相も変わらすアキナ×ミコトで付き合ってる設定。
妄想と空想と幻想がさらに強くなってますです。
それでもバッチ来い!って方はスタンドアップでどうぞ~
日曜の昼下がり。
少年はとある喫茶店を訪れていた。
彼の目の前にはもう1人、青年が座っており注文したコーヒーを飲んでいる。
嚥下し、カップをソーサーに置いて
「で、アキナくん。相談ってなんだい?」
青年は目の前の少年──────明導アキナに目を向けて問いかけた。
「でもその前に、急に連絡したりしてすみませんタイゾウさん」
「ちょうど仕事は一区切り付いていたからね。というか、働き過ぎだから少し休めって追い出されたばかりだったから気にしなくていいさ。それで改めて聞くけど、相談ってなんだい?」
アキナの言葉に青年──────清蔵タイゾウは笑いながら応えると、改めて彼に問いかけてきた。
「実は……西塔さんの誕生日の事なんですけど」
「ああ、次の土曜日にミニパーティをする予定だったかな。ちゃんとその日は空けてあるよ。それと、共同のプレゼントもキチンと確保してあるから安心してくれ」
「そうですか。いや、そのプレゼントなんですけど……俺からも個人的に贈りたいと思ってるんです。けど俺、女の子にそういうの贈った事がないので……タイゾウさんなら詳しいんじゃないかな、と」
「なるほどね」
アキナの言葉を聞いてタイゾウは納得した表情をする。
西塔ミコト────万化の運命者カードの所持者にして、現在アキナと交際をしている少女だ。
そのミコトは今月が誕生日であり、それを知ったナオの提案により身内でミニパーティを開く事が決まっている。
さらには共同でプレゼントを用意する事になっており、このプレゼントに関してはタイゾウが品物を探し出して購入する役目を担い、つい先日確保する事に成功している状態だ。
しかしアキナは個人でも彼女に何かプレゼントを贈れたらと考えていた。
つい先日、彼はミコトの事を大事にしすぎた結果、逆に不安を抱かせ泣かせてしまっており、それ以降からはアキナは言葉でも行動でも彼女に対する好意を示している。
今回の相談もその為のものだろう。
だが女性との交際経験はミコトが初めてである彼にとってプレゼント選びはとにかくハードルが高い。
そこでアキナはタイゾウならこういう事に詳しいのでは? と考え相談を持ちかけたのである。
「確かに大切な恋人に何かを贈ってあげたいっていうのは、男なら誰しも考えるだろうね。そういう事なら協力しよう。だが、1つ条件がある」
「条件……ですか?」
タイゾウの言葉にアキナは息を呑む。
数秒の沈黙の後、タイゾウはニッと笑って
「今度息抜きのファイトに付き合ってくれ。それが条件だ」
「! はい、もちろんです! ありがとうございます、タイゾウさん!」
提示してきた条件にアキナは笑って了承、改めて彼に礼の言葉を返した。
「さて本題だが、アキナくんは彼女に送るなら形に残るものにしたいと考えてるって事でいいかな?」
「そう考えてます」
質問に対する彼の返答を聞き、タイゾウは少し考える素振りを見せ
「なら、やはりアクセサリー系が妥当かな。特に普段から身に着けれそうなモノなら嵩張らないだろうね」
そう返す。
「アクセサリーですか……」
「まぁ一口にアクセサリーと言っても簡単には決まらないだろうね。なら、実物を見て決めるのが1番いい。行こうか、アキナくん」
腕組みしながら唸っているアキナにタイゾウは苦笑いをした後、言いながら伝票を手に取って席を立った。
「行くって、何処へですか?」
疑問符を浮かべるアキナに、彼は手に持った伝票をヒラヒラと振りながらニッと笑って
「もちろん、ショッピングモールさ」
そう返した。
2人分のコーヒーの代金を支払ったタイゾウはアキナと共に喫茶店を出る。
そのまま彼を自家用車に乗せ移動すること十数分。
モール型のショッピングセンターへと辿り着き、彼らはモール内にあるアクセサリー店の一つへと足を運んだ。
店内にはあらゆる装飾が並べらており、札にはとてもではないが口に出せない価格のものがチラホラ見えている。
その中の一つが視界に入ったアキナはなんの気無しに0の数を数え、直後に青ざめた。
「タイゾウさん、来るところ間違えてませんか?」
「ははは、間違ってないよ。もう少し奥に一般向けのコーナーがあるからね」
それを聞いたアキナは安堵のため息を吐き、タイゾウと共に店内の奥にある一般向けのコーナーへと足を運ぶ。
陳列棚には様々アクセサリーが並んでおり、アキナは1種類ずつ吟味していく。
しかし見れば見るほど何を選べばいいのかわからなくなってきたようで、難しい顔をしながら唸っている。
その様子を見ているタイゾウは苦笑いを浮かべ
「そういえば彼女、普段髪は結わずにストレートだが学校では結ってるんじゃないかい?」
そう問いかけた。
タイゾウは運命大戦時、アキナの妹であるヒカリのお見舞いにきた時に一度だけミコトの制服姿を見たことがある。
私服姿との違いを指摘する事で、こんがらがっている彼の思考を解きほぐそうというのだろう。
「そうですね、髪はいつもリボンで結ってて……あっ!」
そこまで言ってアキナは何かに気付き、陳列棚の一角へ足を向ける。
向かったのはヘアアクセサリーが陳列した棚だ。
多種多様なアクセサリーが並ぶ中、アキナはその内の一つを手に取った。
「それはバレッタだね」
バレッタとは髪を挟む為の金具に様々な装飾が施されたヘアアクセサリーの一種であり、状況に応じて様々なヘアアレンジが可能なアクセサリーだ。
彼が選んだバレッタには桜色のリボンが装飾として施されている。
「これなら普段の生活でも使えると思うので」
言いながら手に持つバレッタを眺める彼の目はとても穏やかだ。
(なるほど。デザインも色も派手過ぎず、それでいて地味過ぎない。いいチョイスだ。けど、もう一押し欲しいところだな……ならば)
そう思考を巡らせた後、タイゾウは徐にスマートフォンを取り出して何かを検索し始めた。
目的の項目を検索し終えると
「アキナくん。どうせなら、もう一つ贈り物を追加してみないか? その為にとっておきの情報を提供しよう」
「情報、ですか?」
ニッと笑ってアキナに声をかけるタイゾウ。
当のアキナは疑問符を浮かべている。
そんな彼に、タイゾウは先程検索をかけた『とっておきの情報』が表示されている自身のスマートフォンの画面を見せてみる。
内容を読み込んだアキナは軽く目を見開き、直後タイゾウへと視線を向けて
「ありがとうございます、タイゾウさん!」
礼の言葉を言い、別の商品が並べられている陳列棚へ向かって歩き出した。
その姿を見ながらタイゾウは
「青春だねぇ」
満足気にそう呟いた。
「みーたん! 誕生日おめでとう!」
迎えたミコトの誕生日当日。
明導家のダイニングに設置されたテーブルの真ん中の席に座り、『本日の主役』と書かれた襷をかけたミコトに向かってヒカリが祝福の言葉を送ると同時にクラッカーの音が鳴り響く。
クラッカーから放たれた紙吹雪が舞うなか、アキナ達からも「おめでとう」と祝福の言葉が送られた。
当のミコトは照れたように笑いながら
「ありがとうヒカリちゃん。アキナ先輩達もありがとうございます」
軽く頭を下げて礼の言葉を告げる。
「さて。これは俺達から共同で、君へ贈る誕生日プレゼントだ」
次いでタイゾウが綺麗に包装された箱をミコトへと差し出した。
それを受け取った彼女は
「ありがとうございます。開けてみていいですか?」
そう問うと
「もっちろん。きっとビックリするよー」
ナオが笑いながら応える。
包装を綺麗に剥がし、箱の蓋を開けてミコトは中身を確認すると、彼女は目を見開いて
「こ、これってリリカルモナステリオモチーフの革製デッキケースじゃないですか?! 限定1000個完全受注生産の超レア物なのによく手に入りましたね??!」
心底驚いた様子で声を上げた。
「いやぁ、苦労したよ手に入れるの。タイゾウさんがね」
「知り合いを当たってみたら2つ持ってる人がいてね。格安で譲ってくれたんだ」
ケラケラと笑いながら言うナオにタイゾウは苦笑いを零しながらそう言った。
「うわぁぁ……ありがとうございますぅぅ。家宝にしますぅぅ」
「家宝にしたらケースの意味を果たさないだろう?」
激レアのデッキケースを抱きしめながら言うミコトに対し、スオウはいつも通りの無表情で辛辣なコメントを口にする。
「さてさて、プレゼントも渡し終えたし。アキくん、料理の準備は出来てる?」
「はい。あとは盛り付けて配膳するだけですよ」
「オッケー、手伝うよ。アキくん特製の料理を堪能した後はミコトちゃんの生誕を祝ってバースデーファイトだよ! 連戦になるから覚悟しといてね、ミコトちゃーん♪」
「で、出来れば休憩を挟んでくれると嬉しいです」
ニンマリと笑いながら言うナオに、冷や汗を流しながら返すミコト。
その様子にアキナ達は思わず笑みを零した。
この後、アキナの得意料理であるシチューとその他諸々の料理が振舞われ、ナオが用意したケーキを皆で堪能し、宣言した通りミコトの生誕を祝してバースデーファイトが行われた。
休憩を挟むことなく連戦を熟し、最後の相手であるヒカリとのファイトを終えてようやく解放されたミコトは疲労困憊といった様子でリビングへと避難する。
ソファに座って一息吐き、視線を向けると今度はヒカリとスオウがファイトを開始しており、ナオとタイゾウが興味深そうに観戦している。
その様子を眺めていると
「お疲れ様」
いつの間にか傍に来ていたアキナが労いの言葉をかけてきた。
彼女の隣に座り、お茶が入った紙カップを差し出すと、ミコトはそれを受け取ってゆっくりと飲んでいく。
飲み終わって空になった紙カップを受け取ったアキナはそれを近くのごみ箱に放り込んだ。
「アキナ先輩、今日はありがとうございます。こんなに楽しい誕生日は初めてですよ」
「そっか。でも、企画したのはナオ先輩だし、俺は料理しただけだからさ。お礼ならナオ先輩に言うといいよ」
「あとでもう一度伝えときます。それと先輩のシチューも美味しかったですよ」
彼の言葉にミコトは笑顔でそう返した。
彼女に釣られ、アキナも自然と笑みが溢れる。
が、すぐに小さく咳払いをして
「あのさ、実は君に渡したい物があるんだ」
告げてあらかじめソファのすぐそばに置いておいた祝いのリボンが付けられた紙袋をミコトへと差し出した。
それを見た彼女はアキナへと目を向けて口を開く。
「これって……でもプレゼントならさっき共同のを貰いましたよ?」
「これは俺が個人的に君に贈りたいと思ってるんだ。受け取ってくれると嬉しい」
「……わかりました。開けても、いいです?」
少し申し訳なさそうにするも、ミコトは素直に彼からの贈り物を受け取り問うと彼は頷いた。
了承を得たミコトは紙袋の中にある物を取り出して見る。
「これ、バレッタですね」
「うん。西塔さん、学校ではいつも髪をリボンで結ってるでしょ? それだったら普段から使えるかなって思ってさ」
桜色のリボンが施されたバレッタをしばし眺め、ミコトはそれを大事そうに自身の抱えながら
「ありがとうございます。コレ、大事に使いますね」
はにかんだ笑顔で感謝を告げる。
その笑顔にアキナも嬉しそうに笑うと
「もう一つ渡す物があるんだ。手、出してくれる?」
言いながら先程とは違い小さな小物用の紙袋を出してくる。
ミコトが言われた通り右手を差し出すと、アキナは小物袋から中身を取り出してソレを彼女の右手にそっと乗せた。
アキナが手を退けると乗せられた物がミコトの視界に映る。
「ノンホールのイヤリング、ですか?」
そう、彼が手渡してきたのはノンホールタイプのイヤリングだ。
留め具から3ミリほどチェーンが伸びており先端には小さな青い石が付けられている至ってシンプルなデザインである。
「この青いのって……もしかしてサファイア?」
「硝子玉のレプリカだけどね」
「ですよね。でも、透き通ってて綺麗……」
掌に乗ったイヤリングをしげしげと眺めながら呟くミコト。
軽く転がす度に青い玉は光を反射して小さな輝きを見せている。
「実はさ、生まれた月にはそれぞれ象徴になる石があるって知ってる?」
「あ、知ってます。誕生石の事ですよね?」
「そうそう。実はこの間知ったばっかりなんだけどね。9月はサファイアがそうなんだ。で、その誕生石にも花と同じように石言葉っていうのがあるんだ」
これこそが、先日タイゾウがアキナに教えたとっておきの情報の正体だ。
生まれた月には必ずそれを象徴する宝石があり、その宝石には花言葉同様に石言葉というものが存在している。
ミコトへの想いを形にして伝えるには最も適した方法だろう。
「石言葉は知らないですね。サファイアはどんな言葉があるんです?」
知らない情報に目を輝かせて問いかけるミコト。
ワクワクした様子の彼女が可愛く思えたアキナは小さく笑った後、石言葉を一つ一つ口にしていく。
「サファイアの石言葉は『誠実』、『徳望』、『愛情』、『慈愛』、そして──────『不変』だよ」
「『不変』……」
アキナが最後に口にしたサファイアの石言葉。
『不変』、それはミコトの持つ運命者カードの象徴である『万化』とは真逆の意味を指している。
『万化』は常に変化することを意味するが、『不変』は永久に変わらないという意味だ。
なぜ彼がこの言葉を最後に、少し間を空けて言ったのかわからないミコトが微妙な表情で疑問符を浮かべていると
「これから先、きっと色々な事があると思うんだ。楽しい事や嬉しい事。だけじゃなくて辛い事や悲しいことも。笑って、泣いて、喧嘩して仲直りして。そうやって色んな事を積み重ねて、少しずつ俺達は変わっていくんだと思う」
アキナは言葉を紡ぎながら、ミコトの右手にあるノンホールイヤリングを手に取り、彼女の艶やかな黒髪を掻き分けて現れた小さな耳にそっと触れた。
瞬間、彼女の身体がピクリと反応し頬が僅かに紅潮するも、アキナは構うことなく
「けど、これから先どんなに変わっていったとしても、俺が君を──────ミコトを好きだって気持ちはずっと変わらない。それだけは不変なんだって伝えたかったんだ」
そう言って彼は手にしていたノンホールイヤリングを彼女の耳に着ける。
耳元で揺れる青い石に指で触れた後、アキナはそっとミコトの頬に手を添え小さく撫でると、彼女は頬を朱に染め彼の手に自身の手を重ねながら
「私も、この先どんなに変わっていっても、アキナ先輩を好きな気持ちは変わらないです」
そう告げる。
「誕生日おめでとうミコト。これからもよろしく」
「はい。こちらこそ、です」
お互いに言葉を紡ぎ微笑み合う。
過ぎ行く時間は彼らに様々な変化を齎ていくのだろう。
けれど一つだけ変わらないものがあるとするならば、それは互いを想い合う心。
揺れる青い石が象徴する言葉通り─────二人の想いは『不変』なのだから。
一方
「うーん。これは完全に俺達の事忘れてるみたいだねぇ」
「いやぁ、見てるだけで血糖値爆上がりですなー。ナオさん今すぐ濃縮コーヒーが飲みたい気分」
「ヒカリ。なんでスマートフォンを構えてるんだ?」
「静かにしてくださいスオウさん。この位置、頃合い、この角度がドンピシャリなので」
リビングで甘い空気を作り上げている二人の事を、仲間たちが微笑まし気に見守っている事にアキナ達が気付くまで数分かかり、盛大な弄りを受ける事になるのは言うまでもないだろう。
本命はバレッタだと思ったか? 残念イヤリングだよ!
因みにサファイヤの石言葉は他にも『忠実』、『真理』、『貞操』、『友情』などが存在します。
更に調べてみたら色合いの変化で他にも石言葉が変わるので結構勉強になりました。
どんな話を書いてほしい?
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ほのぼのした話
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甘くイチャつく話
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アキミコ以外の話
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ファイト話