水龍っぽい少年と蛙っぽい少女   作:ダブドラ

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4話 高校生活と始まる訓練

 

雄英高校入学初日。龍也は5年前に出会い、ある宣言をして以来会えずにいた少女、蛙吹梅雨と再会を果たし、一緒に帰り道を歩いていた。

 

「まさか梅雨ちゃんも雄英に入ってたとはなぁ」

 

「私だって葵ちゃんが同じクラスだとは思わなかったわ」

 

「ん?俺が雄英高校に入った事には驚かないのか?」

 

「ケロッ、だって葵ちゃん自分で言ってたでしょ?俺は雄英高校に行くんだって」

 

 (思い返すと恥ずかしい話だな・・・。父さんの漁師仲間の人達にも聞かれてたってのに。)

 

 5年経っても蛙吹は当時と変わらない髪型で、しかし目に見えて大人びていた。下ろした髪をリボンのように結ぶのは今見ても苦労しそうだと龍也は思うのだった。

 

 

 

「その葵()()()って呼び方、やっぱ慣れないなぁ」

 

 蛙吹は男子に対して名字+ちゃん呼びをする。龍也の場合それで何度下の名前が葵だと勘違いされていた。

 

「良いじゃない。可愛くて、私は好きよ?」

 

 夕日に照らされた笑顔に龍也は少しドキッとした。

 

 (まあ、本人が気に入ってるならいいか。)

 

 それから少し歩くと駅が見えてきた。二人は同じ駅から来ていたらしく途中までは電車も同じだった。

 

 

「また明日ね、葵ちゃん」

 

 

 電車を下りる蛙吹を見送り、龍也も何駅か先で下りる。船着き場で話していたセルキーとシリウスに今日の事を聞かれた龍也は一通り話した後に帰宅した。

 

 両親とシリウス曰く、この日龍也は嬉しそうな顔をしていたらしい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 雄英高校入学初日の帰り道、私はずっと会いたかった()と再会した。

 

 4年前に旅行先で出会った彼は私と私の家族を救けてくれた。僅か2日の出来事だったけれど、私にとっては忘れられない思い出。

 

 それから中学生になった私は、自分も雄英高校に入学すれば彼とまた会えるかもしれないと考え、必死で努力した。

 

 そして入試に合格し、入学初日を迎えた。教室に入ったけど彼らしき人はいない。まさか、と思いつつ私は自分の座席で待った。

 

 数分経って教室に誰かが入ってくる。その人物を見て、私は目を見開いた。

 

 何故なら彼によく似ていたから。背が伸びていて一瞬違うかと思ったけど、赤髪の男子と話している時の顔は私にも見覚えがあった。

 

 

 放課後、昇降口で彼が私に話しかけてくれた事で彼が葵ちゃんだと確信できた。

 

 そのまま私達は一緒に下校し、先に電車を下りた私は自宅のマンションまで帰ってきていた。

 

 

 「姉さん、嬉しそうだね」

 

 「お姉ちゃん何か良いことでもあったの?」

 

 帰って早々弟の五月雨(さみだれ)と妹のさつきに質問され内心驚いた。無意識の内に顔に出ていたみたいね。

 

 「そうね、とっても良いことがあったわ。お夕飯の準備するから待ってて。」

 

 私はそう言うと台所へ向かう。両親は共働きでいない事が多いので夕飯は私が作る事が多いわ。

 

 何を作ろうか考えながら冷蔵庫を見ているといつの間にか五月雨が横にいた。

 

 「姉さん、とっても良いことって何?」

 

 「ずっと会いたかった人に、やっとまた会えたの」

 

 笑顔でそう答えると、五月雨は満足そうな顔でさつきと遊び始める。

 

 (この光景が見られるのも、葵ちゃんが救けてくれたお陰ね。)

 

 弟妹が笑顔で遊んでいる様子を眺めながら、私は夕食作りをするのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 翌日からは本格的に授業が開始された。普通の座学は教師全員プロヒーローであるため龍也は内心気が気ではなかった。*1

 

 昼食は食堂でクックヒーロー・ランチラッシュの料理を食べられるがこれが美味いと評判なのだ。龍也は地元が漁師町な為魚介類は色々と食べてきたがそれに勝るとも劣らない味であった。

 

 

 そして昼休み明け、いよいよヒーロー科独自のカリキュラムが始まる。

 

 

 

 「わーたーしーがー!!」

 

 「普通にドアから来た!!」

 

 

 教室の戸を開け放ち現れたのは誰もが知る平和の象徴No.1ヒーロー・オールマイトその人だった。

 

 「お、オールマイト!?」

 

 「本物だ・・・!」

 

 「やっぱ生だと画風が違ぇ・・・!」

 

 「本当に教師やってるんだ!」

 

 オールマイトの登場に龍也も思わず感動していた。今までテレビ越しにしか見たことがなかった上、

昔見たオールマイトが事故から市民を救い出している動画は龍也に大きな影響を与えたからだ。

 

 「午後の授業はヒーロー基礎学だ。担当は私オールマイトがするので皆ヨロシク!」

 

 「早速今日の授業についてだが、今回行うのはコレだ!」

 

 オールマイトが勢い良く俺たちに見せたカードには「BATTLE」と記されていた。

 

 「そう!戦闘訓練! 更に言えば、"屋内"での"対人"戦闘訓練だ!」

 

 対人という言葉に教室中の空気が変わる。いくつか段階をすっ飛ばしてるような気もするが、それこそ雄英高校らしいともいえる・・・だろうか?

 

 「それじゃ、入学前に出してもらった申請通り、君たちのコスチュームは出来上がってるのでコイツに着替えて演習場αに集合してくれ。説明の続きはそこでする。」

 

 オールマイトの指示に従い、龍也たちは教室の壁に格納されたコスチュームが入ったアタッシュケースを手に取り更衣室へ向かった。

 

 

 

 

──演習場α──

 

「どんだけ広いんだよこの学校・・・・・・」

 

 コスチュームに身を包んだ龍也は集合場所にやってきた。学校の敷地内にまんま市街地がある事に驚きながら。

 

 

 「おっ、葵!コスチューム似合ってるな!」

 

 と言う切島は個性故か上裸に両肩の歯車のようなプロテクター、グレーのズボンに破れ加工のされた赤い布とRの文字がバックルにハマったベルト、それにヘッドギアというコスチュームだった。

 

 「ありがとよ。切島もカッコいいと思うぜ」

 

 対する龍也は水中活動を想定し伸縮性と丈夫さを兼ね備えた半袖のウェットスーツと救助用品が入ったベルト、濃紺色に青ライン入りで水掻き付きの爬虫類イメージのブーツといった感じのコスチュームだ。

 

 「ありがとうな葵!つかやっぱ俺達似てるとこあるよな」

 

 「言われてみれば、確かにそうだな」

 

 切島が言う「似てる」とはコスチュームの事だろう。龍也の場合個性で腕や体に鱗が生えるのでサポートアイテムや装飾の類はかさばってつけにくい。そもそも徒手空拳主体なので必要ないのだが。

 

 それは切島も同じようなものだ。ただ本人曰く全身を硬化させると着ている服が破れかねないので上裸にしているとか。

 

 

 「よし、揃ったな。皆キマってるじゃないか!よく似合ってるぜ!」

 

 龍也達が駄弁っていると、クラス全員が揃った事を確認したオールマイトが詳細な説明を始めた。

 

 曰く、核兵器を所持しビル内に立てこもったヴィランと駆け付けたヒーローという設定で2vs2に分かれる。それぞれ、ヒーローは核(の体のハリボテ)に触れるか配布された確保証明テープでヴィラン2名を捕縛すれば勝ち。対するヴィランは制限時間いっぱいまで核を守り抜くか同じくヒーローを確保すれば勝ちというルールだ。

 

「説明はこの辺にして早速ペアを発表するぞ!」

 

 そう言いながらオールマイトがメモを読み上げる。

 

 

 Aチーム緑谷・麗日   Bチーム蛙吹・葵

 

 Cチーム切島・瀬呂   Dチーム爆豪・飯田

  

 Eチーム轟・障子   Fチーム尾白・葉隠

 

 Gチーム上鳴・耳郎 Hチーム八百万・峰田

 

 Iチーム青山・芦戸   Jチーム常闇・口田

 

 ペアが発表されると、蛙吹が龍也の方に歩み寄る。

 

 「よろしくね、葵ちゃん」

 

 「ああ。頑張ろうな、梅雨ちゃん」

 

 

 かくして、A組初の対人訓練が幕を開けた。

 

 試合の組み合わせはオールマイトが再度行ったくじ引きによって決められた。最初はAチーム対Dチーム。緑谷と麗日のペアと爆豪・飯田ペアの試合だ。

 

 第一試合の結果は緑谷チームの勝ち。だが緑谷は腕を骨折。麗日も個性の容量(キャパ)オーバーで終了直後にダウン。対照的に爆豪と飯田はピンピンしている。

 

 「やっぱり緑谷ちゃんの無茶には感心しないわ」

 

 「同感だ。見てるこっちがヒヤヒヤしたぜ」

 

 龍也が隣で一緒に見ていた蛙吹と感想を述べ合っていると麗日・爆豪・飯田が戻ってきた。緑谷は担架で保健室に運ばれた所がモニターに映っていた。

 

 そのまま講評に入り、オールマイトからの誰がMVPかという問に八百万が率先して答える。

 

 「俺と似て個性の性質上そうしてるって聞いたが良いのかあのコスチューム・・・?」

 

 「葵ちゃん、エッチ」

 

 「そういう目で見てねえよ!?」

 

 

 

 龍也が蛙吹に白い目で見られている中、第二試合が始まる。

 

 轟・障子ペアのEチームがヒーロー側、葉隠・尾白ペアのFチームがヴィラン側だ。

 

 

 

 

 「・・・・・・圧倒的だな」

 

 

 第二試合の結果はヒーロー側の勝利。それも一方的な試合展開となった。ヴィラン側の葉隠が自身の透明であるという点を最大限活かすべく手袋やブーツを脱いだのだが、轟が開始早々建物を丸ごと氷結させたことでペアの尾白諸共動きを封じられてしまい成すすべなく核を回収されてしまったのだった。

 

 「さすが推薦入学者ね。とっても強いわ」

 

 「でも案外付け入る隙はありそうな感じがしたな」

 

 「私は、ちょっと相性悪いわね」

 

 

 「なあ、二人ってやっぱ仲良いよな!」

 

 「羨ましぃ・・・・・・青春しやがってよぉ・・・・・・」

 

 試合を見終えて再び感想を述べ合う二人。それを遮るように声を発したのはと金髪の男子生徒である上鳴電気と頭髪がボールのようになっている峰田実だった。

 

 「だって小学生の頃からのお友達だもの」

 

 「えっじゃあ幼馴染?」

 

 蛙吹の発言に芦戸が喰い付きを見せる。

 

 「いや、小学校高学年の頃だから厳密には違うかな」

 

 

 「あー、ちょっといいかな?」

 

 龍也が会話に混ざり少し賑やかな空気になるが、程なくしてオールマイトが背後に現れる。

 

 

 「葵少年、蛙吹少女、話してるとこ悪いが次は君たちの番だぞ」

 

 

 「行きましょ、葵ちゃん」

 

 「あ、ああ」

  

 

 

 数分後、二人は舞台である雑居ビルの前に来た。自分たちはヒーロー側なので外で待機、ヴィラン側の相手チームは既に中で待ち構えている。

 

 「葵ちゃん、作戦はこれでいい?」

 

 「相手が()()()ならそれがいいと思う」

 

 「わかったわ。一応言うけど無茶はダメよ?」

 

 「ああ、気を付けるよ」

 

 そうして作戦会議を終えた俺たちはビルの入口へ顔を向ける。すると…

 

 

 

 「第2試合、BチームvsCチーム、スタートォ!!!」

 

 

 オールマイトが訓練の開始を告げ、同時に龍也は走り出すのだった。

 

 

 

 「さぁ勝負だ。()()ぁ!!」

 

 

 

*1
セルキーの知り合いかもしれないため




 
本作の書き方について、ここまで読んでくださった方ならお気づきかと思いますが

基本的に三人称+一部の場面や回想などで一人称になることが稀にあるのでご了承ください。

USJ編を現在執筆中で、来週中には更新を予定しています。

5話は明後日更新します。
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