシチュー」
言いながら表情を綻ばせた。
それを聞いたナオはウンウンと頷きながら
「そりゃそうでしょー。なんて言ってもそのシチューは、ミコトちゃんがアキくんのために作ったんだからねー」
「え?」
ニンマリと笑いながらミコトへと視線を向け、同様にアキナも視線を向けると当の彼女は恥ずかしげに顔を俯かせた。
「これを、西塔さんが?」
「は、はい……ナオさんに料理の仕方を教わって……その……先輩に、食べてほしくて……」
問われたミコトは未だ恥ずかしげにしながら返してくる。
そんな彼女に対し
「そっか……西塔さん、このシチュー美味しいよ」
「先輩……本当に、美味しいですか? 無理とか、してませんか?」
アキナは感謝を伝えるも、やはり自信がないのかミコトは素直に受け止められず聞き返してしまう。
しかしアキナは彼女に微笑みを向けながら
「本当に美味しい。君が俺の為に作ってくれたモノを美味しくないなんて絶対に言わないよ。ありがとう、西塔さん」
優しい声色でそう告げた。
それを聞いた彼女は顔を上げ
「アキナ先輩……また、何か作れるようになったら食べてくれますか?」
「もちろんだよ」
彼に問いかけると、アキナは満面の笑みでそう返す。
それを聞いたミコトはようやく表情を輝かせ、花の咲くような笑顔を見せた。
「さて、アキくんからの太鼓判も出た事だし、私達も冷めないうちに食べよう!」
ナオの言葉を皮切りに、皆が『いただきます』と手を合わせて食事を開始。
「んー♩ みーたん、このシチュー美味しい!」
「ホントね。まろやかで優しい味がする」
「えへへ。ありがとうヒカリちゃん、エリカちゃん」
シチューを口にしたヒカリとエリカの感想にミコトは照れたように笑いながら返した。
「これは芽キャベツか? シチューにも合うものなんだな」
「しっかり煮込まれてるから味も染み込んでるな。ベーコンの塩気も丁度いいし、これは美味い」
同様にシチューを口にしたタイゾウとキョウマからも好評価の声。
その隣では
「あばばばば……
ミコトの限界ヲタクであるユナが彼女の作ったシチューを前にして何やら奇声を上げながら悶絶しており、それを見ているナオが苦笑いを零しながら
「食べなきゃお皿片付かないよユナちゃん。……うん、美味しい。よく出来てるよミコトちゃん」
シチューを口にした後、サムズアップを向けてくるナオにミコトも満面の笑みを浮かべた。
「この鶏肉とレンコン、サツマイモも美味しいね。あっさりした鶏肉にサツマイモの甘さと塩胡椒が丁度いいしレンコンもいいアクセントになってる」
「それはナオさんが作っんですよ、藍川先輩」
鶏肉とレンコンとサツマイモのレンジ蒸しを口にして感想を述べたのはクオンにミコトがそう言うと、ナオがこれでもか言うほどのドヤ顔を見せた。
「アキナ、早く食べろ。そしてファイトだ」
「お行儀悪いのはダメだぞスオウ」
「そうだよスオウ。ファイトは食事が終わってから───だよね、アキナ」
早くファイトしたくてウズウズしているスオウがアキナを急かしてくるも、彼とクオンがやんわりと嗜めるとスオウは大人しく食事を再開する。
こうして皆がミコトとナオが作った料理を楽しんだ後、以前のミコトの誕生パーティの時と同様にバースデーファイトが行われることとなった。
休憩を挟む事なく行われた白熱の9連戦を熟したアキナはようやく解放され、疲労困憊の頭を休める為にリビングへと避難。
ソファに座ってダイニングスペースに目を向けると皆がそれぞれ相手を見繕ってフリーファイトを始めていた。
楽しそうにファイト、ないし観戦している彼等の姿を眺めていると
「お疲れ様です、アキナ先輩」
いつの間にか皆の輪から抜けてきたミコトが彼の隣に座って声をかけてきた。
彼女の労いの言葉にアキナは頷き
「改めて、今日はありがとう。西塔さんの作ってくれたシチュー、すごく美味しかったよ」
「えへへ。アキナ先輩にそう言ってもらえて嬉しいです」
彼から改めて伝えられる感謝の言葉にミコトは頬を僅かに染めながら、はにかみ笑顔でそう返すと、その笑顔に釣られてアキナも微笑みで応えた。
「それにしても、料理を覚えたかったなら言ってくれれば俺も教えたのに」
「確かにそうなんですけど……そしたら先輩へのサプライズにならならないじゃないですか」
アキナの言葉にミコトが頬を僅かに膨らませる。
その姿が可愛らしく感じた彼は彼女の頭に手を添えて
「サプライズも嬉しいけど、俺としては君と一緒の時間を共有したいって思ってるんだ」
言いながら優しく彼女の髪を撫でていく。
優しい手つきで髪を撫でられたミコトは頬を赤く染めながら彼に視線を向け、翡翠の瞳にその顔を写して
「むぅ……アキナ先輩はいつもズルいです……私だってそうしたいに決まってるじゃないですか……」
言葉を紡ぐ。
「じゃあ、今度何か作る時は一緒に作ろうか」
「はい。約束です」
そう言いながら互いに微笑みあう2人の間に和やかかつ甘い雰囲気が訪れる────が、その時
「おい、アキナ」
その雰囲気を壊すように声がかけられ、呼ばれたアキナが声の方に目を向け釣られたようにミコトも視線を移すと、いつの間にかすぐ近くで彼らを見ているスオウの姿が目に写り
『うわぁ!?』
2人は同時に驚きの声を上げるもスオウは全く気にする様子もなく
「充分休んだだろう? もう一度オレとファイトしろ」
そう言い自身のデッキを持った右手を突き出してくる。
さらにはダイニングスペースの方から
「アキくーん? 2人でイチャついてないで早くこっちに来ーい!」
「そうだよお兄ちゃん! イチャつくなら私がシャッター押せる時にしてよね!」
「イチャついてないですよ! それにヒカリも何言ってんの!?」
ナオとヒカリの揶揄いが混ざった抗議の声に、アキナは若干の顔を赤くしながらそう返すと、彼の隣にいるミコトがクスクスと笑い
「ふふ。ほら、アキナ先輩。私達も混ざりましょう? 私も先輩とファイトしたいです!」
そう言いながらソファから立ち上がると彼の前まで移動してその右手を差し出した。
アキナは頷き、差し出されたミコトの右手に自身の左手を重ねると、彼女はキュッと握り返し
「誕生日おめでとうございます、アキナ先輩。これからも私達と、楽しい思い出を作っていきましょうね?」
とびきりの笑顔を浮かべながらそう告げてきた。
その笑顔に彼は胸の鼓動が高鳴るのを感じながら
「もちろんだよ。ありがとう、ミコト!」
そう言って立ち上がり互いに笑い合う。
そして手を取り合ったまま2人は仲間達の輪に入り、皆で思う存分ファイトに明け暮れたのであった。
と言うわけで改めてアキナくん誕生日おめ!
今回のレシピは芽キャベツのシチューとなります。癖があるけど結構美味しいんですよね芽キャベツ。
余談なのですが、アキナとミコトの関係についてキョウマは来る途中で2人からの承諾を得たタイゾウより聞かされ、クオンくんは宿命決戦終了時あたりには薄々勘付いていたという設定となっておりやすのであしからず
どんな話を書いてほしい?
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甘くイチャつく話
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アキミコ以外の話
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