機動戦士ガンダムSEED SOLID   作:赤バンブル

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内容が思うように浮かばない+仕事の疲れでモチベが上がらず、1か月ぐらいかかってしまった(;'∀')

クリスマスに間に合わせようとしたのにズレちゃった。


PHASE:23『国境なき軍隊(ダイアモンド・ドッグズ)

ヴェノムに連れられたマリューたち一行は、アークエンジェルの修理をダイアモンド・ドッグズのスタッフたちに任せて司令塔へと赴いた。

 

「カズ、連れて来たぞ。」

 

部屋を開けるとそこには副司令であるカズがコーヒーを嗜みながら待っていた。

 

「ようこそ、『ダイアモンド・ドッグズ』へ。俺が副司令のカズヒラ・ミラーだ。」

 

「アークエンジェル艦長、マリュー・ラミアス少佐です。受け入れ感謝します、ミラー副司令。」

 

軍人である自覚が残っていることもあり、マリューは堅苦しく敬礼をする。対するカズは、彼女の容姿を見るなり少し照れた顔をした。

 

「堅苦しいなぁ、ここは連合軍の基地じゃないんだ。俺のことは気軽にカズって呼んでくれ。よろしくぅ~、マリュー艦長。」

 

彼はそう言いながら握手を求めるが謎の対抗心に火が付いたのか、ムウが間に割り込んで阻止する。

 

「悪いんですけどカズ副司令、自分たちは飽くまでオーブに向かうための仲介をお願いしたくて来たんです。その・・・セクハラ行為はやめてもらえませんかね?」

 

その言葉にカズは、残念そうな表情を浮かべるが彼の顔を見るなり何か納得したようだった。

 

「っと、コイツは失礼した。俺としたことがべっぴんさんなあまり、つい声をかけてしまった。もう、相手がいたとは。」

 

「それはどういう・・・」

 

「さて、アンタらは確かオーブへ行きたいんだったな。」

 

マリューの問いをスルーして彼は改めて一行を席に座るように促し、ヴェノムを隣に座らせて交渉を開始する。

 

 

内容は、アークエンジェルの修理とオーブへの密航。

 

依頼の対価としてマリューは、パイロットが不在であるナチュラル用OSが搭載されたストライクダガー2機とバスターダガー1機を引き渡すことを提案する。アストレイは、元々オーブからの借り物と言っても過言ではないし、スカイグラスパーに関しては下手に貴重な航空戦力を失うのが手痛いため渡すわけにはいかない。

 

特にフリーダムは、スネークとの約束もあって論外だ。

 

他にも鹵獲したバスター、105ダガー、各ストライカーパックも交渉の材料にすることもできるが更なる対価を求められたときに困るため、まだ言わない。

 

報酬に対し、カズはしばらくヴェノムと小声で話すと彼女らに向き直って口を開く。

 

「なるほどな、確かに家でも独自開発のナチュラル用OSを使用しているがまだ完全じゃない。それをモビルスーツ3機セットで寄こしてくれると言うのなら開発スタッフもかなり助かる。」

 

「では」

 

「あぁ。“アークエンジェルの修理と補給”は、それで構わない。」

 

「おい、ちょっと待ってくれよ?俺たちは“オーブへ入るための仲介”を頼んでいるんだぞ?」

 

まだ対価が足りないのかとムウは、少し焦るが制されたことで椅子に座り直す。

 

「確かにOSは魅力的だがモビルスーツに関しては連合の試験運用依頼を通じてことが足りている。艦の損傷具合から3機でも安いぐらいだ。」

 

「じゃあ、何が欲しいって言うんだ?他の機体とか」

 

「俺たちは、“アークエンジェル”を欲している。」

 

「「!?」」

 

カズの一言にマリューたちは言葉を失う。ヘリオポリスから始まり、生死を共にした艦を売れと言うのだから驚くのも無理はない。

 

「そんな顔しないでくれ。別にすぐにこっちに寄こせとは言っているんじゃないんだ。飽くまで長期的なプランとして話を進めたい。」

 

動揺している一向に対し、彼は鼻で笑いながら話を続ける。

 

「プラン?」

 

「そう、オーブに匿ってもらって終わりと言うわけにはいかないからな。」

 

カズが言いたいのは以下のとおりである。

 

 

まず、オーブへ密航させるにあたりダイアモンド・ドッグズがアラスカで救助した連合兵たちを送ること。手続き自体は既に彼がウズミとコンタクトをして進めているため、送り届けてしまえば彼らをスムーズに故郷へ送還することができる。

 

次は、オーブに密航後について。ザフトはスピットブレイクの失敗で戦力が著しく低下したため、心配はないだろうが連合はモビルスーツの量産が進んでいることで将来的に侵攻してくる可能性がある。目当てはマスドライバー『カグヤ』とモルゲンレーテであると読んでいた。

 

「元連合のアンタらだから知っているだろうが、パナマには連合最後のマスドライバーがある。ザフトとしては、地上と月を分断するために意地でも墜とそうとするだろう。そこで連合が目に付けるのは『カグヤ』だ。ザフトの残存戦力を考えればビクトリアとカオシュンを奪還した方が手っ取り早いがオーブを手中に収めれば、カグヤだけじゃない。モルゲンレーテの独自技術を独占することができる。だが、ウズミ前代表は全力で反抗するだろう。重要人物を脱出させるにもそれだけ時間稼ぎをする必要があるし、脱出後のことも考えればアークエンジェルの力も必要になる。」

 

「あのよ、要はこの戦争が終わってからって結論で言いわけ?俺はそう解釈するけど。」

 

長ったらしい話で頭痛がしてきたのか、ムウは頭を押さえながら聞く。

 

「まあ、バッサリ言っちゃえばそんなところだな。戦後に海賊とかする気はないんだろう?なら、俺たちが引き取って有効活用させてもらう。但し、このプランで行くならアークエンジェルを無事に引き渡すのが前提になる。途中で轟沈するようなことになれば、それなりのペナルティが出ることを忠告しておく。他の案としては家の伝手を利用して特殊部隊と言う形で連合に復隊させることもできるが。」

 

彼の提案にマリューは、しばらく考え込む。

 

もし、連合がオーブに侵攻するとなればアークエンジェルはかなり重要戦力となるだろう。アラスカの1件で連合は信用できないし、いつかは分からないが終戦を迎えれば艦に乗り続ける必要もなくなる。クルーも全員リスクを冒してまで傭兵になる気はないだろうからそれならダイアモンド・ドッグズに譲渡しても大きな問題にはならない。

 

「・・・分かりました。終戦を迎えたタイミングで本艦の譲渡を認めます。但し、終戦時のオーブの状況次第で艦を降りたクルーたちの生活に支障をきたす恐れがあります。その場合、身元の保証や援助をしてもらえないでしょうか?」

 

「そうだな、俺たちも別に鬼じゃぁない。もし生活が困窮するような事態になったら、落ち着くまでの援助しよう。」

 

「感謝します。」

 

ようやく話がまとまり、2人は握手を交えて交渉成立となる。

 

その後、全員が退室しようとするとカズは、スネークを呼び止める。

 

「おっと、そっちの兄ちゃんにはまだ別の話がある。」

 

「うん?」

 

「ミラー副司令、彼はモビルスーツパイロットで付いて来てもらっただけで」

 

「アンタの乗っている機体、フリーダムについてだ。断るのはいいが話だけでもさせてほしい。事の次第では今後のアークエンジェルの役にも立つかもしれないぜ?どうだ?」

 

彼は、笑いながら声をかけてくるがサングラス越しで見える目はそんなことはなく、緊張しているようだった。

 

「・・・・分かった。話だけは聞こう。」

 

「キラ君。」

 

「大丈夫だ、くだらない要件だったら即却下する。だが、俺たちの役に立つことなら考えてもいい。」

 

心配するマリューに対し、スネークは安心させるように答えて一同を退室させる。

 

部屋の中は、ヴェノムを含めて3人だけとなり、沈黙に包まれた。

 

「・・・・」

 

「・・・・」

 

「・・・・・さて、要件はなんだ?フリーダムの何が欲しい?設計?戦闘データ?それともNJキャン」

 

話を聞こうとした瞬間、カズは持っていた拳銃の引き金をスネークに向かって引こうとする。しかし、彼はすぐさま懐に回り込むと拳銃を押さえ、スライドを取り外して背負い投げで床に叩きつけた。

 

「グハッ!?」

 

「昔、コロンビアで勝負した時もこんな形で俺にやられてたな。随分と懐かしいことをするじゃないか、カズ?」

 

スネークは、スライドをヴェノムに投げ渡すと起き上がる彼と対峙する。カズは、冷や汗を掻きながらもズレたサングラスを直す。

 

「さ、流石だな・・・・スネーク。見た目は完全に若いがブランクを全く感じない。寧ろ強くなっている。」

 

「話は、エイハブから聞かせてもらった。まさか、また会えるとはな。俺がFOXHOUNDから抜け出して以降か。」

 

彼は、軽く笑うと席に腰を掛けて葉巻を吸い始める。ヴェノムは、相変わらずだなと思う一方でカズはただ一人居心地が悪そうだった。

 

「・・・・」

 

「どうした、俺と交渉したかったんだろ?」

 

「俺のことを何とも思わないのか?」

 

「何がだ?」

 

「俺は・・・・アンタを裏切ったんだ。見捨てられたと逆恨みして、アンタの息子(ソリッド)を教育し、彼を利用してザンジバーランドでアンタを撃ったんだ!!そんな俺が目の前にいるんだぞ!!憎いとかそんな感情がないのか!?」

 

「・・・・」

 

彼の言葉にスネークは、しばらく黙り込む。

 

MSFが壊滅し、10年間昏睡状態になっている中でオセロットたちによって進められた自分の影武者(ヴェノム)を囮に裏で態勢を立て直そうとした計画。

 

不本意だったとはいえ、愛国者達(サイファー)に対抗するための力を蓄えるべく、彼は嘗ての仲間を切り捨てて長い時間をかけて天国の外(アウター・ヘブン)を実現するべく動き、態勢が整った後にアメリカに帰国してFOXHOUNDの総司令官となった。

 

その時、カズは『マクドネル・ミラー』としてサバイバル教官をしており、約10年ぶりの再会を果たす。

 

スネークは一時とは言え、再び同じ場所に立てた事を嬉しく思っていたが、カズ本人は囮として見捨てられたことを憎んでおり、FOXHOUNDから抜けた後は後任のキャンベルと共にソリッドをサポートし、自分に重傷を負わせた。

 

「・・・そうだな。ショックじゃないと言えば嘘になる。だが、サイファーの目から逃れるためとは言え、お前と彼を切り捨てるようなことをしたのもまた事実だ。それにあの男の訓練を頼んだのも俺自身だ。個人的な恨みがあれどお前はそれに応じたに過ぎない。まあ、あの時は全身重度の大火傷で死にかけたがな。」

 

「スネーク。」

 

感慨深い表情で煙を吐き出す彼の様子にカズは、思わず涙ぐむ。

 

「・・・・俺は、何も手にできなかった。アンタに見捨てられ、組織(ダイアモンド・ドッグズ)に見切りを付けた後、結婚して家族も設けた。だが、復讐することだけを考えただけに何もしてやれず、妻は俺の元から離れた。ザンジバーランド陥落後、大金を手にしながらもやるべきことを見失ったことでアラスカで娘と共に空虚な隠遁生活。その末にもう一人の息子(リキッド)に殺された。結局、アンタを撃った後に残されたのは虚しさと後悔だけだった・・・」

 

「カズ・・・」

 

「俺は・・・・アンタとやり直したかったんだ!無くした手足で・・・仲間の無念と背負いながらも立ち上がって・・・ぐっ、もう一度共に戦いたかったんだぁ!それなのに・・・・ウゥ。」

 

泣きながら本音を語る彼に対してスネークは、肩を軽く叩く。

 

「あの当時の俺たちはそれぞれの目的のために別の道を進んでいたんだ。俺は自分の求めた理想(アウター・ヘブン)のために、お前は復讐のために。その結果があれだ。誰が悪いとかじゃない。せめてお互い腹を割って話すべきだった。今みたいにな。」

 

「ボ、ボス・・・ボスゥ!!」

 

昔のように語りかけてくるその言葉を聞いたカズは、大の大人にも拘らずその場で号泣してしまった。

 

前世での後悔もあるがそれ以上にここでようやく抱え続けていた確執が氷解したことが何より嬉しかったのかもしれない。

 

そんな和解した二人の様子を見ながらヴェノムは、部下からかかって来た通信に応えるべく少し席を外した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

マザーベースで修理を受けているアークエンジェルは、取引としてストライクダガーとバスターダガーが運び出されて各スタッフたちが物資の補給を開始していた。

 

「この艦を欲しがるなんざ、向こうの副司令さん随分といい目してますね。」

 

その光景を見ながらマードックは、ムウと話をしていた。クルーの多くは、いつまでここに滞在しているのかと気になっているが連合・ザフトから狙われている以上迂闊に動くことはできない。

 

取引には自分たちのようにアラスカから脱出した連合兵たちも乗船させることも条件にしているため、部屋の手配もしなくてはならないので暢気にしていられない。

 

「まあ、なんやかんやこの艦は連合の最新鋭艦だからな。家では使用を控えていたがローエングリンは破格の威力だし、モビルスーツ母艦としても優秀だ。寧ろ、すぐに寄こせと言わないだけ良心的かもしれない。」

 

そんな話をしていると新たに別の機体が運び込まれてくるのが見える。その姿を見て彼らは、思わず声を上げる。

 

「あれって・・・“イージス”!?あの時ストライクとロストしたはずの!」

 

「連合本部でテスト用に再生産された奴だ。OSの書き換えはまだだがその辺はオーブに着いてから行っても間に合うだろう。」

 

その疑問に答える様にカズが二人の前にやって来た。

 

突然、要件にない機体を持ってきたことにムウは、何か企んでいるのではと内心思った。

 

「ミラー副司令、この機体を寄こすなんて話はしなかったはずだが?」

 

「フリーダムのパイロット、キラ・ヤマト元少尉との取引の一つだ。彼の機体からNジャマーキャンセラーの関するデータと引き換えにな。」

 

「おい、それって・・・」

 

スネークの判断に彼は、戸惑うがカズは落ち着かせるように話を続ける。

 

「飽くまで兵器利用しないことを条件にだ。得たデータは主に使用不能になった原子力発電所などの再稼働を目的として使わせてもらう。コピー・兵器転用防止のためにプロテクトをいくつも厳重にかけてな。無論、俺たちがモビルスーツに取り付ける際には改めて交渉させてもらう。」

 

「そ、そうか・・・・俺、思わずアイツの正気を疑いかけたよぉ。」

 

「それともう一つ。オーブが陥落した場合の受け入れ先の座標をアンタらの艦長に渡しておいた。但し、受け入れるのは飽くまでオーブとアークエンジェルでそれ以外の異分子の場合は受け入れ前に話し合いをさせてもらう。スパイに場所を知られたら元も子もないからな。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、食堂の方ではミリアリアたちが食事を取っていた。取り合えず、修理と補給が受けられることに彼女は、ホッとしたようだがカズイは落ち着きがなかった。

 

「俺たち、どうなんのかな?」

 

「何が?」

 

「だって、軍から離れちゃったんでしょ?アークエンジェル。確かに敵前逃亡だけどさ、それなら軍人じゃなくなったんだし。」

 

「でも、オーブに行ったからって降りられるか分からないでしょ?最悪、そのままってこともあるんだし。」

 

「そ、そうだね・・・でも、ミリィも家族のこと心配だろ?」

 

アラスカのことで軍人であることに不安を感じるようになった彼に対して、ミリアリアは現状何も分からないとばかりに言って後片付けを始める。配膳のところにはなぜか手付かずの食事が置き去りにされていた。

 

「あの、これどうしてここに置いたままなんですか?」

 

「あっ?あぁ、捕虜の飯だよ。持ってってくれって頼んだんだけどな・・・後で持っていくから気にしなくていいよ!」

 

料理長に言われて彼女は、そのまま部屋を退室しようとしたがこの間のこともあり自分から率先して持っていくことに決める。

 

「私、持っていきます。」

 

「いいのかい?助かるよ。これから、この基地のスタッフと必要物資の話もしなくちゃならないからさ。」

 

盆を受け取るとミリアリアは、ディアッカが収容されている独房の方へと向かって行く。

 

その途中で腹を押さえながら膝をついている兵士とそれを介抱している少年を見つける。

 

「大丈夫ですか、ジョニーさん?」

 

「ぐ、グウウウ・・・・こんな時に腹が!?」

 

ジョニーは、たまたま近くに来た彼女を目にすると冷や汗を掻いた顔で駆けて行く。

 

「き、君!!すまないけど、この近くにトイレは!?」

 

「え、えっと・・・・その先の居住区の手前の方に。」

 

「あ、ありがとう・・・・ニコル君、悪いけど先に運んどいてくれ。その後・・・・うぅ!!もう我慢できん!!」

 

彼は、言い終える前に駆け足でトイレへと走り去って行ってしまった。残されたニコルは、苦笑いしながらミリアリアに顔を向ける。

 

「すみません。僕たち、この艦の生活物資の搬入しに来たんですけど倉庫はどこかご存じですか?」

 

「独房の近くよ。丁度行くところだから付いて来て。」

 

そう言うと彼女は、案内する形で独房の方へと歩いていく。

 

「その食事、誰に渡すんですか?」

 

「捕虜、本部で引き渡すかと思ったんだけど一緒に連れてきちゃって。」

 

倉庫の前に着くとミリアリアは、別れを告げてそのまま去ろうとする。

 

「あのう、迷惑でないなら僕も行っても構いませんか?」

 

「えっ?」

 

何か思うことがあったのか、ニコルの言葉に彼女は口を開ける。

 

「実は・・・僕、ここに来る前ザフトにいたんです。戦闘で撃墜されたんですけど、助けてもらって・・・ザフトの捕虜なら誰か知り合いかもしれないかと思って。ダメなら構いません。」

 

「別にいいわよ。アイツ(ディアッカ)、今も私たちが連合にいると思っているから。知り合いだったら寧ろ喜ぶかも。」

 

独房のドアを開け、二人は収容されている牢の前へと行く。

 

起きたディアッカは、ミリアリアが食事を持ってきてくれたことに驚くがそれ以上に隣に二コルがいたことに腰を抜かした。

 

「に、ニコル!?お前、二コルなのか!?」

 

当の二コルは、部屋が暗いこともあって最初誰なのか分からなかったが彼が牢の前まで来たことで気づく。

 

「ディアッカ?捕虜って貴方のことだったんですか!?」

 

「ま、まあ・・・・ドジこいちまってな。そんなことより、お前本当に二コルなんだよな!?偽物とかじゃないよな!?」

 

「ちょっと、会って早々何騒いでんのよ?」

 

状況がいまいち理解できないミリアリアは、顔を顰めながら聞く。ディアッカは、戸惑いながらも説明する。

 

「騒ぐも何も、お前らが墜としたブリッツのパイロットだぞ!?目の前で爆散した!」

 

「ブリッツの!?」

 

彼女もまさか二コルが何度も交戦した敵だったことに驚きを隠せなかった。この場にいないトールにトラウマを植え付ける要因となったのだから無理もない。

 

当の二コルは、申し訳なさそうな表情で隠していたことを謝罪する。

 

「す、すみません。この事を言ったらここの人たちにも不快な印象を与えてしまうと思って。」

 

「それはそうだけど・・・でも、どうやって助かったの?」

 

「爆発する寸前、脱出しようとしたんですけど機体がバランスを崩してそのまま海中へ放り出されたんです。爆発に巻き込まれはしませんでしたが体を強く打ったせいで動けなくなって、打ち上げられてたところをダイアモンド・ドッグズの人たちが助けていただきました。それからはここにお世話になっています。」

 

詳細を説明した彼にディアッカは、嬉し涙を浮かべながら喜ぶ。

 

「よかった・・・生きててくれて。お前が死んだと思ったとき、俺たち・・・俺たちみんな・・・・」

 

「ディアッカ・・・」

 

死んだと思った仲間の再会を目の前にミリアリアはホッとした半面、MIAになったトールのことを思い出してその場からひっそりと去って行く。

 

「・・・・トール。オーブにいるといいんだけど。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『はーい、新人君!もう限界?』

 

「いえ、もう一度お願いします!!」

 

『だって。どうします主任?』

 

ミリアリアが心配している頃、トールは退院して間もないにもかかわらず、モルゲンレーテでモビルスーツの模擬戦に参加していた。

 

そのまま家族の元へ戻ると言う選択肢もあったが、スネークたちの安否が確認できない以上自分だけ元の生活に戻るわけにはいかないと考えた末に手続きをしに来たキサカに頭を下げて懇願したのだ。

 

その後は、先輩であるアサギ、ジュリ、マユラの指導の下どこから調達して来たのかストライクのテストパイロットとして動いていた。

 

『そうね・・・ケーニヒ君がまだやれるっていうならいいんじゃないかしら。』

 

『りょうかーい!』

 

『じゃあ、次は私ね。』

 

「はい!」

 

模擬専用ビームサーベルを構えながらストライクは、アサギ機のM1アストレイに向かって行く。慣れていることもあってか、アサギ機はシールドで受け止めるとカウンターで脇腹を切りつける。

 

「うっ!」

 

『落ち着いて対応して。そうしないと実戦でやられちゃうわよ。』

 

「すみません!」

 

『深呼吸、深呼吸!模擬戦でこれじゃあ、本番で持たないよ!』

 

「フウ・・・・もう一回行きます!」

 

ストライクは、距離を取って態勢を立て直すともう一度向かって行くのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おい、ジョニー!貴様、いつまで籠っている!!」

 

ボズゴロフ級潜水艦では、イザークが男子トイレの前でノックをしながら怒鳴っていた。中に入っている人物はというとやっている最中なのか弱弱しい声で返事をする。

 

『か、勘弁してくれよぉ・・・・俺の腹の弱さは親父譲りなんだ。しかも地上に降りてきたばかりだから、調子が良くなくて・・・・』

 

「お前、それでも軍人か!!同じアカデミーとしての自覚がないのか!!」

 

ストッパーになってくれるディアッカが不在なこともあり、いつまでも出てこないジョニーに対して彼の苛立ちはエスカレートしていくがそこへクルーゼがやってくる。

 

「こんなところにいたのか、イザーク。」

 

「隊長!どうしてここへ?」

 

「本国からの命令があったのでね。これから、我らはカーペンタリアから補給を受けてパナマへ攻撃を仕掛けることになった。」

 

「パナマを?」

 

プラント本国からの命令に対し、イザークは正気かとばかりの顔を浮かべる。スピットブレイク失敗の打撃でただでさえ戦力が大きく消耗している。本来なら連合の侵攻に備えて守備を増強すべきなのだがパトリックの命令はまさかの最初の目的であったパナマへの侵攻なのだから疑いたくもある。

 

「仕方あるまい。このまま、あそこのマスドライバーを野放しにすれば本国が危ない。アラスカの一件で調子に乗っている連合への牽制を兼ねての作戦でもある。作戦に合わせ、現地にグングニールを降下させることが決まった。マスドライバーさえ潰してしまえば、奴らを地上へ閉じ込めることができる。」

 

「しかし、今の我々の戦力で可能なのでしょうか?」

 

「幸い兵士たちの士気は高い。多くの同志がアラスカで犠牲になったからな。全員、仇を撃とうと意気込んでいる。君たち二人にもぜひ頑張ってもらいたい。」

 

クルーゼは、トイレに籠っているジョニーにも声をかける。

 

「ジョニー、整備班の話では地上降下時に君が搭乗していたシグーは損傷が激しくて修理が間に合わないそうだ。」

 

『じゃあ・・・・俺は待機ってことで?』

 

「いや、私も今回は母艦から各戦線への指揮を行わなくてはならないのでね。私のディンを君に合わせて調整させている。私に代わって前線でグングニール発動までの時間を稼いでくれ。」

 

『クルーゼ隊長のディンを!?わ、分かりました!』

 

「では、トイレが終わったら格納庫へ向かってくれ。イザーク、君も休めなくて大変だろうがもう一押し頼む。」

 

「了解しました。」

 

クルーゼが去って行くとイザークは、表情を曇らせる。口で言ったとは言え、正直ここ最近の敗北もあってあまり自信がなかった。

 

散々辛酸を嘗めさせられたストライク。

 

突然現れ、瞬殺された黒いデュエル。

 

連合に同じレベルの実力者が隠れているのではと考えると自分は果たしてどこまでいけるのだろうと悩んでいるとトイレの中からジョニーが声をかけて来た。

 

『イザーク、まだいるか?』

 

「なんだ?」

 

『悪いんだけどさ・・・・紙持ってきてくれ。切らした。』

 

「・・・・・ハア。」

 

彼の頼みに呆れながらもイザークは、近くの棚にしまってあったトイレットペーパーを取り出し、上からトイレに向かって投げてやるのだった。




カセットテープ《フレイとゼロの盗聴》

「フレイ、本当にここで会っているのか?」

「そんなこと言われても分からないわよ。私に会いたい人がいるって言うだけなんだから。」

「お父さんの知り合いとかは?」

「パパの仕事仲間とは一度もあったことないわ。友達ならこんな軍の施設の部屋借りるようなことしないし。」

【現場到着】

「この部屋のはずだけど・・・・」

「こっちだ。」

「えっ?」

「違う、こっちの部屋だ。」

【部屋に入る】

「貴方は?」

「よく来たね、さあ。」

「えっと・・・・」

「うん?変かな。袖は詰めたんだが。柄が流行の物ではなかったかな?」

「いえ・・・・・もしかして、お爺ちゃん?」

「フレイのお爺さん?」

「ん?」

「その・・・その顔の傷、本当に小さい頃だけど覚えてる。ママと一緒に遊びに行ったときにもあったから。」

「・・・・そうか。覚えていたか。大きくなったね、フレイ・アルスター。あの子(母親)に似てきた。それと、サイ・アーガイル君だったかな?」

「あっ、はい。初めまして。」

「でも、変よ。お爺ちゃんは、確かママが死んでからすぐに亡くなったって。」

「あぁ。あれはジョージと私が話し合った末で決めたことでね。教育に影響が出ないよう私と接触させないことを選んだ。外務次官である彼の元なら心配ないと思ったのでね。そんな彼が・・・・こんな形で別れることになるとはね。」

「パパの件は・・・・」

「分かっている。(スネーク)には、感謝しているよ。こうして、孫と会うことができたのだからね。」

「お爺ちゃん・・・・」

「おっと、久しぶりに孫との話を愉しみたいところだが、ここに君たちを呼んだのはそのためではない。」

「どういうことですか?」

「あまり大事では言えないが・・・近いうちに地球連合がオーブに侵攻することになる。」

「えっ?そんな、どうして!?」

「そう遠くない内にパナマが墜とされるからだ。そうなれば、連合は次のマスドライバーが必要となる。そこで目を付けたのが」

「もしかして、モルゲンレーテとオーブのカグヤじゃ?」

「言いつけどころだね、アーガイル君。あそこには独自技術がこれでもかと集まっている。それにオーブが連合に加盟しなければ、侵攻してくるのには十分な理由となる。」

「でも、私たちにできることは・・・」

「それを今から話す。近いうち、君たちの知り合いがオーブに来る。勿論、(スネーク)も一緒だ。」

「アークエンジェル?もしかしてキラも!?」

「私の伝手で確認は取れている。オーブに侵攻されれば彼らも戦うことになるだろう。そこで・・・フレイ、君に又あの艦乗れるようになってもらう。」

「私が?」

「アーガイル君は経験があるが、君は降りるまで民間人だったからな。なに、モビルスーツに乗せるとかじゃないからそこは安心して欲しい。向こうもかなり、人手不足だからね。」

「私でも・・・・私でもキラたちの力になれるの?」

「あぁ。私も彼らを死なせたくない。だが、私自身は動くことができない。」

「私やる!キラたちの力になれるなら!!」

「その気持ちは嬉しいが・・・・無理をしてはいかんよ?妻や娘に続いて、孫まで失いたくないのでね。そこは約束できるかな?」

「うん。」

「本当にいいんですか?お孫さんを戦場に出すなんて。」

「だが、オーブが戦場になればどの道巻き込まれる。それなら少しでも身を守れそうなところへ送るのも一手だ。無論、婚約者の君のことも見込んでだよ?」

「お爺さん・・・・・」

「フフフッ。おっと、話はこれぐらいにしておこう。せっかく淹れた紅茶が冷めてしまう。お母さんから英国式は学んだかな?」

「ちょっと、私もう15よ。身だしなみやマナーは覚えてるわ。」

「家事とかはお袋たちから教えてもらって修行中だけど。」

「サイ!」

「フフフッ、いい相手を見つけたね。フレイ。」




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