機動戦士ガンダムSEED SOLID   作:赤バンブル

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PHASE:14『平和の国』

カガリを無事救助し、再びアラスカへと航路を向けていたアークエンジェルだったが、度重なるザフトの襲撃により消耗していた。

 

「クソ!奴ら、艦を集中的に攻撃している!!」

 

スネークは、前線でアスラン率いるザラ隊に応戦していたがカーペンタリア基地から増援が来たことでムウのスカイグラスパーが処理しきれず、艦は9機のディンの集中砲火を浴びていた。ちなみに2号機は修理が間に合わず出撃できない状態にあった。

 

「ったくよ、これじゃあキリがないぜ!奴ら、俺たちを本気で墜とす気だ!!」

 

狙ってアグニ砲を放つと射線にいたディン2機を撃破することに成功したが、それでもまだ7機いる。

 

その間にも懐に回り込んだブリッツのランサーダートが直撃し、アークエンジェルはエンジンから煙を吹く。

 

アスランの乗るイージスもストライクをデュエル、バスターに任せて艦を墜とすことに集中する。

 

(コイツを沈めれば・・・)

 

彼は、ビームライフルでイーゲルシュテルンの砲塔を破壊して徐々に戦力を削っていく。

 

ストライクは甲板から飛び降り、ブリッツに飛び蹴りをして水中に落とすと使用していた飛行ユニット『グゥル』に乗って、デュエルを狙撃で撃ち落とす。

 

「イザーク、ニコル!!」

 

一気に2人脱落したことにアスランは、思わず声を上げる。しかし、ディンの部隊は確実にアークエンジェルを追い込んでいた。

 

双方一歩も譲れない攻防戦を繰り広げていたことで気づかなかったが、両軍はいつの間にかオーブの領海へと侵入していた。

 

それに応じるかのようにオーブ艦隊が迎撃に向かってくる。

 

「不味い、いつの間にか領海に近づいていたか!」

 

スネークは、グゥルを操作してディンを撃ち落としながらアークエンジェルにコースを変える様に言おうと回線を繋げようとするがそこでカガリがオーブ艦に向けて通信するのを聞く。

 

『お前では判断できないというのなら行政府へ繋げ!父を・・・・ウズミ・ナラ・アスハを呼べ!!私は・・・カガリ・ユラ・アスハだ!!』

 

「何?」

 

何とかアークエンジェルをオーブの領海へと入港させようとここに来て彼女は自らの素性を明かしたことにその場にいたもの全員が驚くが警告してきたオーブ士官は、我に返って入港を拒否する。

 

『何を馬鹿なことを。姫様がそんな艦に乗っているはずがなかろう!』

 

『なんだとっ!?』

 

『仮に真実であったとしても、何の確証もなしにそんな言葉に従えるものではないわ。』

 

『貴様』

 

話が終わる前にバスターの砲撃でアークエンジェルのエンジンに直撃したことで高度が維持できなくなる。

 

「御心配なく!領海に入る前にこれで終わりだ!!」

 

ディアッカは、止めとばかりにガンランチャーとライフルを連結して発射しようとする。

 

「ムン!」

 

ストライクは、グゥルから飛んでエールのスラスターで限界まで接近するとシールドとライフルを捨てて、撃たれる前にバスターに飛びつき、アーマーシュナイダーを2丁取り出すと両腕関節に突き刺す。

 

「なっ!?」

 

マニピュレータの操作が受け付けなくなったことでバスターは全く別の方向に撃ってしまい、味方のディンを誤って被弾させてしまう。

 

スネークは、そのまま彼を蹴り落としてグゥルを奪うと急いで戻る。アークエンジェルは、エンジンが燃えたことで推力を失い、オーブの領海へと落ちてしまった。

 

『警告に従わない貴艦に対し、我が国はこれより自衛権を行使するものとする!!』

 

同時にオーブ艦隊が取り囲んで砲撃を開始し、ストライクが甲板に着地する頃には長距離からでは視認できないほど水しぶきと煙が上がっていた。

 

「クッ!」

 

追撃していたアスランもこれ以上の戦闘はオーブ軍への攻撃になりかねないと判断し、止むを得ず撤退していく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さて、とんだ茶番だが致し方ありますまい。公式発表の文章は?」

 

同じ頃、オーブ本国の内閣府官邸において前代表であるウズミを始めとする首脳陣が領海内での戦闘を見届けていた。

 

「既に草稿の第二案が。」

 

「・・・うむ、いいでしょう。そちらはお任せする。あの艦とモルゲンレーテには私が。」

 

「分かりました。」

 

ウズミは、書類に目を通すと弟であるホムラに後を任せて会議室から退室しようとする。

 

「どうにも厄介なものだ、あの艦は。」

 

「今更言っても仕方ありますまい。」

 

部屋を後にし、彼は官邸の外に待機していた車に乗り、モルゲンレーテの本社があるオノゴロ島へと走らせる。

 

「予定通り、お嬢さんは無事に本国へお届けしましたよ。アスハ前代表。」

 

運転しているカズは、バックミラーで彼の顔を窺いつつ声をかける。

 

「領海に侵入させるのは芳しくないといえるが?」

 

「仕方がないさ、彼らは元々アラスカへ直行する予定だったんだ。そんじょそこらの戦力じゃ蹴散らされて、お嬢さんたちごと現地に到着しかねない。前代表の娘が連合軍と共に行動しているなんて世間に広がれば、この国の立場が危うくなるだろ?」

 

「分かっている。約束通り、望んでいた報酬は支払おう。ところで何故君が直々に我が国に来たのかな?カズヒラ・ミラー。これまで通り、部下を送ればいいものを。」

 

ウズミの言葉に彼の顔が一瞬固まる。

 

「・・・・娘に会いに来たからだ。エリカにずっと預けておくのも悪いしな。」

 

「奥さんがユニウスセブンで亡くなってからもう1年か。まだ、幼いのに親が傍にいないのは辛いものだ。」

 

「キャサリーには悪いと思っている・・・・アンタの方はどうなんだ?ここ最近の連合とザフトの動きを見ても情勢が変わろうとしている。プラントでは次の議長選で過激派のパトリック・ザラの当選が決まっている。一方の連合の本部であるアラスカの沈黙も怪しい。」

 

「どちらにせよ、戦局が大きく動こうとしているのは確かだろう。それを見定め、動かなければなるまい。君たち『ダイアモンド・ドッグズ』への支援は、その一つだ。」

 

「その点に関しては、本当に感謝しているさ。アンタのバックアップがなければ組織はまだそこらのレジスタンスと変わらないぐらいだった。」

 

車は、やがてモルゲンレーテ本社へと到着すると入り口にウズミを降ろす。

 

「君はこれからどうするのかね?」

 

「エリカと会ってくる。その後は、あの3人の顔でも拝んでこようかな?滅多に会えないしな~。」

 

「相変わらずの女好きだな、君は。」

 

「・・・・そうでもしないとやっていけないさ。」

 

先ほどと打って変わって暗い表情をしながらカズは、車を駐車スペースへと移動させる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

オノゴロ島にある隠しドッグでは、アークエンジェルの修理が開始され始めていた。

 

「まさか、こんな風にオーブに来るなんてな。」

 

食堂でトールたちは、複雑な心境で外の様子を窺っている。

 

「あの・・・さ、こういう時って・・・どうなんのかな?俺たち。やっぱ、艦から降りたりとかできないのかな?」

 

そんな中、カズイはオドオドしながら聞く。

 

「なんだよ、カズイ。やっぱり、キラの言う通りお袋さんたちに会いたいのか?」

 

「うん・・・作戦行動中は除隊できないって言うのは分かってるよ。けど、休暇とかなら」

 

こんな時だからこそ、艦から一時的に下りて家族に会いに行けないかと話しているとスネークが食堂に入ってきた。

 

「おっ、キラ。格納庫の方では何か分かったのか?」

 

「いや、マードック曹長がエンジン関連でオーブの技術士たちと話しているのは見たがこれと言った話はないな。」

 

「艦長たちも国防省に行っちゃったし俺たちどうなるんだろうな~。」

 

彼らは、これからのことに頭を抱えながら過ごす。

 

 

 

 

そして、その日の夕方。

 

国防省でウズミと対談していたマリューたちが帰艦。

 

戦闘で損傷したアークエンジェルの修理と補給の対価としてストライクとアストレイの戦闘データの提供、パイロットであるスネークの技術協力を認めるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌朝、スネークは霧が立ち込めている中、アストレイでクタクタになったストライクを担ぎながら前の車の誘導に従ってドッグからモルゲンレーテ本社へと向かう。

 

「よくもこんなところに隠しゲートなんて設けたもんだ。」

 

欠伸をしながら中に入り、彼はエレベータで地下へと降ろされていく。

 

入口の方では技術者であるエリカ・シモンズらスタッフが待っていた。

 

「データで見させてもらったけど、驚いたわね。まさかパーツ状態だったP04が動いてたなんて・・・・」

 

彼女は、目の前に立っている機体に驚きつつも格納庫に収納させ、スネークを別エリアへと案内する。

 

「戦闘データの提供だけじゃ満足できなかったのか?」

 

「そうじゃないわ。この際だからストライクとP04を完璧に修理した方がいいでしょ?ここはお母さんの実家みたいなものなんだし。」

 

「『アストレイ』の次は『P04』か。その言い方だとあの機体の開発者はアンタか、博士?」

 

「まあ、これから見せるものを見たら納得しちゃうわよね。これが答えよ。」

 

エリカが招き入れた部屋へ入るとそこには格納された10機以上はあるであろう『アストレイ』が待機していた。

 

「ほう、俺たちが宇宙や地上で戦っている間にアイツの兄弟をこんなに作っていたのか。」

 

「貴方が乗っていたのは飽くまでプロトタイプ、ここにあるのはそれに改良を加えた正式量産機『M1アストレイ』よ。機体自体はもう出来上がってオーブの主力機として量産を開始しているんだけど、まだ課題があって・・・・」

 

彼女は、話している途中でカガリがやってきた。スネークがここに来たという話を聞いたので訪れたそうだ。

 

「なんだ、今日はお姫様衣装じゃないのか?」

 

「あれはマーナが私に無理やり着せたんだ!・・・ったく、恥ずかしいからやめてくれって言ったのに。まあ、これが平和の国オーブの真の姿だ。他国を侵略しない。他国の侵略を許さない。そして、他国の争いに介入しない。その意志を貫くための力がこれだ。オーブはそういう国だ。いや、そういう国のはずだった・・・・父上が裏切るまではな。」

 

カガリは、少し右頬が赤く腫れているのを気にしながら言う。

 

「あら、まだ仰ってるんですか?そうではないと何度も申したでしょ。ヘリオポリスが地球軍のモビルスーツ開発に手を貸しただなんてことはウズミ様はご存じないと」

 

「黙れ!そんな言い訳通ると思うのか!?国の最高責任者が。知らなかったといったところでそれも罪だ。」

 

「だから責任もお取りになったじゃありませんか。職をホムラ様にお譲りになって。」

 

「叔父上に変わったとて常にああだこうだ言って何も変わってないじゃないか。」

 

「カガリ、第三者の俺が言うのもなんだが少なくともお前の親父さんはこのオーブ、国に必要だからみんな従っているんじゃないのか?」

 

「あんな卑怯者のどこが!」

 

せっかくのスネークのフォローを無視して父親のことを悪く言う彼女にエリカは、ため息をつく。

 

「幼い頃からあれほど可愛がられたお嬢様がこれでは、ウズミ様も報われませんわね。おまけに昨日のあの騒ぎでは、確かにほっぺの一つも叩かれますわ。」

 

「それで赤くなってたのか。」

 

「う、うるさい・・・」

 

「さっ、こんなお馬鹿さんはほっといてこっちに来て。」

 

カガリが恥ずかしがっているのを気にせず、彼女はそのまま彼らを訓練室へと連れて行く。

 

ここでは、3機のM1アストレイが起動テストを行うところだった。

 

「アサギ、ジュリ、マユラ。始めてちょうだい。」

 

『『『はーい。』』』

 

「女?」

 

聞こえてきたパイロットたちの声にスネークは、驚く。3人ともカガリの知り合いのようで姿を見るなり帰って来たのかと話し始めようとするがエリカに制され、起動テストを始める。

 

M1アストレイは目を光らせるとゆっくりと動き始め、ノシノシ歩くと今度は腕を動かして格闘をする素振りを披露した。

 

「相変わらずだな。」

 

「だが、ヘリオポリスの初期OSと比べればよく動くじゃないか。」

 

「そうでしょ?これでも最初と比べて倍近く早くすることができたのよ。」

 

「でも、これじゃあっという間にやられるぞ。キラのアストレイが相手だったら1分も持たずにバラバラにされるのがオチだ。何の役にも立ちやしない、ただの的じゃないか。」

 

それなりの評価をするスネークに反して、カガリは呆れながら酷評する。その反応に乗っているパイロットたちは怒り出す。

 

『もう、ひっどーい!』

 

「本当のことだろーが。」

 

『人の苦労も知らないで!』

 

「敵だって知っちゃくれないさ、そんなもん。」

 

『乗れもしないくせに!』

 

「言ったな!じゃあ、代わってみろ!!私の方がもっとマシに」

 

「はいはい、やめやめ!」

 

喧嘩に突入しそうになったところをエリカは声を上げて止める。

 

「なるほど、確かにこれだとザフトの機体相手じゃ厳しいだろうな。」

 

「そういうこと、カガリ様の言う事も事実。私たちは、この機体をもっと強くしなければならないの。貴方のストライクとP04のようにね。」

 

「全部俺みたいな動きにしろと?それだとパイロットが持たない。」

 

「いいえ、協力してもらいたいのはあれを動かすサポートOSの開発よ。貴方のOSをベースに最適化すればP04ほどではないにしても従来の機体よりは良くなるはず。」

 

「骨が折れる作業だな。・・・・ふう、仕方ない。やってみるか。」

 

彼は、ため息をつきながら早速OS改良の作業に取り掛かることになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、同時刻。

 

アスランたち『ザラ隊』は、密かにオーブに上陸していた。

 

カーペンタリア基地からの連絡では、『アークエンジェルは既にオーブから離れている』という公式発表があったが当然イザークたちが納得するはずがなく、強行突破してでも見つけようとしたところをアスランに止められ、潜入しているという情報を掴むという方法に切り替えたのだ。

 

彼らはダイバースーツで海岸に到着すると待機していた工作員からモルゲンレーテ社員の作業着と偽造IDを受け取って諜報活動を開始する。

 

「見事に平穏ですね、街中は。」

 

「あぁ、昨日自国の領海であれだけの騒ぎがあったって言うのに。」

 

「中立国だからですかね。」

 

二手に分かれて、街中を歩くアスランと二コルは、何事もなく日常を送っている市民を見ながら戦争と程遠いことに複雑な心境になる。こうしている間もプラントでは戦争の早期終結を願う一方で大規模作戦を展開の準備が進められている。

 

「おっと。」

 

余所見をしていると走ってきた女の子にぶつかってしまう。彼女はその勢いで尻餅をついてしまい、泣き始めてしまう。

 

「だ、大丈夫か君?」

 

アスランは、動揺しながらもしゃがんで泣き止ませようとする。二コルは、走ってきた様子を見て恐らく迷子なのではと推測を立てる。

 

「多分、迷子でしょうか?ご両親とはぐれたんじゃ。」

 

「参ったな、こんなところで」

 

「キャサリー!キャサリー、どこだ!?どこにいるんだー!!キャサリー!!」

 

そんな中、少し離れたところで金髪リーゼントにサングラスと言ういかつい外見の男が慌ただしく誰かを探していた。彼の声を聴いて女の子は、泣くのをやめて彼の方を見た。

 

「パパ!」

 

「おっ、キャサリーそんなところにいたのか!?」

 

彼は、急いで二人のいる方へと向かい抱き着いてきた娘を抱っこする。

 

「いや、すまなかった。目を離した隙にいなくなってたもんで。」

 

「い、いえ・・・・俺たちは別に何も。」

 

「そうか。だが、ありがとう。仕事の都合で中々この子との時間を作れなくてね。危うく貴重な休みが無くなるところだったよ。ほら、キャサリー。このお兄ちゃんたちにお礼を言いなさい。」

 

「ありがとう、お兄ちゃんたち!」

 

「どういたしまして。」

 

親子が離れて行くのを見ながらアスランは、かつて自分の家族にもこんな瞬間があったのだろうかと思いを馳せる。

 

「・・・・平和の国か。」

 

そう呟きながら去って行く二人。

 

「・・・・あの二人、恐らく工作員だな。」

 

別れたカズは、二人の恰好を見るなりすぐにザフト兵だと見抜いていた。

 

「恐らくアークエンジェルの存在を掴もうとしていると言ったところか・・・モルゲンレーテ本社に入らない限りはバレる危険はない。そのまま何事もなく引き上げてくれればいいが。」

 

「パパ。私、お人形さん欲しい!」

 

「うん?そうか、じゃあ玩具屋で欲しいもの買っていいぞ!」

 

愛娘との時間もあって彼は、そのまま街の中へと姿を消した。

 

 

 




『MISSION FAILED』

???「スネーク、応答してくれ!スネ―――――――クっ!!」

□CONTINUE
 EXIT


ちなみにキャサリーはMG2時代の設定にあるカズの娘。
MGSでリキッドがカズの自宅を襲撃したと言う事は・・・・・・
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