運命者達の軌跡   作:藤崎葵

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毎日毎日あっっっっっついですね。熱中症対策はしっかりしましょ。

相変わらずアキナ×ミコトで付き合ってる設定。妄想と空想に幻想をチューニングしアクセルシンクロしてますので苦手な方は観覧注意。


望むところという方はスタンドアップしてどうぞ〜


明導さんちの今日のご飯 4食目

 

 

 

「暑い……」

 

「ていうか熱くないですか……」

 

「でも厚くはないね……」

 

「クオンさんが熱暴走してます……」

 

雲一つなく晴れ渡る空の下。

容赦のない陽の光が照りつけられる中、4人の少年と少女は道を歩いている。

 

「……藍川先輩、呼続先輩も大丈夫ですか?」

 

「大丈夫だよ、西塔さん。厚くはないよ……」

 

「……暑い……ファイト……熱い……」

 

『あつい』イントネーションが違う少年─────藍川クオンといつにも増して虚な目をしている少年─────呼続スオウに対し少女─────西塔ミコトが問いかけるも返ってきたのは明らかに大丈夫そうではない返答だ。

 

「明らかに大丈夫じゃないですよね? ユナちゃんは? 大丈夫?」

 

「だいしょばないです……みーたんこそ大丈夫なんですか?」

 

次いで猫耳型のニット帽を被った少女────西園寺ユナに声をかけると力無い声で彼女は問い返してきた。

その問いに対し

 

「だいじょばないかも……」

 

覇気の無い声でミコトは応え返した。

 

「とにかく……アキナ先輩の家まであと少しだし、がんばりましょー……」

 

彼女達は今、明導家に向かっている最中だ。

数日前、アキナの妹である明導ヒカリが『高校生組みんなでファイトしたい!』と言い出したのが事の発端である。

この言葉に兄である明導アキナとミコトが快諾し、次いでスオウとクオンにも声をかけ、ミコト経由でユナにも話を持っていき、皆からOKの返事をもらってファイト会が行われる事が決定した。

特別枠としてナオとエリカにも声をかけたのだがナオはプロとして公式大会に出場する予定があり、エリカもまた予定が合わないという事で不参加に。

ミコトのオフが取れ、アキナもシフトを入れてない日を選んで初めはストレイキャットに赴こうという話になったのだが、その日はショップ大会があるらしく、流石にフリー対戦出来るスペースは確保出来そうにない事が判明。

少し日程をズラす事を考えたが、その時ふとアキナが何かを思いついたように自身の手を軽く叩いて

 

『なら、うちでやろう』

 

と提案を出し、明導家にて高校生組ファイト会が行われる事になったのである。

こうして当日を迎え彼女達は明導家に向かっているのだが、季節はまだ夏本番前ではあるが、照りつける陽光は真夏のそれ────否、それ以上の熱を彼女達に齎している。

汗を滲ませながら歩く事十数分、ようやく目的地である明導家が見えるとミコト達の足は自然と早くなり、瞬く間に玄関へと辿り着いてインターホンを素早く押した。

すると扉の奥からトタトタと足音が近づき、次いでシリンダー錠を開ける音が鳴り

 

「いらっしゃい、みーたん、スオウさん! それとクオンさんとユナちゃんも!」

 

扉を開いたヒカリが彼女達を歓迎する。

順番に中へと入っていき、クオンが最後に入ったと同時にリビングダイニングの入り口からアキナが顔を覗かせて

 

「みんな、いらっしゃい。外、暑かったでしょ?」

 

歓迎の言葉をかけた後そう問いかける。

 

「お邪魔します、アキナ先輩。そうですね……藍川先輩が熱暴走するくらいには……」

 

「ははは。大丈夫、厚くはないよ」

 

アキナの問いに苦笑いを浮かべるミコトの後ろで汗だくのクオンが言う。

その様子を見てアキナもまた苦笑いを零し

 

「……うん、大丈夫じゃないな。ヒカリ、冷やしてある濡れタオル持ってきてみんなに渡してあげて」

 

そう言ってヒカリに促すと、彼女はすぐにリビングダイニングに赴いて冷蔵庫に入れてある濡れタオルを4つ取り出して玄関へと戻ってくる。

 

「それで汗を拭いて少しでも身体を冷やしてくれ」

 

「みーたんとユナちゃんはこっち、脱衣場を使ってね。……覗いちゃダメだよお兄ちゃん」

 

「覗くわけないだろ! ていうか俺にだけ言うの?!」

 

ジト目で言うヒカリに対してアキナは抗議の声を上げる。

その様子に苦笑いを零しつつ、ミコトとユナはヒカリの案内で脱衣場へと入っていった。

アキナは軽くため息を吐いたのち

 

「さ、スオウとクオンも上がって身体拭いてくれ。リビングダイニングは冷房効かせてあるから」

 

そう言って移動を促すと、2人は靴を脱いでリビングダイニングへと入っていく。

程よい冷風が鋭い陽光によって熱が篭っている身体を冷やしくれる中、スオウとクオンは用意してくれた濡れタオルで汗を拭くと、肌に伝わる心地のいい冷たさがさらに籠った熱を下げていく。

暫くすると脱衣場で汗を拭き終えたミコトとユナがリビングダイニングに入ってくる。

中に入ると、ミコトは不意に不思議そうな表情をして辺りを少し見回したのち

 

「なんか、いい香りがする……」

 

そう呟いた。

その言葉に釣られたように

 

「確かに……なんなんでしょうか?」

 

ユナも僅かに鼻腔をくすぐる甘酸っぱい香りに疑問符を浮かべていた。

 

「すぐにわかるよ。みんな暑い中歩いてきて疲れてるだろうし、もう少し身体を冷やして休んでからファイト会をしよう。ヒカリは準備するから手伝ってくれ。みんなは適当に座っててくれ」

 

疑問符を浮かべるミコトとユナにそう言うと、アキナはヒカリに手伝うよう促してキッチンの方へと向かい、ミコト達はダイニングテーブルそれぞれの席に座る。

 

「お兄ちゃん、使うのコレでいいよね?」

 

言いながらヒカリが持ってきたのは少し深めの平皿だ。

 

「ああ。あとはグラスも用意してくれ」

 

「はーい」

 

持ってきた平深皿を置き、次いでヒカリは食器棚から人数分のグラスを取り出していく。

その間にアキナは冷蔵庫から大きめのビンを2つ取り出した。

一つはハチミツ色の液体の中にスライスされたレモンが詰められており、もう一つは深い紅色の液体が詰められたモノである。

それをキッチン台の上に置いてから、次いでアキナが収納スペースの一角からあるモノを取り出す。

それはデフォルメされたペンギンの形をしており、頭部にはハンドルが取り付けられている。

そう、彼が取り出したのはペンギンの形をした氷削機だ。

そして次に冷凍庫を開けると、大きめのボウルにいくつもの氷を入れていった。

冷凍庫から取り出した氷をペンギン型氷削機の投入口に適量入れて、平深皿をセットしてハンドルを回すと、ガリガリという音と共に削られた氷が平深皿へと落ちていく。

形を整える為に何度か皿を回しては氷を削り、ある程度盛られたところで次の平深皿と入れ替えて同じ工程を繰り返す。

人数分の氷を削り終わると今度は深い紅色の液体が入ったビンを空け、レードル計量スプーンで掬い取り、それを削られた氷の上にかけていった。

次いでアキナはもう一つのビンを開けると同じようにレードル計量スプーンでハチミツ色の液体を掬い取ると今度はグラスの方に一杯ずつ入れていき、瓶の中に浸してあるスライスレモンを1枚ずつ長箸で取り出してこれもまたグラスへと入れ、冷蔵庫から取り出した2L炭酸水のペットボトルを開けて泡が出過ぎないようにゆっくりグラスへと注ぎ長箸で軽く混ぜた。

彼が用意したのはかき氷とレモネード。

準備出来たそれらをミコト達の座っているダイニングテーブルへと順に運んで配膳し、アキナとヒカリも席に座ると

 

「さ、遠慮なく食べてほしい」

 

そう促してくる。

ミコト達はそれぞれスプーンを手に取り、紅の液体が染み込んだ氷を救って口の中へと放り込んだ。

すると、ひんやりとした感触の中から程よい甘さと僅かな酸味を舌が捉え、じんわりと熱が逃げていく感覚が身体を奔っていく。

 

「美味しい! これ、もしかしてラズベリーですか?」

 

「うん。その通り」

 

そう、あの深い紅色の液体の正体はラズベリーを使った自家製シロップだったのである。

 

「もしかして、今日のファイト会をアキナの家でやろうって提案したのはこの為かい?」

 

クオンにそう問われると、アキナは頷いて

 

「ああ。実はバイト先の店長からラズベリーを貰ってさ。試しにシロップを作ってみたんだけど、量が多くて俺とヒカリだけじゃ処理しきれなくて。それなら家でファイト会をやるようにして、同時にシロップも消費しようって思ったんだ」

 

そう応えると、彼は席を立って冷蔵庫からラズベリーシロップの詰められビンを取り出してくる。

その数は2本でどちらも大瓶。

確かにこの量をアキナとヒカリの2人で消費するのは厳しいだろう。

そこで彼はストレイキャットのフリースペースが使えないのならいっそのこと皆を自宅に招き、同時に作りすぎたシロップを使う事で消費しょうと考えたのである。

 

「なるほどね、納得したよ。それにしてもこのかき氷、酸味はラズベリーだけど、甘味はシロップだけのモノじゃないよね?」

 

「確かに……ほんのりですけど氷自体からも甘さを感じます」

 

クオンが言うと、ユナが応えるようにスプーンでシロップのかかってない部分を救って口にする。

 

「実はその氷、グラニュー糖を溶かした水を製氷したものなんだ。シロップの酸味が少し強めだったから氷自体を甘めにした方がいいと思って」

 

アキナの言う通り、このかき氷に使用した氷はグラニュー糖を溶かした水を製氷したものである。

グラニュー糖は上白糖よりも純度が高く、クセのないスッキリとした甘さが特徴の調味料だ。

淡白な甘さがラズベリーの酸味に加わる事で程よい甘酸っぱさを生み出しているのだろう。

 

「ん〜。食べるたびに身体が少しずつ冷えていく感じがします〜」

 

「だね。それにこのレモネードもさっぱりしてて美味しいです」

 

「それはレモンをハチミツで漬けたシロップなんだ。即席で使ったからそっちはあんまり量がないんだけど、ラズベリーの方はいっぱいあるから気に入ったなら持って帰る?」

 

『是非!』

 

「僕もお願いしようかな」

 

ラズベリーかき氷とレモネードに舌鼓を打っているミコトとユナに対してアキナがそう言うと2人は身を乗り出しながら声を合わせて返し、そのすぐ後にクオンも申し出てきた。

その返答にアキナは笑いながら頷き

 

「じゃぁ、帰る時に小分けにするよ」

 

「おい、アキナ」

 

彼女達に言葉を投げた直後、呼ばれたので目を向けると

 

「早く食べろ。オレとファイトだ」

 

スオウが身を乗り出しながらそう口にする。

彼の席にある平深皿とグラスに目を向けてみればどちらもすでに空っぽの状態だ。

おそらくは早くファイトがしたかった故にアキナ達が話している間も黙々と食べていたのだろう。

 

「もう食べたのか?! っていうか俺まだ食べ終わってないんだけど……」

 

「だったら私が相手になりますよ、スオウさん!」

 

早くファイトしたくてウズウズしているスオウに対してアキナがどう返すか悩んでいると、ヒカリが勢いよくそう申し出てくる。

皆が視線を向けると彼女席にある平深皿とグラスもすでに空っぽの状態になっていた。

 

「いいのか? ならやろう」

 

「あ、でもその前にお皿とグラス片付けましょう。お兄ちゃん達はゆっくり食べてていいからねー」

 

ヒカリの申し出に目を輝かせるスオウに対し、ヒカリはまず自分達の使った食器を片付ける事を促してからアキナ達に言葉を投げ、2人は席を立って食器をキッチンの流し台へと持っていき、そのままリビングの方へと移動する。

互いにデッキを取り出してシャッフルし、テーブルにセット。

 

『スタンドアップ、ヴァンガード!』

 

掛け声と共にファイトが開始された。

その様子を眺めていたクオンが

 

「西塔さん、もしかしてヒカリちゃんってスオウの事が?」

 

「あ、はい。そうみたいなんです」

 

隣の席に座るミコトに小声で訊ねると、同様に小さな声で彼女は返してきた。

改めてファイトしている彼等に目を向けるクオン。

スオウはいつも通りあまり表情を変化させていないが対するヒカリは僅かにだが頬を赤く染めており、彼を見る目にも熱が篭っているのが伺える。

そしてなにより彼と交流するのがとにかく嬉しいようだ。

その様子にクオンは思わず表情を綻ばせる。

ヒカリがスオウに好意を抱いている理由をクオンは知らないが、列車事故で両親を失い心を閉ざしてあらゆるモノへの感心を示さなくなっていた友達(スオウ)

運命大戦でアキナと本気のファイトをする事で閉じていた心と感情が開かれ、尚且つその彼の妹から好意を向けられている事に嬉しさが込み上げてきたのだろう。

もっともこの数ヶ月先、ヒカリにとって最大のライバルが現れる事はこの中の誰もが知る由もないのだが。

 

「2人とも、なんの話?」

 

ミコトとクオンが小声で話している事に気付いたアキナが声をかけると、彼女が慌てた様子で

 

「な、何でもないですよ! 少なくともアキナ先輩はまだ知らなくてもいい事です!」

 

「んー。そう言われると余計に気になるんだけどなぁ」

 

「その時が来たらちゃんと話しますので!」

 

そんなアキナとミコトのやり取りを見ながら

 

(なるほど、アキナは気付いてないのか……まぁ、アキナが知ってしまえばおもしろ────厄介な事になるかもしれないし、西塔さんを見習って僕も教えないでおこう)

 

心の中で苦笑いを浮かべてクオンが思考を巡らせていると

 

「あのぅ、クオンさん」

 

声が耳に届いた彼が目を向けてみるとユナが何処か遠慮気味にクオンへと視線を送っている。

 

「西園寺さん?」

 

「その、ですね……クオンさんさえよろしければ、ユナとファイトしてもらえませんか? も、ももも、もちろん無理にとは!」

 

しどろもどろになりながら申し出てくるユナの姿に、クオンは一瞬呆気に取られるもすぐに小さな笑みを零して

 

「僕で良ければ喜んで」

 

彼女の申し出を快く引き受ける。

クオンからの返答を聞くと、ユナは嬉しそうにその表情を綻ばせた。

 

「……なんか、ファイトの組み合わせ決まっちゃってますね」

 

「組み合わせはくじ引きで決めようと思って用意してたんだけどなぁ」

 

「いいんじゃないですか? いっそのことローテーションして総当たり戦にしちゃいません?」

 

「そうだね、そうしようか」

 

ミコトからの提案にアキナは頷き、食べ終えて空になった平深皿とグラスをトレーに集めてキッチンの流し台へと持っていく。

そのまますすぎ洗いを始めると、ユナとクオンがダイニングテーブルを台布巾で丁寧に拭いていき、彼を手伝う為にミコトもキッチンへと赴いてきた。

アキナがすすぎ洗いした平深皿をミコトがキッチンタオルで水気を拭き取りながら

 

「アキナ先輩、さっきのシロップ、自分でも挑戦したいのでよければレシピ教えてくれませんか?」

 

そう問いかける。

ナオに料理指導してもらい、アキナの誕生日にシチューを振る舞って以降も彼女は料理に挑戦するようにしている。

今はまだ簡単なモノばかりだが、いずれはもっと手順の多いものにも挑戦したいと考え暇な時間には様々なレシピを検索するようになっていた。

すすぎ洗いしたグラスを水切り台に並べ終えたアキナは

 

「それなら、まだラズベリー自体残ってるから一通りファイトした後一緒にジャムでも作ってみる?」

 

言いながら彼女に笑いかけた。

 

「いいんですか!?」

 

「もちろん。前に約束したよね? 次に何か作る時は一緒にって」

 

「はい! よろしくお願いします!」

 

彼の誕生日に交わしていた約束を実行してもらえらる事に対してミコトは嬉しそうに表情を綻ばせると、アキナも釣られたように微笑んでみせる。

そんな互いに笑みを向け合っている2人を

 

「……クオンさん、冷房が効いてるはずなのに暑く────いえ、熱くなってませんかね?」

 

「そうかな? 厚くはないと思うけど」

 

「熱暴走してますよクオンさん」

 

拭き終わったダイニングテーブルに互いのデッキをセットして手札交換まで終わらせたクオンとユナが、和やか且つ甘くて熱の籠った雰囲気を纏う2人を見ながらそう言った。

 

その後、彼らは心ゆくまでこのファイト会を楽しみ、賑やかかつ穏やかで楽しい1日を過ごしたのであった。

 

 

 

 

 




暑い時はかき氷に限りますよねぇ

どんな話を書いてほしい?

  • ほのぼのした話
  • 甘くイチャつく話
  • アキミコ以外の話
  • ファイト話
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