いつも通りアキナ×ミコトで付き合ってる設定。妄想と空想と幻想を魔合成してますので解釈違い起こしそうな方は観覧注意。
「覚悟はいいか? 俺は出来てる」と言う方はスタンドアップしてどうぞ〜
「さて、どうするかな……これ」
目の前に置かれているモノを見ながら呟き、少年は考える素振りを取っていた。
「アキナ先輩。これって、菜の花ですよね?」
そんな少年─────明導アキナに少女が覗き込むようにしてキッチン台に置かれているモノ─────菜の花の束を見ながら問いかけてきた。
「あ、ミコト。うん、さっきマサノリさんに貰ったんだよ」
アキナがそう応えると少女────西塔ミコトは途端に表情を苦いものに変えながら
「え゛っ? あの人からですか?」
そう返す。
本日オフである彼女はアキナの妹である明導ヒカリに誘われて明導家に遊びに訪れていた。
先程招き入れられ、手洗いとうがいを済ませて洗面所からリビングダイニングに赴くとキッチンで唸っているアキナを見た為声をかけた次第である。
なんとも言えない表情のまま「うー」と唸っているミコトを苦笑いで見るアキナ。
彼が言うマサノリとはアキナ達と同様に運命者カードの一枚である『禁忌の運命者 ゾルガ・ネイダール』に選ばれた運命者カードの所持者だ。
『運命大戦』では零の運命者カードの所有者である呼続スオウと対戦し、『宿命決戦』では守護の宿命者カードの持ち主である向江ジンキと対戦。
どちらも敗北したものの、その実力は折り紙つきの凄腕ファイターの1人である。
のだが、当の彼は常にとぼけた態度と言動を繰り返しているためか、アキナは割とそうでもないのだが他の運命者カードの持ち主達からはどうにも胡散臭いと思われており、特にミコトは妙に距離感が近いマサノリに対して強い苦手意識を持っているようである。
「大丈夫なんですか、これ? 何か変なものが混ざってたりとか……」
「流石にそれはないよ。全部ちゃんとした菜の花」
疑いの眼差しで菜の花の束を見ながら問うミコトにアキナはそう返し、少し前の事を思い返す。
ミコトが遊びに来るという事で、アキナは午前の内に買い出しを済ませてしまおうと出掛けていた。
粗方必要なものを購入して早めの昼食を済ませた後、一緒に出ていたヒカリがストレイキャットに寄ってから帰ると言うので先に帰路に着いていたその道中、神社の近くを通りかかった時
「おやぁ〜、明導アキナくんじゃない」
声をかけられてアキナが振り返るとそこには黒のスーツを着こなし、サングラスをかけたスキンヘッドの男性の姿が目に映った。
両の手に大きな紙袋を下げ、とぼけた笑みを浮かべながらアキナに近付いてくる。
「ど、どうも、マサノリさん」
「いやぁ、久しぶりだねぇ。『宿命決戦』以来かな? 元気にしてたぁ?」
「は、はい。それなりに、ですけど」
馴れ馴れしい口調で話しかけてくる男性─────伊勢木マサノリに対してアキナはそう返した。
滅多にエンカウントすることのない人物に遭遇した事で少々驚いているアキナを繁々と眺め
「あれあれぇ? 俺ってばもしかしなくて警戒されてる?」
「え? いや、そんな事はないですけど?」
ヘラヘラとした軽薄な笑みを浮かべて問うマサノリに、アキナが疑問符を浮かべながら返すと
「君ってば本当にお人好しだねぇ。そんな警戒心皆無だと、いつか痛い目見る事になるかもしれないよ?」
彼は軽薄な笑みを消し、低い声で言う。
意味深な物言いにアキナはさらに疑問符を浮かべるも、マサノリはまたもヘラっと笑い
「それはさておき、ここで会ったのも何かの縁。アキナくん、これ貰ってくんないかな?」
言いながら右手の紙袋を差し出してきた。
差し出された紙袋の中身を見てみると、そこには菜の花の束が突っ込まれている。
「知り合いから貰ったんだけどねぇ。ちょーっと量が多くてさぁ」
「はぁ……こんなに沢山、いいんですか?」
ヘラヘラと笑いながら言うマサノリにアキナがそう訊ねると
「全然いいよー。君には『運命大戦』と『宿命決戦』で面白いものを見せてもらったしねぇ。そのお礼って事で」
またしても意味深な物言いをし、紙袋をアキナへと押し付けた。
菜の花が入った紙袋を半ば強引にアキナに渡すとマサノリは「『ご縁』があったらまたねぇ〜」と言い残して去って行き、その場に残されたアキナはしばらく呆然と去っていくマサノリの背を眺めた後、なんとも言えない表情で待たされた菜の花の束を見た後彼は再び帰路に着き、現在に至るというわけである。
こうして思いがけない形で入手した菜の花なのだが、束ゆえにその量はかなりのものだ。
少量ならおひたしにしてすぐにでも片付けられただろう。
しかしこれだけの量を処理しきるのは簡単ではない。
マハノリの意図は兎も角、せっかく貰ったものなのでアキナとしても捨ててしまうのは勿体無いと考え、どうするべきか思案すること数分。
徐にアキナは冷蔵庫の野菜室を開いていくつかの野菜を確認。
次にチルド室にある肉類を確認して、その他食材が収められている棚の中を見て頷き
「ミコト、今日は夜もオフだよね?」
「? はい。今日は一日オフですけど」
訊ねるとミコトは疑問符を浮かべながらそう返すと
「なら、今日はうちで晩御飯食べていかない?」
彼女からの返事を訊いたアキナはそう提案してきた。
突然の彼からの申し出に
「え? い、いいんですか?」
「もちろん。その方がヒカリも喜ぶだろうし。それに─────」
ミコトが面を喰らったような表情で訊ねるとアキナはそう言って一度言葉を止め
「少しでも長く、君と一緒の時間を過ごしたいから」
照れたように自身の頬を指で掻きつつ、優しい眼差しをミコトに向けながらそう告げた。
その言葉にミコトは僅かに頬を赤く染め
「むぅ。アキナ先輩はいっっっつもズルイです……」
言いながら距離を縮め、服の裾を軽く掴み求めるように上目遣いで彼を見上げてくる。
意図を察したアキナは彼女の頬に手を添えてひと撫ですると、ミコトは目を閉じ、彼はゆっくりと自身の顔を近付けていった。
徐々にその距離は縮まっていき──────
「ただいまー!」
後数ミリで触れそうになった瞬間、玄関が勢いよく開かれた音とよく知った声が響いてきた為2人はビクリと身震いして目を見開きその動きを止めた。
トタトタと足音が近付き
「ごめーん、みーたん! ちょっと遅くなっちゃった─────って、2人ともなにしてるの?」
少々慌てた様子でリビングダイニングにやってきた明導ヒカリが目にしたのはキッチンの方で微妙な距離を取っている
2人は疑問符を浮かべながら訊ねてくるヒカリに対し
「な、なんでもないよ! わ、私もさっき来たばかりだから、大丈夫!」
「お、おかえりヒカリ。とりあえず、手洗いとうがいしておいで?」
互いに少々顔を赤くしてどもりながらそう返すと
「んー? 怪しいなぁ」
ジト目を向けそう言いつつも、ヒカリはアキナに言われた通り手洗いとうがいをする為に洗面所へと向かい、それを見送った2人は
「なんか、前にもこんな事あった気がする……」
「ですねぇ……」
顔を見合わせながらそう言って互いに小さく笑い合った後、ミコトは小さく息を吐き
「それはともかく。先輩、夕飯作りですけど、私に手伝わせてくれませんか?」
そう申し出てくる。
「いや、君はお客さんだし、提案も俺がしたんだからヒカリとゆっくりしてくれてていいんだよ?」
彼女の申し出に対してアキナがそう返すと、ミコトは軽くかぶりを振って
「私がそうしたいんです。先輩が言ったように、私だってアキナ先輩と一緒の時間を過ごしたいんですよ? それに、この間約束したじゃないですか。「次に何か作る時は一緒に」って」
そう言って返してくる。
確かに少し前に行われた彼の誕生パーティにて2人はそんな約束を交わしていた。
ミコトの言葉を聞いたアキナは
「そうだったね。わかった。なら、一緒に作ろうか」
小さく、そして優しく微笑んでそう言って彼女の申し出を受け入れた。
了承を得られたミコトからも笑みが溢れ、2人が微笑みあっていると
「なになに? なんの話?」
手洗いとうがいを済ませ、リビングダイニングに戻ってきたヒカリが不思議そうな表情で2人に近付いて問いかけてきた。
「ん? ミコトさん、今日うちで晩御飯食べて行く事になったんだよ。で、夕飯作りを手伝ってもらう事になったんだ」
「え! ホント! みーたんが手伝うなら私も手伝いたい! 1人で待つのも退屈だし!」
ヒカリの問いかけにアキナが応えると、彼女は目を輝かせながらそう言ってくる。
それを聞いたアキナは考える素振りを取り
「そうだな。なら、3人でやろうか」
「やったぁ! みーたんとお料理ー!」
「ふふ。頑張ろうね、ヒカリちゃん」
兄からの了解が出たヒカリは喜びの声を上げ、側にいるミコトに抱きつくと、ミコトは優しく笑いながら彼女にそう言って返す。
まるで本当の姉妹のような仲の良さのミコトとヒカリをアキナは微笑ましげに見ながら
「じゃあ、夕飯を作る時間になったら呼ぶから、2人はゆっくりしてて」
『はーい』
そう言うと2人は返事をして2階にあるヒカリの部屋へと向かい、リビングダイニングを後にする。
それを見送ったアキナは小さく息を吐いてから
「さて、洗濯と掃除を済ませるかな」
呟いて済ませるべき家事へと勤しみだした。
洗濯と掃除を済ませたアキナは自室で学校からの課題やデッキの調整等で時間を潰し、時刻が午後6時に近付いたところでヒカリの部屋で遊んでいるミコトとヒカリに声をかけてから一階のリビングダイニングへと赴いた。
エプロンを身に付け、本日の献立に必要な材料を取り出し、並べ終わったところでミコトとヒカリがリビングダイニングにやってくる。
彼女達もアキナの用意したエプロンを身に付け他の確認し
「じゃあ、これが今日作る献立のレシピ。ミコトさんとヒカリはこっちを頼めるかな?」
そう言って一枚のレシピを渡してきた。
それを受け取り、内容を確認したミコトは
「先輩、これって」
「シチューを作れるミコトさんなら問題なく出来るはずだよ。けど、わからない事があったら迷わず聞いていいからね? ヒカリもだぞ?」
「はーい! 頑張ろうね、みーたん!」
「そうだね。やろっか、ヒカリちゃん」
アキナの言葉にヒカリが元気よく返事し、やる気いっぱいの彼女を微笑ましげに見ながらミコトも頷き、調理作業へと取り掛かる。
まず、アキナがあらかじめ大鍋で沸騰させておいた湯の中に3等分にした菜の花の束を入れ、タイマーをセットして湯通しを開始。
その間にミコトとヒカリは小ぶりのジャガイモの皮をピーラーで剥いていき、軽く水洗いしてから厚さ5ミリ程の拍子切りにしてから水の入ったボウルに入れてさらしいく。
次いで彼女達は3枚のベーコンをジャガイモと同様に拍子切りにしていった。
その間にアキナは湯通しした菜の花の束を大きめのボウルに入れてある氷水の中に浸していく。
菜の花の余分なアクや苦味を流すのが目的だ。
アキナはさらした菜の花を取り出し、しっかりと水気を取っている間にジャガイモとベーコンを切り終えたミコトとヒカリは次の工程に移っていた。
大きめのフライパンをIHにかけ、バター15gを投入して温めていく。
バターが溶けてきたところでジャガイモを投入し、塩胡椒をかけ中火で炒めていく。
3分ほど炒めたところでベーコンと湯通しして水気を取った菜の花のうち半分をフライパンに投入してさらに中火で1分炒めたところでIHを一旦切ってベーコンと菜の花を半分程別の皿に取り分けていく。
次いで火を止めたフライパンに投入したのは小麦粉大さじ3杯。
さらに牛乳450ccを流し込み、固形コンソメを1つ入れて再びIHのスイッチを押した。
しっかりと混ぜ合わせながら沸々と一煮立ちしたところでIHの電源を切り、食器棚からヒカリが持ってきた3つの耐熱皿に均等に流していき、次いで取り分けておいたベーコン菜の花を、これまた均等に乗せていく。
盛り付け終わると次にチーズを適量盛り付け、その上にパルメザンチーズとパン粉を少々振り掛けてオーブンに入れて900Wのタイマーを10分にセットして加熱を開始した。
ミコトとヒカリが作業をしている傍ら、アキナは冷蔵庫から取り出しておいたバター50gと和辛子3gをボウルに入れて混ぜ合わせ、次いで別の容器にマヨネーズ大さじ4杯を入れてそこに粒マスタード大さじ2杯、ハチミツ小さじ2/3杯、粗挽胡椒を少々を加えて混ぜ合わせた。
それが終わると今度は6フライパン空いているIHにかけて、塩で味付けした個分の溶き卵を使いスクランブルエッグを焼いていく。
そぼろ状にならないようにゆっくりと混ぜながら円形に焼き上げ、3枚焼き上げたところで今度はベーコンを焼いていく。
こんがりと焼けたところでIHを切り、キッチンペーパーの敷かれた平皿にベーコンを乗せてもう一枚のキッチンペーパーを被せて余分な油分を吸い取らせている間に8枚切りの食パンを6枚取り出し、片面に先ほど混ぜ合わせた和辛子を塗っていく。
その上にスクランブルエッグ、菜の花を乗せて今度はマヨネーズ等を混ぜ合わせたソースを容器からラップに移し、くるんで先端をハサミで切り、絞り出しながら菜の花の上に適量塗っていき、その上に油分を取ったベーコンを乗せ、食パンで挟んだ。
彼が作っていたのは3人分のサンドイッチ。
全ての具材を挟み終えたサンドイッチを丁寧にラップで包むと、もう一枚のまな板を取り出してサンドイッチの上に被せて空気抜きを行った。
2分ほど放置する傍ら、アキナは付け合わせのサラダの盛り付けに入ると同時にオーブンが音を立てて加熱の終了を知らせ、ミコトは厚手のミトンを両手に装着してヒカリがあらかじめダイニングテーブルに並べておいた大きめコースターに一皿ずつ乗せていく。
彼女達が作っていたのはグラタンだ。
乗せてあるパルメザンチーズとパン粉が程よい焦目をつけ、クツクツと小さな音を立てている焼けたチーズの香ばしい香りが彼女達の鼻腔をくすぐっていく。
グラタンを並べ終わるとアキナが盛り付け終わったサラダをダイニングテーブルに並べ、空気抜きの為にサンドイッチを押さえているまな板をどけてラップを剥がし、4等分に切り分けてから平皿に盛り付けダイニングテーブルへと運んでいった。
3人はエプロンを外してキチンと手を洗ってからそれぞれの席に着き
『いただきます』
手を合わせて食事を開始する。
先割れスプーンでグラタンを掬い、火傷しないようゆっくりと口の中に入れると、ホワイトソースのまろやかな味が広がっていく。
咀嚼するたびにジャガイモはホロリと崩れ、菜の花の僅かな苦味がホワイトソースとベーコンの旨みをより引き立てている。
「ど、どうですか?」
「うん、菜の花のほんのりした苦味とベーコンの塩気がホワイトソースのまろやかさをよく引き立ててくれてるし、ジャガイモもほっこりしてる。美味しいよ、ミコトさん」
僅かに緊張気味で問いかけてきたミコトに、アキナはそう言って笑いかけると、彼の笑みを見たミコトは安堵の息を吐いた。
すると
「私も手伝ったのに、褒めるのはみーたんだけなの?」
彼女の隣に座っているヒカリがジト目を向けながら兄に対して抗議の声を上げた。
そんな妹にアキナは苦笑いん溢しながら
「わかってるよ。ヒカリもよく頑張ったな」
そう返すとヒカリは満足気に笑い、3人は食事を再開。
今度はサンドイッチを手に取って頬張った。
「んー、美味しい〜♩」
「和辛子バターもそんなに辛さを感じないし、卵もふわふわで美味しいです」
咀嚼して嚥下し、言いながらミコトとヒカリは表情を綻ばせた。
その時、ミコトがふと隣のヒカリを横目で見るや否や
「ヒカリちゃん、口元にマヨネーズついてるよ」
そう指摘した。
彼女の言う通り、ヒカリの口元には僅かにマヨソースが付着している。
手に持っているサンドイッチを平皿に置き、ハンカチを取り出して優しく付着しているマヨソースを拭うと
「えへへ。ありがとう、みーたん」
「どういたしまて」
嬉しそうに笑うヒカリにミコトも微笑んで応える。
そんな2人のやり取りを見ながら
(ホントに仲良いな)
アキナは思考を巡らせて表情を綻ばせた。
そんな彼の様子に気が付いたミコトは疑問符を浮かべながら
「先輩、どうかしましたか?」
問いかけると、アキナは小さくかぶりを振り
「なんでもないよ」
そう返して食事を再開した。
夕食を終え、使った食器を片した後、いい時間となったので帰る事になったミコトをアキナが送っていくと提案すると、ヒカリも一緒に行くと申し出てきた。
この申し出にミコトは当然快く了解し、アキナもまた彼女を1人留守番させるのも忍びないと考えて同行を了承。
共に家を出ると外はすっかり陽は落ちて暗くなっており、空に浮かんだ月が仄かに辺りを照らしている。
玄関の施錠を済ませ、他愛無い話をしながら前を歩くヒカリとミコトをアキナが少し離れて歩いていると、不意にヒカリが振り返って「ちょっと寄り道していこうよ!」と声をかけてくる。
これまた唐突な妹の提案にアキナは苦笑いを溢しつつミコトに視線を向けてみると、彼女は笑顔で頷いてきた。
アキナはやはり自分は妹に少々甘いなと思いつつもヒカリの提案を受け入れた。
そうして3人が出向いたのは、アキナが考え方があるとよく訪れる海岸。
月光に照らされキラキラと仄かに輝く水面は波打つ度に幻想的に揺らめいており、見上げた夜空には星が煌めいていた。
「わぁ。すっごい綺麗!」
ヒカリが歓喜の声を上げて砂浜に駆け出していき
「ヒカリ、薄暗いんだから海に近付くと危ないぞ」
「わかってるよー!」
アキナの言葉にヒカリは振り返ってそう言うとステップを踏み始めた。
近くにあるベンチにミコトと共に座り、砂浜で上機嫌にはしゃいでいる妹を眺めながら
「ふふ。ヒカリちゃん、楽しそうですね」
「そうだなぁ」
ミコトの言葉にアキナが頷いて返すと、彼女はアキナに視線を向け
「先輩、今日は一緒に料理出来て楽しかったです」
「うん、俺も楽しかった。手際も良かったし、グラタンも本当に美味しかったよ」
「そう言ってもらえて嬉しいです。でも、先輩やナオさんと比べると私なんてまだまだですよ。それにヒカリちゃんも一緒だったので」
「そんな事ないよ。君は努力家だしこういうのは慣れだから、続けてればすぐに上達していくって」
彼から返ってきた言葉にミコトが苦笑い気味にそう言うと、アキナは小さく微笑んで言う。
その言葉にミコトは嬉しそうにはにかんで見せた。
アキナも笑みで応えた後一度目を伏せ、改めて彼女に視線を向け
「ミコト、いつもヒカリと仲良くしてくれてありがとう」
「急に改まって、どうしたんですかアキナ先輩?」
唐突に出てきた言葉に、ミコトは疑問符を浮かべて返す。
「いや、ヒカリが家族以外で無邪気に懐いてるのは君が初めてだから」
彼女の問いかけに答え、アキナは月の灯で仄かに煌めく海を楽しそうに眺めているヒカリに目を向けながら
「うちってさ、俺達が小さい頃に両親が離婚してて、まだまだヒカリが甘えたい盛りの時に母さんが出ていっちゃったから、口にはしてこなかったけどきっと寂しかったんだと思う。父さんは仕事で帰らない事が当たり前だし、俺に甘えてくれない訳じゃないけど、それでも俺は母さんの代わりにはなれないから……」
少し寂しげな表情をしながらアキナは言葉を紡いだ。
アキナの言う通り、彼等が幼い頃に母親は出ていってしまっている。
まだまだ甘えたいはずだった彼女からすれば、突然母親が居なくなってしまった事に対して深い寂しさを感じていたのは間違いないだろう。
「もちろん、同性の友達がいない訳じゃないけど、ヒカリがあんなに無防備に甘えてるのは君にだけなんだ。それが俺には本当に嬉しくて。だから、ありがとうミコト。迷惑じゃなければ、これからもヒカリを甘えさせてあげてほしい」
少し申し訳なさげな表情で言うアキナに対し、ミコトは何度か瞬きした後クスリと笑い
「迷惑だなんて思いませんよ? ヒカリちゃんは私の
一度区切って彼の手に自身の手を重ね
「将来は私の『義妹』に、『家族』になる予定なんですから────ね?」
「ミコト────」
頬を赤く染め、翡翠の瞳に彼を映しながらミコトは言葉を紡いだ。
月光で照らされた彼女の微笑みと重なった手から伝わる温もり、そして何より彼女の言葉にアキナは胸の奥が脈打ち温かくなっていくのを感じていく。
「───違いますか?」
上目遣いで見つめながら問うミコトにアキナは重ねられた彼女の手に自身の指を絡ませてキュッと握り
「違わないよ」
とびっきりの優しい微笑みを向けながらそう返すと、ミコトは嬉しそうに目を細めてはにかみ笑顔を見せた。
甘い雰囲気を醸し出しながら互いに見つめあっていた2人だったが、ふと何処かから視線を感じた為、見つめ合うのをやめて視線を向けてみると
「あ、もう終わりなの?」
いつの間にかしゃがみ込んで彼等を凝視しているヒカリの姿が目に映り
『うわぁ!?』
驚いた2人は繋いでいた手を離して素っ頓狂な声を上げてしまう。
「ヒカリ!? お前、なにやってるんだよ?!」
「えー? だっていつの間にかラブラブな雰囲気になってたから。ホントは写真に収めたかったけどフラッシュでバレちゃうし、せめてこの目に焼き付けとこう思って」
アキナの問いにヒカリは立ち上がりながら答えた。
その表情はこれでもかというほどに清々しいドヤ顔だ。
まったく悪びれる様子のない妹にアキナは呆れたようにため息を吐くと
「まったく……結構遅くなったし、そろそろミコトさんを送っていかないと。もう充分満足しただろ?」
「はーい!」
彼の言葉にヒカリが元気よく返事をすると、アキナは「やれやれ」といった感じで肩を竦めながらベンチから立ち上がり、次いでミコトも立ち上がる。
するとヒカリが立ち上がったミコトに目を向け
「ねぇ、みーたん。バス停まで手を繋いでもいい?」
そう問いかけてきた。
彼女の可愛らしい頼みにミコトは優しい微笑みを浮かべながら
「もちろんいいよ」
そういって左手を差し出し、ヒカリの右手を優しく握る。
「ありがとう、みーたん。ほら、お兄ちゃんも!」
お礼の言葉をミコトに告げると、今度はアキナに目を向けそう言って自身の左手を差し出した。
まさか自分にも要求が向いてくると思ってなかったアキナは一瞬呆気に取られるも
「しょうがないな。ほら」
苦笑いを浮かべた後、アキナは差し出された左手に自身の右手を重ねて優しく握った。
「えへへ」
アキナとミコト、2人からそれぞれ繋がれている手をキュッと握り返しながらヒカリが心の底から嬉しそうな笑顔を浮かべると、釣られたように2人からも幸せそうな笑みが溢れていった。
そうして3人は手を繋いだまま海辺を後にして歩き出す。
空に浮かぶ月の灯りに照らされながら、他愛無い会話に花を咲かせ3人は仲睦まじく帰路に着いていったのだった。
明導兄弟とミコトちゃんがわちゃわちゃほのぼのしてるのが好きなのでぇ
どんな話を書いてほしい?
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ほのぼのした話
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甘くイチャつく話
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アキミコ以外の話
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ファイト話