ぐでんぐでん な異世界記   作:銭湯妖精 島風

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1話 始まり

 

 

ドンと人が決して当たってはならない大型トラックと衝突し空を舞う俺の視界に、無意識に助けた小1ぐらいの少年と その背後に嫌らしい笑みを浮かべた宮塚が映る

 

やられた、きっとコレは宮塚が仕組んだ事だろう、そう確信した瞬間 俺の身体は地面に墜落して骨を折り、肉を擦り、血を撒き散らし道路を転がり濡らす、そして数拍の静寂の後、通行人の悲鳴と喧騒が響く

 

人間は意外と頑丈な様で、即死しなかったのは運が良いのか悪いのか分からないが、俺は精一杯のチカラを振り絞り宮塚へ見える様に利き手である左手をあげ、中指を突き立て

 

「てめぇだけは、絶対に俺が殺してやる、待ってろよ宮塚ぁぁぁ」

 

最期のチカラで啖呵を切り、すぐに身体から力が抜けてゆき徐々に視界が狭くなって行き、身体から熱が抜けていくが、不思議と寒く無い

 

 

神様、もしいるなら神様、俺は復讐なんて望まない、せめて俺のお嬢様、唯一無二の主と定めた夏月(なつき)を幸せにして欲しい

 

宮塚なんぞ、クソ野郎の手篭めに成らずに幸せになって欲しい、だから頼む、その為ならこの命をくれてやるから

 

『約束は出来ないけど、お前を拾えば退屈しのぎにはなるか』

 

そんな男の声が聞こえた瞬間、俺の意識は完全に暗闇へと落ちた

 

 

そう、落ちた筈だった・・・が

 

 

「・・・気が狂いそうなぐらいに白い部屋だな」

 

 

気付けば俺はシミ1つない純白の部屋? 空間に立っていて困惑する

 

自慢じゃないが、代々篠原財閥の護衛を担う一族の産まれの俺は、幼少の頃から様々な訓練を施されているから、大概の事では感情を揺さぶらされない様に教育されている

 

だが、今の状況は常軌を逸してると言わざる得ない

 

 

「あの、大丈夫ですか?」

 

「え? あ、あぁ・・・なんとか?」

 

気配察知能力も高いと自負があるのだが、背後に立たれて声をかけられてしまい、振り向くと そこには緑髪の少年か少女か分からないジェンダーフリーな小学生ぐらいの人物が、少し申し訳無さそうに立っていた

 

 

「えっと・・・要 夏月(カヅキ)さん、貴方は死にました。御臨終です」

 

 

「だろうな、アレで死んで無い方がビックリだわな」

 

「つきまして、私より上位の神より貴方を転生させる様に言われています。先に言っておきますが、転生させる理由等は私に聞かないで下さいね? 知りませんので」

 

「お、おー、分かった」

 

 

目の前の人物は状況から察するに、転生を司る神様的なヤツだろう

 

 

未練が無いと言ったら嘘になるが、死んでしまった以上は俺にはどうしようもないし、こう言う転生モノの作品のセオリーだと同じ日本には再誕は無理で、異世界 いわゆるファンタジーな世界に転生するモノだ

 

なら、神様に目をつけられ無い程度に異世界で悠々自適に生活するだけのチカラを貰えたら助かる、いや貰おう

 

 

「現代日本人を異世界に転生させても即死するだろうから、と上位神から欲しい物リストを預かっています、好きなだけ書いて下さい。ただ人の身に余る過ぎたチカラを要求すると、対価が徴収されますので」

 

「例えば?」

 

「欲求や感情の1つが無くなったり? 定期的に神託を受けて問題解決をして貰ったり、でしょうか? 要求したチカラにも左右されますので、今はなんとも」

 

「ほーん、了解」

 

 

俺は神様(仮)からノートとボールペンを受け取り、少し悩みながら欲しいものリストを埋めて行く

 

過ぎたチカラのラインも分からないし、対価も分からない、なら振り切って開き直り欲しいモノを欲しいだけ書くしか無い

 

最悪、転生して再度死亡したら魂が徴収されるかも知れないが、そん時はそん時に対処を考えれば良い

 

満足行くまで欲しいものリストを書き連ねて神様(仮)へ渡すと、中身を確認し苦笑し

 

「随分と埋めましたね?」

 

「異世界は何があるか分からないしな? 思い付く限りの事を書かせて貰った」

 

「その様ですね? 今一度 忠告をします、過ぎたチカラには対価を支払って貰う事になりますが?」

 

「構わねーよ、どうせ死んでるし折角なら楽しまないとな? 我慢は無しだ」

 

「・・・分かりました、貴方が 良いので有れば私には異論を言う資格は有りません」

 

 

神様(仮)がノートを閉じて手を離すと、ひとりでに浮いて端から粒子になり、俺に吸い込まれて行き足元に魔法陣らしき物が展開され光る

 

 

「申し遅れました、私は 今から貴方を転生させる世界 エルトラントの主神をしているイオンといいます、どうしても困った際は最寄りの教会へお越し下さい、多分 私と話せる筈です」

 

「おう、俺はカヅキだ。よろしくなイオン」

 

「はい、出会ってすぐで申し訳ないですが、さよならです。またいずれ」

 

「お、おー」

 

 

神様(仮)改めイオンと自己紹介を交わすと、魔法陣が一際光を放ち俺を包み込んで異世界へと転送する

 

死んでしまったのは残念だし、宮塚に一発噛ませないのは少し心残りだが、過去は変えられないのでコレからの異世界ライフを満喫する事に全力を尽くそう

 

折角 転生するのだから、楽しまないと損だしな?

 

俺は転送に際して分解される身体を認識しつつ意識が飛んだ

 

 

 

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