習作の墓場   作:怪人カニ味噌男

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こういう文体を模索していた。


ソバ屋台

雑多な大通りから少し逸れた路地裏、腹拵えにおまえは一見のソバ屋台の席に付いた。

 

「ソバを」

「あいよ」

おまえは店員に注文を通し、チップを含めた数ドルを渡した。ソバが出されるまでの数分、おまえは路地裏から大通りを観察していた。

 

大通りには無数の人影がある。やくざ、ストリートギャング、ポリ公(おまえは目を逸らした)、サイボーグ。あらゆる種類の人間が闊歩している。まともな類の人間はただの一人もいない。

 

しばらくして、カウンターにソバが置かれた。

「へいお待ち」

 

おまえは出されたソバを見る。

バイオ合成肉が二枚、イミテーション海苔が一枚、ケミカル万能ネギ、ブラックペッパー風味香辛料が少々、それらをソバヌードルが支えている。

珍しく、この店では粉末ワサビの代わりに粉末マスタードがテーブルに置いてある。おまえは少し嫌な気分になったが、文句はなしだ。

 

おまえはまず割り箸を割り、合成肉とソバを啜った。咀噛し、嚥下する。悪くない。値段相応のクオリティーはある。裏を返せばそれ以上のものでもないのだ。

 

おまえは何気なくカウンターを見回す。

客の大半は底辺労働者層だ。

着ている作業着や体中についてるケミカル臭が語っている。彼らはみな一様に同じ境遇にいる仲間同士なのだ。そして、彼らと同じ境遇にある者たちはこの街に溢れかえっている。それがここだ。ここはそういう場所だろう。

 

 

――おまえはソバを食べ終えた。

路地裏を出ようとした時だった。

 

「オイ!」

背後から声をかけられた。振り返るとそこには、見るからにチンピラといった風体のチンピラが立っていた。

男はおまえを睨みつけながら言う。

 

「とりあえずこれ、ワカル?」

チンピラの背後には何人かの仲間。おおよそ六人。

 

「カネ、ワカル?」

チンピラはもう一度、わかりやすく言った。

 

「払うよ」

おまえは答える。

「じゃあちょっと来い」

 

そう言って、チンピラは顎をしゃくって歩き出した。

おまえは黙ってついていくことにした。どうせ暇を持て余していたところだ。

 

たどり着いたのは路地裏のさらに奥深く、人気のないゴミ捨て場の前だった。

チンピラどもはおまえの方を振り向きざまに言う。

「じゃ、財布出しなよ」

 

BLAM!

 

ほぼ同時に、銃声が鳴った。

おまえが財布を取り出すフリをしてシングルアクションを抜き、そのまま引き金を絞ったのだ。

 

1、2、3、4、5、6発。

 

人数分の頭を一瞬でブチ抜き、丁寧にブチ殺した。機械化インプラントもできない野良犬どもだったのか、たった一発でくたばったようだ。ラッキー!

チンピラどもの死体懐を漁った。予想以上にシケてやがる。アンラッキー!

 

おまえは奪った金と粗悪タバコをポケットに入れた。地獄に金はいらない。金は生者のものだ。そしてこれは正当防衛だからノーカウントだ。そうだろ?

おまえは粗悪タバコを安物のライターで点火し、帰路についた。

 

大通りは相変わらずの雑多さだった。

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