例によって妄想と空想と幻想強め。それでもいいって方はスタンドアップでどうぞ〜
その日、明導ヒカリは1人でカードショップを訪れていた。
大抵は兄である明導アキナと共に来る事が多いのだが本日は予定があるとの事だった。
だが彼女にはおおよその察しがついている。
「……今頃みーたんと一緒なんだろうなぁ」
『みーたん』こと西塔ミコト─────彼女と2人で一緒いる時間を作ったのだろう。
アキナとミコトは周囲には秘密で交際をしている。
しかし、彼らは隠せているつもりなのだろうが2人の互いを想い合う熱量はとても高い。
気付けば視線を送り合っていたり、会話をする時もとにかく距離が近い。
纏う雰囲気はとにかく甘く、兄のバイト先の先輩である員弁ナオも『ブラックコーヒーが手放せない』と言うほどだ。
そんな2人の関係に気付かない方が無理というものである。
つい先日、痺れを切らしてその事を指摘してようやく2人が自分達にその関係を打ち明けてくれたのは記憶に新しい。
なんにせよ兄の事もミコトの事も大好きなヒカリとしては、このまま2人の関係が上手く進んで幸せになってくれればとも思ってはいるのだが。
一頻りショーケースを見た後、チラリとレジカウンターを見る。
奥では店員であるメグミがリストチェックを行なっており、とてもじゃないがファイトの相手を頼める様子ではない。
仕方がないのでパックをいくつか購入して帰ろうかと考えレジに向かおうとしたその時だった。
自動ドアが開き、来店を告げる音が鳴る。
「いらっしゃい」
メグミはリストから来店客へと視線を移し、次いでヒカリも視線を向けるとそこにいたのは兄と同じ学校の制服を纏ったやや小柄な少年だった。
「珍しいね、呼続くん1人?」
「ああ」
メグミに問われた少年─────呼続スオウは短くそう返すとシングルカードが展示されているショーケースへと目を向ける。
呼続スオウ────最近友人になったという兄の同級生だ。
紹介された時の彼に対するヒカリの第一印象は『不思議な人』。
あまり表情が変化せず、自分から喋る事は殆どない。
兄とファイトする時は表情はあまり変わらずとも活き活きした様子を見せるがそれ以外はどうにも無気力なように感じている。
掴みどころがない、それがヒカリの彼に対する印象。
(悪い人じゃないんだろうけど……)
ダークステイツのシングルカードが並ぶショーケースを眺めているスオウの横顔を眺めながらヒカリは思考を巡らせる。
すると彼女の視線に気付いたのか、スオウはショーケースからヒカリへと視線を向けた。
見ていた事に気付かれたヒカリは
「す、すみません!」
と、咄嗟に頭を下げて謝る。
しかしスオウは全く気にする様子もなく
「お前は……アキナの妹か」
そう返してきた。
てっきり凝視していた事を咎められるかと思っていたヒカリは拍子抜けするもすぐに頷いて
「は、はい。明導ヒカリです。何度か会ってます……よね?」
最後に疑問符を付けながら返した。
「ああ、覚えている」
ヒカリの言葉にスオウは短く返すと再びショーケースへと目を向ける。
次の言葉を待つが何も返ってこず、スオウはただただショーケースを眺めているだけだった。
(会話が続かない! 助けてお兄ちゃん!)
心の中で兄にヘルプを求めるも届くはずもなく、ただひたすら沈黙が彼女らを取り巻いている。
どうするべきか頭の中で思考をフル回転するヒカリ。
そこでふとある事を思い付いた。
「あ、あの! 呼続さん!」
呼ばれたスオウは無言で再びヒカリに視線を向ける。
言い淀むも意を決してヒカリはスオウに
「よかったら私とファイトしませんか?」
鞄から取り出したデッキを見せてそう言った。
「ファイト? オレと?」
表情を変えないままスオウは問い返す。
ヒカリはコクリと頷いて
「お兄ちゃんもみーたんも今日は用事があって私、ファイトする相手がいなくて。もし、呼続さんが良ければ……なんです……けど」
尻込みしながらも彼女は申し出てくる。
しばしの沈黙。
やがてスオウは自分の鞄からデッキを取り出し
「わかった。やろう」
そう言ってファイトスペースへと歩き出した。
まさか申し出を受けてくれるとは思ってなかったヒカリは呆気に取られるものすぐに首を左右に振り
「は、はい! やりましょう!」
スオウの後を追いファイトスペースへ向かっていった。
「イヴォーク・アルケミストでブースト、ブラグドマイヤーでグラムグレイズにアタック。アタック時、スキル発動。ソウルから4枚を裏でバインドし1枚ドロー。相手はリアガードを2枚選んで裏でバインドする。自身のバインドゾーンの裏のカード2枚につきこのターン中ブラグドマイヤーのパワープラス5000。裏のカードは8枚。よってパワープラス20000。さらにアルケミストのスキル発動。自身にパワープラス2000しカウンターブラスト1でリアガードを1枚選んでスタンドさせる。ザムーグを選択。さらにバインドゾーンの裏のカードが8枚以上なのでザムーグにパワープラス15000」
「ええ?! えーっとペルソナライドもしてるから13000+10000+20000で43000の、イヴォーク・アルケミストの15000ブーストを足したら……58000?!? 打点高すぎますよぉ! あとバインドするのはダヴンとキュブネルガで!」
向かいあうスオウのブラグドマイヤーから繰り出される強力なスキルにより盤面を削られ、さらには高打点を叩き出されたヒカリは悲鳴を上げながら自身の手札を見た。
ヒカリの手札は5枚。
完全ガードのパラディウムが1枚とクリティカルのしゔぁるみゃーが1枚とヒールトリガーのアラウヌスが2枚、超トリガーであるアマルティノア。
そして現在のダメージは4。
流石にこのダメージ数でヴァンガードの攻撃をノーガード宣言は出来ないと判断したヒカリは躊躇なくパラディウムに手を伸ばす。
だがそれは叶わない。
「ディヴァインスキル発動。バインドゾーンの裏のカードが8枚以上ならブラグドマイヤーがアタックしたガードステップ開始時にクリティカルをプラス1。相手はこのターン中完全ガードを使用出来ず、さらに相手ターン終了まで相手と相手のヴァンガードの能力を全て無効にする」
「えええ?!? なんなんですかそのスキル?!! 完全ガードが使えないってそんなぁ!」
発動した零のディヴァインスキルが彼女の防御をさらに難しいものに変えてしまったからだ。
現在ブラグドマイヤーのパワーはブーストを含めて58000。
さらに左右にはザムーグが2体、うち一体はアルケミストのスキルでスタンドしペルソナライド効果も含めてパワーが35000まで上昇している。
どちらも後列リアガードがいないがトリガー効果でクリティカルが乗らなければ自身のスキルでさらにパワーを5000とクリティカルを 1プラスしてくるのが確定している状態だ。
ブラグドマイヤーの攻撃に全力ガードすれば間違いなく次の攻撃は受けなければならない。
悩みに悩んだ末ヒカリは
「アマルティノアでガード!!」
シールド値50000のアマルティノアをガーディアンサークルにコールした。
これで合計パワーは63000。
「それでいいのか? トリガー1枚で貫通するぞ?」
「こうしないとガード値が足りないんですよぉ! もうトリガーが出ない事に賭けるしかないです!」
「そうか。ツインドライブ。ファーストチェック───ノートリガー」
捲れたのはイヴォーク・アルケミスト。
トリガーでなかった事にヒカリは一瞬安堵するものすぐに気を引き締める。
まだ2回目のチェックが残っているからだ。
「セカンドチェック───────ステムディヴィエイト、クリティカルトリガー。効果は全てブラグドマイヤーへ」
「嘘ー!?!」
捲れたのはステムディヴィエイト・ドラゴン。
クリティカルトリガーの効果は全てブラグドマイヤーへと与えられ、そのパワーは68000まで上昇。
グラムグレイズの63000を上回りその攻撃はガードを貫通するのに成功した。
さらにはクリティカル3。
完全なオーバーキルである。
「零に、還れ」
「うぅー。ダメージチェック……1枚目─────ノートリガー。2枚目──────グラムグレイズ……ノートリガーです……」
ダメージ5枚目はダヴンが捲れ、最後にはグラムグレイズが捲れてヒカリのダメージは6となった。
スオウの勝ちである。
「わぁぁぁん! 呼続さん強すぎですよぉ!」
「そんな事はないぞ」
「そんな事ありますよ! うー。悔しいからもう一回! もう一回ファイトしてください!!」
「わかった、やろう」
負けたのが余程悔しかったのだろう。
ヒカリはデッキをまとめ直してシャッフルしてスオウに申し出ると、彼は短く了解の返事を返して同様にデッキを纏め直しシャッフルする。
再びファーストヴァンガードをセットし
『スタンドアップ! ヴァンガード!!』
掛け声と同時にファーストヴァンガードを表返した。
「うぅ……5戦全敗……呼続さん強すぎる……」
結局あれからもう4連戦追加でファイトしたが結果はヒカリの連敗。
善戦はしたものの一歩及ばずといった処である。
「そうか? お前も強かったぞ明導ヒカリ」
デッキを纏め直しながらスオウは言った。
「はぁ……。でも楽しかったぁ。えっと今何時かな……え?!19時?!」
同じようにヒカリもデッキを纏め直した後、自身のスマートフォンで時刻を確認。
デジタル時計はすでに19時を回っており店の外も暗くなってきていた。
「わわっ、もう帰らないとお兄ちゃんが心配しちゃう!」
ヒカリは慌ててデッキを片付けて鞄に仕舞い込むと
「呼続さん、私そろそろ帰ります。ファイト楽しかったです」
そう言ってペコリと頭を下げた。
「そうか。なら行こう」
スオウはいつの間にかデッキを片付け鞄を手にしていた。
「はい。って……行こう?」
スオウの言葉にヒカリは少々間の抜けた表情で彼を見る。
「送っていく」
「え? いや、大丈夫ですよ。1人で帰れますから……」
彼からの思いもよらない申し出にヒカリは遠慮がちに返すが
「ダメだ。アキナが心配する」
そう言ってスオウは譲ろうとしなかった。
ヒカリは微妙な表情になりながらも
「お兄ちゃん基準なんですね……じゃぁ、お言葉に甘えます……」
スオウの申し出を受ける事にし、2人はレジにいるメグミに挨拶をしてから店を出た。
バスに乗り、十数分先にあるバス乗り場で降りた2人は明導家までの道のりを会話なく歩いていく。
元々スオウは寡黙であり、ヒカリとしてもあまり接点の無い彼相手にどう話題を切り出していいのかわからないのである。
(ど、どうしよう……沈黙が重い……ここは当たり障りのない話題で切り抜けるしか……)
自宅まではまだ距離がある。
それを沈黙のまま歩くのはどうしても耐えられそうにない。
思考を巡らせヒカリは一度息を吐き
「あの、呼続さんの家もこっちの方なんですか?」
訊ねる。
「いや、反対方向だ」
問いに対してスオウは短く返す。
「え? ならどうして送ってくれるんですか?」
「言っただろう。アキナが心配する」
「そ、そうですか……」
返ってくる言葉にヒカリはますます彼の事が理解出来ない。
(本当によくわからない人……そういえば私、呼続さんの事なんにも知らないんだよなぁ……この際だから色々聞いてみようかな)
こうなったらいっその事色々聞いて彼の事を知ってみようとヒカリは考える。
とりあえず無難だと思う質問を考え投げかけてみた。
「呼続さんって兄弟はいるんですか?」
「いない」
「じゃ、じゃあお母さんとお父さんの3人だけなんですか?」
そう訊ねるとスオウは立ち止まる。
次いでヒカリも立ち止まり疑問符を浮かべて彼を見た。
「両親は……いない。列車事故で─────死んだ」
「─────え?」
返ってきた言葉はヒカリが予想していたモノとは大きく違っていた。
「アキナから聞いてないのか?」
「は、はい……」
淡々と返してくるスオウにヒカリは狼狽えながら頷いた。
兄からはそんな話は一言もされていない。
ただ『わかりにくいけど、いい奴だから仲良くしてやってくれな』としか言われていない。
当たり障りのない、一般的な質問をしたつもりがまさかとんでもない地雷だったとは思いもよらなかった。
ただ、少しでも兄の友人である彼を知ってみたいと思っての話題だった。
どう言葉を発していいか迷っていると
「なんで、泣いている?」
「え?……あ……」
スオウに指摘され、自身の頬を涙が伝っている事に気が付いた。
拭っても拭っても止まらずポロポロと溢れていく。
「────ごめんなさい」
次いで出たのは謝罪の言葉。
ヒカリの両親は離婚しているが健在だ。
母は幼い頃に居なくなり、父は仕事に追われて家にいる事の方が珍しい。
しかしそれでも自分には兄が、アキナがいてくれた。
今でこそ不調になる事はないが入退院を繰り返していた頃も兄が毎日のように見舞いに来てくれていたから寂しさは殆ど感じなかった。
けれど、彼は違う。
拠り所となるはずの両親との死別は、彼にどれほどの傷を負わせたのか想像に難くない。
知らなかったでは済まされない。
だが彼女には謝る以外にどうすればいいかわからない。
「何故謝る?」
「だって……私……知らなくて……でも、そんなの……言い訳に、ならないから……ごめんなさい……ごめ、なさ、い……」
嗚咽を堪えながらスオウに謝罪を繰り返すヒカリ。
そんな彼女にスオウは黙って歩み寄り手を伸ばす。
「泣くな」
短くそう言い、彼女の頬を伝う涙を自身の指で拭った。
「お前が泣けば、アキナが悲しむ」
言いながらスオウは尚も彼女の涙を拭い続ける。
そうしながら、彼は少しづつ語り出した。
列車事故の事。
今は叔父と2人暮らしをしている事。
両親を喪って以来、一部の記憶が無くなり破滅願望を抱いていた事。
そして、そんな暗闇からアキナが救い上げてくれた事を。
「両親を喪った事は、今でも悲しい。記憶も、まだ思い出せない事が多い。けど、全てが無意味だと、何もないと思っていたオレにアイツが、アキナが教えてくれた。『意味の無い事なんて無い』と手を、伸ばし続けてくれたんだ」
語るその表情は穏やかで、心の底からアキナヘの信頼を感じさせている。
「今、オレがここにいるのもアキナがそうしたくれたからだ。だからお前が泣く必要は無い。謝る事もしなくていい。お前が泣いていたら、アキナが悲しんでしまうからな」
言いながらスオウは僅かに微笑む。
月明かりに照らされたその微笑みに、ヒカリは思わず見惚れててしまう。
いつの間にか涙は止まっていて、それに気付いたスオウは拭うのを止めた。
表情もいつもの無表情に戻り
「行くぞ、明導ヒカリ」
そう言って彼女の手を取った。
「あ……はい……」
彼女が頷いたのを確認するとスオウは歩き出し、手を引かれながらヒカリも後をついて行く。
(私……辛い事思い出させたはずなのに……知らなかったなんて言い訳にもならないのに……)
彼の姿を見ながら思考を巡らせるヒカリ。
繋がれた手からはジワリと彼の熱が伝わってくる。
握る手は自分の手よりも大きくて、何処か安心感さえ覚えるヒカリ。
(手……温かい……お兄ちゃんとは全然違う……でも、この人も────優しい人なんだ)
そうして思考を巡らせているといつの間にか自宅付近まで辿り着いていた。
「……送ってくれてありがとうございました。あの、よかったら寄っていきませんか? お兄ちゃんももう帰ってるだろうし、送ってくれたお礼とさっきのお詫びもしたいし……」
「いや、いい。オレも帰らないと叔父さんが心配する」
申し出るもスオウはそう言って断った。
「そう、ですか……」
なんとなく彼は断るだろうと思っていたが、いざ断られると少し寂しいものがあるとヒカリは感じた。
残念そうに俯いていると
「もう、泣いてないな?」
「え? あ、はい……」
スオウに問われたので驚きながら返事をするヒカリ。
「お前は、笑っていた方がいい。さっきのファイトの時のように」
「……お兄ちゃんが喜ぶからですか?」
彼の言葉に、ヒカリは少し意地の悪い返し方をしてみる。
しかしスオウは言葉を詰まらせる事なく
「ああ」
と、短く返した。
あまりにも予想通りの返答でヒカリは思わず笑いそうになった。
が、言葉はまだ続いていて
「オレも、お前は笑っている方がいいと思う、明導ヒカリ」
言いながら小さく微笑んだ。
「あ─────」
再び見せた彼の微笑みに、顔に熱が集中するのを感じるヒカリ。
スオウは帰路に着く為に背を向けた。
呆けていた思考が回り始めたヒカリは
「あ、あの!」
彼を呼び止める。
スオウは振り返って彼女を見た。
ヒカリは一呼吸おいて
「私の事、フルネームじゃなくて下の名前で呼んでください! 私もスオウさんって呼びますから!」
そう告げる。
「……わかった、ヒカリ」
少しの間をおいて、スオウは短くそう返した。
そして再び背を向けて歩き出す。
姿が見えなくなるまで彼を見送り、ヒカリは小さく息を吐いた。
玄関のドアを開けて中に入り
「ただいま」
「おかえり、ヒカリ。遅かったな?」
奥から出てきたアキナが声をかけてきた。
「ショップに寄ってたの。スオウさんとファイトしてたら遅くなっちゃって、スオウさんに送ってもらったの」
「そっか。……ん? スオウ? スオウとファイトしてたのか? って言うか送ってもらったって……スオウは帰ったのか?」
「うん。スオウさんって強いんだね? 私、5連敗しちゃったよ」
何処か楽しそうに言うヒカリ。
アキナは不思議そうな表情で
「そうか……て言うかヒカリ、お前いつからスオウの事下の名前で呼ぶようになったんだ?」
「んー。ナイショ!」
問いかけるもヒカリはそう言ってはぐらかした。
靴を脱いで自分の部屋に歩いて行くヒカリを見てアキナはただ疑問符を浮かべている。
一方、自室に入ったヒカリは鞄をおいてベッドへと倒れ込んだ。
そのまま目を閉じて彼を────スオウの事を考える。
─────ヒカリ。
名前を呼んでくれた事を思い出した瞬間、再び顔に熱が集中していくのを感じるヒカリ。
赤面している顔を隠すように枕へと顔を埋めながら
(スオウさん……スオウさん……もっとあの人の事、知りたいなぁ)
そう思考を巡らせるのだった。
「うーん……」
「アキナ先輩?」
いつものように噛み合った時間をミコトと共有する為に訪れている空き教室にて、アキナは難しい顔で唸っていた。
その様子を、これまたいつものように彼にハグしてもらっているミコトは疑問符を浮かべて声をかける。
しかし彼は気付く様子もなく未だに唸ったままだ。
「アキナ先輩!」
「え? あ、ごめん。なに?」
ようやく気付いたアキナは彼女視線を移した。
視界に映るミコトは少々頬を膨らませている。
「せっかくの2人の時間なのに、上の空なんて酷いです」
「ごめんごめん。ちょっと気になる事があって……」
「気になる事、ですか?」
一体なんなのだろうと再びミコト疑問符を浮かべながら問うと
「いや、最近ヒカリがさ……やたらスオウの話ばっかりしてくるんだ。仲良くしてくれるのはいいんだけど……とにかく口を開けばスオウの事なんだよなぁ……」
そう返してきた。
彼女がスオウに送られて帰宅したあの日以来、ヒカリは何かというとスオウの話をするようになった。
いつの間にかSNSアドレスも交換しておりよくメッセージをしているのを見る。
さらにはアキナに『スオウさんって学校ではどんな感じなの?』と彼に関する質問も増えていた。
未来から来た彼女は彼が原因で兄を失った為嫌っていたが、この時代ではその未来を覆している。
故にヒカリがスオウを嫌う理由は微塵もないし、仲良くしてくれるならそれは良い事─────なのだが兄としてはやはり複雑なのだろう。
「そうなんですかー……」
彼の話を聞いたミコトは微妙な苦笑いを零している。
実はつい先日、彼女はヒカリからある相談を持ちかけられていた事を思い出していた。
『ねぇみーたん。最近ね、私変なの。スオウさんの事考えると、顔が熱くなるの。名前を呼んでもらうとね、胸の辺りがきゅーってなるんだぁ。私、おかしくなっちゃたのかなぁ……?」
そう語る彼女の顔は完全に恋する乙女のソレであった。
ミコトとしてはヒカリが意外な人物に対して異性への好意を抱いた事に驚きはしたが喜ばしい事であるのは変わらないので『変じゃないよ』と言葉をかけている。
しかしながらもしこの事をアキナが知ったらどうなるだろうとも考える。
彼は妹想いだ。
今でこそ健康だが病弱であった彼女を何より最優先に考え自分自身の事などお構いなしに行動するほどであるのだからシスコンと言っても過言ではないだろう。
現に今もヒカリがスオウとの距離が近づいている事に複雑な感情を抱いている。
(これは言えない……ヒカリちゃんが呼続先輩に恋してるなんて……言ったらアキナ先輩色んな意味で壊れちゃいそうだし)
知れば間違いなく祝福しつつも兄離れしていく事に寂しさを感じて涙する可能性が多いに高い。
「ミコト?」
「え? あ、なんでもないですよ!」
複雑な表情をしている彼女に気付いたアキナが呼びかけると、ミコトはなんでもないと首を振った。
それを
未来から来たヒカリちゃんはスオウが原因でアキナを喪ったので彼を嫌ってるけど運命を覆してる状態なら嫌う理由はないし、宿命決戦とかなければこんな話になってもアリなのでは?って気持ちで書いたのです
イメージするのは常に最強の萌と尊みである
どんな話を書いてほしい?
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ほのぼのした話
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甘くイチャつく話
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アキミコ以外の話
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ファイト話