ホロウ居座り放題のホロウレイダーは邪兎屋のファン 作:邪兎屋が好き
「……つまり、あんたの家族の形見と、あんたの親友から預かった武器の二つを取り戻してほしい、ってことね?」
猫又と名乗ったシリオンの少女の依頼に、考え込むニコ。
そこに猫又と名乗った少女は
「あの形見も預かった武器も、すっごく価値のあるものなんだけどなぁ〜!その値打ちの30%を報酬にしてあげる!場合によっては70%にしたっていいぞ!」
「……形見はともかく、武器が?」
「そう!姉貴曰く、戦車も切り裂くすっごいナイフだぞ!」
その一言に、アンビーがぴくりと眉を動かした。
「
「!そ、それだ!知ってるの?」
「かなり古いモデルの武器ね。その危険度と、犯罪者の使用率の高さからすでに廃盤の武器よ……でも、そんな骨董品がまだ動くとは思えないわ」
「動くぞ!姉貴も私も、しっかり手入れしてたからな!」
「それが本当なら、一本で億は下らない値打ちね」
その言葉に、今度はニコの表情が変わる。
「──それは、本当ね?」
──────────
同時刻、XX分街の路地裏にて
「──直ちに行動を止めなさい!でなければ発砲する!」
朱鳶の制止は意味を成さず、振り上げられたマチェーテは倒れていた男の右肩に深々と突き刺さった。
ざくり、と一度。
またざくり、と二度。
何度も何度も、男の腕がその体を離れるまで、刃こぼれしたマチェーテを何度も振り下ろした。
その気迫、滲み出る怨嗟は朱鳶の動きを止めるほど。
「……なぜ」
何故そこまで、という言葉は続かなかった。
ゆらり、とその亡霊のような人影が立ち上がり、朱鳶を見据えたからだ。
「……邪魔をするな」
「それは不可能な話だな。この新エリー都は法と秩序によって守られた街だ。お主のような無意味な殺人を許すことは出来ぬ」
「そうか、それなら──ッ!」
人影は青衣へと駆け出す。
青衣は棒状にした三節棍をその右腕へと叩きつけるべく構える。
振り下ろされたマチェーテを後退して避ける青衣。
相手は青衣が玉偶ということを知らず、小柄な少女だと油断しているのか、一切の防御の構えがない。
そこに青衣は勝利の確信と共に三節棍を叩き込む。
しかし
「っな!?」
青衣の三節棍は鉄と鉄がぶつかり合う硬質な音と共に右腕一本に弾かれ、三節棍を弾いた右腕はそれを掴み取って青衣ごと投げ飛ばした。
朱鳶はすかさず銃を構える。
だが、暗闇の中ビル風によって舞い上がったロングコートの裾が、青衣を吹き飛ばした下手人のシルエットを歪ませ、正確な狙いを許さない。
その拳が朱鳶の腹部へとめり込む。
「悪いな、アンタらに恨みはないんだが、邪魔をするならここで寝ててくれ」
「……っぐ──待ち、なさ……」
薄れゆく視界の中には、最初に痛めつけていた男を引きずりながら歩いて行くロングコートの影だけが写っていた。