機動戦士ガンダムSEED SOLID   作:赤バンブル

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今回はMGS要素やや強め。


PHASE:19『闇の胎動』

スネークは、いつの間にか水没林の中を歩いていた。

 

周りに生い茂っている木々は燃え盛っており、その先で大破したモビルスーツの残骸が転がっている。更にそこへ雷鳴が鳴り響き、雨が滝のように振って来た。

 

イージスの自爆に巻き込まれて以降の記憶がなかった彼は、ボロボロの身体でありながらも拳銃を構えて進んでいく。しばらくするとフードを被った何者かが自分の前に背を向いて立っていた。

 

「・・・・」

 

スネークは、警戒しながらもその人物へと近づいていく。男は彼の存在に気づくと振り向いてフードを外した。

 

『また、ここへ来たか。スネーク。』

 

「ザ・ソロー・・・・」

 

眼鏡をかけた彼にスネークは、見覚えがあった。

 

 

 

『ザ・ソロー』

 

自分の師匠である『ザ・ボス』が第二次世界大戦中に設立した特殊部隊『コブラ部隊』の一員で霊媒能力に長けていた人物だ。

 

大戦中は彼女の最高のパートナーであり、後に自分と共に『愛国者たち』へと対立した同志オセロットの父親でもある。

 

スネーク自身もかつて『スネーク・イーター作戦』で敵要塞『グロズニィグラード』から脱獄し、一時的に仮死状態に陥った際に彼と対峙している。

 

 

 

そんな彼と会ったと言う事はここは『あの世』の世界と言う事になる。

 

「・・・アンタがここにいると言う事は俺は死んだのか?」

 

コックピットが露出していた上にイージスの自爆を諸に喰らったのだ。普通なら生きてはいない。

 

『それはお前自身が知っていることだ。だが、戻り方は知るまい。』

 

「・・・・」

 

あの時は、作戦のために歯に仕込んだ蘇生薬のおかげで意識を取り戻すことができた。

 

しかし、今の自分は軍属とは言え、そんなものは持っていない。

 

そんな彼の考えを見据えたのか、ザ・ソローは宙に浮いて付いてくるように促す。仕方なく、スネークは彼の後をついていくことにする。

 

『また、多くの死者を生み出したようだな。また、哀しみが満ちている。』

 

あの時と違って、思念波で攻撃されることはないが歩いていると自分が墜としたであろうパイロットスーツを着たザフト兵たちの霊が彷徨っているのが目に映る。

 

(この中にアスランの言ったニコルと言う奴がいるんだろうな。だが、爆発に巻き込まれたであろうアスランはともかく、バルトフェルドの姿が見当たらない・・・・俺が見落としているだけか?)

 

霊を避けながらしばらく進むと川が途切れ、白馬に乗ったある人物が待ち構えていた。

 

「ボス?」

 

スネークは、その姿を見るなり思わず目を見開くが一旦冷静になろうとする。

 

ここが『あの世』なら死んだ彼女がここに現れてもおかしくはない。

 

ザ・ボスは、馬から降りてゆっくりと彼の近づいてくる。

 

『今回も命拾いをしたようね。“ジャック”。』

 

もう聞くことがないであろう声が今目の前で発せられている。ママルポッドのAIが複製したものでもない。間違いなく本物だ。

 

「どうしてここに・・・!」

 

言い終える前に直感が働いた彼は、CQCの態勢で身構える。

 

案の定、ザ・ボスは、羽織っていた外套を脱ぎ捨ててスネークへと俊足の如く迫ってくる。自爆による衝撃のダメージがあるのか動きは鈍っており、簡単に押し倒されて銃を奪われてしまう。しかし、そこは長年の経験でカバーし、倒れたまま回し蹴りで距離を取らせて態勢を立て直した。

 

『腕は落ちていないようね。動きもあの時よりも良くなっている。』

 

彼女は、敵対する意思がないのか以前のように分解することなく銃を返した。スネークは、銃をしまうと改めて状況を確認しようと聞く。

 

「ボス、アンタがここにいると言う事はここは『あの世』なのか?」

 

『正確には「あの世」と「この世」の境界線。お前は、あの時自爆に巻き込まれて死にかけた。だから、ここに来た。かつて、グロズニィグラードで身投げした時のように。』

 

「・・・・そうか。」

 

ここに来たと言う事は、間もなく本当に死ぬと言う事なのだろうと彼は薄々考える。アークエンジェルも恐らくあの状況では助けにも来れそうにない。

 

『だが、お前は助けられた。治療もされて、回復しつつある。ただ、一つ貴方の意識がここにあるのを除いては。』

 

「助けられた?」

 

『お前を必要としている者だ。だから、このままここに留まらせるわけにはいかない。今すぐ帰るんだ。』

 

ザ・ボスは、手に持っていたものをスネークに手渡す。

 

蘇生薬だった。

 

『お前は帰らなければならない。それがどんな結果になろうとも、自分の為すことを果たさなければならない。戻れば前の世界と同じ・・・いや、それ以上の試練がお前に降りかかる。』

 

「どういうことだ?」

 

『いずれ知ることになる。それを飲んで早く戻りなさい。』

 

そう言うと彼女は馬に乗り、ザ・ソローも相乗りする形で乗馬する。

 

『向こうで「家族(コブラ部隊)」が待っている。貴方も早く戻って仲間のところへ行くのよ。』

 

「ボス、最後に言わせてくれ。いや、謝らせてくれ。俺は・・・・俺はアンタの遺志を誤って解釈した。勝手に失望して決別し、世界を混乱させた。だから」

 

『・・・・謝る必要はない。思想や考えは、その時代の人間によって変わる。貴方も少佐もそれぞれ異なる結論に達しただけに過ぎない。』

 

「ボス・・・」

 

『いいか、早く戻るんだ!』

 

ザ・ボスは手綱を引くと馬を走らせ、そのまま森の中へと姿を消す。

 

スネークは、彼女の姿を見送ると渡された蘇生薬を改めて見る。

 

「降りかかってくる試練?一体どういう事なんだ・・・まさか、アークエンジェルに何か!?」

 

妙な胸騒ぎを覚えた彼は、蘇生薬を口に入れて噛み砕いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・ハッ!」

 

スネークが目を見開くとそこには青い空が広がっていた。しかし、よく見ると雲がない上に不自然に感じるほど青く、本物ではなく人工的なものだと気づいた。

 

上半身を起こしてみるとどうやら治療を施されたらしく、痛みこそあるもののあちこちに包帯が巻かれていた。

 

「どこだ・・・・ここは」

 

周囲を見ようとするとすぐそばで寝息を立てているラクスの姿があった。

 

彼女は突然動いたことで目を覚まし、彼が意識を取り戻したことに驚く。

 

「キ、キラ!?お、おはようございます!私としたことが疲れて眠ってしまいましたわ!」

 

「ラクス・・・・ラクス・クライン。君がいると言う事は、ここはプラントか・・・・・ウッ!?」

 

無理やり起き上がろうとするスネークに対し、ラクスは慌てて止める。

 

「無理をしてはいけません!怪我はまだ治っていないのですから。」

 

「ウゥ・・・俺は大丈夫だ。それよりも何故、プラントに」

 

「お目覚めになられたようですね。」

 

そこへマルキオ導師が入って来た。初対面である彼は、見知らぬ人物の登場に警戒するが自身をプラントまで連れて来て治療の手続きをしてくれたのだと伝えると誤解は解けた。

 

「そうか・・・それでアンタが。すまない、導師様。こんな見ず知らずの俺のために。」

 

「いえ、私もこちらでやることがありましたので。」

 

スネークを再びベッドに横にさせるとラクスは、紅茶を淹れる準備を始める。

 

「しかし、まさか君が俺を看病してくれたとはな。」

 

「以前、助けていただいたお礼です。中々お目覚めにならなかったから心配していましたわ。」

 

「そうか。・・・・ラクス、君に謝らなければならないことがある。」

 

彼は、包帯が巻かれた手を見ながら複雑そうな顔でここに来るまでの経緯を打ち明けた。

 

アスランたちと戦い、彼の仲間の一人を殺したこと。

 

そして、イージスの自爆で彼がどうなったかが分からないと言う事だった。

 

「そうでしたの。それでこんな傷だらけに・・・・。」

 

「俺はストライクのコックピットに乗っていたからこれで済んだのかもしれない。だが、アスランは外に脱出していた。爆風で吹き飛ばされて無事ですまないのは確実だ。君の婚約者に・・・申し訳ないことをした。」

 

「でも、貴方がこうして生きているのです。アスランもきっと生きていますわ。」

 

彼女は、そう言うと淹れた紅茶を差し出す。スネークは、ゆっくり手を伸ばして受け取ると紅茶を口に含んだ。

 

「それでアスランとの戦いで右目を?」

 

「うん?いや、これは地球に降りた時についたものだ。フレイを覚えているか?彼女と友達の乗るシャトルを守るために無茶をしたんでね。」

 

「まあ、フレイさんたちは大丈夫だったのですか?」

 

「あぁ。オーブで再会したがサイの家族と一緒に暮らしているそうだ。」

 

「それはよかったです。」

 

再会を約束したフレイが元気そうだったことにラクスは、嬉しそうに笑みを浮かべる。

 

「私、これから歌のお仕事がありますので少し開けますわ。何かあったら屋敷の方たちにお申し付けください。」

 

彼女は、ハロ達を連れてその場を後にしていく。一人取り残されたスネークは、葉巻で一服したいという欲求を感じつつも手元にないため、諦めて体力の回復に専念すべく眠りに入ろうとする。

 

「!」

 

しかし、近づいてくる足音が聞こえ、彼は咄嗟にベッドから技と転げ落ちて下に隠れた。しばらくすると部屋に何者かが入ってくる音が聞こえ、足音がすぐそこまで迫ってくる。

 

「・・・・・・」

 

相手がベッドを覗き込もうとした瞬間、スネークは不自由な体でありながら飛び出して取り押さえようと身構える。

 

「ボス、私です。出て来てください。」

 

「!?」

 

入って来たのは、オセロットだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、地球連合アラスカ本部では、マリューたちがサザーランド大佐たちの事情聴取を受けていた。

 

彼らは、これまでの戦闘経歴を評価こそしていたものの『アルテミス要塞の壊滅』『先遣隊の全滅』『第八艦隊の喪失』を問題視され、やはりと言うべきか、コーディネーターであるスネークを重要機密であるストライクに乗せてしまったことに対して良く思われていなかった。

 

「では、当査問会は終了する。長時間の質疑応答、ご苦労だったな。アークエンジェルの今後については決まり次第、通達する。ムウ・ラ・フラガ少佐、ナタル・バジルール中尉以外の乗員には、これまで通り艦にて待機を命ずる。」

 

「中尉と自分がですか?」

 

「うむ、貴官ら2人には転属命令が出ている。指定された時刻に人事局に来るように。また、アークエンジェルの方には我が軍で開発された試作モビルスーツ『ダガー』タイプ数機を新たに配備する。パイロットについては追って通達する。以上だ。」

 

サザーランド大佐一行は、それだけ言うと会議室から退室していく。

 

まさかの転属命令にムウは、危うくため息が出そうになった。

 

スネークとトールがいない中、アークエンジェルの戦闘員は自分だけでアストレイとスカイグラスパー以外の機体が補給されるのはいいが肝心のパイロットが決まっていない現状、艦を離れていいのだろうか。

 

そして、妙な胸騒ぎを感じており、このままマリューたちと別れてしまっていいのかと考えていた。

 

「査問会が終わって早々我々だけ転属とは、あまり気が進みませんね。」

 

ナタルも何か心残りがありそうな表情を浮かべながらも上層部の決定は絶対であると考え、異議を申し立てることはなさそうだ。

 

「・・・2人が無事かどうか確認できるまではいたかったんだがね。色々と。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

プラントでは夕暮れとなり、休んだことで多少体が動くようになったスネークはクライン邸の展望台から港を眺めていた。

 

「・・・・・」

 

 

 

 

 

 

『オペレーション・スピットブレイク?』

 

『パトリック・ザラがクライン政権時代からプランを進めていた大規模作戦で地球軍、唯一の宇宙港となったパナマに対して総攻撃をかけて月と地上を分断させ、戦争の早期終結を狙うと言ったものです。しかし、それは表向きの偽装プラン。本当の攻撃目標は、地球連合軍最高司令部「ジョシュア」。この真相は立案者であるパトリックを含め、彼のシンパである一部の議員にしか知られていません。ですが、ミラーの連絡によれば連合本部に情報は筒抜けになっているそうです。』

 

『内通者がいると言う事か。』

 

『えぇ、それもかなり早い時期に。連合は、これを逆手にとって本部のジョシュアにサイクロプスを建造。メインゲートを始めとする守備隊には真相を告げず、ザフトの戦力の大半が最深部へと到達したところを見計らって丸ごと吹き飛ばすという算段です。』

 

『まさか・・・・“アークエンジェル”もか?』

 

『彼らは、貴方と共に注目され過ぎた。あの艦をメインゲートの守備に配置させれば敵もまさか、本部が捨て駒だとは思わないでしょう。彼らにはそれだけの影響力がある。』

 

『・・・・オセロット、ここまで俺に教えていいのか?お前、今はザフトの人間なんだろ。』

 

『私にとって、ザフトはかつてのGRU、KGBやCIAと何ら変わりありません。「忠を尽くす」相手が貴方だけだと言う事です。スピットブレイク発動まであまり時間がありません。幸い、評議会は作戦に集中しているため、このコロニーの警備はかなり緩い。脱出するなら問題ありませんが地球に戻ってアークエンジェルと合流し、サイクロプスの影響圏外まで離脱するにはそれに耐えられる機体が必要になります。』

 

『モビルスーツはバッテリー稼働だ。そんな長距離移動した上に艦を守りながら安全圏に逃げられるほどの機体があるとは思えない。』

 

『ご安心を。それに耐えられる機体がこのコロニーでロールアウトしています。貴方好みではありませんが今後の戦闘を考えるなら申し分ない代物です。』

 

『ZGMF-X10A「フリーダム」か。地球連合に“正義”の鉄槌を下し、プラントの真の“自由”を勝ち取らせるっと言ったところか。』

 

『パトリックの反ナチュラル思想を体現したと言っても過言ではないモビルスーツと言ったところでしょうが、貴方の手に渡ればその意味も変わる。』

 

『だが、奪うにしてもそんな派手なことはできん。ラクスたちを巻き込みかねないからな。』

 

『スピットブレイクが失敗すれば、パトリックはどの道あの親子に責任を擦り付ける。「シンパの一部がナチュラルに作戦の情報を漏らした。クラインはプラントの裏切り者だ。」と。政権が交代した今、あの男にとって彼女たちは邪魔ものでしかない。』

 

『追われるのか。』

 

『はい。しかし、クラインを支持する人間が多いのも事実、ある程度の逃走ルートを準備はしているでしょう。少なくとも彼らにとって2人は、失ってはならない人材です。そちらの方は、私も手を回しておきます。』

 

『そうか。』

 

『地球に戻った後は、オーブかミラーと合流してください。ザフトの戦力の大半を消せば、今まで押され気味だった連合が動き出す。モビルスーツの量産も始まり、次の戦場は宇宙へ、そうなればマスドライバーはパナマだけでは足りません。オーブの方にも目を向け始める。』

 

『お前はどうする気だ?俺がフリーダムを奪えば、目を付けられるぞ。』

 

『私は疑われません。フリーダムは、プラントに潜入したブルーコスモスの工作員によって強奪、撹乱させるため彼らは、二手に分かれてクライン邸を襲撃。私は部下と共にクライン親子を守るために迎撃していた。それだけです。』

 

『相変わらずの手際だな。』

 

『では、ジョン。準備が整い次第、お迎えに上がります。』

 

『あぁ、彼女たちの方も頼む。』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「キラ!こんなところにおられたのですか!?」

 

オセロットとの会話を思い返しているところへ、ラクスが慌ただしく来る。ベッドから姿を抜け出していたことに気づいて探し回っていたようだ。

 

「少し体を動かしたくなってな。ここで少し風景を眺めていた。」

 

「そうでしたの。でも、まだお体に触りますわ。」

 

彼女は、そう言うと彼の手を引いて屋敷の方へと戻ろうとする。

 

 

 

「!?」

 

ところがその直後、ラクスはふらついてその場で倒れかける。

 

「お、おい!?」

 

スネークは、慌てて彼女を支える。我に返ったラクスは、彼の顔を見つめて一瞬驚いた表情を浮かべるがすぐに落ち着くを取り戻す。

 

「申し訳ありません。今日、歌の収録があって疲れてしまったようで。」

 

『ラクス、ゲンキー!オマエ、元気カー!!』

 

「そうか、なら今日は早く休んだ方がいいな。」

 

ピンクハロが傍で飛び跳ねている中、スネークは彼女を抱きかかえながらクライン邸へと戻っていく。お姫様抱っこされたラクスは、複雑そうな顔で彼の顔を見つめる。

 

あの手が触れた瞬間、またあの記憶が自分の中を駆け巡った。

 

そして、今度はその男の姿がスネークと重なったのだ。

 

(・・・・・もしかしてあの戦い続けていた彼は、貴方なのですか?キラ。)

 

彼女は、密かに行き場のない不安を感じるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日の夕方。

 

プラント本国への帰還が決まったアスランは、荷物をまとめてカーペンタリア基地を後にしようとしていた。

 

スピットブレイク発動が間近に迫っていることもあり、通路ではほとんど人影がなく、不気味なほど静まり返っていた。

 

「ネビュラ勲章と新型機の授与、国防委員会直属の特務隊へ転属とはな。」

 

ただ、イザークは見送りに来たのは通路の壁際に寄りかかって待っていた。

 

「イザーク。」

 

「先を越されるのは面白くないがニコルやディアッカたちの仇を取ったんだ。認めざるを得ない。だが、俺もすぐにそっちへ行ってやる。」

 

「・・・色々すまなかったな。でも、ありがとう。」

 

アスランは、彼に今までの感謝を込めて握手を求める。イザークは、多少驚きはしたがそれに応じた。

 

「今度は俺が部下にしてやる。それまで死ぬんじゃないぞ。」

 

別れる間際の彼の一言にアスランは、思わず引き出しそうになりながら返事をする。

 

「・・・あぁ、分かってる。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

同じ頃、アークエンジェルの独房でディアッカは、額に包帯を巻いた状態でベッドに寝そべっていた。

 

「はあ・・・・やっちまった。ビンゴだとはな・・・」

 

ムウのスカイグラスパーとの戦闘でバスターが戦闘不能になった彼は、これ以上の抵抗はできないと悟って投降。その後、両手を縛られて医療室に軟禁されていたのだが、精神安定剤を処方してもらおうと来室して来たミリアリアと遭遇。

 

『それとも馬鹿で役立たずのナチュラルの彼氏でも死んだか?』

 

最初にすれ違った時からめそめそしていたこともあって軍人らしくないことに対して、軽く皮肉を言ったつもりなのだがそれがいけなかった。

 

次の瞬間、治療用なのかナイフを持った彼女が自分に襲い掛かって来たのだ。

 

両手が縛られて自由が利かないこともあって抵抗することができず、危うく刺殺されかけた。

 

『ミリィ、何しようとしてんの!?』

 

医師を探しに行っていたカズィが制止したおかげで何とか大事には至らなかったがそのときのミリアリアの一言が今も聞こえてくるほど焼き付いた。

 

『トールが、トールがいないのに!なんで、こんな奴が!こんな奴がここにいるのよ!!』

 

精神的に追い詰められた彼女の表情を見て、自分が軽口を叩いて傷つけてしまったことに後悔。その姿は、ニコルが戦死した時のイザークの反応とはまるで違かった。

 

 

「俺、このままどうなっちまうんだろうな・・・・」

 

彼は切られた傷の痛みを感じながら自分が裁かれる時を待つのだった。




『MISSION FAILED』

???「ボス、目標の死亡を確認。間に合わなかった・・・・任務は失敗だ。」

□CONTINUE
 EXIT


HGCEでプロヴィデンス出たらめっちゃかっこよくなりそう。
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