スマホの時計を見てからほんのちょっとだけ息を入れなおすみたいにして空の方を眺める。だいぶ前に花が落ち切った桜の木は深い色をした緑色をしてて、電車が通るときはもちろん普通に風が吹いた時も左右に揺れてその音をこっちにも聞かせてくる。でも、それは周囲でバスが走りながら点滅するみたいな音を立ててる時だったり自転車が走る音だったりの間に消されそうになってた。
ただ、私は白い雲が横に引き伸ばされてるみたいになってるのと青空が半々くらいで見えてるだけの光景を、何もせずにスマホを持った片手を下へと伸ばしたまま見上げてる。でも、それも数秒間の間だけしかいられなくて、ほんのわずかに体を前のめりにするような姿勢で駅の改札の方に歩いて行こうとするけど、またそれをゆっくりとペースを落としたのちにまた足を止めた。
それもまたほんの数秒間だけで戻ったら、またさっき空を眺めてた時と同じ場所に戻って息を強く吐く。そしたら、また顔を同じ感じの角度に戻したら肩を落とした感じで目尻も同じみたいにして眺めることになるけど、そっちは太陽が昨日降った雨の光を反射しているのもあって、きらきらと輝いているみたいに見える。
またそっちを見てる状態から視線を下へと向けてそっちの方で操作してるスマホを見つめる。一度口を紡ぎなおすや否や、それを親指だけを使って起動して見るけど、さっき駅前のやつを見た時の様子と全く変化はない。それどころか、前回開いた時と一分しか変わってなかった。それのせいで一回ため息を吐きながら顔を下に向けて。それから力を入れずにかばんをかけてる側の脇を閉めてる。それも数秒間だけで終わらせたのちに、視線をまた横の方へと向けると、顔をほんの少しだけ上に向けた状態できょろきょろしてるなるの様子があって。そっちを見てしばらくの間ただ顔に表情も作れずにずっと見てるだけにしてた。
しばらくしてから顔をほんの少しだけ横に向けながら唇を左右に小さく引っ張るみたいにしてて。鼻からゆっくりと音もなく息を出すみたいに。それからかばんを持ってる手を気づいたら回すみたいにしてた。一度髪を手櫛で整えるのも数回だけやったのちに、もう一回スマホカバーについてる鏡を使ってやり直す。数本だけをつかんでその流れる位置を変えるだけにしておく。
顎を自分の体に近づけるような動作をした後に早歩き気味になるの方に近づいていったら、向こうの方から私に気づいてくれてた。私の方に首だけを向けてた状態から体全体の向きを変えてくれるみたいで。それを見てるだけで自然と足を動かすペースも上がる。
気づけばお互いにただ顔を突き合わせながら見つめあう感じになってて。なるの方から、少しだけ辺りの他の人が話してる声だったりバスの行き来の音の中に消えてなくなりそうな声ではあるけど、私の名前を前と同じに読んでくれて。そのだんだん消えるみたいな声の出し方に私もしばらくただ聞いてるだけにしてた。
それが終わった後、私も相手の名前を呼ぶだけに。その後はお互いに何も言わないままただ見つめあってるだけ。その間周囲に吹く風でなるのスカートだったり髪の毛がほんの少しだけ揺れてるのが見えるし、体も私の方から顔を反らして視線を向けたり向けなかったりを繰り返してる。それだけじゃなくて、両方の手も最初はカバンを握る感じにしてたのを下してたのを、持ち手を持ってるのはそのままに上下に小さく動かしてるみたい。
私も私でそれを見てるだけで顔を少しだけ下に向けた状態で頬を動かす感覚を味わう。顔の向きは同様にしたまま目線をなるの方からたまにそらすために斜め下に向けたりしてる。でも、それも数秒間だけにして、また数秒後にはなるの方を見るみたいにする動きを繰り返す。
お互いに見合ってるだけの時間が過ぎた後に、私の方から、声をかけようとしたけど、すぐにそれはいったん止まっちゃって。最初の一文字だけ出すような感じに。それから少し遅れる感じで続きを出すことになった。
「荷物、大変でしょ? 一回家に戻るの?」
最初は音を持ち上げるみたいに出したのは少しゆっくり目に、そこから先は早口目に進める私の声。それだけしか言えないこっちに対して、なるもすぐに返事する感じでかつ結構早口目に同意してる。それから私の方からまたさっきと同じペースで「行こっか」とだけ言うことになって。それから左右に並ぶ感じのまままっすぐに歩き始めた。
さっきと顔の角度を同じにしたまま私もなるもただ同じペースで歩き始める。なるが自分の体の横で転がしてるキャリーバッグが大きな音を立ててる方に視線を向けると、自然とその持ち手に添えられてる手の方に吸い込まれる。そうすると、いつの間にか膨らんでた頬の形を歯で引っ張るみたいにしながら視線を元の方に戻す。上の唇を下ので押し出すみたいにしながら目を細めてさっきまでと同じ方に顔を向ける。
歩きながらお互いに何も話さないでいる間の隙に、私の方からたまに相手の方を見るみたいにするけど、それも数秒後にはなんだかおでこが気になって反らして、でも、またその数秒後にはもう一回なるの方を見るみたいになる。
何度か口を紡ぎ直すみたいに小さく開けたり閉じたりを繰り返すけど、その隙になるの方を見たら、さっきまで私と同じ感じに顔の向きを下にしてたはずなのに、こっちを見て来てたから視線同士がぶつかってすぐに私の方から明後日の方を見る。でも、そっちの方は今もさっきまでと同じで引っ張ったみたいになってる雲の様子があるくらいで。太陽がその間からほんの一部だけが見えてる感じだった。
「あのね」
しばらく喉が締まったまま顔を上に向けて歩いてたら、なるの方から声を出してて、それに気づいたら、私も足を止めて少しの間だけ止めてたから、喉を強く引き締めた後に振り返る。最初は首だけにしてたけど、また喉を引き締めながら少し離れたところにいるなるの方を見た。
歩道の中でも横断歩道と当たりそうな位置、それが下に下がって行ってる所にちょっと先に進んだ私が立ってるせいで、相手のことは見上げることになる。でも、なるも自分のお腹よりも少し上の辺りに手を持ってきながらも私の方からは視線を逸らしてる。
こっちの後ろ側を走る車はもちろんのこと、それ以外の場所でも人が行き来してる様子だったり線路の上を電車が走る音がするせいもあって、お互いに何も話さないでいる。気づけば、しばらくの間お互いに静かにしてるだけのままただ時間が過ぎてた。
「実はね、お盆の間、お母さんもお父さんもいなくて」
先に沈黙を破ったのはなるの方で、その声を聞くなり私は喉を閉めながら相手の方を大きく開いた目で見つめることにする。喉を一度だけ飲み込むみたいに顎と口を強く締め付けながら見つめる私に対して、なるは少し早口目に何かを言うと、すぐに「もう行こ」とだけ言うと脇を強く締め付けるみたいな姿勢のまま早歩きで私の横を通り過ぎていく。
それから頭を前のめりにして進んでる光景を見てるのか見てないのかしてるこっちは、なるがしばらく進んでる間正面の光景だけを見てるだけにして。後からその後を追いかけるようになった。
波の音が何度も何度も聞いたくらいのペースで行ったり来たりを繰り返してる様子だけを見つめる。周囲は雲がいつの間にか増えてるみたいで、曇って来てた。結果として、辺り全体が灰色になったみたいに見えている。
その中で、私は砂浜と道路の境界になってる、ただコンクリートの場所の上に座り込んで息をしてるのかしてないのかわからない状態でいた。それは口元に当ててるはずの両方の腕も同様。体育座りするみたいに持ち上げた両膝の上にそれらを重ねた形に乗せてて、そのさらに上に鼻が来るk感じにしてた。
ポケットの中に入れっぱなしにしてたスマホが音を鳴らして、それを取ると、なるがよさこい部のグループラインに帰ってきたことを投稿してて、それに返信するみたいな感じでハナもアメリカの写真をあげてる。そんな光景を顔の位置はさっきまでと変えないで両方の親指で操作するみたいにしながら上瞼で目の見えてる範囲を広げながら頬も膨らませるように横へと広げてた。
それが終わってからもスマホをお尻もおいてるアスファルトの上におきっぱにしながら体を前のめりにしてるのに戻す。
でも、目の前にある光景は前から何回も見てた時とほとんど変わらないままで、太陽を浴びないせいで黒っぽく見える中に波で出来た白色の模様が見える。その上に何かが浮かんでることもなければ、ここからだと魚とかの生物も、今日は何もやってないせいで観光客の様子もない。
息を吐きながらだんだんと肩を落っことすみたいにしてる間、足をまっすぐ前に落っことすと、数秒間だけそこで左右に揺れる。それから腕を膝の上に乗っけながらまた体を前のめりにするような体勢に。その間、周囲からは人が通ることもなければ、少し離れたところにある線路に電車が通ることもなくて。当然私が小さく瞬きをしたってそれの音がするわけでもなくて、結果として海以外の音は何もしなかった。
読了ありがとうございました