日常に戻る……前にあの後の話を少しだけしようか。
といっても特に深刻なことはない。生徒は全員無事、怪我に関しても軽傷が数人、緑谷が指を2本自爆したのが生徒の中では1番の怪我だね。私はほとんど無傷だよ。
先生に関しても相澤先生は片腕をやられて、オールマイトも何発かモロに受けたから多少怪我していたけどどちらもリカバリーガールの治療で問題なく完治するくらい。緑谷と3人で保健室に行っていたけど、相澤先生は私達が帰る前には教室に顔出しに来たからね。
捕まえた敵に関しては雑魚が約70人くらい、私とオールマイトで倒した黒いの…確か敵が言っていたのは脳無ってやつが2体。
でも雑魚に関しては本当に町にいるチンピラ程度で情報も無し、脳無は身動きもしない、喋りもしない……いや、出来ないっぽいらしくこちらからも何もわからず。
そんな訳もあって次の日は警察が雄英内を調査するらしく臨時休校。ゆっくり昼まで休んで、次の日…つまり今日に至るというわけ。
「さて、今日のHRを始める……が、とりあえずそいつ起こせ」
……うーん、ああ、ほーむるーむ…。ふぁ…。
わかった、分かったから、とりあえず一旦起きたから揺さぶらないで…。
「起きたな。なら早速本題に入るが……雄英体育祭が迫ってる!」
「「「「クソ学校っぽいの来たあぁぁ!!」」」」
くぅぅ。やっぱりみんな仲良すぎじゃない?完全ではないけど今のでかなり目が覚めた。
はぁ、目が覚めたものは仕方ない。
「待って待って!敵に侵入されたばっかなのに大丈夫なんですか!?」
「逆に開催することで雄英の危機管理体制が磐石だと示す…って考えらしい」
なるほどね。昨日から既にいろんなマスコミやら煩かったからね。言葉じゃなくて行動で示すつもりなのか。
「何より
まあ、それもそうか。私も一応毎年見てるし、世間的な話題も大きい。中止するのは色々な事情から考えても得策ではないか。
それに皆も言ってるけど、生徒側からしてもプロにアピールしてスカウトを狙ったり、そもそも一般人に知られる機会でもある。
「年に1回…計3回だけのチャンス。ヒーローを志すなら絶対に外せないイベントだ!」
うんうん、先生が発破をかけたのもあって皆のやる気が高まってるのが感じられる。まだ2週間ほどあるからね、楽しみだ。
「そんで竜胆、体育祭の事で話があるから、後で職員室来い」
まあ、分かってたよね。正直、今までの体育祭の種目見てる感じ私が負けるようなものは無いし…。
あ、もしかして最後の事を伝える為だけに私起こされた…?
ということで、放課後になったから職員室に向かう。
なんか教室前に人溜まりが出来てたけれど、先生に呼ばれてるって言ったら普通にみんな空けてくれた。いい子達だったけど、なんだったんだろう?
「失礼します」
ドアを開けて、相澤先生を探す。あ、私が壊したガラスもちゃんと直ってる。仕事が早い。
「来たか、竜胆。ついてこい」
相澤先生を見つけたと思ったら、移動するのね。隣の応接室のような場所で話すのか。
まあ、こっちのほうがソファもあるしありがたい。
あれ、校長先生に、ミッドナイト先生までいる。
「話というのはお前も分かっているだろうが、体育祭でお前をどうするかだ」
「こっちでも既に色々話していてね。ある程度案は出ているし、予備の案もいくつかあるから本人を混ぜて話そうということになったのよ」
「やっぱり、私が普通に混ざるのは問題があると判断されて?」
「まあ、そういう事さ。先日の襲撃でも改めて君の規格外さは分かったからね。こちらも色々考えているんだ」
「生徒に守られるなんざ情けない話ではあるが、お前がいなければ俺はどうなってたかわからん。オールマイトも同意見だった。そんなお前を他の生徒と一緒にするには色々問題が起きる」
基本的には想像していた通り。私が原因で色々と苦労している事もあるらしいけど、私は悪いことはしていないからそこは任せましょう。
じゃあ早速体育祭について聞いても?
「お前をシードにしたいと思ってる」
「シードって、トーナメントとかでのシードですか?」
「ああ、本来なら目立つ為にも出番が多ければ多いほどいい体育祭でシードなんてものは矛盾しているし前例も無いが、お前に出番を与えつつ他の生徒が食われないようにするなら丁度いいだろう」
「詳しく説明すると、第1種目での1位をシードにして第2種目をスルー、最終種目にシード枠で参加することになるわね。そして、現在第1種目は障害物競走を予定しているわ。つまり……わかるわね?」
「障害物競走で私の1番の武器である速度を決定的なまでに示して、後は譲ると」
「その通り!君の速度を示せば、それだけで価値のわからないプロはいないだろう。最終種目にも参加してもらうから、速度だけではないことも示せる。どうかな?」
気に入らなければ他の案もあるけれど、と聞いてくる校長を傍目に少し考える。…うん、特に問題は無さそうかな。
「いえ、これで大丈夫です。私に飛べというのなら、いくらでも」
あ、相澤先生にため息を吐かれた。ひどい。
ついでだから、飛行許可を取れないか聞いてみようかな。向こうが飛んで示せって言ったんだから無下にはされないと思うけど。
「そうだ、先生方。雄英の敷地内での個性使用許可…というよりも空を飛ぶ許可を頂けませんか?体育祭に向けてという意味でも」
「すまない。敷地内の調査や警備施設の強化などもしなくてはならないから暫くは許可は出せそうにないね。代わりと言ってはなんだが、訓練場を使うといいよ」
そっか、無理かぁ。訓練所を手配してくれるのありがたいけど、やっぱり青空の下とは違うんだよね。それにいくら雄英の施設が広いと言ってもやっぱり建物の中では私の速度だと狭く感じるし。あとは、そうだね…。
「訓練場を1人で使うのは少し悪い気も…」
「そう思うならA組の奴らでも連れて行け。空を飛ぶなら地面でトレーニングしていようが変わらんだろう」
「うーん、1人で飛ぶなら問題ないと思うけど、もしA組の子を呼ぶなら先生の誰かに声を掛けて。1年の子だし、引率として見ておくから」
翌日の放課後。
「────という訳で今日から訓練場を使えるんだけど、来る?」
「いやという訳も何も説明してないよね!?でも行く!」
「私も行きたいわ。というより、みんな行くんじゃないかしら」
梅雨にそう言われたから教室を見渡してみるけど、みんなこっち見てるね。爆豪や轟ですら見てる。よし。
「委員長、誰でもいいから先生に引率頼んできて」
「む、たしかに必要か!僕に任せろ、皆は先に準備していてくれ!」
そうして廊下を走らない程度に早歩きで進む飯田を見送る。面倒事は押し付けれた。
じゃあ体操服を持って更衣室に行こうかな。
「体のいい使いパシリだ…」
「飯田の奴は真面目すぎてそうは思ってない気がするけどな…」
「じゃあ、私は飛び回ってるから各自自由にトレーニングでもしなよ」
「ふう、ふう、こうも皆頑張ってるとタダの筋トレでもやる気が出るな」
「ケロケロ、水場がある訓練場なのはありがたいわ」
「走るのには丁度いいな。それに上で竜胆くんが飛んでいるからやる気が出る…!」
「結構物も置いてあるから鍛えるのにはいいね」
「わたくしは基礎的なトレーニングにしておきましょうか。疲れすぎて勉強に差し支えると問題ですわ」
「コンセントとかはねぇか…。単純に体鍛えるしかねぇな」
「オイラ、もう疲れてきたぜ…」
「私も頑張るぞー!」
「おい!白女ァ!」
「……?ああ、白女ってもしかして私?確かに髪は白いけど…」
「どうでもいい!それより俺と戦えや!」
「ええー?手加減した私も見えないのに…?せめて、これくらいは後ろ取らせずに反応出来るようにしなよ」
「…!?クソがァ!」
「それに白女はそんなに気に入らない、なっと!」
「ガハッ…!りんどう…!」
「よし!竜胆!俺を殴ってくれ!爆豪より耐えてやるぜ!」
「いいけど…。セイッ!」
「ゴフッ……」
「あ、やりすぎた」
「先生ー!切島が気絶したー!保健室ー!」
「糖分を溜めて…パワーを…!」
「あ、美味しそう。1つ貰ってもいい?」
「え?あ、ああ、いいけど」
「うーん、やっぱり水辺は落ち着くね」
「わかるわ、ケロケロ。訓練ばかりしていると私もお菓子が欲しくなるわね」
「砂藤から貰ってきたら?」
「調整…調整…!卵が爆発しないように…!」
「それも大事だとは思うけど体を鍛えないの?」
「くうっ!やはり速すぎる。今の僕では足元すら見えないか…!」
「まあ、私に速度で競うのは非合理的よ」
「ぬおっ!一瞬前まであの辺にいたと思ったが…!」
まあ、そんな訳で体育祭までの2週間はこんな感じかな。
私は基本的には飛んでただけで、偶にお菓子を持ち寄って食べたりとかね。皆は途中から先生に頼んでいたのか機材増やしたり、それで個性を使いつつトレーニングしたりしてたね。
それに飯田がブラド先生に引率を頼んだ時に断られて知ったらしいんだけど、B組もこっちに対抗してか色々やってるらしい。
あとは…そうだね、相澤先生が何度も何も言わずとも引率に付いてきてくれたりとか?やっぱ面倒見いいよね。
はるか空の上を飛んでるから足を掬いようがないぞ!
かっちゃん「上に上がりゃ関係ねぇ。それともお前らはこの程度であの白女がどうにかなるとでも思ってんのか。」