後日、アークエンジェルからスネークたちの救助依頼が届いたオーブ政府は、即急に部隊を編成して現場へと向かった。
現場では既にオセロットから連絡を受けていたダイアモンド・ドッグズが捜索を行っており、同行していたカガリは、そこにエイハブの姿をあったことで驚きの声を上げた。
「エイハブ!?アンタ、エイハブか!?」
カズと話していたエイハブは、彼女の声を聞くと振り向く。
「カガリか。お前さんまでここに来るとはな。」
「父上が先行隊を送っていたのは聞いていたがまさかお前がいるとはな。どういう関係なんだ?」
「ウズミ前代表はスポンサーの一人だ。俺たちはどこの国にも属さない民間軍事会社で来たのも彼からの依頼だ。」
彼に変わってカズが代わりに答える。実際現場には捜索を称して専用カラーに染められたディンやゾノが徘徊しており、更には見覚えのないモビルスーツも数機参加していた。
「どこの国にも属さないってどういうことだ?」
「アンタらと同じさ。連合とプラント、コーディネーターもナチュラルも関係ない。俺たちは必要な場所に必要な部隊、物資、整備、情報・・・あらゆる軍事力を世界中に派遣する民営化した組織と言ったところだ。」
「オーブは他国を侵したりしない!」
「あぁ、知ってるとも。だから、国家、組織、思想、イデオロギーに囚われてやれることに限度がある。それを補うために俺たちがいると言う訳さ。アンタらの手の届かないところへ。無論、プラント、連合からも依頼が来れば応じる。それなりの対価を踏まえてな。」
「金目当てだというのか!?」
「もう、そのぐらいにしておけ。カズ、あまり彼女を怒らせるな。」
流石にこれ以上ヒートアップされても困ると思ってエイハブは、揉めかけていた二人の仲裁に入る。カズは、掴みかかれてズレたサングラスを直しながらカガリに謝罪をする。
「俺としたことが大人げなかった。すまない、プリンセス・カガリ。」
「カガリでいい。ところでどこまで進んでいるんだ?えっと・・・・」
「カズヒラ、カズヒラ・ミラー。カズと呼んでくれ。今範囲を広げて調べているが見つかったのは連合の戦闘機とモビルスーツ二機だ。っと言っても1機は自爆して残骸が散らばっている程度だ。」
「パイロットは?パイロットはどうだったんだ!?キラは?キラはどこにいるんだ!?」
目の前に中破したストライクが佇んでいる。心配する彼女を見ながらも彼は、口を開く。
「回収したパイロットは2名。一人はトール・ケーニヒ、もう一人はアスラン・ザラだ。それぞれ、戦闘機のコックピットと浜辺で気を失っていたところを回収した。怪我はしているが大したことはない。」
「キラはどうしたんだ!?このストライクのパイロットは!?」
「・・・・捜索を続けているが3人目は見つかっていない。俺たちが確認した時にはコックピットはもぬけの殻だった。爆発前に脱出したのか、それとも放り出されたのか。あるいは」
「っ!!」
「今、捜索範囲を広げて探している。二人は、収容キャンプで治療を施して寝かせているが設備的にそっちの輸送機の方がいい。」
「わ、分かった。こっちの飛行艇に移す・・・・。」
ショックな出来事もあって消沈するカガリを見てエイハブは、義手で彼女の肩を軽く叩く。
「大丈夫だ、捜索は続ける。ストライクは、戦闘機と一緒にお前たちが持って帰ってくれ。モルゲンレーテの方が修理に適しているからな。」
「カガリ。」
「あぁ・・・・」
キサカに促されて彼女は、輸送機の方へと戻っていく。後ろ姿を見送りながら二人は、ため息をつく。
「本当のことが言えないって言うのはもどかしいものだな。」
「スネークの生存を知らせるわけにはいかないんだ。下手に情報が洩れればザラ派の連中がクライン邸を襲撃して巻き込まれかねない。あの男なら生還できるだろうがシーゲルとお嬢さんは確実に殺される。」
無論、彼らはスネークがプラントに運ばれて治療を受けているのは知っている。しかし、どこから情報が洩れるか分からない。オセロットから意識が戻ったとの報告も来ていないため、襲撃されるようなことになれば一溜りもない。よって、今は黙っている他なかった。
「少なくとも俺たちが情報を漏らさない限り、身元の安全は保障される。問題はアラスカの方だが・・・・」
「何かあったのか?」
カズは、話しながら険しい表情をする。
「実は、アズラエル理事からアラスカ本部内で大規模戦略兵器の建造が完了しつつあるという情報が来ているんだ。『サイクロプス』、かつて月面のエンデュミオン・クレーターでザフトに大損害を与えたものだ。」
「確か元はレアメタルを氷から抽出させる為の装置だったな。だが、使い方を変えれば人間を爆散させるのは愚か周囲を巻き込んで爆発し、地形すらも変える凶悪兵器となる。だが、何故本部であるアラスカに?」
「恐らくパトリック・ザラが主導している『オペレーション・スピットブレイク』の情報がどこかから漏れただろう。サイクロプスの建造時期を考えると・・・・かなり、初期の段階で漏洩した可能性があるな。恐らく」
「プラントと地球を行き来できる内通者が意図的に情報を漏らした。そして、ブルーコスモス寄りの連合将校がわざと本部を囮にしてザフトの大半の戦力を一網打尽にする。」
「あぁ、ここ数か月アラスカ周囲で潜水艦の移動頻度が多いのはろくでなしの高官どもを安全圏へ移動させるためのものだったんだろう。そして、今配備されている守備隊は使い捨ての駒と言うわけだ。」
「『勝つためなら必要な犠牲も厭わない』・・・と言うんだろうな、連中は。」
エイハブは、電子シガーを吸いながら海岸で動いている105ダガーとストライクダガーを眺める。運用データの収集依頼と言う形で連合から送られてきた量産型モビルスーツの先行機なのだが、ストライクダガーの方は生産ラインは整っているらしい。つまり、近い将来ザフトの主力機であるジンを凌駕する機体が戦場に大量に投入されることを意味する。パイロットの質にも左右されるだろうが今後の戦況が大きく傾ける存在になることは間違いない。
「俺たちも備えはした方がいい。ザフトの戦力が激減すれば当然、連合も攻勢に移るはずだ。そうなれば、オーブも動向次第で・・・・」
夕方。
アスランは、オーブの飛行艇の中の一室で目を覚ました。体を動かすと自爆の衝撃によるものか左腕がギプスで固定されていた。
そして、目の前では銃口を向けたカガリの姿があった。
「お前は・・・・」
「ここはオーブの飛行艇の中だ。我々は浜で倒れていたお前を発見し、収容したんだ。」
「・・・・中立のオーブが俺に何の用だ?それとも今は地球軍か?」
彼の煽りのような発言にカガリは、一瞬ムッときたが前回と違い生気がない様子に違和感を覚える。
「お前に聞きたいことがある。あの機体、『ストライク』をやったのはお前だな?」
「・・・・あぁ。」
「パイロットはどうした?お前のように脱出したのか!?それとも・・・」
「・・・・」
「見つからないんだ、キラが!何とか言えよ!?」
ストライクを中破させたのは間違いないがパイロットの安否を答えないことに対して、彼女は声を荒げ始めた。捜索は続けているもののスネークの生存の痕跡はどこにも見当たらない。沖に流された可能性も想定して範囲を広げているが何もなかった。
「・・・俺が殺した。」
「!?」
「そう、俺が殺したんだ。イージスで組み付いて自爆させた。とても脱出できたとは思えない。」
「クッ!」
カガリは、思わずアスランの胸倉を掴んで銃口を突きつける。しかし、顔を見ると泣いていることに気が付く。
「それしかもう方法がなかった。アイツを倒すには・・・・」
「貴様!!」
彼女は、彼をベッドに押し倒してそのまま中の引き金を引こうとする。だが、これまでの経験もあって撃つことはできず、スネークが死んだと思いそのまま離れて壁を殴りつけた。
「・・・なんで俺は生きているんだ?あの時、脱出しちゃったからか?それとも、お前が俺を撃つからか?」
「キラは・・・・危なっかしくて、訳わかんなくて、笑っていると思ったら、みんなに隠れて一人悲しそうな顔して・・・・でも、優しい・・・・いい奴だったんだぞ!!」
「・・・知ってるよ。」
泣きながら叫んでいたカガリは、その一言に一瞬目を丸くする。
「そういうところは変わっていないんだな・・・アイツ。昔は、泣き虫で甘ったれで・・・優秀なのにいい加減だったのに。」
「キラを知っているのか!?」
「知ってるよ、よく。小さい頃から兄弟みたいな仲でずっと友達だったんだ。」
「それなのに・・・なんで、それでなんでお前がアイツを殺すんだよ!?」
2人の意外な関係を知りつつも彼女は、何故親友同士で殺し合わなければいけなかったのか理解できなかった。
「分からない・・・分からないさ!俺にも!!月で別れて・・・次に会ったときには敵だったんだ!それでも一緒に来いと何度も言った!アイツはコーディネーターなんだ、俺たちの仲間なんだ!!地球軍にいることの方がおかしい!」
「お前・・・・」
「それでもアイツは聞かなくて、俺たちと戦って・・・仲間を傷つけて・・・・二コルを殺した!」
「だから・・・キラを殺したのか?お前が・・・・」
「敵なんだ、今のアイツはもう!なら、倒すしかないんじゃないか!!」
「馬鹿野郎!」
アスランは、今まで溜めこんでいたものを吐き出すように告白するがカガリの方も泣きながら掴みかかって言う。
「なんでそんなことになる!?なんでそんなことしなきゃならないんだよ!!」
「アイツは二コルを殺した!ピアノが好きで、まだ15で、それでもプラントのために戦っていたアイツを・・・」
「キラだって、守りたいもののために戦っただけだ!なのに、なんで殺されなくちゃならない、友達のお前に!!殺されたから、殺して、殺されたから殺されて、それで最後は本当に平和になるのかよ!!えぇ!?」
「う、うぅう・・・・」
そんな二人の会話を外で盗み聞きしていたカズは、やるせない表情でひっそりと部屋の前から去って行った。
自分もかつて似たような経験をした。
しかし、そこに残されたのは虚しさだけでアラスカの自宅で死亡するまで一生後悔することになった。
「復讐することはその報復心の大きさによってできないことはない。だが、失ったものは二度と戻ることはない。」
かつて、組織を壊滅させたサイファーの実働部隊『XOF』の指揮官であるスカルフェイスが死んでも報復心は収まらなかった自分だからこそ今の二人の心情を理解できる。ここから、どう進むかは彼ら次第でどうすることもできない。
外に出るとストライクが運び込まれているのが目に移り、こちらもとりあえずイージスの残骸を一通り回収し終えていた。
「ミラー副司令、残骸は残らず回収しましたが重要機密の部位が完全に喪失しているので詳細なデータは得られないと思われます。」
「あぁ。だが、ジャンク屋ギルドにノコノコ来られるよりマシだろう。奴ら、お宝になりそうなものならどこだろうと拾いに来るからな。」
「オーブ側は、回収したザフトのパイロットを返還する方針ですが、先日回収して来た
「いや、それはまだ不味い。向こうでは既に戦死扱いになっているから下手に引き渡せば、過激派に転身した父親に知られるのを恐れて黙殺されかねない。パトリック・ザラは、味方でも意に反せば引き金を引くのは躊躇わない男だ。戦時中のご時世じゃ、DNA鑑定でもしない限り整形した偽物と言って片づけられるからな。」
「では、引き続き世話をジョニーに任せます。」
「そうしてくれ。」
翌朝。
オーブ政府からの国際チャンネル通信でザフトにアスランが保護されたことが知らされ、彼は領海の傍で引き渡されることになった。
「アスラン、迎えが来たぞ。大丈夫なのか?」
部屋に入って来たカガリは、昨日のこともあって彼を気遣う様に席から立ち上がらせる。
「やっぱり、変な奴だな。お前は。ありがとう、って言うのかな?今はよくわからないが。」
溜めこんでいたものがいたものがなくなったこともあってアスランは、心ここにあらずと言った表情で部屋を後にしようとする。
「・・・ちょっと、待て。」
「うん?」
「これを持ってけ。」
彼女は、呼び止めると身に付けていた首飾りを外して彼に首にかけてあげた。
「これは?」
「『ハウメアの護り石』だ。大地を司る女神と同じ名を持つ御守りの石で私のものだが・・・・お前、危なっかしいから守ってもらえ。」
アスランは、かけられた石を手に取って見てからカガリに問う。
「キラを殺したのにか?」
「もう、誰にも死んでほしくない。だから、お前は生きろ。死んだキラの分も。」
「・・・・それが生き残った俺の義務か。」
カガリと別れるとアスランは、飛行艇からボードに乗せられてザフトの輸送機へと連れて行かれる。入口では迎えのザフトへと共にイザークが待っていた。
「貴様!どの面下げて戻ってきやがった!!」
彼は、顔を見て早々アスランに怒鳴りつけるが内心では戻ってきてくれたことに感謝していた。
二コルが戦死し、ディアッカも行方不明になった今、クルーゼ隊で生き残っているのは自分一人だった。アスランも死んだのではと昨日まで消沈していたが生存が分かったときは良く生き残ってくれたと喜んでいた。
アスランは、輸送機へと乗り込むと覇気がないもののイザークに事の詳細を伝える。
「ストライクは討ったさ。これで二コルの仇は取れた。」
「・・・そうか。クルーゼ隊長もお前の安否を気にしていた。回復したら心配かけた事を謝っておけ。」
「あぁ。」
それだけ言うとイザークは輸送機の扉を閉め、アスランの後姿を見ながら安堵の表情を浮かべるのだった。
一方、プラントのクライン邸ではラクスがハロ達が動き回っている傍ら日課である庭の花の手入れをしていた。
「まあ、どうしてそういうことするの?悪い子ですね、グリーンちゃん。そういう子とは遊んであげませんよ?」
『認メタクナイッ!』
『テヤンデーイッ!!』
たくさんのハロが飛び跳ねている中、ピンクハロは一体中庭のガラス張りの部屋の方へと向かって行く。
「あっ、ピンクちゃん!いけませんよ、そちらは。」
ピンクハロが近づくとドアが自動で開き、中に設置されているベッドへと飛び込む。ラクスは続いて入り、寝かされている人物を起こさないようにハロを回収した。
「・・・・・」
「今日もお目覚めになりませんのね。」
彼女は、寝かされているスネークを見ながら少し寂しそうに呟く。数日前のマルキオ導師に連れてこられたときは驚いたが怪我をしていると聞いていても立ってもいられなくなり、自分の屋敷で看病することになったのだが一通りの治療を終えて既に目を覚ましてもいいはずなのにいまだに彼の意識は戻らなかった。
「私はまた貴方とお話ししたいですわ、キラ。」
ラクスは、彼の手をそっと握る。すると彼女の脳裏に知りもしない記憶が過る。
そこには彼と同じ右目に眼帯をした男の姿があった。
任務のために最愛の人である師を自らの手で抹殺し、事の真相を知った後に祖国への不信や彼女の意志への解釈を巡っての友人との確執が生まれて決別。
その後、独自の軍隊を率いてコスタリカで思考を再現したAIを搭載する
それから彼は自らを『ビッグ・ボス』を名乗るようになり、紆余曲折ありながらも20年以上の年月をかけて独立武装国家『アウターヘブン』、『ザンジバーランド』を築き上げるが
重傷を負った後も肉体も意識は
そこまで行くと彼女の意識は現実に戻り、ふらついてその場で尻餅をついてしまった。
「い、今のは一体・・・」
ラクスは、戸惑いながらもピンクハロを拾い上げてスネークを見つめる。最初に会ったときと違い、右目には眼帯をしており、治療を担当した医師によると傷自体はかなり前のものらしい。他にも体は傷跡だらけで彼がどれだけ身を削って戦っていたのかは明白だった。
「・・・・キラ、貴方はどうしてここまでして戦うのですか?」
手を包むように握りながら彼女は、眠っているスネークに問いかける。思えば、彼のことについて何も知らない。あのビジョンは一体何を意味するのかも。ただ、自分が知らず知らずのうちに惹かれているのに気付き始めていた。そして、彼のことを理解するために知りたいと感じた。
「ラクス様、ここにおられたのですか?」
そこへ、盲目の男性が杖を突きながら歩いてきた。彼女はすぐに立ち上がり、彼の方へと向き直る。
「マルキオ様!申し訳ございません、お待たせしてしまって。」
「いえ、私も彼のことが気になっていましたので。」
マルキオ導師はそう言うと盲目にも拘らず、スネークの手に触れる。
「まだ、彼は目覚めていないのですね。」
「はい、お医者様のお話ではもう起きてもいいのですが・・・」
「見守ることもまた大事なことです。彼が自ら起きるまで待ちましょう。それとシーゲル様がお帰りになりましたよ。」
「まあ、父が!?」
彼女は、帰って来た父親を迎えるべくその場から駆けて行く。一人残されたマルキオ導師は、そっとスネークの手を元に戻すとゆっくりと後を追う。
時は少し遡って、アークエンジェルはどうにか地球連合本部があるアラスカへと辿り着くことができた。
スネークとトールがMIAになったことで雰囲気が暗い中、艦は滝に隠れているメインゲートから指定された位置へと入港していく。
「よもや辿り着くとはな。」
「ハルバートンの執念が守ってでもいるんでしょうかね?」
「ふん、守っていたのは『コーディネーター』の少年ですよ。」
「サザーランド大佐、そう言うな。・・・・だが、まあ土壇場に来てストライクとそのパイロットがMIAと言うのは、なんと言うか・・・幸いであったな。」
本部の会議室では、ウィリアム・サザーランド大佐を始めとする将校たちが見守っていた。しかし、その反応は冷ややかなものだった。
「GATシリーズは、今後我らの旗頭になるべき存在です。しかし、それがコーディネーターの子供に操られていたのでは話にならない。」
「確かにな。」
「所詮、奴らには敵わぬと目の前で見せびらかすようなものだ。」
「すべての技術は既に受け継がれ、更に発展しています。今度こそ、我々のために。」
「シアーズ大統領からなんと?」
「問題は全てこちらで修正せよと言われております。オーブのMBF-P04のOSデータを回収するようにと。あの艦については試験部隊として存続させてはと進言したのですが・・・・今のところはまだ。」
「惜しい艦だが、場合によっては止むを得ませんな。ザフトに我らの動きを読まれては困る。一応、補給として試作機数機を配備させましょう。パイロットは後で回すと伝えて。」
「すべては、青き清浄なる世界のために。」
彼らは、ディスプレイに映し出される試作モビルスーツのデータを確認した後にマリューたちアークエンジェルクルーへの事情聴取の準備を始めるのであった。
カーペンタリア基地へと帰還したアスランは、医療室で軽い診察を受けた後に安静を言い渡されてベッドで横になっていた。
そこへクルーゼが見舞いにやってくる。
「アスラン、あのストライクを墜としたそうだな。乗機を失ったとは言え、よくやってくれた。これでミゲルを始めとする彼に倒された者たちも浮かばれる。」
「隊長・・・・しかし、そのおかげで二コルとディアッカを失いました。隊の指揮を任せていただいたのに申し訳ございません。」
「いや、私こそ対応が遅れてすまなかった。確かに彼らを失うという大きな犠牲を払うことになってしまったがそれも止むを得ん。それほどに強敵だったと言う事だ、君の友人は。辛い戦いだったと思うがミゲル、ニコル、バルトフェルド隊長、他にも多くの兵士が命を奪われたんだ。それを撃った君の強さは、本国でも高く評価されている。君にはネビュラ勲章が授与されるそうだ。」
「ネビュラ勲章をですか?」
まさかの特務隊に任命されることに彼は驚く。
「あぁ。私としては残念だが、本日付で国防委員会直属の特務隊へ転属との通達も来ている。」
「ですが、隊長」
「トップガンだな、アスラン。君は最新鋭機のパイロットとなる。その機体受領のためにも即刻本国へ戻って欲しいそうだよ。」
「しかし」
「お父上が評議会議長へとなられたのは聞いたかね?」
「あっ、はい・・・」
「ザラ議長は、戦争の早期終結を切に願っておられる。本当に早く終わらせたいものだな、こんな戦争は。そのためにも君も又力を尽くしてくれたまえ。これが、上官として私が最後に言えることだ。間もなくスピットブレイクが発令されるだろう。達者でな、アスラン。」
そう言うとクルーゼは部屋から去って行った。
アスランは、またベッドに横になりこれからのことを考える。
命令された以上、早いうちに荷物をまとめてプラントに戻らなくてはならない。
父が議長になったことで戦局が大きく変わろうとしている。スピットブレイクが成功すれば本当に戦争は終わるだろう。
「・・・・特務隊か。二コルを死なせた挙句、キラを殺した俺が。」
『MISSION FAILED』
???「何があったんだスネーク!スネ――――クッ!!」
□CONTINUE
EXIT
今回は詰め過ぎたかも。