水龍っぽい少年と蛙っぽい少女   作:ダブドラ

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改めまして初投稿です。

実は過去に一度投稿していたのですが、内容を大幅修正するにあたり新しく別作品として作り直しました。

よろしくお願いします。


1話 葵 龍也:オリジン

 

 世界の総人口の約8割が何らかの特殊能力

 

 「個性」を持つ現代社会。

 

 とある職業が人々から脚光を浴びていた。

 

 「ヒーロー」

 

 個性を悪用する犯罪者、(ヴィラン)を退治し市民の平和を守る者の事を人はそう呼んでいる。

 

 漫画やアニメの中だけだと思っていた能力が実在するこの個性社会、誰もが一度はヒーローを目指した事があるだろう。

 

 勿論この物語の主人公である彼も現在進行系で目指している。

 

 ただ、彼がヒーローを目指している理由はヴィラン退治がやりたいからではない。人を助けたいからだ。

 

 そもそもヴィランと戦うだけがヒーローの仕事ではない。事故や災害に巻き込まれた人を救ける事も立派なヒーローの仕事なのだ。

 

 

 

 

 これは、そんなヒーローを目指している少年の物語。

 

 

 

 

 

 

「じゃ、行ってくる!」

 

 

──愛知県某所。

 勢い良く家を飛び出した少年は 葵 龍也(あおい りゅうや )。中学3年生になり今は夏休みに入った所だ。

 

 龍也が住んでいるのは愛知県内の港町で父親は漁師、母親は獲れた魚を市場で販売している。今日は漁の手伝いの日で、龍也は船着き場へ向かっていた。

 

 少しでも早く到着したいと龍也はトレーニングも兼ねて塀を伝い民家の屋根を飛び越えていく。

 

 そうこうしている内に船着場が見えた。

 龍也の父の船以外に何隻か漁船が停泊している。

 

「父さんはっと・・・お?」

 

 船の前で龍也の父が誰かと話している。

 その後ろに佇む巡視船に気づいた龍也は胸を高鳴らせながら見覚えのあるその人目掛けてダッシュした。

 

「セルキーのおっさん!」

 

「龍也、久しぶりだな!元気そうじゃねえか」

 

 龍也の父の隣に立っていたのは

海難ヒーロー・セルキー

 どう見てもアザラシそのままの顔の通りアザラシに出来る事は大体できるプロヒーローだ。龍也の父とは古い友人である。

 

 そして龍也にとって恩人であり憧れる存在でもある。

 まだ龍也が小学校低学年くらいの頃、父の船に乗って漁を見学している最中に誤って海に落ちてしまった事があった。

 

 その時の海は荒れ始めていて波も高く、龍也の父含む船員達は龍也の事を助けようにも動けない状況だった。

そんな中でセルキーは龍也を助けだしたのだ。

 

 セルキーは元々この地域に活動拠点を置いており、龍也の事も気にかけていた。そのため子供が溺れかかってると聞いてすぐに向かうことが出来たという訳だ。

 

 その事故以来、ヒーローになると決心した龍也はセルキーの背中を追いかけている。

 

 その影響か龍也が中3になった現在も家族ぐるみの付き合いがある。

 

 もはや親戚のおじさんと言っていいくらいに。

 

 

「おっさん帰ってきてたんだな!」

 

「おう、やっと派遣先の仕事が終わったんだ」

 

「ならまた鍛えてくれよ!高校受験の為にもさ!」

 

「そういやもうそんな年か・・・・・・。よし分かった、俺に任せとけ!」

 

 

 憧れのヒーローに鍛えてもらえる事になった龍也は終始ハイテンションのまま漁の手伝いを終えたのだった。

 

 

 

 

──その夜、葵家──

 

 

「「いただきまーす!!」」

 

 居間の大きな机には龍也の父が獲ってきた魚を使った料理がずらっと並んでいる。

 曰く市場に卸す分は充分あるらしく余った分を持って帰ってきたらしい。

 

 龍也が新鮮な刺し身を堪能していると、両親の表情が少し険しくなった。

 

 

「なあ龍也、高校受験の事なんだが・・・」

 

「本当に雄英高校を受けるのね?」

 

 それは今まで何度も聞かれた質問。だが今までとは言葉の重さがまるで違う。

 

 雄英高校はヒーロー科のある高校では最高峰だ。中学2年の進路相談からずっと、龍也は雄英を目指すと言い続けている。

 

「ああ、俺は雄英に行く」

 

「・・・・・・変えるつもりはないのね?」

 

「約束したんだ。変える気はないよ」

 

「「約束?」」

 

 そう呟きながら両親が揃って首を傾げる。

 

 約束……というよりほぼ一方的に龍也が宣言したようなものだが、龍也には雄英高校を受ける大きな理由がある。

 

 龍也が小学生の頃、とある少女と出会いこう告げた。

 

「俺は、雄英に行く」と。

 

 それより前から雄英を目指す意思はあった龍也だが、これがきっかけで覚悟が決まった。

 当時このことは誰にも話していないので両親が知らないのも当然だ。

 

 事情を聞いた両親は何やらヒソヒソ話した後、龍也の方へ向き直った。

 

「そういう事だったのね…。わかった。お母さんは応援する!」

 

「俺もだ。龍也、父さんに出来る事なら協力するぞ!」

 

 二人は笑顔でそう告げる。負けじと龍也も笑顔を浮かべる。

 

「ありがとう。父さん、母さん!」

 

 

 

 それからはあっという間の半年だった。

 夏休み中はトレーニングを兼ねた漁の手伝いと勉強。休み明けからも変わらず勉強に筋トレ。

 約束通り毎週末にはセルキーに見てもらいながら身体と個性を鍛えていった。

 

 

 

 

 そしていよいよ入試前日、龍也は船着場に来ていた。

 

 

 トレーニング終わりや何か悩みがある時など、龍也はよくこの場所にいた。

 

 縁に腰掛けてセルキーとの特訓を思い返している龍也の背後に足音がする。

 

 やがて足音は龍也の真後ろで止まった。

 振り返ってみると、そこには若い女性が立っていた。

 

 

「シリウスさん!」

 

「龍也くんやっぱりここにいたんだ。船長の言った通りね」

 

 そのまま隣に座った女性、シリウスはセルキーの相棒(サイドキック)だ。魚のヒレのような耳をしているが実際は補聴器である。

 また、“グッドイヤー”という個性で普通は聞こえない音も拾える索敵のプロだ。

 

 シリウスは3年前にサイドキックになったばかりで龍也とは年齢もそこまで差がないからかよく一緒にいることが多い。

 

 その為龍也にとっては入試の勉強を偶に手伝ってくれたりと面倒見の良い姉のような存在なのだ。

 

「いよいよ明日だね、入試。にしても雄英高校かー。私も行ってみたかったな」

 

「シリウスさんも雄英を?」

 

「そりゃね。私だって中学生の頃雄英に行きたい!って思ってた。まあ私の個性じゃ実技で引っかかるのは分かってたんだけどね」

 

 確かに雄英の実技試験は敵のロボットを破壊する手段が必要だ。索敵系のシリウスとは相性が悪い。

 

「それで結局他のヒーロー科高校を探して入学したの。でもそのお陰で私はなれた。"人を救ける"ヒーローにね」

 

 不意にシリウスが顔を近づけてくると、龍也は綺麗な水色の目につい見惚れてしまう。

 

「ねえ、龍也くんはどんなヒーローになりたい?」

 

 話しかけられて我に返ると、龍也はシリウスの質問に迷わず答える。

 

「人を救けるヒーロー。セルキーのおっさんみたいな」

 

「そっか・・・・・・。龍也君ならどんなヴィランにも負けないヒーローになる!とか言うと思ったけど」

 

「強くなりたいとは思ってるよ。だって救ける中でヴィランと戦うことだって当然あるんだし」

 

 

 言動とは裏腹にシリウスの表情は嬉しそうに見える。顔に出やすいタイプなのだろう。

 

「それと、おっさんを越える事も俺の目標なんだ。だから強くなる。そしたらシリウスさんに何かあっても助けられるし、さ」

 

「うーん・・・・・・そうならない事が一番ではあるんだけど、待ってるからね。龍也君が助けに来てくれるの」

 

 シリウスは頬を赤く染めながら笑顔で龍也の手を取った。

 

「っ、おう!」

 

 

 

 

 

 それから一頻り話した後、龍也は立ち上がる。

 気づくと辺りは暗くなり始めていた。

 

「そろそろ日も落ちてくるし戻るよ。ギリギリまで気は抜けないからさ」

 

「わかった、入試頑張ってね。船長と一緒に応援してるから」

 

 龍也はシリウスに手を振ってその場を後にした。

 その夜は前日なのに何故だかぐっすり眠れた。

 お陰で万全の状態で望めそうだ。そんな希望を抱きつつ、龍也は明日を迎えるのだった。

 

 

 

 

 試験当日。

 

 

「行ってきま・・・あ!」

 

 家を出た龍也の目の前に立っていたのはセルキーだった。

 

「よう、昨日はよく眠れたか?」

 

「そりゃもうバッチリ眠れたぜ」

 

 龍也の返答にニヤリと笑みを浮かべると、セルキーは龍也の頭に手を置く。

 

「本当は色々言いてぇが一つだけ言うぞ。この俺が徹底的に鍛えたんだ。自信持ってブチかまして来い!」

 

「ああ!!」

 

 そう言って龍也とセルキーは互いの拳を合わせた。

 

 

 

 

 

 

──雄英高校前──

 

 

「ここが雄英高校か・・・すげぇ・・・」

 

 遂に雄英に到着した龍也は驚きのあまり言葉を漏らしていた。ハッと我に返りぞろぞろと中へ入っていく学生に続いて中へ移動する。

 

 筆記試験の会場に行く途中、見覚えのある金髪のヤンキーっぽい少年が前を歩いていた。ニュースに出てたっけか・・・?と龍也が考えていると前を歩いてた二人組の声が聞こえてくる。

 

「あいつ爆豪じゃね?ヘドロ事件の」

 

 ヘドロ事件とは中学生が文字通りヘドロのような外見のヴィランに襲われるも、No.1ヒーローのオールマイトによって救出されたというものだ。

 

 一瞬爆豪に睨まれた気がした龍也だったが気にせず会場に辿り着き筆記試験を受けた。シリウスに勉強を見てもらった事もあり自己採点では合格点になんとか達していた。

 

 龍也は筆記を終えたその足で実技試験の説明会場に移動する。巨大なホールに龍也含む受験生が集められ、実技試験の説明が記されたプリントが配られる。

 

 (まるでライブ会場だなこりゃ・・・。)

 

「雄英高校の入試を受けに来てくれたリスナー諸君、司会のプレゼント・マイクだ!これから実技試験についての説明をするから良く聞けよ?」

 

 本物のプレゼント・マイクに室内がざわめく中説明が始まった。まず受験者がする事は会場内に配置されたロボットの仮想(ヴィラン)を倒してポイントを稼ぐ事。

 

 1P〜3Pまでの3種類のロボットがステージ内を動き回っているので見つけ次第破壊または行動不能にすることでポイントが入る。

 

 また事前に配られた紙に書いてあった4種類目は、説明の途中でいかにも真面目そうな受験生が質問をした事で補足が入った。

 

 4種類目は0p。倒してもメリットは皆無。なるべく近づかないようにすればいいだけなのだが、

「そうもいかないんだろうな…」と龍也は嫌な予感がしていた。

 

 

 一連の説明を終えると、プレゼント・マイクが不敵な笑みを浮かべて高らかに言い放つ。

 

 

「かのフランスの英雄、ナポレオン・ボナパルトは言った!“真の英雄とは、人生の不幸を乗り越えていく者のことである。”と!」

 

 

Plus Ultra!!(更に向こうへ!!)それでは諸君、良き受難を。」

 

 

 プレゼント・マイクの言葉に武者震いしながら、龍也は実技試験の会場へ向かうのだった。

 

 





 お読み頂きありがとうございました。

 アニメのヒロアカを見ていた時、セルキー&シリウスコンビが出てきてこの二人を小説に出したい!と思ったため本作を書きました。

 次回は明日に投稿しますのでお楽しみに。


オリ主 設定

名前 : 葵 龍也

個性 : 水龍

誕生日:1月3日

身長 : 170cm

趣味:漁の手伝い、釣り、トレーニング

容姿:暗めの青髪(飯田より暗い)で髪を下ろした切島くらいの長さ。釣りの時は後ろでまとめる

 鍛えてるので筋肉はついてるがどっちかと言うと細め(個性でゴツくなる)


 


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