Talesof・Lyrical〜救世主と魔法少女達との物語〜   作:かもめカメ

52 / 92
それは新たな物語の序章(プロローグ)に過ぎない…


ある日の出来事〜騎士と皇女と少女との出会い〜

ディセ達が終結したジュエルシード事件。

だが、その間に一つの出会いが成されていた。

 

それは5月は下旬にまで遡る…

 

 

 

 

場所は海鳴図書館と呼ばれる書物が多くある建物の近くで起きた。

 

「今日も帰る手掛かりは無しか…」

 

そう呟くのは1人の青年。

 

ブラウン系のショートで、瞳が右が青、左が紫という異色のオッドアイをしていて、

白を基調とした服を着ている。

だが、何よりも驚く所は…

 

腰に剣を携えている事だ。

 

最もただのおもちゃのように加工しているので、お咎め無しが幸いしている。

だが、魔法の源である「マナ」を補給すれば、大木を一閃で斬れる程の斬れ味を持っている武器へと変貌する。

 

 

彼の名はアスベル・ラント。

ディム・センダースもとい現名高町ディム・センダースの仲間であり、チーム・グレイセスを引っ張る存在。

 

又の名を…「抜刀騎士」と呼ばれている青年である。

 

ーーーーーSIDEtoアスベル

 

今日でもう1ヶ月…。

流石に帰る手掛かりがこうも簡単に見つからないとシェリアに怒られるな…。

ソフィは心配してるような気がするし…。

リチャードやマリク教官もそうだな…。

パスカルの方は…まあ、大丈夫だろう…色々と。

肝心なのはヒューバートの方か…。

彼奴は何気にやってるけど、如何も俺の事を弟として心配してくれているからな…。

帰ってきたら、一発叩かれる覚悟をしておこう…。

あ、それを言うならシェリアにも後で怒鳴り散らすかもしれないな…。

なんか、こう考えただけで帰りたくなくなってきたぞ⁈

う〜…参ったな。

 

「あか〜ん!如何してこないな事に⁈」

 

ん?誰かの声か?何だか困ったような声だったな…

行ってみるか。

 

そう言うと俺はすぐ近くで車椅子という乗り物に座って立ち往生している女の子を見つけた。

 

間違いない、あの娘からだ。

 

如何かしたのかい?

 

「あ、いえ!何でもありません!」

 

・・・え?

 

 

 

 

パスカル⁈

 

「ほぇ⁈ど、どないしました⁈」

 

あ、ああ…ごめん。俺の仲間と口調は流石に違っていたけど、声が似ていたから、てっきりね?

其れよりも、見た所、車椅子の車輪が溝にはまったようだけど?

 

「あ…はい、そうなんです」

 

そうだったのか。ちょっと待っててくれ!

 

「え?…!」

 

そう言うと俺は女の子の車椅子を元の道のある方へと向きを変えた。

 

「ほんまにありがとうな」

 

いや、気にする事は無いさ。

其れよりも変わった喋り方だね?

 

「関西弁って言うんやけど、あまりこう言う喋り方…嫌いですか?」

 

いや、嫌いじゃないよ?寧ろ、其れも一つの個性だと思っているから。

俺の仲間にもそんな感じの人がたくさんいるんだ。

ダークヒーロー系やお茶目な人とかね!

 

「へえ〜…あ、自己紹介がまだでしたね?

うち、八神はやてって言います〜。

お兄さんのお名前は?」

 

俺?俺は…アスベル。アスベル・ラント。そう呼ばれてる。

 

「アスベル…何やろか…前にも会うたような気がするけど…気のせいやね!」

 

?…所で、これから何処へ行こうとしていたんだ?

 

「ほぇ?」

 

もし良かったら、俺がそこまで送ってあげるよ。

俺はこう見えて騎士をやってるからね。

 

「ほぇ〜お兄さん、騎士をやってるんですか⁈」

 

まあね?

 

「そんなら、此処から先にある図書館までお願いしても宜しいですか?」

 

と言って、女の子…はやてが指を指した。

 

あの先に図書館と言う場所が有るのか…

もしかしたら、あそこに何か手掛かりが有るかもしれない…

 

分かった。送ってあげるよ。

 

「やった♪あ、送っている間で良いですから、アスベルさんの仲間の話をしてくれませんか?

何だか、面白そうなんで?」

 

あはは…。ああ、良いよ。

其れに今さっき思い出してね、俺もそこに用があったんだ。

 

「ほんまに⁈」

 

ああ。

 

「なら、たっぷりお話させてくださいね!」

 

もちろん!

そう言って、俺ははやてが座っている車椅子を押しながら、俺の仲間の話をしたのであった。

 

其れにしても…本当にパスカルそっくりの声だ。

 

ーーーーー

其れから、俺ははやてを連れて漸くその場所・海鳴図書館へとやって来た。

 

中へ入るとそこには多くの本が本棚の中にぎっしりと詰め込まれていた。

成る程…図書館と言うのは、書物庫のような場所の事なのか。

 

近くにはその書物を読む為のテーブルとイスが置いてあるんだな。

 

「アスベルさんは此処で何を探すんですか?」

 

主にこの世界の地図や、この世界の事についてだから…

 

そう言うと俺は上の項目を見た。

やはりこの世界でも、大まかに別ける時は上の項目別に別けるようだ。

 

…と、「歴史・地理」…あれだな。

俺は歴史・地理の所に居るから、用が済んだらまた声を掛けてくれ。

 

「え?」

 

その状態で家に帰れる事が出来るとは限らないからね。

家まで送ってあげるよ。

 

「そ、そうですか。其れならお言葉に甘えます」

 

ああ、甘えてくれ。

 

そう言うと俺は目的の本棚に向かった。

 

 

ーーーーーSIDEtoはやて

 

あのアスベルって言うお兄さん…

中々、格好ええな。

それに優しい人やな…

 

と、あった!よいしょ‼よいしょ〜!

…あか〜ん。届かへん。う〜ん!

 

カタッ!

 

あ…

 

「はい!この本ですよね?」

 

あ、ありがとうございます。

其れにしても…綺麗な人やわ。

 

ピンクの髪にエメラルドのような瞳、お姫様のような服装。

まるで物語に出て来そうなお姫様そのものや。

 

「大丈夫ですか?」

 

は、はい!大丈夫です!

あの、貴方は?

 

「私ですか?私はエステルって言います!

趣味は読書ですね」

 

へぇ〜…あ、八神はやてです。うちも読者が趣味なんです〜。

 

「まあ!そうなんですね!私はいつも此処にある本を読み漁っているんですけど、どれも私が知っている物は無くて、知らない物ばかりでいつも好奇心が溢れてくるんです!」

 

そうなんですか!

うちも良く此処に来てるんですけど、やっぱり好奇心が溢れます!

 

「そうですね!私は何時でも此処に居ますので今度また此処に来てくれますか?」

 

!はい!もちろん!

 

『おーい!そろそろ行こうか!』

 

あ、もうこんな時間か。

それじゃ…

 

「あ、ちょっと待って下さい!」

 

 

「今の声を聞いたんですけど、よろしかったら私も一緒に来ても良いですか?」

 

え?構いませんけど?

 

「なら、私が押して行きますね!」

 

あ、ありがとうございます。

 

そう言うと私はエステルさんと共にアスベルさんの所に向かったんや。

 

ーーーーーSIDEtoアスベル

 

取り敢えず、この世界の事については粗方分かった。

 

先ず、この世界は俺達の知っている世界では無いと言う事だった。

地図を見て、全く地形が異なっていた。

今はこの街を中心に動くとしよう。

後は、この世界は平和で魔物は居ないと言う事が分かった。

けど、悪事を働く奴等がいるのは変わりは無いようだ。

だけど、俺達のような騎士団が出動する訳では無く、

警察と呼ばれる警備団がそれに対処するらしい。

 

と、そんな事を考えているとはやてがやって来た。

ん?誰かに押して貰っているのか?

一体…⁈え、エステリーゼ様⁈

 

「あ、アスベル!」

「ふぇ⁈お知り合いなん⁈」

 

如何して貴方が此処に⁈

 

「えっと〜…本がいっぱいあったからつい…」

 

ああ〜、そうでしたか。

貴方は本を読む事が何よりも好きでしたからね。

 

「其れよりも、アスベルさんとエステルさんってお知り合いなん⁈」

 

知り合いも何も…俺が騎士だって言ったよね?

 

「う…うん」

 

俺が所属している騎士団を率いる王国の皇女様が此処にいるエステリーゼ様なんだ。

 

「ふぇ⁉それじゃあ、エステルさんって本物のお姫様って言う事なん⁈」

 

ああ、そうだけど?

 

「言葉遣い荒くてすみませんでした‼」

 

と言って、はやては車椅子に座ったままだが、頭を下げていた。

 

「はやてさん⁉お、落ち着いて下さい!」

 

いや、その前にエステリーゼ様が落ち着いて下さい…。

 

「今度から姫様と呼ばせて頂きます!」

「いや、それは寧ろダメですよ⁈さっきのように接して下さい!」

 

ああ、俺からも頼むよ、はやて。

エステリーゼ様はこう見えて、自身の身分を下げてまで民と仲良く接したいんだ。

だから、普通に接して欲しいんだ。

 

「そうなん?だったら、そうさせてもらうわ♪」

 

ふぅ…何よりだ。

所でエステリーゼ様はこの後、如何するんですか?

 

「特に何も無いですね?」

 

それでしたら、これからはやての家に行く所なのですが、良かったら一緒に如何ですか?

はやても話し相手がいた方、特に同じ女同士の方が話しやすいと想うんだけど?

 

「それもそうやな!良かったら如何です?お姫様?」

「はい!お願いします!あと、お姫様じゃなくて、普通にエステルで良いですよ?」

「ほんならそうさせて貰います♪」

 

さあ、行こうか。

そう言うと俺はエステリーゼ様と共にはやての家に行く事になった。

 

そう言えば、はやてって、両親がいるのか?

君のような年の子は大抵学校に行っているようなものなんだけど?

 

「うちの両親?もう随分と前にお星様になったんや」

「⁈」

 

⁈…ご、ごめん!俺が質問するんじゃなかった‼本当にごめん‼

…まさか、もう両親がこの世から居なくなっていたなんて。

じゃあ、この子は今までずっと1人で暮らしているのか?

 

「あの…ご兄妹は?」

「兄妹は元から居らんよ?」

 

‼エステリーゼ様⁉

 

「ご、ごめんなさい!」

「ううん、ええんよ。もう慣れとるし!それに色々とうちの面倒を見てくれてる人も居るから助かっとるんよ」

 

「「…」」

 

気まずい空気になってしまった…。

俺から質問したから尚更だ。

 

どうやって話を切り替えようか…。

 

「あ、此処です!」

 

と言って、はやてが指を指した場所をみるとそこには如何も1人暮らしで住むような家では無く、間違い無く多人数ように住むようになっている庭付きの家がそこに建っていた。

 

でかい!1人暮らしで住む家にしてはデカすぎる⁈

 

「大きいお家ですね♪」

「そうやろ♪」

 

凄いな、エステリーゼ様。

先程までの暗い空気を一瞬で消し去る一言を言ってくれました。

 

そう言ってると、

 

「あの〜、良かったら一緒に夕飯食べませんか?」

 

・・・え?

良いのか?今日初めて出会った赤の他人だぞ?

 

「良いんです!うちがこの家の主なもんやから!」

 

…如何しますか、エステリーゼ様。

 

「此処は素直に甘えましょう!」

 

そうですね。分かった。

一緒に夕飯食べようか?

 

「ほんまに⁈ありがとうな!」

 

こうして俺とエステリーゼ様は、はやての家で夕飯をご馳走になった。

因みにはやての料理の腕は圧巻だった。

 

特にカラアゲと言っていた料理は好きになった!

これに甘口カレーがあれば、きっと旨い筈だ!

 

「アスベル?またカレーの話になってますよ?」

「カレーが好きなん?なら、今度カレー作ってあげようか?」

 

⁈本当なのか?出来るなら、甘口で!

 

「わ、分かったわ…」

「相変わらずの甘党ですね♪」

 

うっ…否定できません。

 

こうして俺とエステリーゼ様ははやての家に一週間程滞在したのであった。

 

だが、この時の俺とエステリーゼ様は知らなかった…

後に彼女・はやてが魔法に関する事件に巻き込まれる事を…

 

そしてその事件に俺達も深く関わるとは、まだこの時の俺達は…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

知らなかった。




アスベル・ラント。
ラントの領主にして、ガルバンゾ騎士団の騎士。
侍のような抜刀術を模した抜刀騎士。

エステル。
本名…エステリーゼ・シデス・ヒュラッセイン。
それは彼女が王国の皇女である事を意味している。
本を読むのが好きな変わった皇女様。

八神はやて。
両親が他界し、障害を患いながらも、1人孤独の中で生き抜く女の子。
それが後の事件に大きく関わろうとは彼女自身も知らないでいたのであった。

因みにアスベルの容姿は原作ラストと未来への系譜編での容姿です。

…では次回また。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。