ニンジャスレイヤーAOS ラピット・ラビット・ホワイト   作:郭尭

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◆兎◆ニンジャ名鑑NO1【アルミラージ】◆角◆
ニンジャのイクサに巻き込まれて命を落としたテンセイシャ「オキノシマ・ウノ」にウサギ・ニンジャのソウルが憑依、アンコが大嫌いになって甦った。
テンセイ前、モータル時代、そしてニンジャとしての倫理の違いに苦しみながら、大事なモノを守るために戦う女ニンジャ。その腹筋は割れている。




ツーハンド・ガン・フロム・ロングタイム・アゴー 2

 

 

 乱雑なネオンと規律正しく並んだ街灯、二種類の灯りに照らされた車道を走る一両のヤクザリムジン。

 

「おっかしいな~、連絡つかなくなったよ?監視の人」

 ソウカイヤのクローンヤクザ運転手が運転するその中で、マインドシーカーはノートUNIXを操作していた。

 

 バンディットから伝えられたIPアドレスを通し、IRCに明るいマインドシーカーが、監視ニンジャと十分おきに連絡を取っていたのが、目標地点に数分という所で返信が無くなったのだ。

 

「電子的に攻撃されてる?」

 

 アルミラージはまず真っ先にハッキングなどで攻撃を受けている可能性を考えた。

 

「少なくともボクのUNIXは何もないよ。あっちに何かあったんだ。電子的にか物理的にか分からないけど」

 

 マインドシーカーはモータル時代からスゴイ級ハッカーであった。ニンジャ俊敏性を手に入れた今ではそのワザマエはテンサイ級に至っている。そんな彼女に気付かれない形でハッキング出来るハッカーなど、そうは居まい。

 

「……私が行こうか?」

 

 先行しているニンジャから連絡が断たれたわけである。目標ニンジャの逆襲を受けて殺されたか、ジツやハッキングの類で通信が断たれているのか。今回の任務はテストとしての側面があることもあり、目標ニンジャの情報は外見以外は、敢えて三人には伏せられている。

 が、それはこの三人に対してのみであり、監視のニンジャにも伏せられていたとは考え辛い。ならば目標ニンジャは、ソウカイヤにも伝わっていない何かを隠しているか、分かった上で防ぐことが困難なジツなりを有している可能性を、アルミラージは考えたのである。

 アルミラージはアンブッシュを肇とした、ワカランキルを受ける可能性を恐れ、少しでも敵の手掛かりが欲しかった。

 

「ああ、好きにしな。その代わりこっちはお前が戻るのを待たねぇからな」

 

 ずらしたマスクから好戦的な笑みを覗かせながら、キツネビは応えた。自分のカトン・ジツに些か以上に自信を持つ彼は、敵の情報に興味を持たず、言外にイサオシの独占を匂わせる。こうまで言われると、アルミラージもこれには悩むことになる。彼女は特にイサオシが欲しいわけではないが、今回のミッションはテストという側面もある。もし仮に彼女が情報収集をしている間に、本当にキツネビが目標ニンジャをケジメしてしまったら。ミッションが成功扱いでも彼女の評価はどうなるか、それこそ命の保証にさえ関わりかねないと思っている。

 

 だが数秒の思慮の後、アルミラージはやはり情報収集に向かうことにした。平安時代の哲学剣士、ミヤモト・マサシの諺「注意は一秒、後遺症が死ぬまで」ではないが、やはり勝ってこそ、心配の意味も出てくるのである。

 彼女は『評価』より自分の命を取った。『自身の両親の命にも関わる評価』より。そこは単純に思いつかなかったのか、それとも考慮さえ値しなかったのか。

 

 

 

 

 

 兎も角、アルミラージはギターケースを担いだままヤクザリムジンから離れ、単独行動に入る。マインドシーカーから音声IRC端末を通しての誘導を受け、パルクールで素早く件の雑居ビルの屋上に辿り着く。

 

 道沿いの六階建て雑居ビルの一つ、面積としては小さめと言っても良く、一階層だけでは一般的なヤクザオフィスとしてすら不足だろう面積である。

 荒いコンクリートの道路側の縁に爆発四散の跡と、複数の弾痕と空薬莢。アルミラージはしゃがんで爆発跡に触れる。まだ残っている熱が、監視のニンジャの命が断たれて間もないことを示している。同時に周辺に分かり易い痕跡が残るようなジツが使われた様子もない。加えて彼女のニンジャ聴力を肇としたニンジャ野伏力で感知できる範囲では、如何なる気配も察知できなかった。

 外れか、とアルミラージは落胆した。敵ニンジャの正体に繋がる手掛かりはなく、そもそも相手が目標のニンジャか、別口の第三勢力なのかさえ分からない。精々この場に銃を使う者がいた事だけ。仕方なくアルミラージは担いでいたギターケースを足元で開ける。中には幾つかのパーツに分割されたスナイパーライフル、予備のカードリッジ、再び靴を履く際に足裏を拭くためのウェットティッシュである。彼女はその中からスナイパーライフルのスコープだけ取り出す。覗くのは道向こうの住宅街の様子である。

 

 六車道の道の向こうはアルミラージの居るエリアとは別の行政エリアであり、広々とした庭を持つ一軒家が集まっている。如何にもカチグミにしか住めなさそうなアトモスフィアである。

 その内に丸々一ブロック使った豪華な、ヤクザクランオフィス兼用のヤクザハウスがある。そこが目標ニンジャが潜伏しているとみられる場所である。爆発から然程時間は経っていなさそうなので、戻る途中の姿を見つけられる可能性も一応考えたが、結局これも空振った。ニンジャであるなら既にヤクザハウスに戻っていてもフシギはない。

 アルミラージは収穫がないことを認め、スナイパーライフルを組み立て始めた。スコープの視界に、自分も乗っていたヤクザリムジンが映った故に。

 

 

 

 

 

 ヤクザハウスの正面ゲートにはデッドウィンド・ヤクザクランの名がショドーされた看板が掲げられ、合金製の扉の前には歩哨として二人のレッサーヤクザが立っていた。その様子を少し離れた位置に止まったヤクザリムジンの中で、マインドシーカーがハッキングした周辺の防犯カメラの映像で確認していた。ヤクザハウスの防犯システムはスタンドアロン型であるため外からシステムに侵入できなかったのである。

 

「えと、それでキツネビ=サン、どう攻める心算ですか?」

 

 ノート型UNIXの液晶モニタから顔を挙げて、マインドシーカーは尋ねた。彼女はハッカーニンジャとしては有能だが、そのカラテはニンジャの平均値を下回ており、本人もその自覚がある。

 

「ア?そんなの正面から入って燃やせばいいだろ。アルミラージ=サンを待つ必要もねえよ」

 

 キツネビは自分のカトン・ジツに並々ならぬ自信を持っている。ニンジャ化による万能感が抜けきっていないニュービーによくある心理状態である。

 

「でもそれ怒られませんか?余り派手にやりすぎるとNPSDが来て邪魔になったりするかもですし」

 

「チッ、面倒くせーな。まあ、邪魔が入ってニンジャを逃がすわけにもいかねーか」

 

 マインドシーカーはNPSDが介入してきた場合の後始末がコストが増えて怒られることを危惧した。対してキツネビもモータル時代は小さいながらもストリートギャングのリーダーだった男である。抗争中にマッポやデッカーに介入される面倒に思い至る。仕方なく、敵のニンジャを見つけるまでは、カトン・ジツの使用は控えることにした。

 

「それから、今アルミラージ=サンから音声メッセージで、銃を使うニンジャがいるかもしれない、だそうです」

 

 アルミラージの携帯IRC端末からの音声メッセージが、文字変換されて表示される。

 

「ハッ、それだけかよ。臆病だから余計なことをしてタイミングを逃すんだ」

 

 席で脚を組みながら、キツネビは蔑むような言葉を口にする。ハッカーニンジャとして情報の価値を知るマインドシーカーはその言葉に思う所があったが、口には出さなかった。

 

「そんじゃ、とっとと忍び込んで、ヌケニンしたイディオットを燃やしてイサオシだ」

 

「じゃあ、始めますね」

 

 キツネビがヤクザリムジンのドアを開けると同時に、マインドシーカーはUNIXのキーボードのエンターキーをタップする。ヤクザハウスのセキュリティシステムはスタンドアロン型であるため外からはどうにもできないが、外部への通信システムを一時シャットダウンする程度ならばベイビーサブミッション。

 

 キツネビはヤクザリムジンをおりて、メンポ代わりのマスクを着け直す。その後ろにマインドシーカーが続く。それをキツネビは意外なものを見る目で見た。彼のモータル時代のギャング仲間にもハッカーは居たし、他にも知り合いのハッカーは居る。ハッカーたちは大凡後方な安全な場所で控えていることを好み、アブナイには近づきたがらないものだというイメージがあった。

 

「なんだ、着いてくるのか?」

 

「えと、もし敵のニンジャが一人じゃなかったら大変だからって、アルミラージ=サンが……」

 

 アルミラージの発案であるという部分は気に入らなかったが、なるほどとは思った。モータル同士の抗争基準でならすぐに逃げられるビークルでも、ニンジャ同士なら心許ない。

 

「だったらしっかり後ろについてきな」

 

 キツネビは横に立つ者には競争心を向けるがソンケイを見せる目上は慕うし、着いてくる目下は面倒も見る。実際マインドシーカーも含めてニュービー三人とも同列なのだが、マインドシーカーの外見とアトモスフィアがそれを感じさせないのだった。

 

 

 

 

 

 ニンジャという存在は、一般的にはドラゴンや吸血鬼のような、フィクションの存在である。だが極めて少数ではあるが、その実在を知り、あまつさえ何人ものニンジャを有する組織も存在する。 ニンジャの圧倒的な戦闘能力が活きるのは、やはり多くの場合は戦いの場であり、ネオサイタマで最もそれらを頻繁に取り扱うのはヤクザクランや暗黒メガコーポのシャドービジネスであろう。そのような組織の中で最も多くのニンジャを有する組織はソウカイヤであるのは間違いないが、ニンジャを有するヤクザクランはまだまだ存在する。

 ソウカイヤをヌケニンしたパッセージスルーはそんな中堅ヤクザクランの一つに身を寄せ、ソウカイヤ時代を凌ぐインセンティブを得ていた。ソウカイヤと違い、何十人もニンジャを有するわけでもないので、待遇の最低値が高いだけであるが。彼の思考は短絡的であった。

 

 デッドウィンド・ヤクザクランのヤクザオフィス兼用ヤクザハウスは、三つの建物が有り、その内のメインホールのある建物で広々とした地下スペースを丸々与えられている。彼はタタミの上で寛ぎながら、サケと共に大型モニタで野球中継を楽しんでいた。

 別室には世話役のオイランが控えており、他に誰も居らず、大型ホール一つ分の面積が彼一人のために供されているのだ。

 もっともこれが、義務教育も満足に受けられなかった肉体労働者だったパッセージスルーの真っ先に思い付く贅沢なのだ。

 

 ふと、パッセージスルーはサケグラスをタタミの上に置かれたオボントレーの上に置き立ち上がる。

 

「オイ!女、上で誰か呼んで来い!」

 

「アイエ!?ハイ!すぐに行きます!」

 

 隣の部屋にフスマ越しに命令する。ニンジャという恐怖に、オイランはすぐに上に向かった。

 パッセージスルーは軽くジャンプし両手で天井の梁を掴み、天井に耳を当てる。モータルであるオイランは気付いていないが、パッセージスルーのニンジャ聴力は上の階に言葉にできない違和感を感じとったのだ。そして天井越しにモータルのそれとは違う足音を感じ取る。一歩々々のテンポと歩幅がモータルのそれではないのだ。

 

「ソウカイヤの追手か?数は……二人?」

 

 足音の響きだけで相手の数を推測する。彼は自分のジツを活かすために構造物越しの反共に敏感に反応できるようにトレーニングを積んだのだ。

 

「フン、いいだろう。相手をしてやろう。俺のジツとカラテは容易く躱せるものではないぞ」

 

 独り言ちながらパッセージスルーは部屋に備え付けられたUNIXを操作し、ある場所に連絡を送ろうとする。だがIPアドレスを入力してもそこに辿り着くことが出来ない。マインドシーカーの通信遮断である

 

「ムッ、コシャク!ハッキングか!連中が地下に踏み入れたらノロシを使うしかないか」

 

 パッセージスルーは改めて立ち上がり地下室にあるフスマを全て閉めて回る。フーリンカザンを整え、この場を彼のハンティングフィールドへとするために。

 

 

 

 

 

 ソウカイニンジャの二人がヤクザハウスに潜入してから屋敷の防犯システムを制圧するまで、五分と掛からなかった。

 キツネビはストリートギャング時代の経験則から制御室の位置を割り出し、マインドシーカーがすぐさまこれを制御下に置いた。そしてヤクザハウス内の防犯カメラの範囲内にニンジャらしき姿がないこと、見取り図には存在するはずの地下室だけは防犯カメラが後から取り外されたことをシステムの形跡から読み取った。

 そして地下室の扉への階段で見張りをしているレッサーヤクザを静かに始末し、二人は目標ニンジャの居ると推測した地下フロアに降りる。

 大理石のように磨かれた木製廊下を通り、キツネビはフスマを開く。

 

 ターン!

 

 フスマの先はタタミの敷き詰められたフロア、だがこの場には誰もいない、奥に続くフスマがあるだけだった。

 キツネビは更に奥に進み、フスマを開く。

 

 ターン!

 

 そこには中身の入ったサケグラスの置かれたチャブテーブルとザブトン、その対面に大型モニタだけがあった。

 

 ターン!

 

 更にその先のフスマを開くが、最初のと同じような、何もないタタミフロアがあるのみであった。

 

「オイ!マインドシーカー=サン!ニンジャが逃げた様子はないんだな!?」

 

 まさか監視のニンジャが殺された後、そのまま逃げだしたのか?キツネビは僅かに苛立ちの混じった声で問い質した。仮に逃げるとしても、身一つで逃げたとでもなければここまで早く姿を消せまい。

 

「少なくともこの屋敷の防犯システムで把握できる範囲では……」

 

 この日、この場にいる筈の敵ニンジャが外に出た様子はなく、これで消えたというのなら、ステルス・ジツの類を有しているのでは、とマインドシーカーが思い立ったその時だった。

 地下への階段の方向からドタドタと何人もの慌ただしい足音が響いてくる。デッドウィンド・ヤクザクランに属するヤクザたちである。

 

「マインドシーカー=サン!」

 

「通信はまだ抑えてる!IRCは使えない筈!」

 

 殺した見張りのヤクザが見つかったにしても集まるのが早い。誘い出されたかと、キツネビは疑った。実際には敵ニンジャの手によって挙げられたノロシに依るものだが、今二人には知りようのない事である。ただ明確に敵意を持ったヤクザたちが向かってきてるだけである。

 

「ドコカラハイッコラー!?」

 

「ザッケンナコラー!」

 

 ヤクザハウスの警備に就いていたヤクザの多くが集まり、胡乱な侵入者たちにチャカ・ガンを向ける。チャカ・ガンの一斉射は、当たり所によってはニンジャでも実際死ぬ。マインドシーカーが連続側転回避、キツネビも同様に回避してスリケンを連続投擲。

 

「「「アバーッ!」」」

 

 数人のヤクザが斃れ、二人のカラテを見たヤクザたちに動揺が走る。

 

「アイエッ!?ニンジャ!?」

 

「アイエーー!?アバーッ!?」

 

 その内数人がNRS(ニンジャ・リアリティ・ショック)を発症し、中には嘔吐して動けなくなる。だが、それでも多くのヤクザは息を乱しながらも攻撃を続ける。彼らはニンジャを見たことがあるからである。

 

「モータルのくせに生意気!」

 

 ニンジャ同士だと気弱な態度だったマインドシーカーは、ヤクザたちには侮蔑の態度を隠さない。ニンジャとモータルは、肉体の面でもセイシンテキな面でも、違う生き物である。大多数のニンジャにとって、モータルはムシケラに等しいのだ。

 

「イヤー!」

 

 マインドシーカーの両目が蛍火の如く仄かに光り、それを見たヤクザたちの動きが止まる。彼女のカナシバリ・ジツである。

 

「アバ!?アバ、アバ……!?」

 

 中には呼吸に障り苦しむ者も出る。

 

「キツネビ=サン、こいつらからニンジャの事をインタビューしませんか?」

 

 目標の敵ニンジャの手掛かりがない今、この場にいるヤクザたちの誰かが何か知っていることを望むほかない。二人が適当なヤクザをインタビューしようと意識を向けたその時だった!

 

「イヤーッ!」「ンアーッ!?」

 

 背後からの不意のキックでマインドシーカーが吹き飛んだ。

 

「マインドシーカー=サン!?」

 

 吹き飛んだマインドシーカーの背後、そこには灰色のニンジャ装束と半透明の曇りガラスのような材質のメンポ、ケジメ対象のニンジャがそこにいた。

 

「ドーモ、パッセージスルーです」

 

「ドーモ、キツネビです。彼女はマインドシーカー=サンだ」

 

 如何なるカラテか、それともジツによるものか、完璧なアンブッシュを決めたニンジャがアイサツする。

 

「ソウカイヤに使われるだけのマケグミめ、俺のジツとカラテでカチグミとなるのだ!貴様ら!倒れているニンジャを撃つのだ!」

 

 パッセージスルーはヤクザたちに指図する。動けるようになったヤクザたちは、それでもまだ多くは眩暈や吐き気の症状を感じているために、緩慢な速度でしか動けない。だが敵ニンジャのアンブッシュを受けたマインドシーカーは致命傷には遠いが、すぐさまには動けないほどにはダメージを受けていた。

 このままではヤクザたちの銃弾がマインドシーカーの命を奪うだろう。すぐさまキツネビが両手にカトンの炎を纏わせ、ヤクザたちに向かおうとする。それをパッセージスルーが攻撃を加えインターセプト。

 

「イヤーッ!」「クッ!イヤーッ!」

 

 パッセージスルーのカラテはソウカイヤのニンジャでは平凡である。だがニュービーニンジャであるキツネビにとっては油断ならないワザマエである。パッセージスルーの連続スリケン投擲を炎を纏ったチョップで叩き落とす。だがこの隙に何人かのヤクザが銃をマインドシーカーに向けていた。そしてトリガが引かれようとしたその時である!

 

「イヤーッ!」「「「アバーッ!?」」」

 

 ヤクザたちの首に、背後からボー・スリケンが深々と突き刺さる。断末魔を挙げながら倒れていくヤクザたちの後ろから現れたのはスナイパーライフルをムネ/に背負ったアルミラージが立っていた。その胸はそこそこ豊満だった。

 

「アルミラージ=サン!遅いぞ!」

 

「スミマセン、追加のヤクザを処理してました」

 

 そう言って背負ったスナイパーライフルの銃口の方向を指差す。そこには血に汚れた銃剣が装着されている。

 

「ドーモ、アルミラージです」「ドーモ、パッセージスルーです」

 

 アルミラージの言葉少なげな、簡潔なアイサツ。パッセージスルーがそれに応えオジギから体勢を戻すその瞬間。

 

「イヤーッ!」『BLAM!』「イヤーッ!」

 

 背負ったスナイパーライフルを素早く片手で構えての早打ち。その早さは熟練ガンマンのリボルバー早打ちにも匹敵する。だがそれをパッセージスルーはしゃがみ込んで床を叩く。すると敷き詰められたタタミが立ち上がり、パッセージスルーの姿を隠し、銃弾を防ぐ。この場に敷き詰められているタタミは防弾なのだ!

 そしてタタミが斃れたその後ろに、パッセージスルーの姿はなかった。如何なる方法か、パッセージスルーは完全に姿を眩ませたのである。

 そして周囲を警戒しながらアルミラージはマインドシーカーの下に移動し、周囲を警戒しながら様子を窺う。

 突然フスマの片方が動き出し半分閉まり、次にもう片方のフスマが動き、完全に閉まる。それは他の開いているフスマも同様に、やがて全てのフスマが閉められる。

 

「ステルス・ジツの使い手か?」

 

 キツネビも警戒を顕わにしながら口に出す。

 

「足音も移動する音も聞こえなかった」

 

 単純に姿を消すだけの、例えば光学迷彩じみたステルス・ジツならば、音で大凡の位置を聞き取る自信が、アルミラージには有った。だが、聞こえたのは自分たちの音を除けば、動くフスマが地面を擦る音だけだった。

 

『フハハハ!この場は俺のキリングフィールドよ!お前たちは俺の無限のアンブッシュによってなぶり殺されるのだ!』

 

 姿なきパッセージスルーの声。アルミラージは、拡散され、方向朧げなその声の出所に心臓の鼓動が鼓動を加速するのを感じていた。

 

 





 気温の昇降が不安定な今日この頃、皆様如何お過ごしでしょうか?どうも、郭尭です。
 今回は同時に複数の人物を回すことの難しさに苦しめられた回でした。ニンジャ三人の内アルミラージとマインドシーカーが口下手な方なので、中々話を動かしてくれないのです。よってキツネビがアクティブに成らざるを得ず、敵であるパッセージスルーのセリフも結果多くなったような気がします。
 という訳で今回の敵はオリジナルニンジャです。原作に出てきたネオサイタマ在住ニンジャの大部分はソウカイニンジャだから現時点では殺され役にしずらいんですよね。
 兎も角次回は戦闘回になる予定、ニンジャのイクサが伝わるような描写を努力します。
 それでは今回はこの辺で、また次回お会いしましょう。
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