愛の解剖学 予告編   作:コンテナ店子@コミケ出ます

5 / 5
この予告編も次回で最終回になります


第5話「湯を沸かすほどの熱い愛 前編」

 数か月振りのなるの家の湯船につかったまま顔を上に向けてどこにも行くこともなく湯気がただ伸びていく様子を見上げてる。でも、それに対して辺りからは水滴がたまに落っこちる音が聞こえるくらいで、それも等間隔でずっと床の水溜まりの中に入ってく高い物のまま。それに対してこっちもこっちで何もしないまま、両方の手を縁に乗っけたままただ同じ方を見上げてるだけにしてた。

 

 しばらく浸かったままにしてたからだと思うけど、体がだいぶ火照ってる気がして、頬が膨らんでるみたいな感覚がしてるのはもちろんのこと、お湯の中で少しだけ降り曲がってる両方の足もそうとうに温まってるのを感じる。

 

 口の中から息が溢れると、それがどこかに消えて行ってるみたいな感覚を感じながら目を細めてる。でも、それでも当たりが湯気で覆われてるのがどうにかなるってこともない。ただオレンジ色の灯りが今も付いたままになってて、それがお風呂全体を照らしてた。

 

 でも、ずっと外から聞こえる木が揺れるみたいな音を聞いてるだけにしてたはずなのに、いきなり脱衣所の戸が開かれるレールの音がした途端に、一気に体を小さくするみたいな動きで両腕両足を折り曲げることで自分の体へと限界まで寄せる。

 

 そのままただ息が吸ったり吐いたりしてるのだけを感じながらいたはずだけど、それもすぐに止まって、周囲が静かな状況だけがただ続くみたいに。でも、その間も風呂場の引き戸の向こうに写ってる影が動いてたりそれが止まったりしてるのが隠れることはなくて。もちろん辺りにはずっと湯気が浮かびあがり続けてるのも変わらない。でも、向こうから何か音が聞こえてくることもないから、こっち側の中の水滴がこぼれる音だけが聞こえてきて。それで出来上がった波がこっちの胸元にもぶつかってきてる感覚だけをずっと味わい続けてる。

 

 そんな状態がしばらく続いた後に、ドアが一回だけ揺れて、それからまた顔の向きをそっちと合わせてまっすぐに向けてるだけにしてたら、また数秒間経った後にそこが開いて。顔を私とは違う方に顔を伏せてるままなるがそこに立ってた。

 

 脱衣所とお風呂を隔ててる枠の所が盛り上がってるのもあって、足の辺りだけが隠れてるけど、それ以外の箇所でなるの体で隠れてるのは、自分の両手で上の方だけを持ってるタオルだけ。それを見てるだけで喉が締め付けられる感覚だけを味わう。相手の手に入れられてる力が少し強くなるたびにそれが体を隠してる範囲がほんの少しだけ狭まってて、しわが盛り上がるような所だけが良く見える。

 

 向こう側の灯りは私の所違って白い色をしてるせいで、なるの体も同じ色に染まってるみたい。ずっと顔は同じ方を向いてるはずなのに、目線は何度行ったり来たりを繰り返してて、その度に私の方を見て来てる。

 

 だけど、こっちもこっちで何かが出来る訳でもなくて、ただなるが立ってる様子を見つめることになった。その数秒後に、向こうの方から脇を閉める感じで両方の腕を自分の体に合わせながら声を出した。

 

「ヤヤちゃん……」

 

 息と間違えてしまいそうなそのわずかな声に対して、私も何も言わないままになってて。向こうもそれと同じように一度静かになってた。いつの間にか外で揺れてた木の様子だったりもいつの間に聞こえなくなってて。ただ互いを覆うようなわずかな湯気の様子だけが辺りを支配してる。脱衣所のドアも閉められてるせいで、湯気はどこにも行く場所がなくてこの場所の中で立ち込めてるみたい。

 

 そんな中でなるは顔を下に向けたままいて、私も目のやり場をどうしていいのかわからないと思いながらもシャワーや鏡の方に向けつつ相手の方にも向けてて。様々な場所を向こうの様子も含めて見てる。

 

 そんな中で、相手は普段は縛ってる髪の毛を全部降ろしてるしかもだけど、普段よりも背が伸びて見えてた。

 

「いきなり、ごめんね」

 

 そう言ってから、枠の上を乗り換えてからその次の一歩だけで私の体に背中を向けるみたいな体勢で湯舟の中に入って来て。片足だけ最初に入れた状態でこっちの方へとお尻を向けてたのは数秒間、すぐにそのままこっちの股よりも少し前の辺りに座ってた。

 

 でも、私も私で目を大きくしながらそのなるの様子を見てることしかできなくて。こっちに向けて背中を倒してくるみたいにしてるのをただ受け止める。それと一緒に、自分の胸より少し下の辺りで重ねてるのかいないのかわからないような場所に置いてた手をゆっくりと下ろす。

 

 喉と唇を引き締めながら顔と目を同じ方向に向けてる私に対して、こっちからなるの様子は背中くらいしか見えなくて。その猫背気味になってる背骨が丸くなってるのだけが見えてた。最初には波が出来てたけど上下に揺れてたのはちょっとの時間だけで、それから先はまた周囲に静かな時間が戻る。

 

 上瞼を使ってだいぶ狭くした目の中を左右に動かしてる私に対して、いつの間に少しだけ遠ざかってたなるの背中。でも、それでお風呂に波が起きてたのに気づいた時には、なるがもう口を開いてた。

 

「でも、昔は、良くこうやって一緒に入ってた」

 

 その瞬間、向こうの方からこっちに体を倒すみたいに動いて来てて。気づけば私の方からそれを受け止めてて。最初に指の皮膚がなるの肩と触れ合って。次の瞬間、お互いに口の開けてる範囲を広げたり縮めたりを繰り返す。

 

 ただ、向こうがこっちに振り返ってるのに視線で気づいた後にお互いに目線が合う。そして、それと共にお湯なんかよりも全然熱いなるの息がこっちにまで届いてて。喉を締め付けながら私は背中の角度を使ってそこから離れようとした。でも、すぐに湯舟の縁の尖ったところにぶつかっちゃって。それのせいでまたこっちの視線の位置が左右に揺れ動く。

 

 一回だけ瞬きしてからなるの方を見て、でもそれもほんの一瞬の間だけでまたもう一回瞬き。なるの方からも私の方からも、どっちからでもなく近づくお互いをそのままに、私のほうから相手の頬に指を付けて指の角度を合わせた。

 

 そして、その後に唇同士を重ね合わせた。私の方が少し下の方から相手の唇を狙ってるのもあって、若干下から合わせてる。お互いに唇の間隔を味わってるだけにしてる間、私もなるも互いに動かず、息が苦しくなるまでその場にいるだけにしてた。

 




読了ありがとうございました
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。