体長10mの鷲   作:害獣駆除業者F

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常飲向けコスパ三銃士を連れてきたよ。北の勝、バスカー緑、六ジンだ

 

 

「ピョ……(はぁ……)」

 

 本日の日付は、11月23日。勤労感謝の日──つまり、新嘗祭当日である。

 

「ピョオ(どうしよ、北海道神宮に行きたくない。恥ずかしすぎる)」

 

 もし集めてくれてなかったらどうしよう……。だが、集めて貰った上でドタキャンという形になるのは最悪にも程が有る。

 

「……ピョ(まぁ……行くか。お酒、飲みたいしな……)」

 

 どこか違和感のある街並みが広がる、スラヴ人で埋め尽くされた我が国固有の領土を飛び立った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ピョッ?(おや……? おやおやおや……コレは…………キタ、のか?)」

 

 札幌へとやって来た私の目に、素晴らしい北海道神宮の景色が映る。綺麗な装いをされた一般の方々、大きな機材を構えるメディア、純白の衣官束帯などを召されている神職の方々。そして……二十升の酒樽が、四十も立ち並んでいた。

 

「お、おぉ……」

「来た、来て頂けた……これで、我等が罪は晴れる!」

「神鷲がおいでだ! 下がれ、下がれ! 降りる場所を空けろ!」

「そこの記者、前に出過ぎだ! 無礼者!」

「なんと、神々しい……逆光で直視できない!」

「四度目の拝謁……神は言っている。私こそが神鷲派の指導者に相応しい、と!」

 

 歓迎ムードに、この酒樽。どうやら、恥をかかずに済んだようだ。よし、なんか良い感じに威厳でも出しとくか。

 

「ピョオオオォォォーーーッッッ!!!」

「「「うおおおぉぉぉーーーっっっ!!!」」」

「ピョ(うるさっ。それでは、歌います。……君が代)」

「ッ……こ、国歌斉唱ォ!」

 

 騒々しかった北海道神宮が、一気に静かになる。私一羽による前奏二小節の鳴き声が終わると同時に、約五万人が一斉に国歌を歌い、奏でる。迫力ある美しい光景だが……歌おうとしない者の姿も、中々目立つものだな。

 

「ピョ(ご斉唱ありがとうございました。……それじゃ、ちょっと、飲ませていただいて良いっすか!?)」

 

 用意されたスペースに着地し、一番手前の樽を嘴でこじ開ける。銘柄は、大吟醸国土無双。酒好きには言わずと知れた、北海道の地酒。二十升ともなれば、十万円ぐらいはするんじゃないか?

 

 嘴を樽へ入れ、呷る。

 

 

 

 

「……ピョ、ォッ」

 

 

 

 

 美味い。美味すぎる。

 

 酒、酒だ。私は今、酒を飲んでいるぞ!

 

「の、飲んだ……!」

「どうだ、どうなる……」

「あぁ……俺の造った酒が、神鷲の身体を駆け巡っている……!」

 

 国土無双は、華やかだ。洋梨を思わせるフルーティな香り。強い旨味とコクでありながら、酸とのバランスが秀逸。さらり、するりと喉を通る。極上の、淡麗辛口だ。

 

「ピョオッ!(百点!)」

「喜んでいるん……だよな!」

「くうぅっ、美味そうに飲みやがる!」

 

 神職達が、私の前に三宝を差し出す。人間サイズだが、穀物や海産物を中心としたクラシカルな料理が乗せられている。なんだろう、コレを私にくれるのか?

 

「こちらを、どうぞ……!」

「……ピョ?(ん? 三宝……? それに、このメニュー……まさか、神饌か?)」

 

 いやっ! いやいやいやいやいや! 畏れ多い! なに神饌なんか食べさせようとしてるの!? さ、流石に神饌を食べちゃうのはライン越えだろう。

 

「……召し上がらない?」

「おい遠賀原、本当に毒を入れたりしてないんだろうな!?」

「入れる訳が無いだろう! 儂も暗殺依頼は蹴っとる! 少なくとも、厨房は皆同じじゃ!」

 

 えー……どうしよう、コレ。私じゃ、こぼさずに運ぶのは厳しいぞ。

 

「失礼」

「ッ! 何者だ!」

「私の名は、山本八十六。正当なる神鷲の使徒である」

「ピョ(何言ってんだコイツ。 ……そういえばこの顔、見覚えが有るぞ。どこかで会ったことが有るような……)」

「何を言っている! 神の御前だぞ! ひれ伏せ!」

「神鷲は、『コレは私の食べる物ではない』と仰っている」

「なに……? 貴様に何が分かると言うのだ」

 

 おぉ、凄い。正解。

 

「なっ、馬鹿! 勝手に神饌を手に取るな!」

「け、警察ー! この男を捕まえてくれ!」

「無駄よ。ここに居る警察は、全員私のシンパだ」

 

 男は年齢に見合わぬ強靭な筋肉で、神職方の妨害を無視し移動。一切こぼす事も無く、本殿の前へと置く。やり方は強引だが、助かったよ。羽根要る? これお礼ね、ありがとう。

 

「お、おぉ……恐悦至極! 神鷲よ、共に拝みましょう!」

「ピョオ(そうだな。一つ、拝んでおくか)」

「き、消えた!」

「神饌は何処か!」

「見ろ、本殿の扉が開いているぞ!」

 

 

 ……なんか拝んだら神饌消えたんだけど。何コレ。うわっ、凄い! 本殿も仄かに光ってる! ホタルみたい。というか……何? 本殿にイルミネーションでも仕込んでのか? 流石に無礼じゃない?

 

 

「ピョォ(……まぁ、そんな日も有るか)」

「山本八十六殿……我々は、貴方のことを誤解していた……。貴方こそが、真なる神鷲の預言者!」

「縁起の良い名前をしているだけある!」

「正当なる神鷲の使徒よ! どうか、我々に教えを!」

「止せ、神鷲の御前なるぞ。私の事で騒ぐでない」

「ハッ!」

 

 なんだか凄いことになっちゃったなぁ。

 

「そうだ……まだ、神鷲に炊いた米を献上できていない! 急げ、ありったけの献上米を炊け! 神饌ではなく、あの体格だ。多ければ多い程喜ばれるに違いない!」

「神鷲は主に魚食だが、鹿や鴨、山菜に顔を綻ばせているお姿も独自のルートで確認している。普段の食事とは異なる菜を用意しておけ」

 

 おぉ、私の為に献上米を炊いてくれるのか。ありがたい、献上米は美味しいからなぁ。本当に良い白米は、塩すら無くとも美味しく喉を通ってくれる。

 

「ピョ(貰ってばかりで申し訳ないな。……そうだ)」

 

 

 南西を向き、一気に上昇。成層圏に着いたら、トップスピードで飛行。津軽海峡へと飛び込む。

 

「ピョッ(居た)」

 

 津軽海峡と言えば、クロマグロ。日本一美味いマグロの産地だ。大柄な個体を選別し鉤爪で三匹ずつ、嘴で二匹を頑張って掴み続ける。海面を突き破り、上昇。北海道神宮へと、ソニックブームを出さないギリギリの速度で急行する。

 

 

 

 

 

 

「良かった! 神鷲が戻って来てくれた!」

「うおぉー!」

「なんだ、何か持っておられるぞ! アレは……魚、か?」

 

 マグロを傷付けぬよう、そっと着地。駆け寄り跪く神職の方へ、クロマグロを差し出す。うわっ、いつの間にか真横に例の変な人居る。確かに渡したのは私だが、そうやって大剣みたいに持つと危ないよ?

 

「神鷲は、『このクロマグロを下賜する。皆で分け合うように』と仰っている」

「なんと!」

「ピョ(いや下賜じゃないけど。ただの返礼なんだが)」

「神鷲は太平洋のように慈悲深いお方だ!」

「どうやって食う」

「寿司だろ寿司!」

「おい! 札幌中から和食のプロを呼べ! 特に寿司職人! 呼べるだけ持ってこい! このサイズのクロマグロ八尾だ、とんでもない大仕事だぞ!」

「参拝客の皆様の中に寿司職人はいらっしゃいますかー!」

「下ろすのは難しいですが、まずは我々で血抜きに取り掛かりましょう! 神鷲からの授かり物を劣化させるのは許しませんよ!」

「道を開けろ!」

「米が炊き上がりました!」

「米屋行ってくる! 酢飯が必要だ!」

「菜の用意は出来た! 盛り付けに取り掛かるぞ!」

「ホムセンでクソデカどんぶり買ってきました!」

 

 神職達が慌ただしく動く。おいおい、師走はまだだぞ。

 

「こちら、お通しの伊達巻です」

「本業出してんじゃねぇぞ巫女バイト」

 

 おぉ、鶏卵。そう言えば、鳥の卵は鷲になってから一度も食べていないな。

 

 まだ温かい伊達巻を、一本まるごと一口で。はんぺんが混ざることによって生まれた魚介のコクと独特の口当たり、そして鶏卵の旨味と味醂の甘味。すかさず辛口の日本酒を飲み、口をスッキリと。

 

「握り飯をお持ちしました! 左から、塩、焼鮏、いくら、辛子明太子、梅干し、昆布の佃煮、となっております」

 

 コンビニおにぎりの五倍はありそうな大きさの、六つの握り飯。少しばかり握りが強いが、悪くない。塩は甘く、米本来の味と香りを引き出す程度。具も美味しいが、やはり米が美味い。献上米は違うな。適合していないのが不思議なくらいだ。

 

 ぅあっ、酸っぱ……しょっぱ……この梅干し、私とタメぐらいの熟成年数なんじゃないか?

 

 

「十勝豚丼です! ハンガリーでは国宝と指定されている品種を道東で育成・食肉加工したバラ肉を、惜しみ無く用いました!」

 

 美味い! 北海道は猪も居ないからな、豚肉は久し振りだ。それも極上のバラと米を使い、この甘辛い味付けも久し振り。肉の分厚くも柔らかく、ジューシー。表面がややクリスピーに仕上げられているのも良い。酒が進む。

 

 

「天ぷらの盛り合わせです。鯛、海老、ハモ、茄子、野菜のかき揚げ、大葉、海苔、豆腐、舞茸を、一等の油で揚げました」

 

 衣は厚すぎず薄すぎず、しっかりとした衣に素材の香りが閉じ込められている。油切りは丁寧で、火入れも一番野菜の甘味が出るタイミング。相当上手な天ぷらだ、作ったのは間違いなく和食のプロ中のプロだな。

 

 おいおい、国土無双をもう飲み干してしまったぞ。この身体は、随分とアルコールに強いな。本当に鳥か? 肝臓も発達しているんだな。

 

 次は……コレにしよう。純米大吟醸 雄山、旭川の有名なお高い地酒だ。醸造工程の殆どが手作業で行われており、原料にも気合いを入れている。荒々しい名前だが、上品で華やかで柔らかな酒だ。

 

 

「わたくしは、すすきのに料亭を構えるしがない板前でございます。神鷲へさしあげるすき焼きを今、ここで煮させていただきます」

 

 板前を名乗る初老の男からは、あの天ぷらと同じ油の匂いがする。おそらく、アレを揚げた張本人。これは期待できるな。

 

 板前は小鍋の割り下を鍋へ張り、長ネギを並べる。そこに明らかに高そうな牛肉の薄切りを投入し、泳がせる。肉に概ね火が通った瞬間に引き上げ、煮すぎない。

 

「まずは、こちらを。近江牛と割り下の出汁の、純粋な旨味のみで」

 

 ……良いじゃないか、良いじゃないか。美味い、実に良い。口の中でとろけるように柔らかく、上品ながら爆発的な旨味が全身へ広がっていく。完璧な火入れだ。文句の付け所が無い。

 

「次は、野菜と共に」

 

 シャキシャキとした野菜が強い脂を和らげ、牛肉単体とはまた違う旨味がやって来る。コレも美味い。

 

「解いた卵に潜らせたモノもどうぞ」

 

 そうそう、すき焼きと言えば卵も欠かせん。良い肉は単体で十分戦えるが、卵も欲しくなってくるものだ。卵黄のコクと旨味が更にプラスされ、味もまろやかに。

 

 コイツは米も居るな。白米を思う存分かき込み、酒で喉を潤す。

 

 

「毛ガニの塩茹でをお持ちしました。殻は剥いてあります」

 

 やっぱり毛ガニは加熱だ。生じゃない。

 

「甲羅酒はいかがでしょうか」

 

 あぁー、そうそう。コレだよコレ、毛ガニと言ったらカニ味噌と甲羅酒だ。ほんの僅かにだけカニ味噌を残した甲羅に酒を注ぎ、火で炙った熱燗。この甲羅酒が美味いのなんの。ポイントは、カニ味噌を残しすぎない所だな。

 

 

「炭火焼きアワビを肝に潜らせ醤油を滴し、軍艦巻きにしました」

「ピョ(おぉ、贅沢だねぇ)」

 

 生ではゴリゴリ食感のアワビを敢えて炭火焼きで柔らかくし、本体とも言える極上の肝に潜らせた上に軍艦巻きとな。海苔の香りも良いな。

 

 なんだこれ、旨味が強すぎる。今日は旨味だらけだな。このままでは旨味の過剰摂取で倒れちゃうんじゃないか?

 

 

「カツオの酒盗とイワシのなめろうです」

 

 おいおい、これまた酒の進むものを。呑兵衛が喜んでしまうじゃないか、特に私のような者が。

 

 む、雄山も無くなってしまったな。次は……コレにしよう。北の勝、根室の地酒だ。流通量が少なく根室人と釧路人に殆ど飲み尽くされてしまうが、中々に美味い。癖がなく淡麗、日本酒本来の味わいが楽しめる。1月にのみ販売される''搾りたて''は、賞味期限こそ短いものの買えたらラッキーな極上の酒である。

 

 

「兄の店から寸胴をひったくって来ました。辛子もどうぞ」

 

 これは……おでんかな。良いね、おでんと日本酒の組み合わせは鉄板だ。食材も、器具も、腕前も、特に目立った物は感じられない。だが、こんな100円するかどうかの大根や練り物だって立派なもんさ。

 

 

「牡蠣、海老、鱈のフライです」

 

 フライか、フライも美味いよなぁ。牡蠣も海老も生か衣を付けて揚げるかだし、鱈も練るかフライか。おっ、このタルタルソース……黒胡椒が効いているな。胡椒は中々食えん、アリだ。

 

 

「お待たせしました。こちら、頂いたクロマグロを捌き寿司にしたものです。左から、赤身、中トロ、大トロです。神鷲に合わせ、職人の判断で味を損ねない範囲で大きく握らせました。目玉の煮付けもございます」

 

 寿司には醤油が薄く塗られており、横にはわさびが添えられている。まずは、赤身をそのまま。

 

「ピョッピョ(美味い。握り寿司の中では初めて見る大きさだが、上手に握られている)」

 

 赤身なので脂は薄いが、しっかりとしたマグロらしい香りと旨味が有る。シャリも美味いな。

 

 続けて、中トロと大トロ。今度はわさびを乗せる。中トロの豊かな脂が口に広がり、それでいてアッサリと食べられる範囲でもある。大トロは兎に角濃厚な脂と旨味が強く、普通ならクドくなりそうな所だが……良い本わさびだ。脂の重さを消し飛ばし、良いところだけをピックアップしている。

 

「ピョ(めだまおいしい)」

「こちらが、預言者八十六に組んでいただいた最後の品でございます。飲酒後かつ最後まで米を堪能していただく為に、狭山で新巻を淹れました」

 

 新巻、つまり鮭の塩漬けだ。狭山というのは、緑茶の産地のことだな。まぁ、狭山茶は基本入間市産だが。色の静岡、香りの宇治、味の狭山とはよく聞く話だ。その狭山茶と焼いた新巻で、お茶漬けを作ったと。しかも、ハラスだけ焼いている。これは贅沢な酒のシメ。

 

 残った一升程の北の勝を飲み干し、お椀に嘴を突っ込む。熟成されきった鮭ハラスの脂と、狭山の旨味、献上米の甘味。

 

「……ピョ(なるほど)」

 

 

 大いに、満足!

 

 

 

 おやすみ!

 

 

 

 

 

 

 

「おや、久し振りだね岸畑さん。就任以来かな? 本当にお疲れ様、中傷は災難だったね」

 

 北海道神宮の一角。ハナマス模様の振袖を纏う長身の女の横に、モーニングの初老の男がやって来る。

 

「この仕事を選んだのは、俺だからな。今の日本じゃ、左以外であのポストはメディアと政治に明るくない者のサンドバッグだ。それよりも、今は解放感とアレの醜態に笑いが止まらん。コバイーグルも成長させられたしな」

「元気そうで何より」

「しかし、実物は凄まじいな。もしも彼が理性無き存在だったらと思うと、ゾッとする。デカい爆弾で地形ごと吹き飛ばすか、猛毒を撒くか……いずれにせよ、討伐は甚大な被害を周辺に及ぼすだろう」

「実際どうかは不明だけど……彼は神としての扱いで一貫すべきだろうね」

「同感だ。触らぬ神になんとやらとは言うが、アレに触れぬことなんざ出来ん。心穏やかな内に、点数稼ぎに奔走するのが良いだろう。……と、全ての議員で意志統一が出来ればどれだけ良いことか」

「全員が同じ思想というのも、それはそれで怖いけどね」

 

 彼等の視線の先にあった、明らかに喜びながら酒や料理を楽しむ体長10mの鷲。鷲が天高く大きく翼を広げると、羽の一枚一枚が、目映い光と温かさを発する。その姿は正しく、太陽であった。

 

「アレは……」

「うーん、これは神」

「おいおい……自分が金鵄の親鳥とでも言ってるのか?」

 

 金色の鳶、新種の謎の鷲、そして現存する全ての鳥類と絶滅していたと言われている幾つかの鳥類が空からやって来る。古顎類すら、空を羽ばたいていた。

 

 彼等は巨鳥の羽を抜き取り、バラマキ。羽根は天を舞い、光の矢となりて日本列島各地へ降り注ぐ。北端は択捉島、南端は沖ノ鳥島、日本列島全域が温かな光に包まれた。

 

「……身体が軽い。まるで、大学時代に戻ったかのようだ」

「実を言うと私も生理で具合が悪かったのだけれど、異様に活力に満ち溢れている」

「他の参拝客方も光による回復を叫んでいる。偶然では無い。間違いなく、あの光には人を癒す力が有る」

 

 光は一分程度で収まり、羽を毟り切られて禿げていた巨鳥もまたフサフサに戻っていた。

 

 後日、政府によって緊急の国民健康診査が行われた。結果、光には国民の全ての疲労を癒し、活力を与えたことが分かった。これにより軽度の感染症は即座に死滅し、数多くの難病を患う人々が回復傾向を迎えた。

 

 更に、認知症患者の殆どが一斉に完治した。老化による度忘れは依然として残っているが、回復をした者の中に認知症と判断された者は居ない。

 

 検査の結果、全国民の血液に脳障害に対する超高度再生能力を持つ成分が新出していることが分かった。政府主導の下、現在研究が進められている。

 

 現在のハローワークは再就職を望む元気溌剌老人の集会所と化し、認知症中の自分に対する羞恥と後悔で塞ぎ込む者も一定数現れた。

 

 

 尚、日本人の血を飲むと病が治るという迷信が大流行し、海外旅行客や無関係の日系人の拉致事件が多発しているのは別のお話。

 

 

 

 

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