リコのペンダントを狙っていたのはエクスプローラーズだった。トーマとリコが乗り込んだブレイブアサギ号まで追いかけてきた彼らとトーマのポケモンバトルがいま始まろうとしていた。
「ゲッコウガ! かげぶんしん!」
『コウガ! コウガ! コウガ!』
ゲッコウガはかげぶんしんを使って複数の分身を作り出しながら走ってソウブレイズに接近する。
「ソウブレイズ! サイコカッター!」
しかしソウブレイズはサイコカッターを薙ぎ払う様に放つとかげぶんしんは次々と消滅していった。
「つばめがえし!」
「むねんのつるぎ!」
ゲッコウガが背後からつばめがえしを決めようとするがむねんのつるぎで防がれてしまう。
「みずしゅりけん!」
「サイコカッター!」
ジャンプしたゲッコウガがみずしゅりけんを放つがソウブレイズのサイコカッターによって相殺されてしまう。
「ゴーストダイブ!」
ソウブレイズがフィールドの下に潜るとゲッコウガは周辺を警戒していた。
「落ち着けゲッコウガ!」
「コウ?」
「大丈夫だ。俺達なら分かる」
「コウ・・・・」
トーマが目を瞑るとゲッコウガも目を瞑って動かなくなった。
「何やってるんだアイツら」
「もう諦めちゃったんじゃないの?」
アメジオの部下の男と女が動かなくなったトーマとゲッコウガを見てバトルを諦めたのではと勝手に思い込んでいた。
そしてトーマとゲッコウガは水の一雫が落ちた瞬間に何かを感じ取った!
「「っ!」」
「下だ!」
「コウガ!」
トーマが指示を出すとゲッコウガはジャンプした。するとさっきまでゲッコウガがいた足元からソウブレイズが姿を現した。
「何っ!?」
「みずしゅりけん!」
「コウガ!」
「ソウッ!?」
「ソウブレイズ!?」
ソウブレイズは真上からみずしゅりけんが直撃してほのお・ゴーストタイプのソウブレイズには効果抜群だった。
「くっ! もう一度! ゴーストダイブ!」
「ソウ!」
ソウブレイズは再びフィールドの下へと消えた。
「・・・・右だ!」
「コウ!」
「次は左!」
「コウガ!」
「正面にダッシュ!」
「コウガ!」
ゲッコウガはソウブレイズのゴーストダイブを次々と回避し続けた。
「何故だ? 何故こちらの位置がわかる!?」
「つばめがえし!」
「コウガ!」
「ソウ!?」
「ソウブレイズ!」
挙げ句の果てには位置を察知しているのを利用して反撃までしてくるしまつ。アメジオは何故ゲッコウガがソウブレイズの位置が分かるのかがまるで理解できなかった。
「くっ! ソウブレイズ! 連続でサイコカッター!」
「ソーウ!」
「受け止めろ!」
あくタイプを持つゲッコウガにはエスパータイプのサイコカッターは効果がない。だから避ける必要はないと判断したトーマだったがサイコカッターの1つが真っ直ぐリコやポケモン達のいる方へと向かっていた。
「ハッ!」
「リコ!? ゲッコウガ! みずしゅりけんだ!」
「コウガ!」
ゲッコウガのみずしゅりけんで何とかサイコカッターを相殺してリコ達を守る事に成功した。
「今だ! むねんのつるぎ!」
「ソーウ!」
「コウガ!?」
「ゲッコウガ!?」
「自ら隙を見せるとは舐められたものだ」
「くっ」
ソウブレイズはゲッコウガの注意が逸れた隙をついてむねんのつるぎでゲッコウガを切り裂いた。とはいえ、むねんのつるぎはほのおタイプの技なのでみずタイプも持つゲッコウガへのダメージは少なかった。
「(どうする? バトルの相性的にはこっちが有利だけど、周りに被害を出さない様に立ち回らないと・・・・)」
トーマは周りへの被害を抑えてどうバトルをしようかとその頭をフル回転させて考えていた。
「(このままじゃ・・・・トーマも、ポケモン達も・・・・)」
しかしリコは先ほどのサイコカッターはゲッコウガが何とかしてくれたがそれが迫ってきていた時のポケモン達の怯える姿を見ていたのでそれがどうしても耐えられなかった。そしてリコはニャオハを抱き抱えたまま外に出た。
「やめて! やめてください!」
「リコ!?」
そう言ってリコはそのままゆっくりとフィールドの中央へと歩いていった。
「これ以上、トーマや他の皆さんに迷惑かけたくない、です」
「リコ? 何言ってるだよ!」
「これ以上バトルが続けば誰かが傷つくかもしれない。そんなの、私は見たくない! 見たくないよ・・・・」
「リコ・・・・」
トーマはリコの優しさを理解したからこそ反論する口を閉じてしまった。
「聞いたか? 余計な手出しは無用だそうだ」
「くっ」
「ニャオハだってきっと・・・・「ニャーッ!」あっ!」
ニャオハは自身を抱き抱えていたリコの手から無理矢理離れた。
「ニャッ! ニャニャニャッ!」
「(なになに?どうしたのニャオハ? 何をそんなに?)」
ニャオハは必死に何かをリコに伝えようとしていた。
「ニャニャニャッ!」
「リコ!」
「トーマ?」
戸惑っているリコにトーマが声をかけた。
「本当にそれで良いのか? お前は本当は何がしたいんだ?」
「私が、どうしたいのか・・・・(そっか、私が自分の気持ちに嘘をついてるってニャオハもトーマも気づいてたんだ・・・・うん。わかった!)」
そうして決意を新たにしたリコとニャオハはアメジオとソウブレイズの前に立ちはだかった。
「いくよ。ニャオハ! このはーーっ!!」
「ニャオハーーッ!」
「何っ!?」
するとニャオハが放ったこのははソウブレイズが防いだがそのこのははバトルフィールドを完全に埋め尽くす量だった。
「スゲェ・・・・」
その光景にトーマも驚きを隠さずにいた。
「(できた! できたよニャオハ!)」
リコはその光景に喜ぶがその力は強すぎてフィールドを覆うバリアまでも突破してしまい、嵐の風がフィールド全体に襲いかかってきた。
「キャッ!」
「おっと!」
「ニャオハ!」
「くそっ!」
滑り落ちそうなリコを駆けつけたフリードが助けるがニャオハはそのまま滑り落ちてしまい、そのニャオハをアメジオが抱き抱えていた。
「アメジオ様!」
「このままでは嵐に飲み込まれます!」
「・・・・撤退する!」
「「ハッ!」」
アメジオ達はニャオハを連れて船から離脱した。
「ニャオハ! ニャオハーーッ!」
「ゲッコウガ! リコの事は頼んだぞ!」
「コウガ!」
「トーマ!?」
「ガブリアス!」
「ガーブ!」
トーマは自分からバトルフィールドから飛び降りるとガブリアスをモンスターボールから呼び出してアメジオ達を追いかけた。
「トーマ? トーマーーーッ!!」
リコの声は嵐の風の音によってかき消されてしまった。
次回もお楽しみ!