機動戦士ガンダムSEED SOLID   作:赤バンブル

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仕事に慣れるのが大変で執筆が思うように進まない。


PHASE:17『閃光の刻』

ザラ隊の襲撃を掻い潜ったアークエンジェルは、追跡を心配しながらも着実にアラスカへと向かっていた。

 

「艦長、代わります。」

 

「ありがとう。」

 

既に夜となり、月の光が海上を照らす中を進み続ける艦のブリッジでナタルは、マリューを休ませるべく交代を促す。ここまでアラスカ本部とのコンタクトを何度か試みてはいるものの通信状況は相変わらずで連絡が取れなかった。

 

「このまま何事もなければ、明日の夕刻には北回帰線に出られるわ。そうなれば連絡も付くでしょう。」

 

「ですが、ボズゴロフ級は高速艦です。こちらをロストしてくれればいいのですが・・・」

 

彼女は、こうしている間にもザラ隊が再び襲撃してくるのではないかと警戒していた。それはマリューも同じで何度も襲ってきていることから浅はかならぬ因縁を感じつつあった。

 

 

 

 

 

一方、ミリアリアは部屋に籠っているトールの元へ夜食を届けに行っていた。

 

部屋に入ると明かりはついておらず、ベッドの上ではタオルケットを被りながら体育座りしている彼の姿があった。

 

「トール、大丈夫?」

 

彼女は、電気をつけると食事を机の上に置いて傍に来る。トールは、顔色こそ落ち着いているもののどことなく暗く感じていた。

 

「ごめん、初めてのせいで落ち着かなくてさ。」

 

「だから、言ったでしょ。無理しないでって。スカイグラスパーだったらどうなっていたことか。」

 

そんな彼に対してミリアリアは、戦闘に出るのは向いていなかったんだと遠回りに言おうとする。

 

元々彼が前線に出て戦うのは一番反対していたからと言うのもある。もし、敵を撃墜したことで自信を付けて調子に乗りだしたらと思うと取り返しのつかないことになりそうで却ってよかったとまで内心感じていた。

 

「実際、モビルスーツで出たんだけどさ・・・そりゃあ、シミュレーションとは全然比べ物にならないぐらいビビったよ。敵がバンバン撃ってくるんだからさ。あれが本当の戦場なんだって思い知らされたよ。」

 

「そうでしょう。だから、トールには向いてないって」

 

「けどよ、部屋に戻ってきてから考えてたんだ。キラは、ずっとこんなことを感じながら俺たちを守ってくれてたんだなって。自分を押し殺して。」

 

「えっ?」

 

トールは、自分の震える手を見せながら話を続ける。

 

「見てくれよ、あのブリッツを墜としてからずっと震えが止まらないんだ。あれに乗っていたパイロットも一緒に吹き飛ばしちまったんだと思うと・・・・怖くてさ。アイツはこれをずっと耐えて戦ってくれてたんだぜ?いくらコーディネーターだからって、ことで済むのかよ?」

 

「トール・・・・」

 

「キラの奴、今はみんなの前では平気そうに振舞ってるけど、このまま戦い続けたら・・・壊れちまうんじゃないかなって。・・・・それなのに俺は、たった1回でこんなことになってさ・・・・・自分が情けなくて・・・」

 

友人の力になりたいと思って志願したのに初陣でのこの醜態に彼は、泣きながら呟く。そんな彼にミリアリアは、頭を優しく撫でながら慰める。

 

「仕方ないわよ、トールは初めてなんだもの。無理なら無理でもうやらなければいいのよ。」

 

「けどよぉ・・・・キラが壊れちまったら・・・俺、どうしようって。俺が出なくてみんなやられちまったら後悔するんじゃないかって・・・・」

 

「大丈夫!キラだってトールには無理してほしいとは思ってないわよ。・・・だから、アラスカまではもう休みましょう。もう、戦わなくていいから。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

同じ頃、スネークは艦後部の休憩室で葉巻を吸っていた。

 

「・・・・トールの奴、チコみたいな無茶をしなければいいが。」

 

彼は、今の友人がかつて救えなかった少年のような末路を迎えてしまうのではないかと不穏に感じていた。

 

リカルド・バレンシアノ・リブレ、通称『チコ』。

 

コスタリカで出会ったニカラグアの反政府ゲリラ「FSLN」の若きリーダーとなったアマンダの弟で回りが子ども扱いする中、自分も一人の兵士として認めてもらいたいと背伸びをしていた少年。

 

メタルギアZEKEの事件後にパスがキューバの米軍基地で尋問を受けていると知った彼は、居ても立っても居られなくなり、自分たちが国連の核査察の準備をしているところで単独で救出のために潜入。見事に捕まってしまった上に好意を寄せていた彼女を救うことができず、おまけに自身も拷問でマザーベースの居場所を吐いてしまう有様だった。

 

そこで終わればよかったのだが救出したのも束の間、マザーベース崩壊から逃げる途中でXOFの追撃とパスの爆弾の衝撃に巻き込まれて乗っていたヘリが墜落した。自分とカズ、メディック(エイハブ)は助かったもののチコは、パイロットのモルフォと共にそのまま死亡する形となった。

 

自分たちの役に立ちたいという動機はどことなくそんな彼と類似しているように思えたスネークは、これ以上トールが出撃するような事態は避けたいと考えつつ、今にも来るであろうアスランたちの襲撃に対して策を練ろうとする。

 

「部屋で寝てないと思ったらこんなところでタバコか?未成年がやることとしては感心できないな。」

 

そこへムウがやって来た。自室で仮眠をとっていたようだがうまく眠れずにここへ来たらしい。

 

「少佐、俺に説教でもしに来たのか?」

 

「いや、部屋でゴロゴロしても眠れなかったもんでな。気分転換ってところだ。」

 

彼は、そう言うとスネークの傍に腰を掛ける。

 

「しかし、タバコなんかどこで調達したんだ?」

 

「バルディーヤで物資を調達するときにな。それとこれは葉巻だ。タバコとは違う。」

 

「意外と悪いことしてたんだな~。俺にも一本くれないか?少し吸いたい気分でさ。」

 

受け取るとムウは、葉巻に火をつけてを一息吸う。

 

「フウ・・・お前を見ていると死んだ親父のことを思い出すよ。」

 

「少佐の親父さん、愛煙家だったのか?」

 

「あぁ。今も思うけどいい印象のない親父だったけどな。お袋とも仲は冷え切っていたし、俺とも碌に関わらなかったよ。」

 

彼は、懐かしむかのように自分の実家の話をする。

 

ムウの実家は、代々続く資産家で自分もちょっとしたお坊ちゃまだったと言う。理由としては一族特有の能力とも言える「先読み」の力で財を築いてきたとか。幼少期は、自覚していなかったが今は戦闘中に敵の動きを読めるなど自分にも備わっていることが分かってきた。

 

だが、父はそんなムウに失望していたのかあまり相手にはしなかったそうだ。

 

「それである日、親父が実家に一人の子供を連れてきたんだよ。初めて見る奴だったが一目でどこかから養子を取って来たんだろうなってなんとなく思ったよ。」

 

「話をしなかったのか?その子供と。」

 

「後に昔仕えていた使用人の一人から話を聞けたんだが親父は俺と一切関わらせるなと念入りに言われていたらしい。どうも俺の代わりに実家を継がせようとしていたようでな。それからしばらくして家が火事にあって、親父もお袋もその時逃げ遅れて死んだんだ。そいつがどうなったかは知らないがあの状況からして亡くなったんだと思う。同じ身勝手で連れてこられた上にあんなことに巻き込まれて可哀そうなもんだ。」

 

「そうか・・・」

 

「幸い、お袋は使用人たちと仲良かったおかげで軍に入隊するまで俺の親代わりになってくれたよ。今でも感謝している。」

 

一通り話を終えると彼は、葉巻の火を消す。

 

「まあ、なんだ?人間、金持ちになると心が狭くなってろくでなしになるって訳さ。何事も程々なのが丁度いいんだ。こんな戦争終われば俺も適当に軍を除隊して、田舎でスローライフでもしてるんだがね。」

 

「少佐が山仕事で艦長が川で洗濯か?」

 

「おいおい、なんで『桃太郎』になってるんだ!?しかもそこで艦長が出す?そりゃあ、結構いい線いってるけどさ・・・・」

 

いつの間にか冗談話に発展して盛り上がっているところで警報アラートが鳴り始めた。

 

『総員、第一戦闘配備!総員、第一戦闘配備!!』

 

「はあ。どうやら奴ら、俺たちをこのまま見逃してはくれそうもないようだな。」

 

「そうらしいな。」

 

二人はすぐさま更衣室へ向かい、パイロットスーツに着替えるとそれぞれストライクとスカイグラスパーへと搭乗する。

 

『スカイグラスパー、フラガ少佐機出ます!ストライクは後部デッキへ。』

 

二機がそれぞれ発進するとアークエンジェル後方からイージスたち3機がグゥルに乗りながら攻撃を仕掛けて来ていた。

 

「バリアント、撃てーっ!!」

 

ナタルの指示で迎撃を開始するが仲間を一人失ったこともあってかアスランたちの動きは、今まで以上にストライクの動きを警戒しながら攻撃を仕掛けてくる。

 

「ディアッカは戦闘機を相手にしながら足つきを攻撃してくれ。俺とイザークは、ストライクをやる。」

 

「あぁ、任せておけ!」

 

「イザーク、距離を保ちながら艦から引き剥がす。下手に行けば墜とされる。」

 

「言われるまでもない、二コルの弔い合戦だ!今日こそは奴を墜とす!!」

 

「時間が経てば応援のディン3機が合流する!!奴らがアラスカの防衛権に到着するまでに撃つぞ!!」

 

イージスは、アークエンジェルの迎撃装置を破壊しながらスネークを誘うように仕向ける。

 

「イーゲルシュテルン4番、5番被弾!」

 

「ヘルダート発射管、隔壁封鎖!」

 

「アラスカからの連絡は!?」

 

「ダメです!応答ありません!!」

 

「ゴットフリート照準、当てろよ。撃て―――!!」

 

被害が広がる中、ナタルは内心焦りながらも的確に指示を出す。しかし、動きを読んだアスランは砲撃を避けると一度グゥルから飛び降りてモビルアーマー形態へ変形。スキュラで右エンジンを掠めて被弾させた。

 

「プラズマタンブラー損傷!レギュレーターダウン!」

 

「揚力が維持できません!」

 

「姿勢制御を優先して!!」

 

「緊急パワーは補助レギュレーターに接続!」

 

マリューたちが対応に追われている中、トールは副操舵士としてブリッジにいながらも自分が出なかったばかりに今にも艦が墜とされようとしていることに責任感を感じていた。

 

「・・・・・スカイグラスパーで出ます!!」

 

「トール?」

 

今回は出撃しないと考えていたミリアリアは、戦闘中にもかかわらず思わず声を漏らす。

 

「何を言っている、ケーニヒ二等兵。今回は待機と言ったはずだ。」

 

「このままじゃ危ないですよ!俺も・・・・俺もヤマト少尉とフラガ少佐の援護に出ます!!」

 

若干震える手を押さえながら彼は、ブリッジから走っていく。

 

「俺を墜とせないなら先に母艦から沈めると言うのか。やってくれたな、アスラン!」

 

スネークは、スラスターを吹かして飛翔するとマイダスメッサーでデュエルのグゥルを破壊する。

 

「許せないんだよ!ストライク!!」

 

しかし、ニコルの敵討ちに燃えていたイザークはそのまま飛び降りてストライクに向かってタックルを繰り出す。

 

「グゥウ!?」

 

増加装甲の重量を活かした攻撃にスネークは、眩暈に襲われるが降下しながらもガンランチャーをデュエルの顔面に発砲させてカメラアイを損傷させる。

 

「カメラが!クソ!!」

 

攻撃を仕掛けようと考えていたイザークはすぐに補助カメラに切り替えようとするがその隙にビームサーベルで右足を切られ、態勢を崩して落下して行く。

 

「わああああああ!!」

 

墜ちて行くデュエルを見送るとストライクは、向かってくるイージスに目をやる。

 

「キラァアア!!」

 

アスランは、グゥルを乗り捨てると彼の方へと突撃させて爆発させようとするがその前に投げられたビームサーベルによって破壊されてしまう。

 

「クッ!」

 

「アスラン、これ以上俺たちを追うのはやめろ!!」

 

スネークは、飛行しながらイージスに接近しようとする。

 

 

 

 

 

 

が、その直後、背後から高出力のビームが命中し、片方のスラスターが破壊されてバランスを崩す。

 

「ウオッ!?」

 

まさかの背後からの攻撃にストライクは、近くの島へと墜落する。衝撃に襲われながらもスネークは、すぐに破損個所を確認し、向かってくるイージスのサーベルをシールドで防ぐ。

 

「ウオォオオオ!!」

 

「そこまで俺を撃ちたいか!」

 

マイダスメッサーを抜いてCQCの構えて対応しようとする彼に対し、アスランは瞬時に距離を取ってイーゲルシュテルンで撹乱し、両足のサーベルを展開して斬りかかる。

 

「お前たちが二コルを殺した!!」

 

「ニコル?あのブリッツのパイロットか?」

 

ライフルをしまってアーマーシュナイダーを取り出すとスネークは、斬撃の僅かな隙をついて左腕の付け根に突き刺して駆動系破損させて徐々に無力化しようと動く。

 

「アイツは・・・・アイツはこんな戦争を早く終わらせるために戦っていたんだ!それを!!」

 

「だから、仇を討つと言いたいのか?おめでたい奴だな、戦場に出れば誰もがいつ死んでもおかしくないのが戦争だ。実際、俺はお前の仲間を何人もこの手で殺した。だが、お前たちはどうなんだ?ヘリオポリス、第8艦隊、大勢の人間を手にかけたんだ。彼らも早く終わらせたいと考えて死んでいった。そこに何の違いがある!?」

 

「なら、地球軍が正しいと言いたいのか!?奴らはユニウスセブンに核を撃った!軍事拠点でもない農業コロニーをだ!!そこにいた母は、何も知らずに殺された。他のコーディネーターたちもだ!!」

 

自分の中で何かが割れたアスランは、四本のビームサーベルを巧みに操ってストライクの胴体を切り、コックピットを露出させる。対してスネークは、サーベルで左腕を切り落とすと透かさずアーマーシュナイダーをイージスの頭部に突き刺して破壊した。アークエンジェルとの戦闘の際にスキュラを数発撃ったこともあってバッテリー残量は危険域に到達し、イージスは膝を着きながらフェイズシフトダウンする。

 

(スキュラを使い過ぎたか!ここで自爆しようにもキラ相手に組み付くのは不可能だ・・・・)

 

目の前にいるストライクはライフルを向ける。中から見えるスネークの顔は、どことなく悲しそうに見えた。

 

「アスラン、これで終いだ。俺にここで撃たれるか、負けを認めてラクスの元へ帰るかの二択だ。」

 

「クウゥウ!!」

 

応援のディンがそろそろ駆けつけてもおかしくないはずだが応答がない。アークエンジェルの相手をしていたディアッカのバスターの反応もロストしていることから恐らく残っているであろう緑のモビルスーツにやられたのだろう。

 

既にビームサーベルを展開できるほどのエネルギーも残されていないため、最後の手段として自爆があるがスネーク相手では、実行前に阻止されて終わるのが目に見える。

 

「断る!俺も撃てばいいだろう、ニコルのように!!」

 

「・・・残念だ。」

 

アスランの選択に対し、彼はそのまま引き金を引こうとする。

 

『・・・・ラ!・・・キラ!大丈夫か!?』

 

「トール?お前、出てきたのか?」

 

『お前のことが心配になって出てきたんだ。出撃した時、増援のディンが襲ってきたけどフラガ少佐がアストレイに乗り換えてうまく迎撃してくれたよ。俺も何とか1機墜とした。』

 

「・・・大丈夫なのか?」

 

前の戦闘の影響もあって出撃すべきではないと考えていたスネークは、トールにまた無理やり引き金を引かせてしまったと後悔するが当の本人は何か吹っ切れたのか言い返す。

 

『俺、もう引き金を引くのを躊躇わなねえよ。相手を撃ったの罪を受け止めて進む。ミリィやお前、みんなのためにも。』

 

「トール・・・ふっ、その様子ならもう問題なさそうだな。」

 

上空からスカイグラスパーがこちらに向かってくる。トールは、ストライクがイージスを下したことに安堵して思わず手を振った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんなのも束の間、左翼のスラスターをビームが貫いてスカイグラスパーは、そのまま墜落していく。

 

『ウワアア!?』

 

「トール!!」

 

スネークは、思わず飛んできたビームの方角に別に機体が隠れていたのではと一瞬、イージスから目を離す。その隙をアスランは逃さなかった。

 

「キラッ!!」

 

彼は、イージスをモビルアーマー形態に変形させてそのままストライクに組み付かせると急いで自爆装置を作動させる。本来なら安全圏まで離脱するまでを想定して時間を指定するが拘束が解かれて脱出されることを恐れて最短時間に設定、そのままジェットパックを付けて脱出した。

 

「クッ、これは・・・・・まさか!」

 

脱出した彼の姿を見て自爆だと気づいたスネークは、急いでイージスの拘束を外そうとするが間に合わず爆発を直に受けることになる。

 

「ふおおおおおおおおお!!」

 

 

 

イージスの自爆は、ストライクを巻き込み周囲を吹き飛ばす。その光景は墜落中のスカイグラスパーからも確認できるほどだった。

 

「キラ!!」

 

自分のことを他所にトールは、思わず声を上げるが機体はそのまま海上に衝突。その衝撃で気を失うのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「キラ、トール聞こえる?こちら、アークエンジェル。応答してください!キラ!トール!!」

 

離れたところから聞こえる爆発音と当時にストライクとスカイグラスパーの反応がロストしたことにミリアリアは、内心動揺しながらも呼びかけを続けていた。

 

アークエンジェルの方では破損したエンジンの応急修理と撃墜したバスターの回収で混乱状態であり、ムウが乗り換えたアストレイもディンを迎撃した後に補給のために戻っていた。

 

「キラ、返事をして!トール!!」

 

「・・・・もう、やめろ。ハウ二等兵。」

 

何かを察してしまったナタルは、席を立って通信回線を切らせる。

 

「艦長、ここで立ち往生していられるほど我々の状態は芳しくありません。一刻も早く離脱しなければ。」

 

マードックの報告によると幸いエンジンの損傷は軽度だったようで部品を取り換えればすぐに飛べるようになれるとのこと。しかし、更に増援がこちらに向かってきていることが判明したことですぐにでも発進しなければならなくなった。

 

「・・・ヤマト少尉とケーニヒ二等兵はMIAに認定します。」

 

「え、MIA!?そんな!!」

 

ナタルの判断にミリアリアは、更に動揺する。

 

『MIA』

 

通称『作戦行動中行方不明』の略で実質『戦死』扱いと言う事である。

 

あの爆発は恐らく機体が撃墜されたもので双方ともやられてしまったと判断したのだろう。

 

「心苦しいだろうが認めろ。ここで立ち止まれば、今度は我々が墜とされることになるぞ。」

 

彼女は、自分なりに気を遣って話す。当のミリアリアは、その現実を受け止められず持ち場から離れて行ってしまった。

 

「エンジンのパワー、戻りました!」

 

「離翔する。推力最大!」

 

「離翔!推力最大!!」

 

エンジンの応急処置が完了したアークエンジェルは、その場から急いで離脱を始める。

 

「スカイグラスパー2号機とストライクの最後の確認地点は?」

 

「7時方向の小島です。」

 

「この状態で戻ることはできません!」

 

「少佐、1号機の方は?」

 

『ダメだ!1号機はまだ飛べそうにない。緑の方も奪ったグゥルが坊主の仕様のままだから飛べそうにない。』

 

「アラスカ本部からは!」

 

「ダメです!依然、応答ありません!!」

 

マリューは、何とか2人を捜索しようと策を練るがどの手段もできないことで表情を歪ませる。

 

「艦長、これでは我々全員が全滅することになります。ここは、人命救助としてオーブ政府に依頼した方が妥当かと。」

 

「オーブに?」

 

「二人は元々オーブ国民です。我が軍所属とは言え、引き受けてくれると思います。」

 

ナタルの提案に彼女は、軍紀に重視している普段の彼女とは思えないと感じつつもその案を受け入れることにする。

 

「任せるわ。旗艦、最大船速!この空域からの離脱を最優先とする!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「無茶言わないでくださいよ、フラガ少佐。無理なもんは無理ですよ!?」

 

「単純に飛べるようにはできるんだろ?なら、すぐに初期化してくれ!1号機直すよりは手っ取り早いだろ?」

 

「でも、艦長は離脱するって言うんですぜ?今からやったって坊主たちを探しに行く暇なんかありませんよ。」

 

一方、格納庫ではムウがどうにかグゥルを飛ばしてスネークたちを捜索に行こうとマードックと言い合っていた。

 

スカイグラスパー1号機は、バスターとの撃ち合いで被弾してしまったことですぐに飛べそうもない。っとなれば、グゥルに搭乗したアストレイで行く選択となるがグゥル側のOSは、書き換えていなかったことが災いしてスネーク以外扱うことができなかった。初期化すれば単純な飛行こそできるが方向転換など支障をきたすようになるので簡単に撃ち落されかねない。

 

そのことからマードックたち整備班は、彼の提案に反対していた。

 

「なんてこった。まさか、ここに来て2人も置いていくことになるなんて・・・・!」

 

苦虫を噛み潰したような顔をしていると涙目のミリアリアがふらふら格納庫へやって来たところを目にする。彼女は、シミュレーションマシンの方へと駆けより、トールの名前を呼んでいた。

 

「お嬢ちゃん?」

 

「トールは?」

 

ムウが声をかけると彼女は泣きながら振り向く。その様子に彼は言葉を詰まらせた。

 

「そんなはずないんです。MIAだなんて・・・そんなはず、だから・・・だから!!」

 

そこまで言いかけるとミリアリアは、その場で膝をついて号泣し始める。そんな彼女を目の前にムウは、自分よりも若い2人を失ってしまったことに憤りを感じてその場で機材に拳をぶつけた。

 

「クソ!!何故・・・アイツらなんだよ。俺よりも若いのにこんな・・・・俺がこんな様で・・・。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アークエンジェルがその場から離脱してしばらく経った後、爆心地にはボロボロになったストライクが動く様子もなくただ佇んでいた。そこへ左腰に刀を装備した赤いアストレイが近づいてきた。

 

「まさか、ミラーの旦那の依頼で来て早々あんな戦闘見ることになった上、自爆に巻き込まれるなんてな。ガーベラのおかげで何とかなったがこっちまで吹き飛ぶところだったぜ。ったく、こんな戦い何の意味があるんだ?」

 

コックピットから額に青いバンダナを巻いた男が出てきてストライクのコックピットへと駆けよる。

 

「緊急シャッターが作動しているようだがこれじゃあ、中は蒸し焼き状態だな。おい、生きてるか!?」

 

彼は、シャッターを解除すると中で動かなくなっているスネークを引きずり出してヘルメットを外す。

 

「なんてこったい、まだ子供じゃねェか。」

 

同時にストライクはフェイズシフトダウンする。パイロットが救出されたことに安堵したのかその表情はどこなく安心しているかのように見えた。

 

「・・・・そっか、お前も最後まで主人を守っていたんだな。分かった、お前の主人は俺が必ず助けてやる。お前のこともオーブに頼んで直してもらえるように頼んでおくからな。だから、今は休んでな。戦いを忘れて。」

 

ロウは、そう言うと彼を抱えてレッドフレームのコックピットへと戻っていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

その様子をオセロットが遠くから観察していた。

 

「ミラーがうまく誘導してくれたようだな。後は、ただマルキオ導師と共にプラントへ戻るだけ。分かってはいたがやはり砲撃用のアグニで加減をするのは楽じゃない。」

 

彼は、テスタメントに装備された『マルチプルアサルトストライカー』の取り扱いに難色を示した。この装備は元々ストライクで取り扱っている3種のストライカーパックを統合したものなのだがバッテリーの消耗が激しい上に取り扱いも難しいため、空上のプランとなっていたがこの機体の動力源のおかげでエネルギー面の問題はない。ただ、やはり取り扱いが難しいことには変わりないが。

 

現場から離れて行くレッドフレームを見送るとオセロットは、回収したスカイグラスパーを浜辺の近くへと置く。中では気を失ったトールがぐったりと伸びている。

 

「悪いな、お前を餌にしなければボスの隙を作ることができなかった。明日にはオーブの救援が来る。それまではそこで寝ててくれ。寝心地は最悪だろうがあっちよりはマシだ。」

 

浜辺では脱出したものの爆風に巻き込まれたアスランが漂着していた。命に別状はないのは目に見えているのか彼は特に目もくれずテスタメントと共にオーブの方へと飛び去って行くのだった。

 

 





???「ボス!!」

???「同志(読者)に核を使うんですか!?」

???「出てきなさい!!」

???「やかましい!」

???「終わりよ!!」

???「ふおおおおおお!!」

???「スネーク!どうしたんだ!?スネーク!スネ―――――クッ!!」

『SNAKE IS DEAD』

□CONTINUE
 EXIT


SOLIDΔでシークレットシアターも再現されるのかちょっと楽しみ。
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