運命者達の軌跡   作:藤崎葵

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よう、作者(オレ)だぜ☆

3ヶ月ぶりの更新。今回はミコトとエリカのお話。
相変わらずアキナ×ミコトで付き合ってる設定。レベル8の妄想にレベル3の空想とレベル1の幻想をダブルチューニングしてありエリカの過去捏造設定もあるので解釈違いを起こしそうな方は観覧注意。

「やはり私と君は運命の赤い糸で結ばれていたようだな。そうだ、朗読する運命にあった!!」という方はスタンドアップしてどうぞ〜


万化に抱かれ時を刻む

 

 

 

『それでね、お兄ちゃんの様子が少しおかしかったからみーたんなら何か知ってるかなって思って』

 

『んー……ごめんね、ヒカリちゃん。私もちょっとわからないかな』

 

『そっか……』

 

『────そうだ。ね、ヒカリちゃん。私、明日はオフなんだ。だから、先輩やナオさんも誘ってストレイキャットでファイトしよ!』

 

『え? いいの? 私、みーたんと本気で全力の真剣勝負がしたい!』

 

『ふふ。いいよ、手加減は一切しないからね?』

 

『うん! 約束だよ、みーたん!』

 

 

 

あの日、出掛ける兄の様子がいつもと少し違っていた。

 

それが気になり、事情を知っていそうな人に連絡してみたが特にわかる事は何もなかった。

 

通話の相手は私を気遣ったのか、ささやかな約束を持ちかけてきた。

 

私はそれがとても嬉しかった。

 

楽しみだった────いつもと変わらない明日がまた来るとそう信じていた。

 

 

─────けれど、変わらない明日も、交わされた約束が果たされる事も──────なかった。

 

 

 

徐々に耳に届いてきたアラームの音で少女は閉じていた目を開いた。

のそりと起き上がり、未だアラーム音を鳴らし続けるスマートフォンを手に取りアラーム停止ボタンを指で押す。

軽く息を吐いてベッドから降りて、閉じられているカーテンを開くと眩い朝日が部屋の中に差し込んできた。

差し込む陽の光に目を細め、窓から見える景色を眺めながら

 

「なんで……今更あんな夢……」

 

少女はほんの少し曇った表情でそう呟いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

よく晴れた日曜の午前。

少女は1人、街を散策していた。

彼女の名は明星エリカ。

3年後の未来から明導アキナの死の運命を変える為、運命力(デザイン・フォース)を用いてこの時代にやってきた彼の妹───明導ヒカリその人である。

運命大戦にて呼続スオウに敗北し、その願いによって命を落とす未来を変え、その後行われた宿命決戦において運命者と宿命者を戦わせ、集めた運命力を我が物として世界を欲望で満たそうとしたシヴィルトの計画を阻止した後、彼女は時の矯正力によって消えるはずであったのだが、運命大戦の開催者であったガブエリウスがその身に宿り眠りについた事で消える事なくこの世界に留まることとなった。

その際に彼女は名を改め、現在は清蔵グループの庇護の元、『清蔵アンカーボルト』の研究生として日々を過ごしている。

今日も1日デッキ研究に没頭する予定だった彼女だが、清蔵グループの副社長にして『秤の宿命者』カードの所有者である黒崎キョウマから

 

『最近、君は根を詰めすぎだ。熱心なのはいいが休息も必要だぞ』

 

と言われて研究室から追い出され急遽1日休日になった。

言い方は厳しく冷たいように感じるが、それは相手を気遣うキョウマの優しさの現れであるのだが、あまりにも突然の休日にエリカはどうするか悩んだ末に街を散策することに決め現在に至るというわけだ。

商店街の中にある雑貨屋を適当に見て回っていると何軒目かのお店で見覚えのある人物が彼女の視界に映る。

艶やかな長い黒髪に翡翠の瞳。

整った容姿によるその横顔は思わず同性でも可憐に思わせる少女。

小物が陳列している棚を見ている少女に声を掛けるかどうか迷っていると

 

「あれ? エリカちゃん?」

 

エリカの視線に気付いた少女─────西塔ミコトは彼女の方へと目を向けて声をかけてきた。

気付かれた以上流石に無視するわけにもいかないエリカは僅かに笑いながら手を振ってみせると、ミコトも笑みを見せながら彼女へと歩み寄って

 

「奇遇だね? 今日はどうしたの?」

 

そう問いかけてきた。

 

「今日はお休み。ホントはデッキ研究したかったんだけど黒崎さんに休めって言われちゃって。みーたんこそ、こんな所で何してるの?」

 

問われたエリカはそう答えると、次いでミコトに問い返す。

 

「私? 私は今日オフだからヒカリちゃんやアキナ先輩と1日ストレイキャットでファイトする予定だったんだけど、先輩はバイトのヘルプ頼まれちゃって、ヒカリちゃんも予備講習で2人とも午前中はダメになっちゃったんだ。お昼まで家にいても暇だったし、予定時間まで適当に散策して時間潰してたの」

 

問いかけに対しミコトが苦笑い気味で返すと

 

「なるほどね。受験生のヒカリはともかくアキナは相変わらずお人好しバカなんだから。普通恋人との先約の方が優先でしょうに」

 

エリカが呆れた様子でそう口にする。

彼、明導アキナは自他共に認めるほど筋金入りのお人好しでお節介焼きだ。

困っている人がいたりすれば率先して手助けをし、決して見返りなどを求めたりはしない。

今回も本来シフトに入るはずだったスタッフが急病で出られなくなったとバイト先の店長からヘルプの要請が入り、アキナはこれを引き受けたのである。

もちろんアキナも二つ返事で引き受けたわけではない。

彼以外にもヘルプの要請はしたが全て空振りに終わったらしく、藁にもすがる思いでアキナへと連絡を入れてきたそうだ。

そしてヒカリも受験生という事もあり、急遽入った予備講習を受けなければならなくなった。

昨晩、明導兄妹から連絡があり平謝りされたのはミコトの記憶に新しい。

とは言え、やはり恋人との約束を半分反故にしたアキナに対してエリカは呆れてしまっている。

 

「あはは、エリカちゃんは手厳しいなぁ。仕方ないよ、私だって急な仕事やレッスンが入る事もあるし。それに、埋め合わせはちゃんとしてもらうから大丈夫だよ」

 

そんなエリカにミコトは苦笑いを零ながらそう言い

 

「それよりエリカちゃん、この後時間あるかな?」

 

次いで問いかけてきた。

その問いに対してエリカは

 

「今日は急なお休みだから予定はないけど……」

 

そう返すと

 

「なら、先輩達との約束の時間までの時間潰しに付き合ってくれないかな? もちろんエリカちゃんが良ければなんだけど」

 

「……私でいいなら……」

 

ミコトから願い出られたエリカは間をおいた後、少々遠慮気味に申し出を受けることにした。

するとミコトは満面の笑みになり

 

「ホント!? じゃあ、早速行こう! とりあえず色んなお店見て回ろうか?」

 

「う、うん」

 

エリカの手を取って歩き出し、釣られるように彼女も歩き出す。

そのまま彼女達は商店街にある様々な店舗へと立ち寄った。

衣服店で洋服を見て、本屋で気になる雑誌等を見て回り、アミューズメント店でクレーンゲームに挑戦したり等々。

そうしていくつかの店舗を回った彼女達は商店街近くの公園へと足を伸ばし、エリカは備え付けてあるベンチへと腰を下ろして息を吐いた。

見上げれば澄んだ青空が広がっており、白い雲がゆっくりと流れている。

しばらく空を眺めていると

 

「エリカちゃん」

 

声をかけられ目を向けると笑顔のミコト。

その両の手には2種類のクレープ。

近くにある店で買ってきたであろうクレープをエリカに見せ

 

「ストロベリームースとチョコバナナのどっちがいい?」

 

「……じゃあ、ストロベリーで……」

 

どっちのクレープがいいか問いかけるとエリカは少し間をおいてストロベリームースを選択した。

片方のクレープを彼女に渡すと、ミコトもベンチへと腰掛ける。

 

「あ、お金……」

 

「いいよ、気にしないで。時間潰しに付き合ってくれたお礼だよ」

 

言いながらエリカが財布を取り出そうとすると、ミコトはそう言って返してきた。

そのまま自身のクレープを口に運んで頬張り何度か咀嚼して嚥下しすると、その表情を綻ばせる。

 

「……ありがとう。いただきます」

 

ミコトからの言葉に例の言葉を述べてからエリカはクレープを頬張ると、口の中にストロベリーの酸味とムースの程よい甘さが広がっていった。

2人黙々とクレープを食べ進めていたが、不意にエリカがその手を止めて

 

「それにしても、みーたんは本当にいいの?」

 

「? なにが?」

 

問いかけてくるエリカに対し、ミコトもクレープを食べる手を止めて疑問符を浮かべながら彼女に視線を向けた。

 

「アキナの事よ。普通、自分との予定より仕事優先にされたら頭にくるものじゃない?」

 

「あはは……」

 

どうやらエリカはアキナがミコトよりバイトのヘルプを優先した事に対してまだ納得がいってないようである。

エリカの問いに対してミコトは苦笑いを浮かべながら

 

「まぁ、半日潰れちゃったのは残念だし寂しいとも思ってるよ。けど、さっきも言ったように私も急な仕事やレッスンが入って予定がダメになる事もあるし、こういうのはお互い様だと思うんだ。それにね────」

 

一度区切り、空を見上げながら

 

「いつも誰かの為に一生懸命で、困ってる人を放っておかない、そんなアキナ先輩を私は好きになったの。確かにアキナ先輩は女心に鈍感だし思い込んだら一直線だったりするけど、そんな悪いところや良いところも全部引っくるめて私は先輩の事が好きなんだよ。だから大丈夫。エリカちゃん、心配してくれたんだよね? ありがとう」

 

視線を空からエリカへと移し、微笑みを向けながらそう言葉を紡いだ。

透き通るような綺麗な微笑みに、エリカは僅かに頬を紅潮させながら

 

「べ、別に……みーたんがそれでいいなら……いいんだけど」

 

そう言いながら再びクレープへと齧り付く。

ミコトはそんな彼女の言葉と行動に対しクスクスと笑った後、再びクレープを食べるのを再開した。

黙々とクレープを食べながら、エリカは隣のミコトを横目でチラリと見て

 

(やっぱり……私の知ってるみーたんと少し違うな……)

 

そう思考を巡らせた。

思い浮かべるのは自分がいた世界での『西塔ミコト』の姿。

今隣にいるミコトと比べても性格や言動、立ち振る舞い等は全く変わらない。

だが一つだけ、確かに違うものがある。

それは明導アキナに対する気持ちの持ち方だ。

自分が元々いた世界の西塔ミコトも確かにアキナに対して想いを寄せてはいた。

しかし、先ほどのように自信を持って彼に対する好意を語る事などはせず、むしろその逆に隠そうとしていた。

エリカは一度だけ、元いた世界の彼女に聞いた事がある。

兄の事をどう思ってるのか? と。

最初は慌てた様子を見せるも観念したように彼に対する気持ちを吐露し、次いで『好きだけど……気持ちは伝えないよ……だって、先輩の心の中には……あの人がいるから……』と寂しげな表情でそう述べている。

あの人とは十中八九、無双の運命者カードの所有者である員弁ナオの事だ。

元いた世界でもあの2人はとにかく仲が良かったのをエリカも覚えている。

同じバイト先の先輩後輩同士でヴァンガードの師弟でもあり、お互いがお互いを尊敬し合っていたアキナとナオ。

彼がバイトを始めてからはとにかく話題にナオの事が出てきていたし、ナオも自身を慕ってくれている彼を好意的に思っていたはずだ。

それはこの世界でも全く変わらない。

だがアキナはナオを選ぶ事なくミコトを選び、彼女との関係と彼女自身の事をとても大切に思い、そしてミコトもアキナへの気持ちを隠す事なく彼の事を理解して大切に思い寄り添おうとしている。

同じようだけれど、それでも何かが違う世界。

これも自分が未来から来て、アキナの運命を変えたから起きた変化なのだろうが真相はわからないし、それはさして重要では無いとエリカは考えている。

ただ、やはり同じようで違う彼らを見ていると、心の中で『あぁ……やっぱりここは私の世界では無いんだ』と彼女は考えてしまう。

それ故か、エリカはどうしてもミコトやアキナ、そしてナオ達に対して一歩引いた形で接してしまうようになっていた。

 

────自分はこの世界の本当の住人ではないのだから、と。

 

アキナ()の死の運命を変え、もっと生きたいと願い、消えるはずだったその命をガブエリウスに救われ、この世界で生きていく事を決めても尚、やはり違いを感じて線引きをしてしまっているのだ。

そんな中で思い出すのは今朝の夢。

それはかつて、兄が出掛けて帰って来なくなったあの日。

兄の様子が気になりミコトに連絡し、事情を聞いてみた時に交わしたささやかな約束。

 

(どうして思い出すの? 隣にいるこの人(みーたん)は、あの時約束したみーたんじゃないのに……)

 

横目で隣を見ると、すでにクレープを食べ終わったミコトは満足そうな表情で空を見上げていた。

見ている事を気取られないようエリカは視線を前方に戻し、残っているクレープを食べ進めていくが、その間も脳裏には今朝の夢が過ぎっていく。

複雑な心境のままクレープを食べ終わると同時に、ミコトがベンチから立ち上がり

 

「いま12時過ぎかぁ……先輩とヒカリちゃん、もうバイトと講習も終わった頃なんだろうけどストレイキャットに来るまでまだ時間かかるだろうなぁ……もうちょっと時間潰さないとだめかも」

 

スマートフォンを取り出し時間を確認してそう口にする。

2人がストレイキャットに来るとしても一度帰宅し昼食を摂り身支度を整えてからになるだろう。

故にミコトはもう少し時間を潰さなければならない。

彼女が漏らしたその言葉を聞いたエリカは

 

「ねぇ、みーたん」

 

「ん? なぁに、エリカちゃん?」

 

「それなら……私とファイトしてほしい。今、ここで」

 

ミコトの翡翠の瞳をジッと見つめそう口にする。

一瞬の沈黙の後、エリカはハッとしたように自身の口を手で押さえて

 

(私、何言って?!)

 

そう思考する。

意識して言ったわけではない。

脳裏にチラつく今朝見た夢、かつての約束が彼女にそう言わせたのだろう。

自分でも思ってなかった申し出を口にした事で気不味そうに目を逸らしているエリカをミコトは不思議そうな表情で見ている。

やがて観念したようにエリカは彼女へと視線を向け

 

「……その……みーたんが、良ければなんだけど……」

 

そう小さく言うと

 

「うん。いいよ、やろっかエリカちゃん」

 

エリカの申し出に対してミコトは笑顔でそう返してきた。

 

「……いいの?」

 

「もちろん。私だってヴァンガードファイターだよ? 挑まれたファイトを無我に断ったりしないよ」

 

おずおずと訊ねてくるエリカにミコトはデッキを取り出しそう言って返す。

エリカは一瞬だけ俯くも、すぐに顔を上げて

 

「あ、ありがとう……」

 

そう返した。

 

「じゃあ、あっちの休憩所でやろっか?」

 

「う、うん」

 

そう言ってミコトは大きめのテーブルがある屋根付きの休憩所を指差して移動を促すと、エリカは頷いて休憩所の方へと歩き出し、ミコトも並んで休憩所へと向かっていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

休憩所に設置されたテーブルにライドデッキとシャッフル&カットされたメインデッキをそれぞれがセットする。

ファーストヴァンガードを裏返してVサークルにおいて互いのデッキ上から5枚のカードを引いて手札に。

2人はその中から必要なカードを選び、残りのカードを山札の下に置いて置いた分と同じ枚数カードを引いた。

これは手札交換(マリガン)といい、開始前に一度だけ手札を好きな枚数交換出来るヴァンガードのルールだ。

手札交換を終えた2人は裏返してあるファーストヴァンガードに手を添え

 

「エリカちゃん、準備はいい?」

 

「ええ。始めよう、みーたん」

 

『スタンドアップ! ヴァンガード!』

 

ファイト開始の掛け声と同時にファーストヴァンガードが表返された。

 

「『号笛の奏者 ビルニスタ』」

 

「『バミューダ(トライアングル)候補生 シズク』」

 

互いのファーストヴァンガードが姿を表す。

エリカは表返されたミコトのファーストヴァンガードを見て

 

(マーメイドの邂逅ユニット。アキナと同じようにライドラインを変えて来たのね。みーたんのクリスレインはマーメイド────という事は間違いなくマーメイドに特化したライドラインね)

 

思考を巡らせた。

『バミューダ(トライアングル)候補生 シズク』はかつて存在したクラン『バミューダ△』に所属していたマーメイドのユニットである。

ミコトの分身である『万化の運命者 クリスレイン』もマーメイドである以上、ライドライン効果もマーメイドに特化したモノだろうとエリカは予測を建てたのだ。

エリカは軽く息を吐いて

 

「私の先攻。ドロー!」

 

先攻はエリカ。

カードを1枚引いて手札に加え

 

「ライドフェイズ! ユユリアを手札から捨てて、『天悠の騎士 トランキリア』にライド!」

 

手札から『昂薬の魔法 ユユリア』をドロップゾーンに置いて、ライドデッキから『天悠の騎士 トランキリア』へとライドされた。

現れたエリカのヴァンガードを見てミコトは驚いた表情を見せる。

以前までのエリカのG1のヴァンガードは『愛琴の奏者 アドルファス』だった。

しかし現れたのはトランキリア。

ファーストヴァンガードこそ変わっていなかったものの、彼女もライドラインを変えてきていたのである。

 

「ライドラインを変えてるのはみーたんやアキナだけじゃないよ。もっとも私の場合はG1しか変更してないけどね。エネルギージェネレーターをセット。先攻最初のターンは攻撃出来ないからコレで私のターンは終了」

 

ジェネレーターカードをセットしてエリカはターン終了を宣言する。

 

「私のターン。ドロー!」

 

自身のターンになったミコトがカードを引いて手札へと加える。

そしてそのうちの1枚を手に取り

 

「ライドフェイズ。プレンネルをドロップに送って、『マーメイドアイドル セドナ』にライド!」

 

『エナジェティックイエロー プレンネル』をドロップゾーンに置き、『マーメイドアイドル セドナ』がヴァンガードサークルへと置かれてその姿を表した。

 

「エネルギージェネレーターをセット。後攻なのでEC(エネルギーチャージ)3。シズクのスキル発動! このユニットがライドされた時、後攻なら1枚ドローする」

 

セットされたジェネレーターカードにエネルギーカードを3枚重ね、続いてシズクのスキルが発動。

カードを1枚引いて手札へと加えた。

 

「続けてメインフェイズ───なんだけど、特に出来る事はないからこのままバトルフェイズへ! 」

 

ライドフェイズを終了させメインフェイズへと以降するも、ミコトはリアガードをコールする事なくそのままバトルフェイズへの以降を宣言。

ヴァンガードサークルのセドナ手を添え

 

「セドナでトランキリアにアタック!」

 

カードをレストし、トランキリアへの攻撃を宣言した。

エリカは自身の手札を一度見て

 

「ノーガード」

 

攻撃を通す事を宣言する。

 

「ドライブチェック───ノートリガー」

 

ヴァンガードがアタックする時に与えられる特権、ドライブチェックによって捲られたカードはノーマルユニットであり、ミコトの分身でもある『万化の運命者 クリスレイン』。

トリガーカードではないので特に効果は発動せず、ドライブチェックで捲られたクリスレインはそのままトリガーゾーンから彼女の手札へと加えられた。

 

「ダメージチェック───ノートリガー」

 

ヴァンガードが攻撃を受けた事で発生するダメージチェックで捲られたカードはノーマルユニットの『ぐらがおん』。

こちらもトリガーユニットではないので特に効果は発動せず、捲られたぐらがおんはダメージゾーンへと表で置かれた。

 

「ターンエンドだよ」

 

攻撃出来るユニットがいない為、ミコトはターン終了を宣言してエリカにターンを返す。

 

「私のターン、ドロー。ライドファイズ開始時、ジェネレーターの効果でEC3。ライド! 『麗弦の奏者 エルジェニア』!」

 

1枚引き、ジェネレーターカードに3枚のエネルギーカードを重ね、続いて手札から『シーケンス・ウィザード』をドロップに送り『麗弦の奏者 エルジェニア』へとライドする。

 

「トランキリアのスキル! このユニットがライドされた時、手札から異なるグレードのユニットを3枚公開。公開したならデッキの上から5枚を見てグレード1以下のユニットを選択してコールする。私が公開するのはアイディラス、せるがおん、そして『時の運命者 リィエル=アモルタ』!」

 

スキルコストとしてエリカが公開したのはG2の『遍歴の剣聖 アイディラス』、G1の『せるがおん』、そして彼女の分身たるG3『時の運命者 リィエル=アモルタ』だ。

条件を満たしたのでエリカはデッキの上から5枚を確認し

 

「せるがおんをスペリオルコール!」

 

5枚の中から選ばれたのはせるがおん。

ヴァンガードであるエルジェニアの後列へとコールし、残りのカードはデッキに戻されシャッフルされる。

デッキをシャッフルし終わり、ライドフェイズからメインフェイズへ。

 

「アイディラスを左前列にコール。バトルフェイズ。アイディラスでセドナにアタック!」

 

攻撃宣言と共にアイディラスがレストされる。

現在アイディラスはスキルを発動する条件を満たしていないためパワーは表記通りの10000。

対するG1のセドナはパワー8000。

 

「ベレトアでガード!」

 

この攻撃に対し、ミコトは手札から『澄み渡る雪夜 ベレトア』をガーディアンサークルへとコール。

ベレトアのシールド値5000がセドナの8000に加算され、合計パワー13000となりパワー10000であるアイディラスの攻撃を防ぎ切る。

ガードに使用したベレトアはドロップゾーンへ。

 

「せるがおんのブースト、エルジェニアでセドナにアタック! せるがおんのスキル! このユニットがブーストした時、自身のリアガードが相手より多いかオーダーを使用しているならパワー+5000!」

 

エルジェニアの後列にいるせるがおんをレストし、次いでエルジェニアをレスト。

自身のパワーをバトル中のみ与えるG1とG0の固有能力『ブースト』とせるがおんのスキルによってエルジェニアのパワーは23000まで膨れ上がる。

ミコトは自身の手札を見て

 

「ノーガード」

 

ガードせずに攻撃を通す事を宣言した。

 

「ドライブチェック────ゲット! クリティカルトリガー! 効果は全てエルジェニアに!」

 

次いで行われたドライブチェックにより捲られたのはトリガーユニットの『ブレードフェザー・ドラゴン』だ。

クリティカルアイコンを待つこのユニットは与えるダメージを1増加させる効果を持つ。

ノーガードで攻撃を通した事でミコトは2ダメージを受ける事になる。

 

「ダメージチェック、1点目──────ノートリガー。2点目────ノートリガー」

 

捲られたのはどちらもノーマルユニット。

1枚目は『ラヴィング・ピンク フランセット』、2枚目は『食べすぎ注意 アイリーン』だ。

捲られた2枚がダメージゾーンへと置かれていく。

 

「せるがおんのスキル! ブーストしバトル終了時、このユニットを退却させる事でデッキの上から2枚を見て1枚を手札に加え、残りをデッキの下へ」

 

次いで発動したのはせるがおんのバトル終了時効果だ。

せるがおんをリアガードサークルからドロップゾーンへと送り、エリカはデッキの上から2枚を見て1枚を手札に加えた。

残りの1枚をデッキの下へと置いて

 

「ターンエンド」

 

ターン終了を宣言してミコトへとターンを返した。

 

「私のターン。スタンド&ドロー」

 

カード引き、レストされているセドナをスタンドさせる。

 

「ライドフェイズ開始時、ジェネレーターの効果でEC3。ライド! 『トップアイドル アクア』!」

 

ECによりエネルギーを3枚追加し、次いで手札から『イノセントオレンジ アニエス』をドロップゾーンへ置いて、ライドデッキから姿を現したのは『トップアイドル アクア』だ。

 

「セドナのスキル発動! このユニットがアクアにライドされた時、SB1でデッキの上から7枚確認してその中からグレード2以上のユニットを1枚選んで公開し手札に加える。私はプレンネルを公開して手札へ」

 

セドナのスキルが発動し、コストとしてソウルからシズクがドロップゾーンへと置きデッキの上から7枚を確認し、その中からプレンネルを選択してエリカに公開して手札へと加えた。

残りのカードをデッキに戻してシャッフルし

 

「メインフェイズ。右後列にユイカをコール。右前列にフランセット、左前列にプレンネルをコール!」

 

メインフェイズへと移行し、後列へ『クーリングハート ユイカ』をコールし、そして前列の両サイド、ユイカの前にフランセットを、先程手札に加えたプレンネルがコールされ、次々とリアガードが展開されていく。

 

「バトルフェイズ! プレンネルでアイディラスにアタック!」

 

攻撃体制を整えたミコトはバトルフェイズへと以降を宣言し、まずはプレンネルをレストし、リアガードのアイディラスへアタックする。

パワーは互いに表記通りの10000。

 

「ノーガード」

 

この攻撃に対し、エリカはノーガード宣言。

攻撃が成立し、アタックがヒットしたアイディラスは退却しドロップゾーンへと送られる。

次いでミコトはアクアに手を添え

 

「アクアでエルジェニアにアタック!」

 

アクアをレストしてエルジェニアへ攻撃を開始。

単騎でのアタックなのでパワーは10000のままだ。

 

「ブレードフェザーでガード!」

 

この攻撃に対してエリカは手札からブレードフェザーをガーディアンサークルへとコール。

トリガーユニットであるブレードフェザーのシールド値は15000。

エルジェニアのパワー10000に加算され、合計25000へと上昇する。

 

「ドライブチェック────ゲット! クリティカルトリガー! 効果は全てフランセットに!」

 

ドライブチェックによって捲られたのはクリティカルアイコンを待つトリガーユニット『郎らかな陽の下で ウォリス』。

見事トリガーを引き当てたもののエルジェニアのパワーは25000なので、アクアにパワーを与えても攻撃は通らない。

トリガー効果はまだアタックしていないフランセットに付与され、パワー20000、クリティカル2へと上昇した。

ガードに使用されたブレードフェザーはドロップゾーンへ送られる。

 

「ユイカのブースト! フランセットでエルジェニアにアタック! フランセットのスキル! フィールドのユニット4枚全てを選択し、3枚以上別名ならこのターン中フランセットのパワー+5000! さらに別名が4枚以上ならバトル終了時にリアガードを1枚選んで手札に戻す事が出来る。合計パワーは33000!」

 

続けてユイカのブーストを受けたフランセットの攻撃。

発動したスキルによってパワーが上昇し、先程のトリガー効果も加わっているフランセットのパワーは33000まで上がっている。

エリカは自身の手札を確認して

 

「ノーガード」

 

攻撃を通す事を選択。

フランセットの攻撃はエルジェニアにヒットし、2ダメージを受けることになる

 

「ダメージチェック、1点目────ノートリガー。2点目────ノートリガー」

 

ダメージチェックで捲られたのはどちらもノーマルユニットのせるがおんと『明刃の騎士 レリジアル』。

トリガーゾーンからダメージゾーンに置かれ、エリカのダメージは3となった。

 

「フランセットのスキル! バトル終了時にリアガードを1枚選んで手札に戻す。プレンネルを選択して手札に。続けてユイカのスキル発動! このユニットがブーストしたバトル終了時、SB(ソウルブラスト)1でこのユニットと同じ縦列のユニットを選択して手札に戻す。フランセットを手札に」

 

アタック終了時にフランセットとユイカのスキルが発動。

まずはフランセットのスキルによってプレンネルが手札へ戻り、次にユイカのスキルによってフランセットが手札に戻っていく。

 

「これでターンエンド」

 

スキル処理を終えたミコトがターンを終了してエリカにターンを返す。

 

「私のターン。スタンド&ドロー。ライドフェイズ開始時にジェネレーター効果でEC3」

 

レストしているエルジェニアをスタンドさせて1枚ドローし、ジェネレーターにエネルギーカードを3枚追加。

 

「決意の翼、未来よりここに! 『時の運命者 リィエル=アモルタ』にライド!」

 

手札からレリジアルがドロップに置かれ彼女の分身、『時の運命者 リィエル=アモルタ』が数多の白き翼を羽ばたかせて舞い降りる。

 

「エルジェニアのスキル発動! このユニットがリィエルにライドされた時、ドロップからノーマルユニットを望む枚数デッキの下に置き、3枚以上置いたら1枚ドローする。せるがおん、レリジアル、アイディラスをデッキの下に置いて1枚ドロー!」

 

エルジェニアのスキルにより、エリカは自身のドロップゾーンから3枚のノーマルユニットをデッキの下へ置いて1枚引いた。

 

「メインフェイズ! シーケンス・ウィザードをコールしてスキル発動! リィエルを含むヴァンガードがいるならCB(カウンターブラスト)1でデッキの上から5枚を見てグレード3以下のユニットを1枚選んでコールする。アイディラスをスペリオルコール!」

 

コールされたシーケンス・ウィザードの効果によってデッキからアイディラスが再びコール。

エリカは残りのカードをデッキに戻してシャッフルし

 

「ユユリア、せるがおんをコール!」

 

続けてヴァンガードの後列にユユリアを、アイディラスの後列にせるがおんをコール。

 

「バトルフェイズへ以降! アイディラス単体でアクアにアタック!」

 

体勢が整いエリカのバトルフェイスが開始。

アイディラスをレストしてアクアへ攻撃を宣言。

単体でのアタックなのでパワーは10000のままだ。

 

「プレンネルでガード!」

 

この攻撃に対してミコトは手札からプレンネルをガーディアンサークルへとコールした。

シールド値5000が加算されパワー15000となりガードが成立する。

 

「ユユリアのブースト、リィエルでアクアにアタック! ユユリアのスキル! このユニットがブーストした時、リィエルを含むヴァンガードがいるならパワー+5000! さらにリィエルのスキル! CB1でアイディラスをバインド! バインドしたカードと同名のカードをデッキからスペリオルコールする! アイディラスをスペリオルコール!」

 

リィエルのスキルによってリアガードサークルからアイディラスがバインドされもう一枚のアイディラスがリアガードとしてコール。

 

「アイディラスのスキル! このユニットがバインドされた時、りぃえるを含むヴァンガードがいるならSB1で1枚ドローしてリィエルにパワー+5000! さらにアイディラスは永続効果で同名がバインドゾーンにあるなら自身のターン中にパワー+10000! そしてシーケンス・ウィザードのスキル! 他のユニットがヴァンガードの能力でバインドされた時、このユニットのパワー+5000!」

 

さらにバインドされたアイディラスの効果により、ソウルからビルニスタがコストとしてドロップに置かれて1枚ドローし、さらに永続効果によってパワーが20000にまで上昇した。

同時にシーケンス・ウィザードのパワーもスキルによって5000上昇。

そして現在アタックしているリィエルはユユリアのブーストと効果、アイディラスの効果が加わりパワー31000にまで上がっていた。

ミコトは自身の手札を見て思案し

 

「ノーガード!」

 

攻撃を通す事を宣言する。

 

「ツインドライブ! ファーストチェック────ノートリガー。セカンドチェック────ゲット! ヒールトリガー! ダメージを1枚回復してパワーをシーケンスウィザードに!」

 

グレード3の固有能力であるツインドライブによって2度行われるドライブチェック。

1枚目はノーマルユニットのレリジアル。

2枚目はヒールアイコンを待つトリガーユニット『天杖の癒し手 アーシェス』だ。

現在ミコトのダメージは2、エリカは3なのでトリガー効果が発動してダメージゾーンから裏返したぐらがおんがドロップへと置かれ、エリカのダメージは2に回復する。

 

「ダメージチェック────ゲット! クリティカルトリガー! 効果は全てアクアに!」

 

攻撃を受けたミコトのダメージチェック。

捲られたのは『珠玉の一曲 エドウィージュ』、クリティカルアイコン待つトリガーユニットだ。

トリガー効果によってアクアのパワーが20000に上昇。

 

「シーケンス・ウィザードでアクアにアタック! パワーはトリガー効果も含めて25000!」

 

「ウォリスでガード!」

 

次いで行われたシーケンス・ウィザードの攻撃に対し、ミコトは手札からウォリスをガーディアンサークルへコール。

シールド値15000とトリガー効果によって35000に上昇したのでガードが成立し、ガード終了時にウォリスはドロップゾーンへと送られる。

 

「せるがおんのブースト、アイディラスでアタック! せるがおんのスキル! 自身のリアガードが相手より多いのでパワー+5000! 合計パワー33000!」

 

「ガード! エドウィージュ!」

 

アイディラスによる4回目の攻撃。

手札からエドウィージュをガーディアンサークルに出し、シールド値15000が加算。

トリガー効果も加わりパワーは再び35000に上昇しガードが成立。

 

「せるがおんのスキル! このユニットを退却させてデッキの上から2枚見て1枚を手札に加え、もう1枚をデッキの下へ」

 

アタックが終了し、せるがおんの効果が発動。

エリカはデッキの上から2枚のカードを確認して1枚を手札に加えてもう1枚をデッキの下へ置いた。

 

「ターンエンド」

 

効果処理を終わらせてエリカはターン終了を宣言。

ミコトへとターンが移る。

 

「私のターン! スタンド&ドロー! ライドフェイズ開始時、ジェネレーターの効果でEC3! 輝け! 千変する万照の万華鏡! 『万化の運命者 クリスレイン』にライド!」

 

レストしているアクアとユイカをスタンドさせてドローし、エネルギーカードが3枚加算。

次いでライドデッキからミコトの分身『万化の運命者 クリスレイン』がその姿を現した。

その時ライドコストとしてドロップに置かれたカードを見たエリカは

 

(ライドコストにクリスレインを使った? 他に切れるカードがなかった? どちらにしても、これで次にみーたんのターンが回ってきてもペルソナライドしてくる可能性が低くなったって事ね)

 

そう思考を巡らせた。

強力な効果を発動させるペルソナライドは同名のカードにライドする事が条件だ。

その為の同名カードをミコトはコストとして使用した。

ヴァンガードのルールではライドデッキを含み、同名カードは4枚までしか入れられない。

ライドコストとして使用した事でクリスレインは残り2枚。

もう一度同じカードを引ける確率はそれほど高くはない。

故にエリカは次にミコトのターンが回って来てもペルソナライドしてくる可能性は低いと考えたのである。

 

「アクアのスキル発動! このユニットがマーメイド種族にライドされた時、デッキの上から5枚確認してグレード2以上のユニット1枚選んで公開し手札に加える。私はアニエスを選択」

 

マーメイド種族であるクリスレインにライドされたアクアのスキルにより、ミコトはデッキの上から5枚のカードを確認。

その中からアニエスを選択して公開し、手札へと加えデッキをシャッフルする。

 

「メインフェイズ! アニエスをコール! スキル発動! CB1とEB(エネルギーブラスト)3で山札の上から5枚見てフィールドのヴァンガードとリアガード以外のユニットを1枚選んでコールする! ロシェルをスペリオルコール!」

 

続けて先程手札に加えたアニエスが左前列にコールされ、同時に登場時スキルが発動。

コストであるCB1とEB3が支払われ、ミコトのエネルギーは9から6へ減少し、確認した5枚の中から『モデレートミント ロシェル』がアニエスの後列にコールされた。

 

「フランセットをコール。ユイカのスキル! このユニットと同じ縦列にユニットがコールされた時、自身のパワー+5000! クリスレインのスキル発動! CB1を支払い、フィールドのユニット全てを選択! 別名のユニットが5枚以上なので3つの効果全てを発動! 1枚ドローしてEC3! フランセットを選択してパワー+15000! そしてクリスレインのクリティカル+1! さらにフランセットのスキル! このユニットがクリスレインの効果で選ばれた時、クリスレインのパワー+10000!」

 

フランセットをコールし、ユイカのスキルが発動。

自身にパワーを5000プラスし、次いでクリスレインのスキルが発動する。

CB1を支払い、フィールドにいる5枚のカードを全て選択。

別名のユニットが5枚以上だった事でクリスレインのスキルが最大限の効果を発揮する。

1枚ドローして手札を増やし、エネルギーは6から9は上昇。

さらにフランセットにパワー15000をプラスして自身のクリティカルを2に上昇させた。

それだけではなく、フランセットのスキルによりクリスレインは+10000のパワーパンプを受ける。

 

「さらにロシェルをクリスレインの後列にコール! バトルフェイズ! ロシェルのブースト、アニエスでリィエルにアタック! アニエスのスキル! このユニットがグレード3にアタックした時、フィールドのユニット4枚、アニエス、ロシェル、フランセット、ユイカを選択! 別名ユニットが4枚なのでアニエスのパワー+10000! 合計パワー28000!」

 

「アーシェスでガード! シーケンス・ウィザードでインターセプト!」

 

アニエスによる攻撃に対し、エリカは手札からアーシェスをガーディアンとしてコールし、さらにシーケンス・ウィザードをグレード2の固有能力インターセプトでガーディアンサークルに移動させた。

アーシェスのシールド値15000とシーケンス・ウィザードのシールド値5000が加算されてリィエルのパワーは33000となりガードが成立。

 

「フランセット単騎でリィエルにアタック! フランセットのスキル発動! フィールドのユニット、アニエス、ロシェル、ユイカ、クリスレインを選択し、別名ユニットが3枚以上ならこのターン中パワー+5000! さらに4枚以上ならバトル終了時にリアガード1枚選んで手札に戻せる! 合計パワーは30000!」

 

「ブレードフェザーでガード! アイディラスでインターセプト!」

 

次に行われたのはフランセットによる単騎アタック。

スキルによってパワーが30000に上昇したいのに対し、エリカは手札からブレードフェザーをガーディアンとしてコールしアイディラスのインターセプトで対応する。

先程と同じく、トリガーユニットであるブレードフェザーのシールド値15000とアイディラスのシールド値5000が加わりパワー33000まで上昇した事でガードは成功する。

 

「フランセットのスキル! バトル終了時にリアガードを1枚選んで手札に戻す! アニエスを選択して手札に!続けて、クリスレイン単騎でリィエルにアタック!」

 

(単騎アタック? どうしてブーストしないの?)

 

フランセットのスキル処理を終わらせ、次に行われたのは分身であるクリスレインの攻撃。

その攻撃には後列にいるロシェルのブーストは込められていない。

相手に高いガード値を要求するならブースト込みの方が望ましいのだが何故かミコトはそれをせずに単騎で攻撃仕掛けてきた。

その行動にエリカが疑問符を浮かべているが、ミコトは構わず進行を続ける。

 

「ロシェルのスキル! クリスレインがアタックした時、このユニットをソウルに置いてEB3する事で1枚ドロー! さらにこのターン中、リアガードがカード効果でスタンドしていないなら、クリスレインの効果で選ばれているユニットを選んでスタンドさせる! フランセットをスタンド!」

 

左後列でレストしているロシェルのスキルが発動。

エネルギーが9から6に減少し、ロシェル自身をソウルに置いてミコトは1枚カードを引き、さらにフランセットをスタンドさせた。

 

「さらにもう1枚のロシェルのスキル発動! 自身をソウルに置きEB3して1枚ドロー! 前のロシェルの効果でフランセットがスタンドしてるのでスタンド能力は発動しないよ」

 

(もう1枚のロシェルのスキルを使った?! そうか、火力より手札補充を優先したんだ!)

 

続けてミコトはクリスレインの後列にいるロシェルのスキルも発動する。

この行動でミコトの目的は少しでも多くの手札を確保する事にあったのだとエリカは悟る。

おそらくは次のエリカのターン、確実に仕掛けられる猛攻に対抗するためだろう。

もう1枚のロシェルもソウルに置かれ、エネルギーは6から3に減少する。

エリカは自身の手札を見て

 

(単騎23000アタックだからパワーはそれほど高くない。ガード出来なくもないけどここは────)

 

「ノーガード!」

 

エリカは攻撃を受ける事を選択する。

手札温存とコスト確保を優先したのだろう。

 

「ツインドライブ! ファーストチェック────ゲット! ヒールトリガー! ダメージを1枚回復してフランセットにパワー+10000!」

 

ツインドライブ最初のチェックで引き当てたのはヒールトリガーの『トーカティヴ・アワー タンムーズ』だ。

現在ミコトのダメージは3、エリカは2。

なのでミコトはダメージゾーンから裏返っているアイリーンをドロップに置いてダメージは2に回復。

さらにパワー10000がフランセットに与えられた。

 

「セカンドチェック────ノートリガー」

 

2回目のチェックで捲られたのはノーマルユニットのユイカだ。

 

「ダメージチェック。1点目────ノートリガー。2点目────ノートリガー」

 

攻撃が通った事で行われたエリカのダメージチェックは2枚ともノーマルユニットであるアイディラスとせるがおんだ。

ダメージゾーンに置かれ、彼女のダメージは4となる。

 

「ユイカのブースト、フランセットでアタック! フランセットのスキル! フィールドのユニット、ユイカ、フランセット、クリスレインを選択! 別名ユニットが3枚なのでパワー+5000! 合計パワー58000!」

 

続けて行われるフランセットの攻撃。

自身のスキルとユイカのブーストを受け、パワーは58000にまで膨れ上がる。

 

「ノーガード。ダメージチェック────ゲット! クリティカルトリガー! 効果は全てリィエルに!」

 

この攻撃に対してエリカはノーガード宣言。

ダメージチェックによって捲れたのはトリガーユニットのブレードフェザー。

効果は全てリィエルに与えられ、彼女のダメージは5となる。

 

「ユイカのスキル! このユニットがブーストしたバトル終了時、SB1でこのユニットと同じ縦列のユニットを手札に戻す。フランセットを手札に戻して、ターンエンド」

 

ユイカのスキルによってソウルからロシェルがドロップに送られフランセットがミコトの手札に戻る。

バトル終了時効果を処理し、ミコトはターン終了を宣言。

これでミコトの手札は9枚、ダメージは2の状態でエリカへとターンを返す事になる。

自身のターンが回ってきたエリカがレストしているユニットをスタンドさせようと手を伸ばそうとしたその時

 

「ふふっ」

 

エリカは不意にミコトが小さく笑みを溢した事に気付き

 

「みーたん?」

 

疑問符を浮かべて声をかけると

 

「あ、ごめんね。このファイトが楽しくて。それと、嬉しかったから」

 

「嬉しい?」

 

ミコトの言葉にエリカはさらに疑問符を浮かべている。

 

「エリカちゃんがファイトに誘ってくれた事が嬉しかったの。気のせいかもしれないけどエリカちゃん、私やアキナ先輩達と距離を取ってる気がしてたから」

 

そうミコトが口にすると、エリカは目を見開いて

 

「……気付いてたの?」

 

「なんとなくだけどね」

 

問いかけに対してミコトが応えると、エリカは僅かに目を逸らした。

数秒の沈黙が訪れるが、それはエリカの口が開くと同時に破られる。

 

「……私は……この世界の本当の住人じゃないから……」

 

何処か寂しげな表情で呟くエリカ。

今度はミコトが疑問符を浮かべるが、エリカは構わずに続けていく。

 

「さっきみーたんは嬉しいって言ってくれたけど、このファイト誘ったのは私が単に果たしてもらえなかった約束を果たしてもらった気になりたいだけだから……」

 

「約束?」

 

疑問符を浮かべたままミコトが問いかけると、エリカは少し沈黙するも

 

「……あの日、アキナが───お兄ちゃんが出掛けて帰って来なくなってしまったあの日……出掛けるお兄ちゃんの様子がおかしい気がしたから、みーたんなら何か知ってるかもと思って連絡してみたんだ」

 

あの日の事を、かつて自分のいた世界での出来事を話し始める。

 

「でも、みーたんからも『わからない』って言われちゃって……今思えば、運命大戦の事を話すわけにはいかなかったから誤魔化すしかなかったんだろうね。結局事情がわからなくて気持ちが沈んだのを察してくれたみーたんが、明日はオフだからお兄ちゃんやナオさんも誘ってストレイキャットでファイトしようって誘ってくれたんだ」

 

懐かしむようにエリカは少しずつ話を進めていく。

 

「私、凄く嬉しかった。だからみーたんに『全力で本気の真剣勝負がしたい』って言ったんだ。そしたらみーたん、快く引き受けてくれたの。楽しみだった……変わらない明日が……ううん、きっと明日は最高の1日になるってそう思ってた……でも、約束は果たされなかった……お兄ちゃんもみーたんも────いなくなってしまったから」

 

話を進めるごとにエリカの表情は曇っていく。

彼女のいた世界のアキナは運命大戦に勝利したスオウの願いによって生み出された虚無の闇の呑まれて消失してしまっている。

その際に観戦していた他の運命者達、ナオやミコトも巻き込まれ消えてしまい、それ故交わされた約束は果たされる事なく、エリカの中で燻っていたのだ。

兄の死の運命を変える事に奔走していた時は思い出すこともなかったが、消えるはずだった命を拾い、この世界でアキナ達と触れ合う度に、かつての世界での事を思い出させ、エリカに彼らへの態度の線引きをさせてしまっている。

 

「この約束は私のいた世界のみーたんとの約束。この世界のみーたんが知るはずはない。ファイトに誘ったのも、貴女にファイトさせて約束を果たしてもらった気になりたいだけの私の自己満足でしかないの……だから、みーたんに嬉しいって……楽しいって言ってもらう資格なんて……」

 

「エリカちゃん」

 

そんな自嘲するように語るエリカの言葉を遮るように

 

「私はね、エリカちゃんがファイトに誘ってくれた事が純粋に嬉しかったの。どんな思惑や理由があったとしてもそんなの関係ない。エリカちゃんがそれで負目や引け目を感じる必要なんてないの。だから、エリカちゃんはこのファイトを思いっきり楽しめばいいんだよ?」

 

そう口にした。

エリカは驚いた表情をしながら晒していた視線をミコトに向ける。

赤い瞳に映る彼女は優しい微笑みを浮かべながら

 

「ね、続けよう? 全力で本気の、真剣勝負を!」

 

そう言いながら今度は不敵に笑ってみせる。

どんな理由や思惑など関係ない。

今ここにいるミコトはエリカとの真剣勝負を望んでいるのだ。

彼女の言葉を聞いたエリカは数秒俯いた後、勢いよく顔を上げて目を見開き

 

「私のターン! スタンド&ドロー! ジェネレーターの効果でEC3!」

 

レストしている自分のユニットをスタンドしてカードをドローし、ECを行いターンの進行を開始する。

 

「再び羽ばたけ! 決意の翼! ペルソナライド! 『時の運命者 リィエル=アモルタ』!!」

 

同名カードのリィエルにライドしてペルソナライドが発動。

数多の白木翼を羽ばたかせ再び時を司る大天使が舞い降りた。

 

「ペルソナライドの効果! 1枚ドローしてこのターン中、前列のパワーを常に+10000! 続けてメインフェイズ! レリジアルをコールしてスキル発動! このユニットが登場した時、リィエルを含むヴァンガードがいるならSB1でデッキの上から7枚見てリィエルか『聖竜 ガブエリウス』を1枚選んで公開し手札に加える! 私はガブエリウスを公開して手札に加える!」

 

メインフェイズに移行し、コールされたレリジアルの効果により、エリカはコストとしてソウルからリィエルをドロップに置き、デッキの上から7枚確認して『聖竜 ガブエリウス』を選択して手札に加えた。

 

「このままガブエリウスをコール! 登場時スキルは使わないよ。続けてぐらがおんとユユリアをコール! さらにエネルギージェネレーターの効果発動! EB7で1枚ドロー!」

 

さらにエリカは手札に加えた左前列にガブエリウスをコール。

ガブエリウスには登場時にコストを支払うとスキルを発動出来るがエリカは使用しない事を選択。

次いで左後列にぐらがおん、右後列に2枚目のユユリアをコールし、さらにエネルギージェネレーターの効果を発動して1枚ドローし、エネルギーは9から2に減少。

盤面を完全に埋めきった事でエリカの攻撃態勢が完全に整い

 

「いくよ、みーたん!」

 

「来い、エリカちゃん!」

 

エリカの全力の攻撃が始まった。

 

「ガブエリウス単騎でクリスレインにアタック! パワーは23000!」

 

「タンムーズでガード!」

 

ガブエリウスをレストして攻撃宣言。

コレに対しミコトは手札からタンムーズをガーディアンとしてコールする。

シールド値15000がクリスレインのパワー13000に加算され28000となりガブエリウスの攻撃を防ぐ。

 

「ユユリアのブースト、リィエルでクリスレインにアタック! リィエルのスキル! CB1でガブエリウスをバインド! デッキからバインドされたユニットと同名をスペリオルコール! ガブエリウス、再び舞い戻れ!」

 

次いでアタックしてきたリィエルのスキルによりガブエリウスはバインドゾーンに送られ、デッキからもう一枚のガブエリウスがコールされる。

 

「ガブエリウスの登場時スキル発動! SB1でデッキの上を確認しデッキの上か下に置く!」

 

再び現れたガブエリウスの効果によってソウルからトランキリアをドロップに送りエリカはデッキの1番上のカードを確認し

 

「デッキの上へ」

 

そのカードをデッキの上へと戻した

 

(上って事は間違いなくトリガーだね)

 

スキル処理を見てミコトは思考を巡らせる。

だが、ここからさらに別のユニットのスキルが発動。

 

「ユユリアのスキル! ブーストした時、ヴァンガードがリィエルならこのユニットのパワー+5000! さらにもう一つのスキル発動! このユニットがリィエルをブーストした時、自身のパワーを+2000し、さらにSB1する事でドロップからフィールドのいずれかのユニットと同名を選んでデッキの下に置き、ユニットを1枚選んでパワー+5000! 私は右後列のユユリアを選択し、ドロップからユユリアをデッキの下へ置きいて同じく右後列のユユリアを選択してパワー+5000!」

 

ブーストしているユユリア自身のパワーを上げ、さらに右後列のユユリアのパワーをも上げてくる。

リィエルのパワーはペルソナライド効果とユユリアのブーストを受けて38000に上昇。

この攻撃に対してミコトは一度手札を確認して数秒思案するも

 

「ノーガード!」

 

攻撃を受ける事を選択する。

 

「ツインドライブ! ファーストチェック────ゲット! クリティカルトリガー! クリティカルはリィエルに、パワーはガブエリウスに!」

 

行われたツインドライブ。

1枚目は『豪胆の騎士 サウェル』、クリティカルトリガーだ。

クリティカルはリィエルに与えられ、パワーはガブエリウスに与えられた。

 

「セカンドチェック────ノートリガー」

 

2回目のチェックで捲られたのはノーマルユニットの『パラディウムジール・ドラゴン』。

相手の攻撃を完全に防ぐ事の出来る『守護者』のカードだ。

 

「ダメージチェック。1点目───ノートリガー。2点目────ゲット! ドロートリガー! 1枚ドローしてパワーをクリスレインへ!」

 

トリガーによって与えるダメージが2に上昇したリィエルの攻撃を受けた事によるミコトのダメージチェック。

1枚目はノーマルユニットであり、ミコトの分身であるクリスレイン。

2枚目はドローアイコンを待つトリガーユニットのベレトアだ。

効果によってミコトは1枚ドローしてクリスレインにパワーを振り分ける。

これでクリスレインのパワーは23000となり、ミコトのダメージは4となった。

しかしエリカの猛攻はまだ終わらない。

 

「時の力の真髄は過去への跳躍────時よ、逆巻け! ディヴァインスキル発動!!」

 

運命者、そして宿命者が待つファイト中に一度だけ発動出来る強力なスキルの発動が宣言された。

 

「このユニットがアタックしたバトル終了時、相手のヴァンガードがグレード3以上なら、ドロップゾーンからこのユニットと同名のカードを選んでスタンドでライドし、ライドしたならドライブ-1!」

 

エリカはドロップゾーンにあるリィエルを選択してヴァンガードサークルへ。

リィエルは再び立ち上がり再攻撃の資格を得る。

 

「レリジアル単騎でクリスレインにアタック! レリジアルのスキル! 自身のターン中ヴァンガードがリィエルで、バインドゾーンにガブエリウスがあるなら、このユニットのパワー+10000! 合計パワー30000!」

 

レリジアルがレストされ、クリスレインへその刃が向けられた。

ミコトはすかさずに

 

「エドウィージュでガード!」

 

手札からエドウィージュをガーディアンとしてコール。

トリガー効果とシールド値15000が加算され、クリスレインのパワーは38000に上昇しガードが成立した。

 

「リィエルでクリスレインにアタック! スキル発動! CB1でレリジアルをバインドし、同名カードをデッキからスペリオルコール!」

 

再びリィエルによるクリスレインへの攻撃。

さらにはスキルを発動し、レリジアルをバインドしデッキから同名をサーチしてスペリオルコール。

リィエルのパワーはペルソナライドの効果で単騎23000。

この攻撃に対し

 

「ブリッツオーダー発動! 『ヴァイブラント・シンフォニー』!」

 

手札からオーダーカードの発動を宣言。

ブリッツオーダーとは相手の攻撃時に発動出来る防御用のオーダーカードである。

ノーマルオーダー同様に使い捨てではあるが、ガード時において強力な防御性能を発揮する。

 

「このカードは自身のヴァンガードにアタックがヒットしているなら発動出来る。アタックされているユニットを選んでパワー+30000!」

 

オーダーの効果によってクリスレインのパワーが一気に上昇。

53000にまで膨れ上がった。

リィエルのパワーは現在23000。

圧倒にパワーが不足している上にディヴァインスキルでドライブが1減っている。

貫通させるには(オーバー)トリガーを引く以外に手立てはない。

 

「ドライブチェック────ゲット! ヒールトリガー! パワーをレリジアルに与えてダメージを1枚回復!」

 

ドライブチェックの結果はヒールトリガーのアーシェス。

エリカのダメージは5、ミコトのダメージは4なので効果が発動し、エリカはダメージを回復してパワーはレリジアルに振り分けられる。

これで互いのダメージが4で並んだ事になる。

 

「ぐらがおんのブースト、ガブエリウスでクリスレインにアタック! ぐらがおんのスキル! このターンにディヴァインスキルを待つユニットの能力でユニットが登場しているならこのユニットのパワー+5000し、ブーストしたバトル終了時に『このユニットを退却させる事でCC1する』能力を与える! さらにガブエリウスのスキル発動! このユニットが運命者の能力で登場していて、リアガードがドライブチェックを行っていないなら、このユニットのパワー+10000、ドライブ-1してドライブチェックを行う! 合計パワーは56000!」

 

続けてガブエリウスがレストされクリスレインへ攻撃すると同時にスキルが発動。

自身のパワーを上昇させドライブチェックを行う権利を得る。

それだけではなく、ぐらがおんもスキルでパワーが上昇。

ペルソナライド効果と最初のツインドライブで捲れたクリティカルトリガーのパワーも合わさって合計パワーは56000にまで膨れ上がる。

 

「ガード! 『水界の精霊王 イドスファロ』!!」

 

この攻撃に対してミコトがガーディアンとしてコールしたのはデッキに1枚しか入れられない(オーバー)トリガー『水界の精霊王 イドスファロ』、そのシールド値は破格の50000。

クリスレインのパワー23000に加算され、パワーは73000にまで増大。

またしても貫通するには(オーバー)トリガーを引くしかなくなってしまう。

 

「ドライブチェック────ゲット! クリティカルトリガー! 効果は全てレリジアルへ!」

 

ドライブチェックで引き当てたのトリガーユニットのサウェル、クリティカルトリガーだ。

その効果はレリジアルへと付与される。

 

「ぐらがおんのスキル! バトル終了時、このユニットを退却させてCC1! ユユリアのブースト、レリジアルでクリスレインにアタック! ユユリアのスキル! ブーストした時、ヴァンガードがリィエルなら自身のパワー+5000! さらにレリジアルのスキル! バインドゾーンにガブエリウスがあるならターン中パワー+10000! 合計パワーは58000! クリティカル2!」

 

ぐらがおんのバトル終了時効果を処理し、エリカは最後に残ったレリジアルをとユユリアをレストしてクリスレインに刃を向ける。

ヴァンガード後列にいるユユリアの効果によりパワーパンプを受けたもう1枚のユユリアのブーストと効果を受け、さらに自身の効果とトリガーの効果によってパワーは58000に上昇。

さらにはトリガーの効果でクリティカルも増加している。

ミコトは手札の1枚を迷わず手に取り

 

「『マーメイドアイドル エリー』! 完全ガード!!」

 

ガーディアンサークルにコールしたのは相手の攻撃を完全に防ぐ守護者のカード『マーメイドアイドル エリー』だ。

コストとしてユイカが手札からドロップに送られ、その効果が発動。

レリジアル渾身の一撃は絶対防御によって阻まれてしまった。

 

「っ……ターンエンド」

 

(凌ぎ切られた……みーたんの手札は次のドローで5枚。場にはユイカが残ってるからフル展開は可能なはず……でも、おそらくペルソナライドは無い。ライドコストとして捨てた上にさっきのダメージでもう1枚デッキから消えてる。後1枚をこのドローで引く可能性は限りなく低い……)

 

ターン終了を宣言しながらエリカは思考を巡らせた。

彼女の考えている通り、ミコトは先のターンで自身の分身をライドコストとして捨てている。

さらにはリィエルの最初の攻撃により受けたダメージでもう1枚デッキから抜けてしまっている。

残り1枚をこのドローで確実に引くことなど出来はしない。

故にエリカは次のミコトのターンでのペルソナライドは無いと考えているのだろう。

 

「私のターン。スタンド&ドロー! ライドフェイズ開始時、ジェネレーターの効果でEC3。そして────このままメインフェイズに移行するよ」

 

カードをドローし、レストしているユニットをスタンド。

ジェネレーターの効果を処理したミコトはライドすることなくメインフェイズへの移行を宣言する。

 

(ペルソナライドは無かった! 手札は確保してあるし完全ガードもある! これなら───)

 

「ペルソナライドはしてないから防ぎ切れる。エリカちゃん、そう考えてるでしょ?」

 

巡らせた思考を切るように、ミコトがそう言い放つ。

その言葉に驚いて彼女に視線を向けると、ミコトは不敵な笑みを浮かべていた。

余裕の表情を見せているミコトにエリカは困惑するも、ミコトは構わずに

 

「確かに残り1枚のクリスレインは引けなかった。ペルソナライドはライドフェイズ時に同名にライドしないと発動しない……でも、ペルソナライドを発動させる手段はそれだけじゃないよ」

 

そう言って手札の1枚を手に取り

 

「オーダーカード、『レガリスピース』! 『恩寵湛えし聖なる杯 (グラティアス・グラダーレ)』を発動!!」

 

1枚のカード効果発動を宣言した。

 

「な?! 『レガリスピース』?!」

 

『レガリスピース』とはデッキに1枚しか入れられず、またファイト中一度しか発動出来ない特殊なオーダーカードである。

まさかこの局面で1枚しかない特殊なオーダーカードの使用にエリカはただただ驚愕している。

 

「『恩寵湛えし聖なる杯 』の効果! グレード3のペルソナライドアイコンを待つヴァンガードがいて、このターンにライドしていないなら────ペルソナライドを発動させる事が出来る!」

 

その効果はペルソナライドの発動。

通常ライドフェイズ時に同名にライドする事でしかペルソナライドは発動出来ないが、このオーダーカードのようにスキルによって発動させる場合も確かにある。

だがミコトのデッキにその手段があり、尚且つこの局面でそれを発動させるなどとエリカは考えもしていなかったのだ。

 

「『レガリスピース』はデッキに1枚しか入れられない……まさか、あのドローで引き当てたって言うの……?」

 

「ううん。このカードはね、最初の手札交換した時からずっと私の手札にあったんだよ」

 

問いかけにミコトがそう応えると、エリカはまたしても驚きの表情を見せる。

まさかファイト開始時からずっと温存していたなど、これまた予想していなかったからだ。

彼女の言葉を聞き、そこでエリカの脳裏にある推測がよぎる。

 

「───まさか、さっきライドコストでクリスレインを捨てたのは……わざと? みーたんの手札のガード値予想のミスリードを誘うために?」

 

「あのクリスレインはセドナのドライブチェックで捲れてた、言わば公開情報。あのまま手札に残し続けてたらどんなに手札があっても『1枚はガード値がない』とエリカちゃんに教えてるようなものだからね。そして目的はそれだけじゃなくて、『ペルソナライドの可能性は低い』とエリカちゃんに思わせる為でもあるんだよ」

 

エリカの問いかけに応えるミコト。

それを聞いてエリカは目を見開いて、手札を確認する。

 

(そうか……ガード値予想を狂わせるだけじゃなく、ペルソナライドの可能性が低いと思わせる事でガード値の確保を甘くさせたんだ。確かに完全ガードもあるしトリガーユニットもあるから余裕はある。けど、それはペルソナライドがなければの話……ペルソナライドは前列のパワーをターン中常にプラスする。単純計算でもう30000〜50000ほどの足りてない……)

 

確かにエリカの手札は9枚。

先のターンでトリガーも引き当てているし、完全ガードも確保しているので確実な防御が可能だろう。

しかしそれはあくまでもペルソナライドがなければの話。

エリカが考える通り、ペルソナライドはターン中常に前列のパワーを10000増加させる。

このターンで間違いなくミコトは切り札を使って攻撃回数を増やしてくる事は容易に想像出来る。

そうなればトリガー次第で確保している手札ではガード値が足りない可能性も出てくるのだ。

 

「まさか、プロでもないのにそんな心理戦まで仕掛けてたなんて……」

 

「確かに、私はナオさんみたいなプロじゃないし、紙媒体での対面も経験値が低いよ。でも私、ネットヴァンガードでは毎月上位争いしてるランカーなんだよ?」

 

エリカの言葉にミコトが悪戯っぽい笑みを浮かべてそう返した。

確かに彼女はプロではない。

そして紙媒体での対面も運命大戦参加時からなので経験値が高いわけでもない。

しかし彼女はネットヴァンガードで数多ものファイターと渡り合い、毎月の上位を争うほどのランカーとしての実力を持っているのだ。

その言葉にエリカは苦笑いを溢しながら

 

「……忘れてたわけじゃないんだけどね……」

 

そう呟く。

そして改めて自分の手札とダメージを確認した。

手札は9枚でダメージは4。

最悪でも1回は攻撃を通す事が出来る。

エリカは一度目を伏せ

 

「受けて立つよ、みーたん!」

 

目を見開いてそう叫んだ。

応えるようにミコトは頷いて

 

「盃を満たす聖なる雫。その恩寵を受け再び輝け! 千変する万照の万華鏡! クリスレイン、ペルソナライド発動!!」

 

『恩寵湛えし聖なる杯』がドロップゾーンに置かれ、その効果を発動させる。

 

「ペルソナライドの効果で1枚ドロー! さらにこのターン中前列のパワー常に+10000! 続けてアニエスをコール! スキル発動! CB1とEB3でデッキの上から5枚見てヴァンガードとリアガード以外のユニットを選んでコールする! ラウムをスペリオルコール!」

 

発動したペルソナライドによってミコトは1枚ドロー。

前列のパワーが常に10000加算されるようになり、続けてアニエスを左前列にコールしスキルを発動。

エネルギーが6から3へ減少し、ダメージゾーンの表のカードを1枚裏返す。

確認した中から選んだシニカルコンポーザー ラウム』をクリスレインの後列にコールし

 

「フランセット、アイリーンをコール! ユイカはスキルでパワー+5000! クリスレインのスキル発動! CB1を支払い、フィールドのユニットを全て選択! 別名ユニットが5枚以上なので3つの効果全てを発動! 1枚ドローしてEC3! フランセットを選択してパワー+15000! クリスレインにクリティカル+1! さらにフランセットのスキルで、クリスレインにパワー+10000!」

 

手札からフランセットとアイリーンをコールし、同じ縦列にフランセットがコールされた事でユイカのパワーが5000増加。

そしてクリスレインのスキルを発動。

コストを支払い、手札とエネルギーを増やし、フランセットのパワーを増加させクリスレインのクリティカルを増加。

さらにフランセットの効果でクリスレインのパワーを増やしていく。

盤面を完全に埋め、出来るスキル処理を全て終わらせた事で攻撃態勢が完全に整った。

 

「バトルフェイズ! アイリーンのブースト、アニエスでリィエルにアタック! アニエスのスキル! フィールドのアニエス、クリスレイン、フランセット、ユイカを選択! 別名が4枚なのでアニエスのパワー+10000! さらにアイリーンのスキル! このユニットがリアガードをブーストした時、デッキの1番上を確認して上か下に置く!」

 

アニエスとアイリーンがレストされ、リィエルへ攻撃を開始。

まずはアニエスがスキルでパワーを増加し、次いでアイリーンのブースト時スキルでデッキの1番上を確認する。

手に取ったカードを確認したミコトは

 

「デッキの上に置くよ。合計パワー38000!」

 

確認したカードをデッキの上に戻した。

 

(上という事は間違いなくトリガーか……とりあえずここは)

 

「サウェルとアーシェスでガード!」

 

アニエスのアタックに対し手札からトリガーユニットのサウェルとアーシェスをガーディアンとしてコール。

ガード値は共に15000なのでリィエルの13000に加算して43000となり、アニエスの38000を上回った事でガードは成立する。

 

「ユイカのブースト、フランセットでリィエルにアタック! フランセットのスキル! フィールドのユニット、クリスレイン、アニエス、フランセットを選択! 別名ユニットが3枚なのでこのターン中フランセットのパワー+5000! 合計パワーは53000!」

 

次いで行われるフランセットのアタック。

クリスレインの効果と自身のパワーパンプ効果、そしてユイカのブーストを受けパワー53000に増加。

エリカは自身の手札を確認し

 

(53000……ガード出来ないパワーじゃないけど、みーたんは確実にディヴァインスキルで攻撃回数を増やしてくる。無理にガードして大事な場面で手札が足りない状態にはしたくない……受けるならここしかない)

 

「ノーガード! ダメージチェック───ノートリガー」

 

手札の温存を選択してノーガードを宣言。

行われたダメージチェックで捲られたカードはノーマルユニットのパラディウムジール。

ダメージゾーンに置かれ、エリカのダメージは5となって後がなくなった。

 

「ラウムでブースト、クリスレインでリィエルにアタック! ラウムのスキル発動! このユニットがブーストした時、クリスレインを含むヴァンガードがいるならこのユニットのパワーを+5000! さらにもう一つのスキル! クリスレインをブーストした時フィールドのユニット、クリスレイン、フランセット、アニエス、ラウムを選択し、別名が4枚以上ならEB3する事でこのバトル中、相手は守護者以外のカードでガードする時異なるグレード3枚以上でガードしなければならない! 合計パワー46000! クリティカル2!」

 

(ガード制限っ! 私の手札には異なるグレードが3枚以上あるけど、1枚はジェネレーターの効果で引いたガブエリウス……シールド値がないから無駄に多く手札を切らされる事になる……なんて厄介なスキル)

 

クリスレインの攻撃と同時に行われたラウムのブースト時スキルが発動。

自身にパワーパンプ効果でパワー+5000し、さらにもう一つの効果でフィールドの4枚のユニットを選択。

全て別名だったのでEB3支払いガード制限の効果が発動する。

この効果によってエリカは守護者以外でガードする場合異なるグレードのカードが3枚以上になるように手札を切らなければならなくなった。

 

「パラディウムジール! 完全ガード!!」

 

エリカは手札から守護者であるパラディウムジールを手に取りガーディアンサークルにコール。

コストとして手札からガブエリウスをドロップに送って完全ガードの能力が発動し、クリスレインの攻撃を阻む。

 

「ツインドライブ! ファーストチェック────ゲット! クリティカルトリガー! 効果は全てクリスレインに! セカンドチェック────ノートリガー」

 

行われたツインドライブ。

1枚目はエリカの予想通りトリガーユニットのウォリス、クリティカルトリガーだ。

その効果は全てクリスレインに与えられてパワー56000、クリティカルが3に上昇した。

次いで行われた2回目のチェックはノーマルユニットのロシェル。

トリガーゾーンに置かれた2枚はミコトの手札へと加わる。

だが、これで終わりではない。

 

「私はもっと、輝ける─────万化絢爛! ディヴァインスキル、発動!!」

 

アタック終了時、クリスレインが待つディヴァインスキルが発動。

 

「クリスレインがアタックしたバトル終了時、リアガードを全て手札に戻し、手札からのユニットを1枚選んでスペリオルコール! そして、コールされたユニットのパワーとクリティカルは現在のクリスレインと同じになる! アニエスを、スペリオルコール!!」

 

ディヴァインスキルによりミコトのリアガードは全て手札に戻り、その中からアニエスが選ばれ再びスペリオルコール。

現在クリスレインのパワーは単騎43000、クリティカルは3。

効果でコールされたアニエスは現在のクリスレインと同等の力を与えられた。

だが、まだ終わりではない。

 

(俯瞰しろ、勝利への可能性────そのひと雫を掬い取れ!)

 

「アニエスのスキル! CB1とEB3でデッキの上から5枚見てヴァンガードとリアガード以外のユニットを選んでコールする!」

 

思考を巡らせ、アニエスの登場時スキルを発動。

コストを支払い、ミコトはデッキの上から5枚を確認し

 

「! 来た! さすが私!! トルマナをスペリオルコール!」

 

ミコトが選択したのは『穏やかな海で朝練を トルマナ 』だ。

 

「トルマナのスキル発動! このユニットが登場した時、ソウルからそれぞれ別名のユニットを1枚ずつSBする事で、デッキから守護者を持たないグレード 1のユニットを選択して公開し、そのユニットと同名がいないならスペリオルコールしてパワー+5000! 私はラウムを選択してスペリオルコール!!」

 

トルマナの登場時スキルが発動し、ソウルからロシェルとアクアがドロップゾーンに置かれ、ミコトはデッキからラウムを選択して公開。

選んだユニットと同名がないのでそのままラウムはトルマナの後列にコールされパワーが+5000される。

ディヴァインスキルからのスキル連携でミコトはあと2回の攻撃権利を得る事に成功。

再びリアガードを揃えてきたミコトのフィールドを見てエリカは表情を顰めながら

 

(っ! ここに来てリアガードがここまで再展開されるなんて……5回目の攻撃がある事は想定してた……けど、まさかさらにスキル連携してブースト要員まで揃えてきた。それだけじゃない。アニエスは自身を含めてフィールドに別名のユニットが4枚あればパワーを上げてくる……私の手札はあと5枚。そしてインターセプトが1枚。内3枚がトリガーユニットだけど結局シールド値が足りてない……これじゃぁどちらかの攻撃は受けるしか……)

 

思考を巡らせていると、ミコトはラウムに手を添え

 

「ラウムのブースト、トルマナでリィエルにアタック! ラウムのスキル! このユニットがブーストした時、自身のパワー+5000! さらにトルマナのスキル! このユニットがアタックした時、クリスレインのヴァンガードがいて相手がグレード3なら、このバトル中トルマナのパワー+5000! 合計パワー43000!」

 

ラウムとトルマナをレストしアタック宣言。

さらにスキルを用いてパワーを43000にまで上昇させてリィエルにアタックする。

 

(……完全に読み違えた……この攻撃はガード出来る。けど、そのあとのアニエスは自身のスキル込みでパワーを53000まで上げてくる……しかもクリティカルは3だから絶対に受けれない……このターンを乗り切るには、この攻撃を受けてヒールトリガーか超トリガーを引くしない……それなら!)

 

「私はこのダメージチェックに賭ける! ノーガード!」

 

エリカは意を決し、攻撃を受けることを宣言する。

デッキの1番上のカードに手を添え、軽く息を吐き

 

「────ダメージチェック!」

 

捲られたカードは

 

「─────リィエル……ノートリガー……」

 

彼女の分身、『時の運命者 リィエル=アモルタ』。

最後のダメージが置かれ、エリカのダメージは6となる。

勝敗は決し、ミコトの勝利で幕を閉じた。

ミコトは息を吐いた後

 

「よっし! 私の勝ちぃ!」

 

小さくガッツポーズを取りミコトは歓喜の声を上げる。

対するエリカは上を見上げたあと、視線をゆっくりとミコトに向けて

 

「みーたん。ありがとう、私の自己満足に付き合ってくれて」

 

笑みを浮かべながらそう告げる。

その笑みは満足そうではあるのだが、何処か寂しげな雰囲気も混ざっていた。

まるで、全てが終わってしまったと言わんばかりの寂しさと喪失感を感じさせる笑み。

エリカの言葉を聞き、その笑みを見たミコトは

 

「エリカちゃん、まだなんにも終わってないよ?」

 

そう声をかけると、エリカは疑問符を浮かべながらミコトをジッと見つめる。

 

「エリカちゃんとのファイト、凄く楽しかった。だから、またファイトしよう?」

 

そんなエリカにミコトは優しげな笑みを浮かべながらそう告げる。

その言葉にエリカは軽く目を見開いて驚くも、すぐにミコトから目を逸らし

 

「で、でも……私は……この世界の明導ヒカリじゃ……」

 

なおも自分はこの世界の住人ではないと線を引こうとする。

だが、ミコトはかぶりを振って

 

「そんなの関係ないよ」

 

そう言いエリカの側へと歩み寄り

 

「何年先の未来から来て、私より背が高くなっても、年上になっても、貴女も私の大切な親友(マブダチ)で、妹のような存在なんだよ────エリカ(ヒカリ)ちゃん」

 

微笑みを向けて、とびきりの優しい声でそう告げる。

その言葉がエリカの耳に届いた瞬間、エリカは再び目を見開きミコトへと目を向ける。

優しい微笑みを向ける彼女が映った瞬間、赤い瞳が大きく揺れた。

 

「……私ね……楽しみにしてたの……」

 

瞳を揺らしながら、エリカは口を開いて言葉を紡ぎ出す。

 

「画面越しじゃなくて、リアルで対面出来るって……今みたいな、心から熱くなれるファイトが出来るんだって……本当に楽しみにしてたの……」

 

言葉を紡ぐ度に、彼女の赤い瞳は大きく揺れ

 

「でも……でも……お兄ちゃんもナオさんも……みーたんもいなくなって……私1人になって……約束……したのに───っ」

 

ついに堪えきれなくなった彼女の瞳から大粒の涙が零れ落ち

 

「私っ、もっとみーたんとファイトしたかった! もっと一緒に遊びたかった! もっともっと────みーたんと仲良くなりたかったよぉ!」

 

彼女が心に閉まっていた本音が溢れ出す。

涙を零し、嗚咽を漏らすエリカをミコトは優しく抱きしめ

 

「大丈夫だよ、エリカちゃん。私達はもう居なくなったりしない。失くしたものも、取りこぼしたものも、これから私やアキナ先輩達と一緒に経験して積み重ねていこう? だって貴女は────この世界(ここ)にいるんだから」

 

先程と同じ、優しい声でそう告げる。

 

「─────っ! みーたん……うぁ……うぁぁぁん……みぃたぁぁぁん……」

 

「大丈夫。貴女はもう1人じゃないよ」

 

小さな子供のように泣きじゃくるエリカ。

ミコトはそんな彼女を優しくあやすように両の手で包み込み、その頭をゆっくりと撫で続けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うー……なんで今日に限って予備講習が入るかなぁ……せっかくみーたんと一日中ファイト出来ると思ってたのにぃ」

 

「仕方ないだろ? ヒカリは受験生なんだから」

 

ストレイキャットへの道を歩き、項垂れながら言う少女────明導ヒカリに少年────明導アキナが苦笑いを零ながら言う。

するとヒカリは振り返り、彼にジト目を向けながら

 

「私はともかく、お兄ちゃんは反省した方がいいと思う。恋人(みーたん)との約束よりバイトを優先にするなんてさ」

 

棘のある言葉でそう言われたアキナはバツが悪そうに目を逸らし

 

「わ、わかってるよ。誠心誠意謝るし、埋め合わせもちゃんとする」

 

「まぁ、許すかどうかはみーたん次第だから、私からこれ以上言うことはないけど。とにかく早く行こ、お兄ちゃん! みーたんきっと待ち草臥れてるよきっと!」

 

彼の言葉にヒカリは小さく溜め息を吐いたあと、言いながら歩く速度を早めていく。

午前が無駄になった分、少しでもミコトと多くファイトしたいのだろう。

そんな妹の後ろ姿を微笑ましげに見ながらアキナもストレイキャットへの道のりを歩くスピードを早めていく。

しばらくして2人はストレイキャットに辿り着き、開いた自動ドアを通って入店した。

すると

 

「くやしぃぃぃぃ!」

 

奥のファイトスペースから聞き覚えのある声が聞こえてくる。

アキナとヒカリは顔を見合わせてからファイトスペースへ行ってみると

 

「今回は私の勝ちだね、みーたん?」

 

「くぅぅ……もっとガード札を集めとけばよかった……」

 

満足そうな表情のエリカと悔しそうにしているミコトの姿が目に映る。

どうやら先程までファイトしていたようで、エリカの猛攻に耐えられなかったミコトが敗北したようである。

 

「あ、やっと来た」

 

「エリカ?」

 

「な、なんで貴女がここにいるの?」

 

2人の来店に気付いたエリカが目を向けると、アキナとヒカリは疑問符を浮かべて問いかけた。

それもそうだろう。

本日アキナ達と約束してあるのはミコトだけで、エリカはそれを知るはずはないのだから。

 

「今日は急遽お休みになってね。それで街を散策してたら、誰かさん達に午前中をフイにさせられちゃったみーたんと偶然会ったのよ」

 

悪戯っぽい笑みを浮かべながら、少々棘のある言葉をエリカが投げかけると、明導兄妹はバツが悪そうな表情で目を逸らす。

その光景にミコトは苦笑いを零して

 

「それで、先輩達が来るまで時間潰しに付き合ってもらってたんですよ」

 

アキナ達に事情を説明すると、彼らは納得したように頷いた。

 

「そういう事。さっきまでファイトしてて、今は1勝1敗。さ、次のファイトでどっちが強いか決着を付けるよ、みーたん」

 

「あはは……」

 

意気揚々とまたファイトしようと誘ってくるエリカにミコトはまたまた苦笑いを零す。

その様子を見て

 

「ね、ねぇ。エリカ、急にみーたんと仲良くなってない?」

 

そう問いかける。

 

「急じゃないわよ。みーたんは私の推しだし、私だってみーたんの親友(マブダチ)なんだから」

 

「は、はぁ?! ちょっと! 推しなのは別に問題ないけど親友(マブダチ)は頂けないよ! みーたんの親友(マブダチ)枠は私で埋まってるんだから!」

 

返ってきたエリカの言葉に素っ頓狂な声を上げた後、ヒカリは彼女に詰め寄って捲し立てた。

だがエリカは少しも動揺する事なく

 

「別にいいじゃない。親友(マブダチ)が1人じゃないといけない決まりなんてないんだし。女の嫉妬は醜いわよ、ヒカリ?」

 

余裕の笑みを浮かべながら返してくる。

 

「むっかぁ! もうあったま来た! デッキ出しなよエリカ! みーたんの親友(マブダチ)枠は渡さないんだから! ついでに宿命決戦での借りも返してやる!」

 

「上等よヒカリ。返り討ちにしてあげるからかかってきなさい!」

 

憤慨するしながらデッキを取り出すヒカリに対し、余裕の笑みを崩す事なく同様にデッキを取り出してファイトの申し出を受けるエリカ。

互いにファイトスペースにデッキをセットして手札を揃え

 

『スタンドアップ! ヴァンガード!』

 

ファイトが開始され、その様子をミコトが苦笑いを零しながら眺めていると

 

「西塔さん、今日はごめん。せっかくのオフだったのにバイト優先にしちゃって……」

 

アキナがミコトの側に歩み寄り、申し訳なさげに言ってから。

するとミコトは僅かに頬を膨らませ

 

「ホントですよ。エリカちゃんと偶然会ってたからいいですけど、寂しかったんですからね?」

 

拗ねたようにそう言う。

 

「本当にごめん……この埋め合わせはちゃんと───」

 

「ふふ。もういいですよ。困ってる誰かを放っておけないのがアキナ先輩ですもんね。でも、埋め合わせはちゃーんとしてください。約束ですよ?」

 

「うん、約束だ」

 

さらに申し訳なさげに言葉を続けようとするアキナに、ミコトは微笑みながらそう言うとアキナも微笑み返しながら頷く。

互いに微笑みあった後

 

「それにしても、あの2人、仲いいですね」

 

「いや、あれは仲がいいのかなぁ?」

 

目を向けた先にはファイトしているエリカとヒカリ。

敵対心剥き出しのヒカリに対し、余裕の表情で相手をしているエリカ。

その光景を見ながらミコトはクスクスと笑って

 

「喧嘩するほどって言うじゃないですか?」

 

そう言うと、アキナは苦笑いを零し

 

「そうなのかなぁ? けど……なんか安心した」

 

「安心、ですか?」

 

エリカ達を見ながら言うアキナの言葉にミコトが疑問符を受かべて聞き返した。

 

「エリカ、なんか俺や西塔さん達と距離を取ってるような気がしてたからさ。でも、今のエリカの君やヒカリへの接し方を見て、もう大丈夫なんだなってそう思えたんだ。ありがとう、ミコト。君がエリカの心の壁を壊してくれたんだろ?」

 

「私はただファイトしただけですよ。線を引かない事を決めたのはエリカちゃん自身ですから。それにしても、アキナ先輩は何処まで行っても『お兄ちゃん』なんですね?」

 

ミコトの言葉にアキナは一瞬呆気に取られた表情で彼女を見るも、すぐに優しげな表情に戻ってエリカ達の方に目を向けながら

 

「当然だよ。何年先の未来からやってきて、どんなに年上になったとしても、エリカ(ヒカリ)が俺の妹である事に変わりはないんだから」

 

「─────ふふ。そうですね」

 

とびきりの優しい声で言うアキナにミコトは小さく笑った後、ファイトに興じるエリカをアキナ達は優しい眼差しで眺めたのだった。

 

 

因みにこの日から、ヒカリとエリカはミコトの親友(マブダチ)枠を争って度々熾烈なファイトを繰り広げるようになったのは別の話である。




ミコエリのファイト話はずっと書きたいと思ってたんですよ旦那ぁ

でも30000字超えるとは思ってなかったッピ! 相変わらず魅せるファイトを意識して書いたのでプレイングは突っ込まないでくれると助かりんこなのです

どんな話を書いてほしい?

  • ほのぼのした話
  • 甘くイチャつく話
  • アキミコ以外の話
  • ファイト話
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