機動戦士ガンダムSEED SOLID   作:赤バンブル

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正直、今回の戦闘シーンと台詞かなり悩んだ。


PHASE:09『燃える砂塵』

医療室に運び込まれたスネークは、すぐに緊急処置が施された。

 

幸い体の方は高熱で心拍数が増加していることを除けば異常は見られなかった。しかし、右目の方が破片で眼球が潰れており、治しようがなかった。

 

トールたちが傍で見守っている中、ブリッジの方ではマリューたちが今後の方針について話し合いを続けている。

 

「どちらにせよ、私たちがアラスカ本部へ向かうのは変わりません。」

 

「しかし、艦長。ここは敵陣のど真ん中です。包囲網を掻い潜って本部まで辿り着けるか・・・」

 

「まあ、連中は見逃してくれないだろうな。しかも坊主は右目を潰されてかなりきついだろうしな。それだけでも十分ショックさ。あんな歳で一生もの傷を負わせちまったんだから。」

 

自分よりも若い彼に傷を負わせたことをムウは、重苦しい表情で話す。それには残留を希望していたナタルも罪悪感を感じていた。

 

「・・・・ひとまず、キラ君が目を覚ますまでは警戒を維持して少し休みましょう。敵もいつまでも私たちを放っておいてはくれないでしょうし。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

スネークは、夢を見ていた。

 

1975年。

 

囚われたパスとチコを救出し、帰還して早々XOFの策略で沈んでいくマザーベースの最期を。

 

襲撃で次々と倒れて行く家族でもある仲間たち。

 

崩壊していく自分たちの唯一無二の『家』。

 

目の前で撃たれた仲間を目にし、彼は叫びながら敵の方へと向かって行く。

 

「スネーク!!」

 

副官のカズヒラ・ミラーの呼びかけで我に返った後、弾切れを起こしたことでスネークは歯を食いしばりながらヘリに乗り込んで離脱を命令する。

 

ヘリは離陸を開始し、かつて『家』だった洋上プラントが海に沈んでいくのを眺めることしかできなかった。

 

「査察は全くの嘘だったんだ。爆音がして一気に・・・・グッ!奴らに嵌められたんだクソ!!」

 

カズは、行き場のない怒りを無駄だとわかっていてもスネークに向ける。

 

「返してくれ、返せ!俺たちの!!・・・・ちくしょう!!あれは俺たちの・・・・!」

 

何度も夢で見た光景。

 

スネークは、その後、気を失っているパスを責めるカズを止めることなく見ることしかできなかった。

 

止めようにも一度起きたことを変えることは不可能だ。

 

パスが目を覚ますと怯える様にヘリのドアの前に移動し、自分の体の中に爆弾が入っていることを告げる。

 

「爆弾が・・・・」

 

「大丈夫だ、摘出した。」

 

実はもう一つあることは知っている。でも、それを口に出すことができない。

 

彼女はヘリのドアを開けると悲しそうな顔で言う。

 

「もう一つ・・・・ある・・・・」

 

「止せぇ!!」

 

パスが海上へと身を投げると同時にスネークは、手を伸ばすが程なくして彼女は目の前で爆発。先に前に出たメディック(エイハブ)が盾になってくれたことで爆炎から身を守れたものの衝撃でヘリは、バランスを崩して回転しながら墜落する。

 

 

次の瞬間、場所はストライクのコックピットへと移り、大気圏の重力に引きずられながら落ちて行く自分を追ってデュエルがライフルを向けて発砲するところで視界が真っ白になる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ハアァッ!?」

 

目を覚ましたスネークは、体が熱っぽいのを感じながらも起き上がる。脇ではトリィが飛んでおり、声を聞きつけたミリアリアが顔を見せた。

 

「キラ!目が覚めたのね、よかった。」

 

「ハア・・・ハア・・・・ミリィ、ここはどこだ?アークエンジェルは・・・」

 

「まだ、ダメよ!貴方重傷だったんだから。少し休んでいないと・・・」

 

ミリアリアは、動こうとする彼をまた横にさせる。ここでスネークは自分の視界がかつてのように狭まっていたことに気づいて右目に触れてみた。

 

「キラ・・・・その、貴方の右目なんだけど・・・あの戦闘で・・・」

 

「怪我で見えなくなった・・・か。左目が無事な分、まだ銃は持てるが親父とお袋が泣くだろうな。」

 

右目が失明したことを冷静に受け止めるスネークに対し、彼女は少しばかり驚く。

 

「目が見えなくなったのよ?何とも感じないの!?」

 

「そりゃあ、悲しいさ。だが、そのおかげでサイとフレイは無事に地球に降下した。それだけじゃない。一緒に乗っていた数十名の人間が助かったんだ。それなら片目が見えなくなったくらい安いもんだ。」

 

「・・・・だけど、キラ自身の身体なのよ?そこまでして。」

 

「恐れて過ちを起こすぐらいなら傷ついても後悔しないようにやった方がいい。少なくとも今回はそれでよかったと思っている。まあ、話はこれぐらいにして何か食べるものを持ってきてくれないか?後、飲み物も。」

 

「ハア・・・まあ、私がどうこう言っても仕方ないわよね。分かったわ。食堂から食事持ってくるからちゃんと寝ててね。」

 

彼らしい答えにミリアリアは、半分呆れつつも曇ることがなかったことに少し安堵した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

スネークが意識を取り戻してた翌日。

 

アークエンジェルがアフリカへ降下したという情報は地上ザフト軍の方の一部で既に知れ渡っており、最も近い北アフリカ駐留軍の司令官、通称『砂漠の虎』の異名を持つアンドリュー・バルトフェルドに元にも届いていた。

 

「ほう、これは突然の来客だな。クルーゼが取り逃がした新造艦とはね。久々に楽しくなりそうだとは思わないか?ダコスタ君。」

 

彼は、ライフワークとしているコーヒーの研究をしているところで報告に来た部下であるタゴスタに笑みを浮かべながら言う。

 

「現在、目標は降下したポイントで動きを止めています。」

 

「ふむ。では、早速小手調べと行こうじゃないか。バクゥを出撃できるように伝えてくれ。私も現場で見させてもらうとしよう。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その日の夜もアークエンジェルは砂漠に留まり、アラスカ本部に向かう航路を考えると同時に今できることをそれぞれやっていた。

 

「少佐、今日はもうこのぐらいにしておきましょうや。どれだけ弄っても後の調整は、実際に飛ばして見なけりゃ分からねぇですよ。」

 

「んあ、あぁ・・・・そうだな。今日はこのぐらいにしとくか。」

 

第八艦隊から受け取った新型戦闘機『スカイグラスパー』を調整していたムウは、マードックに言われると肩を動かしながらコックピットから降りてくる。

 

「しっかし、キラの奴が思ってたよりも元気でよかったぜ。片目が見えなくなってショックだったろうによ。」

 

「全く、あの坊主は強いもんですよ。今日も来て早々ストライクの状態を聞いてくるんですから。俺だったら部屋に籠って数日はふて寝して泣いちまいますよ。」

 

 

 

 

 

同じ頃、トールたちも仮眠を済ませてブリッジに向かおうとしていた。

 

「ふあぁ・・・こうも規則正しい生活しているときつく感じるもんだなぁ。」

 

「もう、しっかりしてよ。そうじゃないとバジルール中尉に怒られるわよ。」

 

恰好がだらしない彼に対してミリアリアは、しつけながら服を整えてあげる。

 

通路を移動しながら二人はスネークのことについて話し始める。

 

「けど、キラが元気になってよかったぜ。片目潰れたと聞いたら誰だって落ち込むのに。」

 

「本当、私たちの前ではあんな風に言ってるけど・・・オーブにいるご両親はかなりつらいかも。」

 

「だよな。行方不明になった一人息子がある日片目潰れて帰ってくるなんてなったら・・・いても立っても居られなくなるよ。」

 

そう言いながらも彼らはブリッジに上がり、交代して周囲の索敵などの業務を始めたのも束の間、艦に接近してくる機影を確認したため、いきなり第二戦闘配備が発令された。

 

 

 

 

 

 

「うん?もう、敵が動き出したか。」

 

食堂で夜食を取っていたスネークは、残りを口に詰め込んで急いで格納庫へと走った。

 

「親父さん、ストライクは出せるか?」

 

「まだ防塵処理が終わってねえ!あっちの緑の方は先に済ませてあるが」

 

「PS装甲がないのは心許ないが何とかやるしかないだろう。補給で試作品のバズーカがあったよな?ライフルの代わりに装備してくれ。エネルギーの節約になる。」

 

ストライクの整備が終わっていないため、彼は緑の機体に乗り込んでカタパルトへ移動する。

 

「ミリィ、敵は?」

 

『確認できるのは、ザフトの戦闘ヘリ3機よ。』

 

「恐らくこっちの動きを見ようとしているな。俺が先に出て動きを探る。アークエンジェルはバックアップを頼む!」

 

『でも・・・その目で。』

 

ミリアリアはヘルメットのバイザーからも見える右目に眼帯を付けたスネークの顔を気にしながら指示を躊躇う。

 

「心配するな、フラガ少佐が出れるぐらいの時間を稼ぐだけだ。戦闘機が出たら一回艦に戻る。」

 

『・・・』

 

『キラ・ヤマト少尉、今のお前は万全とは言えない。こちらも援護はするがあまり深追いはするな。いいな?』

 

右目が失明したこともあってかナタルは、珍しく気遣うように言う。

 

「了解、バジルール中尉。」

 

カタパルトに接続され、装備を受け取ると緑のモビルスーツは、姿勢を低くして発進する。

 

宇宙の時と違い重力がかかっていることと足元が不安定な砂漠であることもあって着地すると砂に埋もれて姿勢を崩す。スネークが出撃したことで戦闘ヘリはミサイルを発射し、辺りの砂が吹き飛び視界が悪くなる。

 

 

 

 

 

 

その様子は離れたところから見ていたバルトフェルドたちも確認していた。

 

「隊長、現れました。しかし、あの機体は報告にあった例の名称不明の機体です。」

 

「バクゥを出せ。反応を見たい。」

 

彼の指示で四足タイプの陸戦用モビルスーツ『バクゥ』4機が砂の上を高速で移動しながらやってくる。

 

「隊長が気を付けろって言っていたがここではこのバクゥが王者だ!」

 

「名無しのモビルスーツが相手になるかよ!」

 

4機はそれぞれ背部に装備されている2連装レールガンとミサイルで態勢を崩している緑のモビルスーツに集中砲火を浴びせる。その様子はアークエンジェルからも見え、このままでは撃墜されかねないと考えたナタルは次の指示を出す。

 

「スレッジハマーを撃て!」

 

「しかし、ヤマト少尉の機体に当たる可能性が・・・・」

 

「奴ならうまく凌いでくれる。ハウ二等兵、すぐにヤマト少尉に回避するよう通達。同時に発射する!」

 

「キラ、避けて!」

 

ミリアリアが通信で伝えると同時にミサイルが放たれる。ミサイルに気づいたバクゥはすぐにその場から離れるのに対し、スネークはしゃがみ込んだままその場にとどまり当たりそうなものはシールドで防ぐ。爆発の影響で彼の周囲は、砂塵で一時的に見えなくなる。

 

「あらら~パイロットに優しくない指揮官だな。それとも信頼してるのかな?機体の性能は良さそうだが所詮は人型・・・・うん!?」

 

味方の攻撃にやられたところを見てバルトフェルドは、呆れるが再度双眼鏡を除いた瞬間、自分の目を疑う。

 

モビルスーツがいなくなっていたのだ。

 

その場に残っているのはシールドのみで残骸が転がっているわけでもない。

 

相手が目の前から姿を消したことにバクゥ4機は周回しながら辺りを探ってみるがやはり、どこにもいない。

 

「いない!?馬鹿な、奴は一体どこへ・・!!」

 

その瞬間、砂の中からバズーカの砲身が出てきて1機のバクゥの胴体を砲弾で貫く。そのまま爆発すると砂の中からスネークが飛び出し、スラスターでジャンプしたのも束の間、高速で砂の上を移動しているにもかかわらず、もう1機のバクゥを精密射撃で撃墜した。

 

「な、なんだコイツ!?いきなり動きが・・・」

 

一旦距離を取ってミサイルで撹乱しようとするが緑のモビルスーツは、頭部バルカンで迎撃した後、まるでマラソンランナーのように高速で走り出して近づいた瞬間、拳でバグゥの顔面を殴り飛ばした。

 

「うわっ!?」

 

態勢を崩したバクゥに向かってそのままバズーカを打ち込み、スネークはそのまま最後の1機を追いかけ始める。

 

「化け物かよっ!?」

 

パイロットであるハダトは、先ほどまで優勢だと思っていた戦況が一瞬でひっくり返されたことに唖然としながらも悪鬼のように追いかけてくるモビルスーツに恐怖を感じ、上官の指示も待たずその場から逃げ出す。

 

それは戦闘ヘリの乗っていたパイロットたちも一緒でミサイルの援護でできるだけ気を逸らせようと動き始める。

 

「・・・ふむ、コイツは想像以上だな。ダコスタ君、レセップスに打電だ。主砲で援護しろと」

 

バルトフェルドは、離れた場所に待機している母艦に援護するように命令しかけた直後、ハダト機が逃げた先で大爆発が起こる。一瞬何が起こったのか分からず、続いてスネークの周りを飛んでいた戦闘ヘリが次々と撃ち落とされていく。よく見ると砂漠の向こうからミサイルやガトリング砲を搭載したジープが数台、彼の元へ走ってきていた。

 

「『明けの砂漠』の連中か・・・・物足りないが仕方あるまい。残存部隊をまとめて撤収する。」

 

これ以上ここに留まっても仕方ないと判断し、バルトフェルドは撤退の指示を出す。夜が明けようとしている砂漠の中で撤退していく彼らを見ながらスネークは、目まぐるしく変わっていく状況にやや困惑しながら自分の周囲に止まる武装集団を見下ろす。

 

「ゲリラか。コイツはかなりややこしい話になりそうだな。」

 

かつてコスタリカで行動を共にしたニカラグアの反政府ゲリラ「FSLN」のことを思い出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「現地のレジスタンスのようですが・・・・『味方』と判断されますか?」

 

朝になってアークエンジェルの周囲に集まっている彼らを見てナタルは、頭を抱えながらマリューに聞く。

 

「銃口は向けられてないわね。向こうも敵対する意思はないみたいだし、ともかく話してみましょう。その気はあるようだからうまく転べば色々と助かるわ。ここをしばらくお願いね。」

 

彼女は、そう言うとブリッジを後にする。下では既に武装したムウとクルーたちが待っており、彼らは警戒しながらハッチへと向かう。

 

「やれやれ、一難去ってまた一難か。こっちのお客さんも一癖ありそうだな。俺、あんまりこういうの得意じゃないんだけどね。」

 

外では既にレジスタンス一味が来るのを待っていた。

 

彼女たちが簡単な礼と自己紹介をするとリーダーと思われる髭面の男が前に出てきた。

 

「俺たちは『明けの砂漠』だ。俺はサイーブ・アシュマン、別に礼なんざいらないさ。分かってんだろ?俺たちが別にアンタらを助けたわけじゃねえと。こっちもこっちの敵を撃ったまでよ。」

 

「あの『砂漠の虎』相手にずっとこんなことを?」

 

ここに来る前に敵母艦がレセップス級であったことは分かっているため、大方彼らの相手が『砂漠の虎』の異名を持つアンドリュー・バルトフェルドだというのは察していた。

 

どこから仕入れたのか『明けの砂漠』は、アークエンジェルが訳あってこの周辺に降下していたのを知っていたようで話し合うためにまずは武装解除を求めてきた。彼らと敵対する意思がないことを証明するため、マリューは要求に応じ、スネークにも機体から降りる様に指示した。

 

スネークがヘルメットを取って降りてくる姿を見たとサイーブたちは、まだ少年だったことに驚くがその中で一人金髪の少女が驚いた様子で彼に近づく。

 

「お前・・・・」

 

少女は、右目に眼帯を付けているスネークの姿に一時動揺するものの我に返って早々殴ろうとする。

 

「なんでお前があの機体に乗っている!?」

 

「おっと。」

 

彼女から振り下ろされた拳をスネークは、軽く受け流して背負い投げをする。

 

「痛てて・・・・」

 

「あっ。お前、あの時シェルターに入れた女か。」

 

「そんなことはどうでもいい!なんでお前が『アストレイ』に乗っているんだ!!」

 

「『アストレイ』?あの機体の名前か?」

 

「おい、カガリ。そのくらいにしておけ。ここじゃあ目に付けられるから場所を変えるぞ。」

 

興奮気味のカガリを注意しながらもサイーブは一旦この場から離れることを勧める。

 

 

 

 

 

 




『MISSION FAILED』

???「スネーク!大丈夫なの!?スネーク!スネーク!!」

□CONTINUE
 EXIT


今回の話でカガリが何でアストレイの名前を知っているのか理由を考えていましたがオーブに入った時点でM1の存在自体知っていたようなのでプロトタイプのことも知っていてもおかしくないんじゃないかと思ってこの形にしました(違うならすんません)。
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