ホロウ居座り放題のホロウレイダーは邪兎屋のファン 作:邪兎屋が好き
ニコが金庫の場所の情報を手に入れる前日。
「……あんたってホントに正体不明よね。長い付き合いなんだし、マスクくらい取ってくれてもいいんじゃない?」
「…………ダメだ」
ネムのマスクには大きく錠前のマークが表示され、マスクを外さないという意思を強く主張している。
「じゃあ、なんでホロウレイダーになったの?」
「……エーテル適性が高かったからだ。なんでも、史上類を見ないレベルらしい」
「そんなに凄かったら調査員にでもなればよかったじゃない」
「俺の家族は、調査員も治安官も……とにかく政府の関連職が嫌いだった。そんな職に就こうとするならそれより前にお前を捨てると言われ、それが現実になった」
「今日は色々話してくれるわね」
「少し前に昔の知り合いを見かけてな…感傷的な気分なんだ。好きなだけ質問するといい、ある程度は答えてやる」
マスク越しに響いた彼の声は、いつも通りくぐもっていたものの、いつもよりも低かった。
ニコはそんな彼の状態につけ込むことに多少の罪悪感は覚えたものの、本人が良いと言っていることと、未だに素性に関しての手がかり一つない彼のことを知るいい機会だと考えて質問を続ける。
「そのマスクはなんで付けてるの?」
「かなり昔に大怪我をした。衆目に晒せる顔じゃない」
「……怪我の理由って、聞いていい?」
「………………酷い裏切りだ。あの裏切り一つで、俺はそれまでに持っていた全てを失った」
強く握りしめられたその拳からは激しい怒りが感じられた。
長い付き合いの中で初めて触れた彼の怒りに、軽く怯えるニコに気づくことすらないネム。
そんな中ふと、彼は握りしめた拳を緩める。
「……そうだ、そんなに俺のマスクの下を見たいなら、探してくれよ、俺に全てを失わせた奴らを」
まるで名案とでも言うように点灯した電球のマークが彼のマスクに浮かんでいる。
「俺は今でも復讐を諦めてない。だから、お前がアイツらを見つけた日には、アイツらとお前の前でマスクを脱いでやる。──アイツらを
マスクに調子はずれな笑顔のマークが浮かぶ。
「……冗談だ。だが、どうしてもこのマスクの下を見たいなら、それくらいしか手段はない」
そう言うと、彼は立ち上がった。
「どこに行くの?」
「言っただろう?知り合いを見かけたと、俺にとってまたとないチャンスなんだ。──準備をしなければいけない、用事があれば連絡しろ」
じゃあな、と後ろ手で手を振って彼は早歩きでその場を去った。
ニコには、その後ろ姿は焦っているように見えた。
ネムの協力者ファイル。
書いてみました。
本編の進行度的にはまだFairyがいませんが、一旦まとめておくために書いたので許してください
協力者ファイル
ネム。ニコ・デマラからの紹介で協力関係となったホロウレイダーであり、Random Playの常連です。六分街では、都市伝説『首なしレイダー』としても有名だとされていますが、該当する都市伝説が流布された時期と彼の活動開始時期が一致しない為、この情報は精査が必要です。
戦闘能力が高く、現時点で連絡を取れるエージェント内ではトップレベルです。
備考:彼女のマスクには変声機能が備わっている可能性があります。声紋に関する分析を行いましたが、意図的に改竄されたと考えられるデータしか収集できませんでした。また、便宜上彼と呼びましたが、それは口調からの断定であり、彼の服装や仕草の全てを監視しても性別に関して判断ができませんでした。彼自身の素性について、意図的に隠蔽していると思われます。
提案:彼のマスクを引き剥がしてみませんか?
〝顔見知り〟になるのも悪くはないかと提言します。
リン
「戦闘能力トップの人にそんなことできる!?Fairyがやってよ」
アキラ
「でも確かに、彼の素性については気になるところだね」