運命者達の軌跡   作:藤崎葵

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今回はバレンタイン話。時間軸は宿命決戦後のアキナ高2、ミコト高1でーす。相変わらずアキナ×ミコトで付き合ってる設定。妄想と空想と幻想にミルクチョコレートをたっぷり混ぜ合わせているので解釈違い起こしそうな方は観覧注意。


『そんな道理、私の無理でこじ開ける!』という方はスタンドアップしてどうぞ〜


この気持ちは君にだけ

 

「明導先輩! ずっと前から好きでした! これ、受け取ってください!」

 

土曜日の放課後の校舎裏、響くのは可愛らしい女生徒の声。

少女からの告白に、相対する少年────明導アキナは驚いた表情を浮かべながら困ったように頭を掻く仕草を取る。

 

(まいったな……)

 

差し出されている丁寧に包装され、リボンがあしらわれた正方形の箱を見つめながらアキナは思考する。

本日はバレンタイン。

言わずもがな、女性から男性へチョコレートと共に想いの丈を伝える一世一代大勝負の日。

もちろんそれだけではなくここ最近では男性から女性へだったり、もしくは友人同士で『友チョコ』といい日頃の感謝を伝えながら友情を確認する日としても認知されている。

兎にも角にも今日は学校中の男女の大多数が何処となくソワソワしていたのは言うまでもないだろう。

アキナ自身もそういう行事に関心が無いわけでは無いが、自分にはあまり縁がないだろうなと思いながら毎年当日を過ごしていた。

しかしながらそれは去年までの話であり、現在の彼には最愛の恋人がいる。

同じ学校の1年後輩でありアイドルとして活動し、そして同じ運命者カードに選ばれた西塔ミコトという少女だ。

『運命大戦』終結から少し後に彼女から想いを告げられ、アキナが受け止める形で交際をスタートさせた2人は多少のすれ違いを起こしながらも互いに歩み寄り心を通わせてその絆を少しずつ深めていっているのだが、この2人、その関係を親しい仲間以外には秘密にしている。

先も述べた通りミコトはアイドルとして活動している為、アキナという恋人がいると知れてしまえば炎上は避けられないだろう。

ゆえに2人は関係を隠し、人目を極力避けて2人だけの時間を過ごすようにしている状態だ。

本日はアキナもミコトもバイト及びアイドルとしての仕事もない為、2人だけの時間を過ごしてから帰ろうと約束しており、その際にはミコトから渡したい物もあるとも告げられていた為この半日、アキナは何処か緩んだ表情を溢しており、その事を友人達に指摘され揶揄われたのは言うまでもないだろう。

土曜ゆえに授業も半日なので、ミコトと2人で過ごす際に一緒に昼食も採ろうと考えてあらかじめ惣菜パンと紙パックの飲み物を2人分購入しており、それが入った袋と鞄を持っていつも彼女と過ごす空き教室に向かっている最中、目の前にいる女生徒に呼び止められ、校舎裏まで連れて来られ現在に至っているというわけだ。

綺麗に包装された箱の中身は十中八九チョコレートだろう。

しかも告白までしてきたという事は間違いなく本命である。

 

(うーん……困ったなぁ……受け取るわけにはいかないしなぁ……)

 

アキナはどうしたものかと思考を巡らせる。

ミコトという恋人がいる以上、彼女以外からの本命チョコレートを受け取るわけにはいかないし、彼としても受け取るつもりは毛頭ないと考えているが、彼女との関係を誰にも悟らせるわけにはいかない為、断る為の口実に使うのも難しい。

高校生に限らず人間は恋愛などのゴシップに飛びついてしまう生き物だ。

たとえ名前を伏せたとしても、付き合っている女性(ひと)がいるなどと宣言してしまえば間違いなく詮索してくる輩も出てくるだろう。

そうなれば自分とミコトとの関係が露呈する可能性が一気に跳ね上がる上に2人だけの時間を過ごす為、これまで以上に神経を擦り減らさなければならなくなるだろう事は容易に想像出来るというものだ。

それだけはなんとしても避けたいとアキナは考えるもの、結局どう言えばいいのか中々考えが纏まらないようである。

未だ包装箱を差し出し続ける女生徒を前にしてアキナはウンウンと唸っていると、不意に地面を踏み締める音が聞こえてきた為、その方向に目を向けてると、視界には人影が映り彼は目を見開いた。

その瞬間、彼は意を決したように息を吐いて

 

「ごめん。気持ちは嬉しいけど、それは受け取れない」

 

目の前の女生徒にそう告げたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

場所は変わり屋上。

入り口が開き、息を切らしながら現れたのは長い黒髪をリボンで纏めた少女。

全力で走ってきたであろう少女は荒くなっている呼吸を深呼吸してゆっくりと整えていく。

息が整ったのと同時に顔を上げた少女─────西塔ミコトはゆっくりと金属フェンスの側まで歩いていき

 

「……思わず逃げちゃった……」

 

ポツリとそう呟いた。

数分前、彼女はアキナと一緒の時間を過ごす約束の為、いつもの空き教室へと向かっていた。

ここ最近は互いに忙しく、中々時間が合わなかった為久々に彼と2人で過ごせる事にミコトは心を躍らせ、手に持つ手提げの紙袋を揺らしながら廊下を歩いていたその途中、アキナの姿を見つけ『一緒に行きたい』と脳裏をよぎるも自分達の関係を隠している理由を思い出し、あえて声をかけずに改めて空き教室に向かおうと決めて歩き出そうとした時、彼の傍に1人の女生徒が一緒にいるのを見つけてしまう。

立ち止まり様子を伺っていると、二言三言会話をした後アキナと女生徒は昇降口の方に向かって歩き出し、数秒程どうするか考えたミコトは2人の跡を尾行する(つける)事に決めて歩き出した。

気取られないように距離をとって跡を追うと、辿り着いたのは校舎裏。

校舎の陰に身を潜め、僅かに顔を出して視線を向けると疑問符を浮かべたアキナと、その正面に立って両腕を背後に回してモジモジしている女生徒の姿が目に映る。

女生徒の手には綺麗に包装され、リボンがあしらわれた正方形の箱があり、それを見たミコトは女生徒の目的がなんなのかに行き着いた─────次の瞬間

 

「明導先輩! ずっと前から好きでした! これ、受け取ってください!」

 

意を決した女生徒が包装された箱をアキナに差し出して思いの丈を口にする。

それを聞いた瞬間、ミコトは目の前が暗くなるような感覚に襲われた。

耳は正常なはずなのに何故か周りの音が入ってこず、視界も何処か遠くなるような感覚。

気が付けばミコトは駆け出していた。

逃げるようにその場を去り、いつもアキナと時間を過ごす空き教室に向かうこともなく。

ひたすらに階段を駆け上がり、辿り着いたのは屋上の入り口だった。

経緯を思い返すのをやめて、ミコトはフェンスに手をかけて小さくため息を零し、あの後アキナがどうしたのかを想像してみた。

自分という恋人がいる以上、彼はきっと告白そのものは断っているはずだ。

しかし、差し出されたチョコレートはどうするだろうか?

考えるまでもない。

自分が知る誰よりも心優しい彼ならば、相手の想いを無碍にしない為に受け取っていることだろう。

そこまで思考したところでミコトは自身の胸がズキリと痛む感覚に囚われる。

 

────大好きなアキナ()が、自分以外の異性から何かを受け取っている。

 

そう考えただけでミコトの胸の痛みはズクズクと増していき、その心に薄暗い陰を落としていく。

 

───いやだ……いやだ……

 

「っ……あきなせんぱい……」

 

表情を歪め、痛む胸を押さえながらミコトは彼の名をポツリと呟き、そのまましゃがみ込んでしまいそうになった─────その時。

 

「見つけた」

 

聞き覚えのある声が耳に届き、振り向いた先にはアキナの姿。

視界に映る彼は僅かにだが息が乱れている。

おそらくだがミコトを探す為に走り回ったのだろう。

アキナは息を整えるとミコトの方へ歩み寄りながら

 

「いつもの空き教室にもいなかったから探したよ」

 

柔らかな笑みを浮かべてそう言うと、ミコトは申し訳なさげに顔を俯かせる。

そんな彼女に、アキナは笑みを崩す事なく

 

「さっきの、見てたんだよね?」

 

そう問いかけると、ミコトはその身をビクリと震わせた。

僅かな沈黙の後、彼女は観念したように顔を上げると

 

「ごめんなさい……覗き見する気はなかったんです。でも、気になっちゃって……」

 

作り笑いを浮かべながらそう返す。

そしてアキナが何か言うより先に、彼女の口が再び開き

 

「……わかってるんです。私達の関係は周りに秘密にしてるから、アキナ先輩がフリーだって思われてるのは仕方ないって。気付いてます? アキナ先輩、女の子に結構人気あるんですよ?」

 

作り笑いを崩さずにそう続けた。

彼女の言う通り、アキナは自覚が無いようだが彼は女生徒からの人気がそこそこ高い。

顔立ちは整っているし物腰も柔らかくて気遣いも上手く、何より優しい。

その誠実で真っ直ぐな人間性はあらゆる人を惹きつける為、仲間達からは『人誑し』と言われ揶揄われることもしばしばである。

そんなアキナの恋人でいられる事、あらゆる人に慕われている事もミコトにとっては何よりも嬉しい事なのだ。

だからこそ、彼が自分以外の異性から好意を寄せられて想いを告げられるのも仕方がないと考えてはいるのだが、実際に目の当たりにしてしまうとやはり違う。

先程の光景を思い出したミコトはまたしても胸にズクリと痛みを感じ、心の中に黒い感情が宿るのを感じとる。

 

────アキナ先輩の恋人は私なのに……私の先輩……なのに……

 

独占欲が彼女の心を支配して、胸の痛みを強くする。

その痛みに耐えるように

 

「だから、私は全然平気です。むしろ、先輩が沢山の人に慕われてるのが誇らしいくらいで─────」

 

そこまで言葉にした直後、ミコトの視界が歪んでいる事に気付いた。

いつの間にか翡翠の瞳から涙が溢れ、ポロポロと頬を伝ってこぼれ落ちていく。

 

「あれ……? なん、で……」

 

空いてる左手で涙を拭うも、それは溢れて止まらない。

自身の感情を制御出来ず、ミコトは俯いて嗚咽と共に涙をこぼし続ける。

暗く醜い感情が心を支配して、塗り潰されそうになっている彼女に

 

「ミコト」

 

いつの間にか近付いていたアキナが優しく声をかけ、ミコトが顔を上げたと同時に彼女を自身に引き寄せて腕の中に包み込んだ。

彼の行動に驚いて口を開こうとするもそれは叶わず、アキナの唇が重ねられた。

目を見開き身体は一瞬強張るものの、ミコトはすぐに脱力して目を閉じその身をアキナに委ねる。

力が抜けたことで右手に持つ紙袋がするりと落ちてコトンと音を響かせる。

数秒後、重ねていた唇を離すと互いの口から甘い吐息が漏れ、アキナは微笑むと未だ彼女の翡翠の瞳から溢れる涙を指で優しく拭い

 

「ごめん、ミコト。不安にさせて。さっきの子の告白はきっちり断ったし、チョコも受け取らなかったから」

 

優しい声でそう告げると、ミコトはまたしても目を見開き

 

「なん、で……?」

 

力無い声でそう問いかけた。

アキナの性格ならば、告白自体は断っても相手の想いや頑張りを無碍にしたくないと考え、せめて差し出されたものは受け取るだろうとミコトは考えていた。

だからこそ、彼が件の女生徒からのチョコレートを受け取らなかった事に驚きが隠せない。

そんな彼女にアキナは優しく微笑みながら

 

「前までの俺だったら、きっと深く考えずに受け取ってたと思う。でも、今の俺にはミコトが、君がいる。俺の心の1番はもう君で埋まってるんだ。だから、どうやったって他の女の子の気持ちには応えられないのに、軽々しく受け取ったりしたらそれこそ相手に失礼だと思うし、1番大切な君を傷付ける事になる。そんなのは絶対に嫌なんだ」

 

そう言葉を紡いでもう一度彼女を自身の両腕の中に包み込んだ。

 

「俺はミコトが好きだよ。大好きで誰にも渡したくないし離れたくない。笑っていてほしい。だから安心して? この気持ちは、君にだけだから」

 

「あきな……せん、ぱい……っ」

 

優しい声色で紡がれる言葉は、彼女の胸の痛みを和らげていく。

止まっていた涙が再び溢れてきた。

先程までの悲しみと苦しみの涙ではない、喜びの涙。

頬を伝ってこぼれ落ちていくたびに、心を支配していた黒い感情が薄れていくのをミコトは感じとる。

優しく自分を包み込んでくれるアキナの背に、ミコトはゆるゆると自身の両腕を回して

 

「本当は……嫌だったっ……先輩が知らない()から告白されてるのも……何かを受け取るかもしれなかったのも……アキナ先輩の恋人は……私なのにって……でも、でもっ……こんなの、私の我儘でしかなくてっ……こんな事言っても……先輩の事、困らせるだけだって……だから……っ」

 

抱えていた不安を嗚咽と共に吐き出すと、アキナは優しく、それでいて強く彼女を抱きしめて

 

「いいんだよ、我儘でも。俺は全部受け止めるから」

 

「せ、んぱいっ……」

 

そう告げるとミコトは翡翠の瞳から大粒の涙を溢し、彼の胸に顔を埋めて静かに泣き出した。

嗚咽を漏らし続ける愛しい彼女の髪を、アキナは慈しむように優しく撫でる。

やがて落ち着いたのか嗚咽が止み、ミコトは埋めていた顔を離して彼を見上げてくる。

泣き腫らして僅かに赤みを帯びてた翡翠の瞳、その目尻に口付けを落とし

 

「落ち着いた?」

 

「はい……ごめんなさい……制服、汚しちゃって……」

 

問いかけるとミコトは頷き、次いで先程まで自身が顔を埋めていた彼の胸に視線を向ける。

そこは彼女涙で濡れており、シミになっているがアキナはかぶりを振って

 

「気にしなくていいよ? ミコトが笑ってくれるなら制服なんていくら汚れても構わないから」

 

微笑みを浮かべながら言うと、再び彼女の髪を撫でた。

優しい手つきは心地よく、ミコトは嬉しそうに目を細めた─────その時だった。

きゅぅ〜、と可愛らしい音が響き、次いでミコトは恥ずかしげに顔を赤くして俯いてしまう。

どうやら安心した事で腹の虫が騒ぎ出したのだろう。

一瞬呆気に取られるもアキナは苦笑いを溢し、彼女を離して

 

「昼ご飯、食べようか?」

 

そう言って入り口付近に置いてある自身の鞄と惣菜パンが入った袋を指差した。

 

「は、はいぃ……」

 

ミコトは羞恥で顔を赤くしたまま頷き、床に落としてしまった紙袋を拾い上げてからアキナと連れ立って入り口の方歩き出す。

共に腰を降ろしてアキナはミコトにどれが食べたいかを選んでもらうと、彼女はコロッケパンとリンゴジュースを選択。

アキナは残ったトマトチーズのパニーニとオレンジジュースを手に取りミコトと共に食事を開始する。

何を話すでもなく黙々と食べ進め、あっという間に惣菜パンは互いの腹の中に収まり、ジュースを飲んで喉を潤した。

アキナがゴミを元のビニール袋に詰めて鞄の中に突っ込み終わると、ミコトが視線を送ってきている事に気付き

 

「どうしたの?」

 

問いかけると彼女は頬を紅潮させながら

 

「あの……これ……」

 

おずおずと先程の紙袋をアキナへと差し出した。

 

「私から、アキナ先輩に……市販品なんですけど、その……受け取って……くれますか?」

 

それはミコトからアキナへのバレンタインの贈り物。

自信が無いのか紡がれる言葉は段々と小さくなっていく。

俯き気味のミコトを見てアキナは小さく笑った後

 

「もちろん」

 

そう言って紙袋を受け取った。

 

「ごめんなさい……本当は手作りしたかったんですけど……お仕事忙しくて……」

 

「いいんだ。君が俺の為に用意してくれた、それだけで本当に嬉しいよ。ありがとう、ミコト」

 

申し訳なさげに言う彼女にアキナは優しい声で返すと、ミコトは安心したようにはにかんで笑って見せた。

ようやく笑顔になったミコトにアキナは愛しさが込み上げ、右手で彼女の頬を優しく撫でると、応えるようにミコトも目を細めて頬を彼の掌に擦りつけてきた。

互いに微笑み合ってからアキナは彼女の頬を撫でるのを止め

 

「今、開けていいかな?」

 

「はい。もちろんです」

 

問いかけると彼女から了承が返ってくる。

綺麗に包装された正方形の箱を紙袋から取り出すと、アキナは綺麗に包装紙を剥がしていく。

蓋を開けると中には6つの球体、いわゆるチョコトリュフが綺麗に納められていた。

一つ手に取って軽く眺めてからアキナはそれを口の中に放り込むと、瞬間、カカオパウダーのほろ苦さとガナッシュのまろやかな甘さが口の中で溶けて広がっていく。

 

「うん、美味しいよ」

 

「えへへ、よかったぁ」

 

アキナからの感想にミコトは嬉しそうに表情を綻ばせる。

するとアキナは徐にチョコトリュフをもう一つつまみ取り

 

「ミコトも食べる?」

 

そう言って摘んだチョコトリュフをミコトへと差し出すと、彼女は一瞬呆気に取られるもすぐに慌ててかぶりを振り

 

「そ、それはアキナ先輩の為に用意したんですから、先輩が全部食べてくれないと……」

 

そう断るも

 

「俺1人で楽しむのは勿体無いから。ね?」

 

アキナはそう言って引こうとはしなかった。

ミコトは少し悩むも

 

「じゃあ、いただきます」

 

アキナの提案を受け入れて手を差し出すが、彼は摘んでいるチョコトリュフを彼女の手に渡そうとはせず、彼女の目の前に出し続けている。

アキナの行動にミコトは疑問符を浮かべるも、やがて彼の意図に気付いて

 

「うぅ……」

 

小さな呻き声を漏らし、ミコトはおずおずとチョコトリュフを摘んでいる彼の右手に自身の手を添え、そのままチョコトリュフを口元へ誘導した。

ミコトがチョコトリュフを咥えると、アキナはそのまま彼女の口の中に優しく押し込んだ。

モクモクと何度か咀嚼して嚥下したのち、ミコトは頬を赤く染めながら

 

「お、美味しいです……」

 

ポツリとチョコトリュフの感想を述べた。

彼女からの感想にアキナは満足したように微笑んだ。

ミコトは小さく頬を膨らませると、徐にアキナの左手にある箱に手を伸ばしてチョコトリュフを1つつまみ取り、先ほどのアキナ同様彼の口の前に差し出した。

 

(かわいいなぁ)

 

仕返しのつもりなのだろうその行動にアキナは表情を綻ばせ、差し出されたチョコトリュフを咥えて口の中に入れる。

咀嚼して嚥下したかと思えばまたしても彼はチョコトリュフを1つつまみ取ってミコトの口元へ。

互いに交互に食べさせ合い、6つあったチョコトリュフはあっという間に無くなってしまった。

空になった箱を鞄脇に置いて、アキナは満足したように空を仰いだ。

そんな彼に

 

「あの、アキナ先輩」

 

「ん?」

 

ミコトが声をかけてきた為、アキナは視線を空から彼女に移すと

 

「気になったんですけど……どう言って告白を断ったんですか?」

 

そう疑問を口にする。

するとアキナは微笑みながら

 

「決まってるよ。『俺には好きな人、大切な女性(ひと)がいて、心の1番はその女性(ひと)で埋まってるから』って」

 

そう言って彼女の肩を抱いて自身の方に引き寄せる。

確かに秘密にしている関係が露呈する可能性は極力避けたいとアキナは考えていた。

だがあの時、走り去っていくミコトの姿が目に映ったその瞬間、それ以上に、彼女を1人にしたくないという感情がアキナに迷いを捨てさせた。

関係の露呈防止よりもミコトが、大切で愛しい女性(ひと)が傷付く姿を見たくない。

その事の方が自分にとっては何よりも大切なのだ、と。

アキナの返答を聞いたミコトは頬を赤く染め、しかし喜びに満ちた表情を浮かべながら翡翠の瞳を揺らして彼の方に顔を向けた。

応えるようにアキナも彼女の方に顔を向けると、どちらともなくその距離を縮め、ゆっくりと口付ける。

 

重なり合った互いの唇からは、ほんのりと甘いチョコレートの味がした。

 

 

 

 

 

 




弊宅のアキナくんはミコトちゃんへの愛情メーター振り切って時空超越してるのでスイッチ入るとメチャクチャ甘やかします(真顔)

ちなみに後日、告白を断られた女生徒経由でアキナのイケメンな断り文句が広がって逆に人気が上がるという不思議現象が起きてます。うーん、この人誑しぃ

どんな話を書いてほしい?

  • ほのぼのした話
  • 甘くイチャつく話
  • アキミコ以外の話
  • ファイト話
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