運命者達の軌跡   作:藤崎葵

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お久しぶりでございます。更新のお時間だぁ!

相変わらずアキナ×ミコトで付き合ってる設定。妄想と空想と幻想が超融合してますので解釈違いを起こしそうな方は観覧注意。


これでしか得られない栄養素がある、と言う方はスタンドアップしてどうぞ〜


ほろ酔い天使の甘やかし

 

「ミコト……」

 

どうしてこんな事になったのだろう。

名を呼ばれた少女─────西塔ミコトはそう心の中で吐露しながら翡翠の目を向けると少年がとびきり優しい目をしながら彼女に微笑みかけていた。

だが彼のその目はどこか覇気がなく頬も熱を帯びて赤く染まっており、自分を呼ぶ声もいつも以上に甘い。

 

「あ、あの……アキナ先輩」

 

「ん? なに?」

 

「その、ですね……そろそろ離れてもらえると……」

 

「ミコト、嫌なの? いつものようにたくさん甘えてほしいな?」

 

「で、でもでも、みんな見てますから……」

 

彼女に言われた少年─────明導アキナはミコトの言葉に少々不服そうではあるが、それでも優しい表情をしながらそう返す。

今現在、アキナはソファに座りミコトを自身の膝の上に乗せて両の腕を彼女の背後から回し、あすなろ抱きで拘束している状態だ。

もちろんミコトも本気で嫌なわけではない。

恋人関係にある彼女達だがアイドルであるミコトの立場上、関係を公にする事が出来ず、また互いに仕事やバイトと忙しい2人にとって寄り添い甘え合えるのは何よりも至福の時間である。

だが、それはあくまでも2人きりの時の話。

視線をアキナから別の方向に向けてみると

 

「いやー、まさかこんな風になるとは思わなかったよー」

 

「ひぇぇ、明導さん大胆すぎです」

 

「これは流石に予想外ね。あ、私達の事は気にしなくていいよ、みーたん」

 

「そうだよみーたん。むしろそのままでいてほしい!」

 

視線の先には4人の少女。

苦笑いを溢しながら頭を掻いている女性─────員弁ナオの言葉に同意したのちミコトに向けて少女2人─────西園寺ユナ明星エリカがそう言うと、彼女と瓜二つの顔をしたもう1人の少女──────明導ヒカリがスマートフォンを片手に力強く宣った。

するとミコトは顔を赤くしつつ涙目になりながら

 

「時と場合によりますぅ! ていうかヒカリちゃんは撮らないでぇ!!」

 

そう叫んで返しつつ、何故こうなってしまったのか己の心の中で経緯を振り返る。

本日は明導家にて馴染みのメンバーの呼続スオウ、藍川クオンと先の女性陣、そしてナオのヴァンガードの師匠である八雲カゲツを招き、先日盛大に開催され、アキナの優勝で幕を閉じた第三回デラックスのお疲れ様会が開かれていた。

各自で持ち寄った物やアキナとナオによる手料理に舌鼓を打ちつつ、男性陣はダイニングで、女性陣はリビングで会話に花を咲かせていると、不意にナオがこんな事を言い出したのである。

 

「ねぇ、アキくんってさ……酔ったらどうなるか気にならない?」

 

真剣な表情で宣われた言葉にミコト達は互い顔を見合わせたのち

 

「あのー、ナオさん? なんで急にそんな事を?」

 

なんとも言えない表情をしながらミコトが問いかけると、彼女は尚も真剣な表情を崩す事なく

 

「いやね、私達、ミコトちゃんが酔ってる姿は見た事あるけど、アキくんだったらどうなんだろうなーって思ってね」

 

そう返してきた。

その言葉にバツの悪そうな表情をして目を逸らすミコト。

彼女は以前、洋酒入りのチョコレートや漬け込み酒によるフルーツピクルスを使ったケーキで盛大に酔っ払ってしまった事がある。

その際に人目も気にせず、これでもかというほどアキナに甘え、さらに酔っても記憶を無くさない性質だった彼女はこの珍事をしっかりと覚えており、羞恥に悶えたのは言うまでもないだろう。

ヒカリとエリカ、そしてユナはそんなミコトの行動を思い出し、未だバツの悪そうな表情をしている彼女を一瞥して

 

「確かに、気になるわね」

 

「ですね。ユナも気になります」

 

「お兄ちゃんもみーたんと同じで甘え上戸なのかも。ほら、恋人はお互いに似てくるって言うし」

 

顔を見合わせながら言う。

 

「ちょ、ヒカリちゃん何言ってるの! ユナちゃんとエリカちゃんまで。もう、ナオさんも急に変な事言わないでください!」

 

ヒカリ達の言葉にミコトはわずかに顔を赤ながら言うと、次いでジト目をナオに向けながら抗議の声をあげる。

 

「あはは。ごめんごめん。ふとあの時の事を思い出してね。もし逆だったらってどうだったんだろうなーって、ね」

 

当のナオはケラケラ笑いながらそう返すと、ミコトは可愛らしく頬を膨らませてみせた。

だがミコトは同時に心の中でナオの言う酔ったアキナを想像してみる。

もしも自分と同じ甘え上戸だとして、蕩けた表情で擦り寄ってくるのだろうか?

それとも笑い上戸なのだろうか? いや泣き上戸?

色々想像してみるがどうにもピンとこない為、ミコトは小さくかぶりを振って想像を散らし、再びナオ達との会話に参加しようとしたその時だった。

 

「なんの話をしてるの?」

 

不意に声が聞こえ、目を向けてみると視界に映ったのはアキナの顔だ。

いつの間にかリビングの、ミコトの座る1人掛けソファの側に来ていた事に彼女は驚きつつも

 

「アキナ先輩?! な、なんでもないですよ。ちょっとした世間話です」

 

「そうなの?」

 

ミコトからの返しにアキナは小さく首を傾げ腰を落とし、目線を彼女に合わせたかと思えばゆっくりと自身の右手を彼女の頬に添え、微笑みながら優しく撫でてくる。

その脈絡のない唐突な行動にミコトは当然のことながら、ナオ達も驚愕の表情をして彼を凝視した。

当然ダイニングの方にいるクオンとカゲツも驚いている。

当の彼はそんな彼女達の視線を気にするでもなくミコトの頬を撫で続けている。

 

「あ、あの、あのあのあの?! せ、先輩何を?!?」

 

自身の頬を撫で続ける彼に顔を真っ赤にしつつ裏返った声でミコトは問いかける。

 

「なにって……ミコト、かわいいなぁって」

 

問いかけに対し惑う事なく返してくるアキナの様子にミコト達はさらに困惑する。

明らかにいつものアキナとはかけ離れた行動だ。

2人きりの時ならいざ知らず、真面目な性分であるアキナは決して人前でこんな事をしたりはしない。

理由が判らずミコト達が困惑していると

 

「あー、すまない。多分コレの所為だと思うんだ」

 

苦笑いを溢しながらカゲツがリビングに赴き手に持っているモノをナオ達に見せた。

彼が手に持っているのは甘酒、それも米麹製ではなく酒粕製のアルコール分が含まれているモノだった。

これは彼が持ち寄ったもので、持ってきた殆どが米麹製だが僅かに酒粕製も紛れていたらしく、カゲツに勧められアキナが適当に取って飲んだものが運悪く酒粕製だったという事らしい。

それを見た瞬間、ナオ達はアキナの奇行の原因を察する。

要するに彼は今現在、甘酒に含まれるアルコールによって酔っている状態なのだ。

図らずも先程話題にした『酔ったアキナ』を見る事が出来たナオ達であるが、改めて視線を彼に移すといつの間にやらアキナは混乱しているミコトをソファから立ち上がらせて自身がそのソファに座り、かつ膝の上に彼女を乗せてあすなろ抱きにしているのを見て、その素早さに改めて驚かされた所で話は冒頭に戻る。

 

「もー、カゲくん。ちゃんと確認しないとダメじゃん。基本未成年ばっかりなんだから」

 

「いやぁ、ごめんごめん。まさか酒粕製のが紛れてるとは思ってなかったんだよなぁ」

 

ナオからの非難の声に対してカゲツは言いながら頭を掻き、そのまま未だミコトを拘束しているアキナの方に視線を向け

 

「それにしても、アキナくんの恋人って本当にミコトちゃんなんだね。俺はてっきりナオちゃんと付き合ってるものだと思ってたんだけど」

 

「やっと信じたの? 何度も言ってるじゃん、私とアキくんはそんなんじゃないって」

 

観察するように見ながら言うカゲツにナオは呆れながら返す。

第三回デラックスの後、アキナとミコトはナオから『カゲくんが私とアキくんの関係を誤解してるみたいだから2人のことを話してもいい?』と相談されていた。

ナオ自身は何度もカゲツに自分とアキナは先輩と後輩、そしてヴァンガードの師弟でそれ以上でもなんでもないと説明しているのだが彼はそれを中々信じてくれなかったらしい。

まぁ側から見ていてもアキナとナオはとにかく距離が近いし、互いに寄せる信頼も群を抜いている。

事情を知らない者からすれば付き合っていると勘違いされても仕方がないと言えば仕方がないが、アキナとミコトを大切に思うナオとしてはこの事が原因で2人の関係に亀裂が入ってほしくないと考えており、その種ともなるだろうカゲツの誤解はなんとしても取り除きたかったのだろう。

そして今日、今の2人の様子を見てようやくカゲツはナオの話を信じたようである。

 

「しかし、まさかアキナもお酒に弱いなんて想像もしてなかったね」

 

「……強いのかと思っていた」

 

そう言うのはダイニングテーブルの方いるクオンとスオウ。

 

「しかもあれ、みーたんの事甘やかすのと同時に自分もナチュラルに甘えてるとか結構タチ悪い酔い方ですよね……」

 

「我が兄ながら恐ろしい子……」

 

「でもそのおかげでいい画が撮れてるから私としては無問題かな」

 

顔を見合わせながら言うエリカとユナの横で未だスマートフォンを2人に向けて構えながら言うヒカリ。

そのカメラはもちろん言うまでもなく録画モードである。

 

「人事だと思って観察してないでなんとかしてくださぁい!」

 

アキナに拘束されたまま、羞恥から顔を真っ赤に染めたミコトがそう叫ぶと

 

「そうだねぇ。ほらほらアキくん。ミコトちゃん困ってるからそろそろ離してあげよ?」

 

ナオが苦笑いを溢し、言いながら彼らに歩み寄る。

しかしそれを聞いたアキナは

 

「……いやです」

 

「え?」

 

「いくらナオ先輩の頼みでも、ミコトを連れて行かれるのはいやです」

 

彼女を抱える腕の力を僅かに強め、不満一杯の表情でそう返してきた。

そんな拒絶の姿勢を見せるアキナの目をナオがじっくりと眺めた後

 

「うーん……コレは私の手には負えないね。というわけでアキくん、私たちは2時間ほど出掛けて来るからその間に思う存分ミコトちゃんを甘やかしてやりなさい!」

 

「はいぃぃぃ?!」

 

やれやれと肩を竦めながら放たれたナオの言葉にミコトは素っ頓狂な声を上げ

 

「な、なんでそうなるんですか!?」

 

提案者のナオに抗議するも

 

「ミコトちゃん、がんばれ☆」

 

ナオは言いながらサムズアップをミコトに返すと

 

「さぁ、みんな。2人の邪魔しちゃ悪いから席を外そう!」

 

言いながらカゲツ達に移動を促した。

彼女の言われ、皆は素直にリビングダイニングから玄関へと移動を開始。

その様子を未だアキナに拘束されたままのミコトが顔を真っ赤にしつつ

 

「ちょ、嘘ですよね?! 藍川先輩! 呼続先輩!」

 

「ごめんね西塔さん。助けてあげたいのは山々なんだけど……」

 

「アキナの邪魔はしたくない。ので、無理だ」

 

助けを求めて叫んだものの、スオウとクオンは彼女をあすなろ抱き(拘束)しているアキナを一瞥し、クオンは苦笑いを浮かべ、スオウは無表情のままリビングダイニングを後にする。

 

「え、エリカちゃん! ユナちゃん!」

 

当てにしていたクオンとスオウがハズレ、次いでミコトはエリカとユナに目を向けるも

 

「みーたん、ファイトです!」

 

「ごゆっくり。ほら、いくわよヒカリ」

 

「ぶー。今いいとこなのにぃ」

 

何やら意味深な笑みを浮かべ、ユナはペコリと頭を下げながら、エリカはウインクした後未だにスマートフォンで2人を録画しているヒカリを引き摺りながらリビングダイニングを後にしていく。

一瞬の静寂の後、ミコトは皆が出て行ったリビングダイニングの入り口を見ながら

 

「わぁぁぁぁん! みんなの薄情者ぉぉぉ!!」

 

未だ顔を真っ赤にしながら大絶叫。

その声は外に出たナオ達にはっきりと届き、スオウ以外は苦笑いを浮かべつつもとりあえず、時間を潰す為に落ち着ける場所へと移動を開始した。

その道中

 

「しかし、アキナくんにあんな一面があったとは」

 

カゲツが言いながら隣を歩くナオにそう言うと彼女は

 

「まぁ、普段のアキくんを知ってれば誰でも驚くよねぇ。正直私も驚いてるよ。けど、まさかアキくんがあんなに……」

 

「ん? どうしたの、ナオちゃん? 何か気付いた事でも?」

 

言いかけて言葉を止めたナオに対し、カゲツは疑問符を浮かべながら問いかける。

 

「んーん。なんでもないよ」

 

(あのアキくんがあんなに独占欲剥き出しにして来るなんてねぇ……普段のアキくんは基本誰かの為に自分の欲求を我慢する傾向にあるし、アルコールが入った事で箍が外れちゃったんだろうなぁ)

 

彼の問いかけに応えつつ、ナオは先程のアキナの目を思い出して思考する。

明導アキナという人間は基本『誰かの為』という思考が優先され、自身の欲求は後回しになりがちだ。

それゆえか、彼はいつも何処かで自分自身の欲求に対する行動や思考にブレーキをかけがちになっている。

しかし、甘酒のアルコールで酔っている今はその抑えが外れている状態だ。

普段抑えていた分、ミコトの事を構い倒したくて仕方ないのだろう。

 

(ま、今は2人きりにしてあげよ。人目が無くなればミコトちゃんも遠慮なくアキくんに甘えるだろうし、そうなればほろ酔いアキくんも満足するでしょ、きっと)

 

僅かに微笑みながらナオは思考を巡らせ、その歩みを進めていった。

場所は戻り明導家のリビング。

ミコトは皆が後にしたリビングダイニングに入り口を見つめつつ途方に暮れていた。

 

(うぅ〜。どうしよう……この状況……)

 

未だアキナにあすなろ抱き(拘束)されている彼女は思考を巡らせる。

 

(本音を言えば、こうやって抱きしめてくれるのも、甘えてほしいって言ってくれるのもめちゃくちゃ嬉しい……けど、なんていうか……今のアキナ先輩は……)

 

関係を隠し、さらに2人きりの時間を中々取れないミコトにとって今の状況はやはり嬉しい事に変わりはない。

今すぐにでも彼に思う存分に甘えたいと思っている。

しかしながらどうにもそれは危険だとミコトの勘が告げているようで、本能赴くままに甘える事を躊躇させていた。

だからと言って振り解く事も出来ずにどうするべきか悩んでいると、不意に自身の左耳に何かが触れる感覚が奔り

 

「ひゃぅっ!?」

 

ビクリと身を震わせ左側に目を向けてみるとアキナの顔が視界に映る。

どうやら思考に耽っていた彼女の左耳に軽く口付けたようであった。

突然の事にミコトは言葉を探していたが、今度は宙に浮く感覚に襲われる。

アキナがあすなろ抱きを解き、彼女を抱えて立ち上がったからだ。

またしても突然の行動にミコトは思考が追いつかず大量の疑問符を浮かべているが、アキナは気にするでもなく1人掛けソファから2人掛けのソファまで移動し、抱えている彼女をゆっくりと降ろして座らせた。

ようやく解放されたのか? とミコトは安堵するも、次の瞬間には優しい手つきで仰向けに押し倒されてしまう。

 

「せ、先輩……?」

 

まったく意図が読めないアキナの行動にやや不安感を抱いたミコトが彼に呼びかけると、アキナは優しく微笑みながら

 

「ミコト……みんなに見られるが恥ずかしかったんだよね? いまは2人きりだから、思いっきり甘えてきていいんだよ?」

 

そう言って彼女の右頬に手を添えてゆっくりと撫でていく。

その手つきはいつも以上に優しく、かつ何処か扇情的なモノで、肌が擦れる度にミコトは思考が徐々に溶かされていく感覚を覚えた。

彼女の姿を捉えて逸らそうとしない彼の赤い瞳は酔いからか揺れており、酷く蠱惑的に感じてしまう。

 

「せ……せんぱ……っ!?」

 

再び呼びかけようと口を開こうとすると、彼は彼女の露出している肩に自身の唇を軽く触れさせる。

跡が付かないよう僅かに触れると小さなリップ音が響き、それが耳に届いた瞬間ミコトはビクリと身体を震わせた。

何度かそれを繰り返し、顔を上げると今度は彼女の顔に近づけていく。

彼の唇がミコトのそれにゆっくり近づき、あと少しで触れる

 

「だ……だめっ」

 

寸前のところで彼女の手が間に差し込まれ口付けは未遂に終わる。

するとアキナは彼女から顔を離し

 

「ミコト……なんで? 俺のこと、いやになった?」

 

寂しそうな表情を浮かべて彼女に問いかけてくる。

拒絶されたのが余程ショックだったのだろう。

 

(あ……しょんぼりしてる先輩、かわいい……じゃなくて!)

 

まるで叱られた子犬のような表情のアキナを見てミコトは思考を巡らせるも、すぐに首をブンブン振って

 

「ち、違います! 嫌じゃなくて! こうやって触れてくれるのも、甘やかそうとしてくれるのもすごく嬉しい……でも、ですね。あの、そのぉ……今のアキナ先輩は……」

 

まずは彼の行動が嫌なわけじゃないという事を必死に説明し、次いで拒んだ事情を説明しようとするも彼女は口籠ってしまう。

それを見てアキナはさらに不安になったのか、捨てられそうな子犬のような目でミコトをジッと見つめていた。

このままでは埒があかないと判断したミコトは意を決し

 

「い、色気が凄すぎて、私の心臓がもたないんですぅ!!」

 

顔を真っ赤にしながらそう叫ぶ。

確かに今の酔っている彼はいつもより色っぽい雰囲気を醸し出している。

優しげな赤い瞳は揺れ、心地よい低い声にはいつも以上の甘さが混じり、耳に届く度に思考がゆっくりと麻痺するような感覚になり、紅潮している頬も何処か扇情的に見え、彼女としては本当に気が気でないのだろう。

 

「だ、だからですね、もう少し手加減してもらえると─────」

 

「────よかった」

 

次いで言葉を紡ごうとした時、それを遮るようにアキナが呟く。

 

「おれ、君にいつも我慢させてるから……だから、嫌われたのかって思った……そっか……嫌じゃないんだ」

 

そう言葉を紡ぐ彼の表情は心の底から安堵したような表情。

それを見た瞬間、ミコトはある事を理解する。

彼も不安に思っていたのだ。

関係を隠し、さらに2人だけの時間もあまり取れないゆえに思いっきりミコトを甘えさせてあげられていない故、彼女に愛想を尽かされているのではないか、と。

普段の彼ならそのような心情を悟らせないようにするだろうが、今はアルコールによって感情の箍が外れている。

故にその不安を払拭したくて人目があるにも関わらず、彼女を思いっきり甘やかそうとしていたのだという事だ。

ミコトは彼の頬に手を伸ばし、そっと優しく触れて

 

「私がアキナ先輩の事を嫌いになるなんて、あるわけないじゃないですか。だから、不安にならないでください。ね?」

 

優しく微笑みながらそう告げると、本当の意味で安心したのかアキナも釣られたように微笑み返した。

これで彼の不安も取り除かれ、過度な甘やかし行動も収まるだろうとミコトは心の中でそう考える─────

 

「嫌じゃ、ないんだ」

 

が、しかし。

次の瞬間、アキナの顔がまたしてもミコトの顔に近付いてくる。

ミコトが驚くのも束の間、アキナは自身の額を彼女の額にコツンと当てて

 

「なら、いっぱい甘やかしてあげないと────ダメだよね?」

 

優しく、それでいて蠱惑的な微笑みを浮かべながら言う。

それを聞いたミコトはヒュッ、と喉が一瞬詰まるような感覚を捉えた後

 

─────あ、これ……逃げられないやつだ。

 

どう足掻いても彼に甘やかされなければならない事を悟ったミコトは自身の両腕を彼の首の方に回し

 

「お……おてやわらかにおねがいしますぅ……」

 

諦め半分、されど期待半分の声でそう口にするとアキナは満足したように頷いて自身の唇を彼女のそれにゆっくりと重ね合わせた。

 

 

その後ミコトは約2時間程しっかりと甘やかされ、ナオ達が帰ってくる頃には満身創痍になっており、アキナはとにかく満足そうな表情をしていたというのは言うまでもないだろう。

 

 

そしてその日以降、ミコトは自身も含めアキナには絶対アルコール類を摂取させないよう強く決意したのはまた別のお話である。




アキナって普段から他人の為ばっかりで自分の欲求は抑えてばっかりだからきっと箍が外れたら爆発するんだろうなー、という妄想です。

ちなみに弊宅のアキナは酔ってる時の記憶が飛ぶタイプで今回のことを覚えておらず、後に事情を知ってミコトに平謝りしてたりします

どんな話を書いてほしい?

  • ほのぼのした話
  • 甘くイチャつく話
  • アキミコ以外の話
  • ファイト話
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