続・小説みつめてナイト 紅玉の双騎士【完結】   作:ケルティック☆タイチ

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あとがき

「続・小説みつめてナイト 紅玉の双騎士」を最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。

ようやく完結まで書き切る事が出来ました。

全一〇五話、六十万文字に渡る大長編にお付き合いいただけた事、本当に嬉しく思います。

 

 この作品は言わずもがな、前作である「小説みつめてナイト ライズ氷解」の続編であり、主人公であったライズが辿った物語の二十三年後の世界を描いた作品です。

そもそもライズ氷解は皆さまご存知の通り、ゲームみつめてナイトの二次創作作品です。

ゲームのストーリーを元に、ライズの視点でドルファンの三年間を独自解釈で綴った作品だったわけですが、その続編という事もあり、色々なチャレンジをした作品となりました。

どんなチャレンジをしたのかは後で書いていくとして、まずはどうしてこの作品を書き始めたのか、を思い出してみます。

 

 紅玉の構想というか、ライズ氷解の続きを書きたいな~という想いは、氷解のクライマックス(恩赦の話あたり)の時点で実はすでにありました。

だって、毎週更新をうたっていたライズ氷解はすでに私の中でのライフワークみたいになっていたので、完結まで書き切ってしまったらこれから何をして生きていけばいいのか!?(大袈裟(笑))という想いが湧き上がっていたのです。

 単純に小説を書くだけで良いのならオリジナルでも良かったですし、ちょっとだけその気にもなっていたんです。

ですが、そんな私をみつめてナイトの世界に連れ戻す、強いしがらみみたいなものもありました。

それこそが紅玉を書いた一番大きな理由でもあるのです。

 

 ライズ氷解ではライズの三年間を追い、最終的には「世界一幸せ」なエンドで完結したわけですが、これは二次創作として自分の中では非常に満足のいく結末でした。

それはライズだけではなく、ソフィアやジョアン、ハンナ、レズリーをはじめとしたヒロイン達の未来を一通り書ききれたからです。

大なり小なりそれぞれの未来を描いた中、一人だけ私の心の中で引っかかっているヒロインがいました。

 

――それはアンです。

 

 氷解ではライズと、もう一人の主人公である東洋人傭兵「ヒューイ」が結ばれてしまったので、アンは泡となって消える事はありませんでした。

むしろ、ライズが結ばれるためにその背中を押す役割すら担ってもらいました。

しかし原作みつめてナイトのアンのエンディングを経験した人であれば、必ず一度は思ったのではないでしょうか。

「幸せになったアンのエンドが見たかった」と。

 

 アンのエンディングを経験し、あの衝撃的な結末に飲み込み切れない感情を覚えた人は少なくないのではないでしょうか。

私もそうでした。

悲恋とも違うし、ハッピーエンドでもない。メリーバッドエンドともちょっと違う、なんともせつなく儚い幕切れに、発売から三十年近く経った今でも、小さな棘のように私の心の片隅で控えめな痛みを主張していたのです。

ライズ氷解を書き切って、ある意味での私のみつめてナイトへの想いは達成されました。

ですが最後に残った「アン」という小さな棘を、このまま無視し続けるには、それはあまりにも重すぎる。

小さな棘は確かな痛みを伴って、この先もずっと存在し続けてしまうでしょう。

 

だったら、二次創作らしく「アンの幸せな結末」を書いてしまえばいい!という考えに至ったのが、実は紅玉の双騎士を書き始めた一番大きな理由でした。

 

 そう思ったのはいいけれど、どんな形でそれを表現するのか。

ヒューイではない東洋人傭兵との結末を描けばいいのか。

ですが、原作の設定に沿って物語を書こうとすれば、どうしても泡となって消えてしまう運命を描くしかなくなってしまう。

ならば新しい舞台を用意しよう!

そう考えた時に、ライズ氷解のエピローグで登場させた双子の事を思い出します。

 

この双子を主役にした物語はもともと頭の中に大まかなイメージだけはあった(ライズ氷解のあとがきを参照ください)のですが、あまり具体的なストーリーまでは考えていなかったので、執筆することはないと思っていました。(正直、また連載を書き続けるのも大変だしなぁという想いもありました(笑))

しかし、そこにアンを幸せにするための物語を絡めてみたら面白いものが書けるかもしれない。

私の長年の心の中の棘も抜けるかもしれない。

そう考えてからは早かったです笑

 

主役はライズの息子の忠正である事は最初から決まっていたので、あとは彼と一緒にストーリーを紡いでいくキャラクター達を考えればよかったわけです。

 

 さて、「アンの幸せな結末」と「次世代の活躍」という大きなテーマが決定したので、次はこの作品を読み物としてどんな作品にしようか、という方向性が必要でした。

せっかく執筆するのであれば、最初に書いた通り、いくつかのチャレンジをしようと思いました。

これは自分自身が楽しく小説を書くための意味も持っています。

 

チャレンジ内容は

① 第三者目線で書く

② みつめてナイトらしさを損なわない

③ 読者の方が新鮮な気持ちで読める(脱マンネリ)

④ 絶対ハッピーエンド

というものでした。

 

 まず①については、ライズ氷解はずっと一人称(ライズ目線)で書いており、これは彼女の目線でドルファンの三年間を描く、というゲームの中で起こった出来事をライズ目線で綴っていくという意味では正しかったのです。

ですが今度はアンの幸せを描くにあたり、誰かの一人称目線では表現できる幅が狭まるというのもありました。

いかんせんアンの登場予定が中盤(なぜか(笑))になりそうだったので、アン目線では物語が紡げないし、忠正目線で書くと、もう一人の主人公であるロゼッタの物語を書けない。

 そんなわけで三人称目線を主体とすることにし、だったら群像劇として他の登場人物の物語も書いちゃおう! となったのでした。

 

 ②については「小説みつめてナイト」という私の勝手な二次創作シリーズの命題でもあります。

あくまでもみつめてナイトの二次創作作品である以上、その世界観を損なうようなものであってはいけない。原作へのリスペクトを失ってはいけない。

そして、ギャルゲー作品なんだから魅力的なヒロインがいっぱい登場しないといけない(笑)

そんな想いを込めて、ヒロインをアンだけに絞らずに、複数人登場させる。

しかも他のヒロインはオリジナルキャラクター(新ヒロイン)にする、というチャレンジをしたのです。

もちろん、前作ヒロインの子供達も登場させる、というのもチャレンジの一つでした。

そして、物語の舞台もドルファン周辺からは大きく外れないこと。

新しい地域などを創作するのは簡単ですが、極力原作に登場した国、地域、文化を守るという事は重要視しました。

時代の変化に伴う技術の進歩はあったとしても、伝統や文化は変わらないということと、二十三年の月日では変化しないものなどを守ろうと決めました。

 

 ③については主にストーリーの展開とキャラクターの配置についてでした。

忠正とロゼッタというライズの子供達が登場する。しかも忠正は傭兵としてドルファンに赴任する。ロゼッタは敵側にいる。

この、原作を踏襲した初期配置(東洋人傭兵とライズの立場)は、その後の展開を読者様も想像しやすいだろうと思いました。

ですが、そのままの役割で物語が進んでしまえば、それはある意味でマンネリというか、せっかくの続編なのに前作と同じ展開になってしまいます。

それは書き手としてどうしても避けたかった、、、と言うか、書いていてつまらないだろうなぁと(笑)

 なので、あえてそれっぽい配置で登場させながら、すべてがミスリードとなるような設定を考えていきました。

一見東洋人傭兵ポジションで登場する正統派主人公の忠正が、実は復讐の為にドルファンにいてプリシラを殺そうとする。一見ライズポジションで登場する敵側の剣士のロゼッタが、実はドルファン側の味方で根っこの性格も明るい。

いい意味で読者様の期待を裏切れるようなストーリー展開とキャラ設定を心がけました。

 悪役のシュバルツデスアプグルント騎士団については、ちょっとテンプレっぽさが抜けきらなかったですが、トルキア全土を巻き込んだ悪役として頑張ってもらったつもりです。

それでも、原作の壮大な背景設定などでゲームの世界観よりは、ちょっとだけ大きなスケール感を描けたのではないでしょうか。

終盤はもう、オリジナル展開全開でごめんなさい。。。

 

 最後に④については、これはもう私の長編作品を書く上でのポリシーでもあります。

終わり方はハッピーで心地よい余韻があるというのが私のモットーなので、どうやって終わりにするか悩みました。

アンのハッピーエンドを書くためには、他のヒロイン達と結ばれない必要がある。

でも、せっかくなら他のヒロインも魅力的に書きたいし、魅力的になればその娘とも結ばれてほしい(笑)

そこで考えたのが、誰と結ばれたのかわからないエンドであり、誰を選ぶのかは読者様(いうなればゲームのプレイヤー)に選んでもらおうという事でした。

 アンの物語を紐解けば彼女が泡となって消えてしまう事は、これは絶対に不可避なのです。

アンをアンとして続編の物語に登場させれば、それは絶対条件です。

だからこそ、アンの物語の結末として「愛(海)の呪いからの解放」と「新しいアン」という設定が必要だと考えました。

アンにとって命を燃やすこととなった忠正の時代で、しっかりと彼女の過去とその呪縛について書き切って、正しく終わりを迎えさせる。その上で、永遠の生ではない時間軸の中で生きる新しいアンとして、幸せな結末を迎えさせる事が私の中での最適解となったのです。

 最終的にはあのエピローグの形でアンというキャラクターの一つの結末を描き切れた事に満足しています。

あのアンがみなさんがよくご存知のアンと同じなのか、という疑問はあると思いますが、私の二次創作としての答えはその中にあります。

私の中の棘は、三十年の歳月を経てようやく解消されたのです。(自己満足です笑)

 

 そんなわけで大きなストーリーのテーマは自分的には回収できたと思っていますが、いかがだったでしょうか?

先述の通り後半はもう、みつめてナイトなのかなんなのか、よくわからない感じになってしまいましたが(笑)

せっかく作りだしたオリジナルキャラクター達については色々思い入れもありますし、特に前作ヒロインの子供たちには裏設定もいろいろ考えていたので、後日キャラクター設定集やストーリー設定資料的なものを公開しようと思っております!

 

 

 さて、本物語を書き終えた事で、私のみつめてナイトとの付き合い方は一つの大きな節目を迎えました。

ライズ氷解の構想から挫折、距離を置いていた期間も含め、二十五年以上付き合ってきた「小説みつめてナイト」シリーズはこれにて本当に完結です。

ライズ氷解のように番外編を書いたりすることはあるかもしれませんが、このシリーズで書きたかった事は概ね書き切ったと思います。

 ライズ氷解は原作のイメージ、原作のストーリーという大きなバックボーンがあったので、読者の皆様も映像としてイメージしやすく楽しんでいただけたかと思います。

紅玉の双騎士はオリジナル要素がほとんどで、私の実力不足もあって、ライズ氷解のような楽しみ方は出来なかったと思います。

それでも書いている最中、私自身は楽しかったです。

 途中、「【42】犬牙相制」あたりから始まった、書き手として経験した事もなかった壮絶なスランプ。実に「【62】フィオナ誘拐事件⑥」までの二十話分、五カ月に渡る長期間のスランプに襲われたりもして、色々と書き切れなかったり後悔の残る部分もありました。

後半、特にクライマックスの最終章あたりは仕事での異動などもあり、うまく時間が作れなくて休載がちになってしまったりもしました。

 それでも最後までエタらずに完結まで書き切る事が出来たのは、読んで下さった皆様のお陰に他なりません。

もともとニッチなみつめてナイト界隈(笑)で、さらにニッチな小説というジャンル。そしてそこからさらにオリジナル要素満載の続編という、読まれない要素しかない作品であるにも関わらず、こうして最後まで目を通していただき、毎回のコメントやXでのリプなどで反応をいただいた方。

ファンアートとしてイラストを描いて下った方。

アウトプットはなくとも最後まで物語を追いかけて下さった方。

そのすべての方に、心からの感謝をお伝えしたいです。本当に、本当にありがとうございました。

 

 

 みつめてナイトは、もう間もなく発売から三十周年を迎えようとしています。

二次創作を通して新しいみつめてナイトファンの方々と出会えました。

今でも確かに愛されているみつめてナイトという作品に最大限のリスペクトを込めて、この「小説みつめてナイト」というシリーズの筆を置きたいと思います。

 私自身はこれからもみつめてナイトを応援していきますし、これからも人生で最推しのゲームであるということは変わりません。

私の小説を通して、みつめてナイトというゲームの魅力が少しでも伝われば幸いです。

 

 個人的にはもう、文章を書かないことは考えられないほど習慣的に文章を書いておりますので、今後何かしらの作品は書くと思います。

もしも次の作品を公表する機会があれば、ぜひまた、ちらりと眺めていただければ幸いです。

 

 それでは、最後となりましたが、もう一度感謝をお伝えさせていただきます。

「続・小説みつめてナイト 紅玉の双騎士」をお読みいただき、本当にありがとうございました!

これからもみつめてナイトがもっとたくさんの方に愛される事を祈りつつ。

 

 

二〇二六年 三月吉日

ケルティック☆タイチ

 

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