ホロウ居座り放題のホロウレイダーは邪兎屋のファン 作:邪兎屋が好き
やって来た金庫奪還の当日。
結論から言えば、それはかなり容易だった。
パエトーンのポンプが止まっている間、邪兎屋の三人を比較的安全な場所に隠れさせたネムが金庫の場所を探り、パエトーンの復帰と同時に赤牙組のリーダー
「……赤牙組リーダー、それがこうも簡単に終わんのかよ」
吐き捨てるようにネムがそう言った背後で、交渉を終えたパエトーンが金庫の中身を使用し、これによって赤牙組と金庫に関わる一件は終わりを告げた。
「……さて、店長殿」
「なんだい?妹はまだ意識が戻ってないよ」
「知っている。ニコが返済した借金はボンプの修理代と医療費に消えたのだろう?迷惑をかけたからな、せめてもの慰謝料だ」
ネムはせめともの、とは言い切れない額のディニーが詰まった袋をアキラに投げ渡す。
「……良いのかい?こんな額、ニコにも頻繁に渡しているんだろう?それを含めると──」
「そうだな、かなりの痛手だ。その代わりと言って良いのかわからないが、俺はしばらく姿を見せられなくなる。その間ニコを頼む、彼女は覚えていないだろうし、覚えていてもわからないだろうが……彼女は恩人なんだ」
そう言うとネムは、振り向かずにRandom Playを去っていった。
同日の夜、ニコは夜の路地でネムと出会った。
「……ちょうど良かった。今回の依頼で入るはずだった額、これくらいだろう?好きに使え」
「え?ちょっと、こんなに借りる訳には──」
「借しじゃない、全部やる。返さなくて良い、しばらく面倒を見てやれないからな、お小遣いだ」
「ちょっ、私はお留守番してる子供じゃないのよ!?」
ニコがそう抗議すると、ネムはニコの横を通り過ぎようとして、すれ違いざまに
「……悪かったな、少し意地を張った。ただ、返すべきものを……これでもまだ返し足りないが、返しただけだ。気にするな」
「──?あんたがあたしに返すものなんで何も……」
振り向いたニコに目もくれず、ネムは歩き去って行く。
いつもは喧しいくらいにピカピカと光っている表情代わりのマスクも、今日は一切光ってはいなかった。
「あんた、死ぬ気じゃないでしょうね?」
「そんなつもりは無いさ。だが、勝っても負けても俺は少しの間この一帯から離れることになる」
「必ず帰って来なさいよ」
「任せろ、祝勝会は焼肉だ」
いつもの調子でそう言うと、後ろ手に手を振ってネムは去って行った