ニンジャスレイヤーAOS ラピット・ラビット・ホワイト   作:郭尭

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ツーハンド・ガン・フロム・ロングタイム・アゴー 4

 

 

 彼の兄はファラオとして砂漠の民を治めてきた。多くの偉大な巨大建築を築き上げ、民を、国を良く富ませた。民は神の化身たるファラオを崇め奉った。

 だが彼は知っていた。偉大なファラオたる兄の業績に寄生する影の存在を。

 

 何処から現れたのか、その者たちは自らのことをニンジャと名乗った。超人的な身体能力と空手を有し、ジツというマジックめいた能力を使う彼らこそが、兄の王国を裏から真に支配していたのである。

 

 彼は見てきた。民を守るため、ファラオたる兄が何度ニンジャどもにドゲザし、その頭を踏みつけられたか。

 彼は見てきた。ニンジャたちを鎮めるため己の娘さえ奪われるを見て見ぬふりを余儀なくされる姿を。

 彼は見てきた。米がない故に、スシなる料理が食えないフラストレーションを晴らすために腹を何度も殴られる様を。

 

 彼は憎んだ。偉大なるファラオたる兄を虐げるニンジャどもを。

 

 一人のニンジャが彼に目を掛けた。彼にインストラクションを授け、カラテを仕込んだ。数年の後、彼はリアルニンジャとなりカイデンネーム、ファラオ・ニンジャとなった。

 

 その日、一部のニンジャが国の奴隷を奪い、エジプトを出ることにした。それを機と、彼は黄金色の二丁拳銃を手に、王宮に残ったニンジャたちを次々撃ち殺していった。

 宮廷内のニンジャを全て駆逐した彼は兄からファラオの地位を簒奪した。彼は心身ともにニンジャと化してしまっていたのだ。そしてモータルの軍勢を率いてエジプトを離れようとしているニンジャたちを追撃した。そして連中のリーダー格であった杖を持ちローブを纏ったニンジャに返り討ちに会い、軍勢は壊滅した。

 やがて彼のメンター役だったニンジャが、顔の穴から炎を噴き出す黄銅の巨大バッファローを操り現れた。彼に微塵も意識を向けずにローブのニンジャに挑み行く姿に、彼も察することが出来た。自分はメンターにとってただの捨て駒であったと。

 

 彼は憎んだ。彼に致命傷を与えたローブのニンジャを。

 

 彼は憎んだ。彼をいい様に利用した黄銅バッファローのニンジャを。

 

 彼は憎んだ。彼がニンジャになる決意を抱くに至る狼藉を働き続けた全てのニンジャを。

 

 ファラオ・ニンジャは全てのニンジャを憎むソウルである。

 

 

 

 

 アルミラージの体躯は、ビッグニンジャ・クランのようなソウル憑依者のような特例を除き、彼女より長身の者はそうはいない。彼女がニンジャになってから新たに身に付けた各種カラテは基本的にその長身を活かす、ダイナミックに動くものが多い。

 そんな彼女が今手にしている武器はスナイパーライフルという長物。先端には折れてはいるが銃剣としてナイフ。短めのヤリに等しい武器は、このフィールドに適していない武器である。それを体幹の中心に近い位置で、コンパクトな動きで振るう。これはヤリ・ジツやバヨネット・ドーというより、ツヴァイヘンダーのような両手剣を素早く動かすためのテクニックに近しい。

 

 対してツタンカー・メンポのニンジャはアルミラージに向けて、ツーハンド・チャカ・ガンを大凡20秒掛けて打ち尽くす。20秒という時間はモータルにとっては極めて短いが、ニンジャである彼らのイクサでは多くの駆け引きの応酬が含まれているのだ。時に足を狙い、反動の跳ね上がりを利用し、素早く上半身を狙う。時に重心を横に倒して横に照準を移動させていく。本来モータルですら訓練で抑え込めるオートマチック・チャカ・ガンの反動を、敢えて泳がし弾道にランダム性を与える。モータル相手なら当然のこととして、相手のニンジャも無意識で対処するだろうソレも、ニンジャが敢えて行うことで相手のペースを崩すことが出来る場合もあるのだ。

 だがアルミラージは油断なくこれらの攻撃を的確に捌いていく。時に上体を大きく振り、時に銃剣で弾く。そして銃弾を撃ち尽くしたツタンカー・メンポのニンジャがチャカ・ガンのマガジンを排出する。

 途切れた銃撃の隙を突き、アルミラージはケサギリに銃剣を振り下ろす。ツタンカー・メンポのニンジャは斜めに切り降ろされた一撃をしゃがんで回避。アルミラージは手首を返しトリガーを引く。BLAM!銃撃の衝撃を利用して斬撃を方向転換、水平に近い低い軌道で斬りかえす。「イヤーッ!」ツタンカー・メンポのニンジャはこれをバック転で回避、距離を取る。そしてその間にニンジャ装束の包帯が自ら蠢き、包帯の下から予備のマガジンを取り出しリロードを完了し、再び腰を落とし二丁拳銃を構える。アルミラージも同時に銃剣を振り抜いた勢いで後方キリモミ回転ジャンプ。同時に水平に倒して構えたスナイパーライフルのボルトハンドルを左手で弾くように操作、一瞬でボルトアクションリロードを終える。

 アルミラージとツタンカー・メンポのニンジャはタタミ二枚分の距離を取り相対する。これはニンジャにとって射撃にも格闘にも移れる距離だった。

 

「イヤーッ!」

 

 アルミラージは今度は両手剣の構えから、バヨネット・ドーの構えに移り、大きく踏み込んで突く。バヨネット・ドーは欧州でマスケット銃が戦場で大凡全ての兵士に行き渡るようになった頃に、素早く白兵戦に移行できるように考案された近代のカラテである。だがモータルの戦場で実用されてきたカラテである。ニンジャが使っても同じく有用である。両手でスナイパーライフルを構え、低い姿勢で突撃するアルミラージ。

 ツタンカー・メンポのニンジャは両手のチャカ・ガンを連射して迎撃、アルミラージは銃剣をタタミに深々と突き刺し、そこを軸に棒高跳びめいた動作でジャンプキックを繰り出す。

 

「イヤーッ!」「イヤーッ!」

 

 天井ギリギリの高さから突き下ろされるキックを、ツタンカー・メンポのニンジャは両腕をクロスさせて持ち上げるように逸らす。そのまま体を捻り、ツタンカー・メンポのニンジャの背後に位置にアルミラージが着地するように誘導する。結果アルミラージが着地するとほぼ同時にツタンカー・メンポのニンジャが背後を取る形となる。

 着地の衝撃を殺すためにしゃがみ込む一瞬、ツタンカー・メンポのニンジャはアルミラージの後頭部にチャカ・ガンを向ける。

 

 BLAM!

 

 ツタンカー・メンポのニンジャがトリガーを引く。当たり所によってはモータルでさえ、仕留め損なう可能性がある鉛玉。だが頭蓋を貫かれ、脳を破壊されればニンジャとて死ぬのだ。

 だがニンジャ聴覚でその動きを察知したアルミラージは、四つん這いに近い姿勢でこれを回避。

 

「イヤーッ!」BLAM!

 

 そしてアルミラージもトリガーを引き、発射の反動で加速した、振り向きざまの土渕を放つ。ツタンカー・メンポのニンジャは咄嗟に両腕を交差させ、クロスアームガードでこれを受け止める。だがその威力を受け止めきれずよろめき、数歩後退する。

 

「グウ……」

 

 再び両者の間合いが開き、互いに銃とカラテを構えた。

 

 

 

 

 キツネビはカトン・ジツの炎を拳に纏わせて突き出す。パッセージスルーのひび割れたメンポ目掛けて放たれた攻撃は、スウェーで回避。キツネビは自身のカトン・ジツに絶対の自信を持っているので、カラテの基礎トレーニングを怠りがちだ。そのため彼のカラテはパッセージスルーには及ばない。だが先ほどまでのイクサで受けたダメージとキツネビの積極的な攻勢によって思うように反撃ができない。

 

 一方でキツネビはカラテが充実していた。純粋なワザマエは敵ニンジャには劣っているし、今までのイクサでそれを理解も出来ていた。だが今二人のイクサはほぼゴジュッポヒャッポである。如何な理由があろうと、その事実がキツネビの精神を充実させ、ニューロンを高揚させていた。それがキツネビのカラテを本来のワザマエ以上の冴えを与えていた。

 

「イヤーッ!」「イヤーッ!」

 

 パッセージスルーのパンチをキツネビのカトン・ジツの炎を纏ったチョップが迎撃する。

 

「グワーッ!」

 

 打ち克ったのは炎で威力を強化されたキツネビのチョップだった。

 

「グウ……オノレ小僧め……」

 

 火傷を負った右拳を押さえながら呻いた。頼みの増援は得体の知れぬ闖入者に殺され、自身も手負い。最早逃げる他、生き残る目はないものだと感づいてはいた。だが同時に、この程度のカラテしか持たぬ若造相手に背を見せる屈辱も我慢がならぬ。

 だが今のカトンの小僧は、、パッセージスルーとのイクサの最中にカラテを成長させている。肉体的にも、感覚的にも、果ては理解力もニンジャはモータルとは比較にならない。切っ掛けさえあれば、飛躍的に成長することはニンジャであればあり得ることなのだ。眼前の小僧がまさにそれで、自分はそのダシにされている。パッセージスルーはこの上ない苛立ちと屈辱を感じていた。

 

 

 

 

 

 アルミラージとツタンカー・メンポのニンジャのイクサは決して広くない屋内で、周囲の壁やオブジェクトを破壊しながら行われる激しいものとなっていた。ツタンカー・メンポのニンジャのチャカ・ガンによる嵐のような近距離銃撃。対してアルミラージのスナイパーライフルはその距離での銃撃に向かず、イアイ・ドーやヤリ・ジツ、バヨネット・ドーを切り替えながら時折ワザの一部としてトリガーを引く。

 似たような展開を既に三回、一見するとこちらのイクサもまたドングリ・コンペティション。だが、その実武器の差が見え始めようとしていた。

 力強く放たれた突きは躱され壁に刺さる。その隙を突こうとツタンカー・メンポのニンジャがチャカ・ガンを構える。

 

 BLAM!

 

 銃撃の衝撃で素早く銃剣を引き抜いたアルミラージはその勢いのまま、スナイパーライフルで腕をコンパクトに折りたたんで腰で切る薙ぎ払いを繰り出す。ツタンカー・メンポのニンジャはバックフリップで回避。そしてアルミラージはいつでも撃てるようにすぐさまリロード動作を行う。だが、

 

「チィッ!?」

 

 スナイパーライフルのボルトハンドルが折れる。パーツの剛性が彼女の腕捌きに追い付かなかったのである。

 

「イヤーッ!」

 

 この隙を見逃さずツタンカー・メンポのニンジャは、アルミラージの両足を狙うように低い位置に向けてチャカ・ガンを乱射しながら突撃する。アルミラージはジャンプで回避、だがこれはツタンカー・メンポのニンジャの誘導なのだ。

 

「イヤーッ!」

 

 ツタンカー・メンポのニンジャの高角度トラースキック。アルミラージはスナイパーライフルでこれを防ぐ。そしてワザの勢いを殺さず、後方に吹き飛び距離を取る。スナイパーライフルは衝撃で銃身が歪み、最早使えぬ。アルミラージはスナイパーライフルを放り捨てた。そして軽く腰を落とし、両掌を自然に開いて前に構える。打撃戦にも掴み合いにも移行できるレッスルカラテのベーシックな構えである。

 そこに更なるチャカ・ガン追撃。アルミラージはすぐさま前傾姿勢に移行し、突撃した。

 

 

 

 

 

 キツネビのカラテの冴えは既に、傷ついたパッセージスルーの弱体化したカラテを凌駕し始めるまでに成長していた。

 

「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」

 

 炎を纏った拳により、本来の動きより必要以上の動きでの回避を強いられ、パッセージスルーは幾度もカウンターのチャンスを逃している。それが彼にはストレスだった。実力が発揮できればこの程度の小僧など。だが如何な強力なニンジャとて、実力を発揮できずに敗れることは珍しくなく、今彼はジリー・プアー(徐々に不利)に傾きつつあった。

 

 一方のキツネビはどうか?彼のニューロンはニンジャアドレナリンを放出し、強い覚醒状態にあった。そのおかげでパッセージスルーのカラテは鈍って見え(実際にも鈍ってはいる)、ニンジャソウルに刻まれたカラテがより体に馴染んでいく。キツネビはワザの選択を考えることもなく、ニューロンの閃きに導かれるままに体を動かす。ただそれだけで敵のカラテを抑え込み、そして新しい動作が体に染み込み、彼の格闘戦での技のレパートリーが増えていくのだ。それは時間をかけた反復練習によって動きを体に馴染ませる必要のあるモータルにはあり得ない、まさにニンジャならではの急速成長である。

 

 最早パッセージスルーの勝利の可能性は無きに近しい。不本意極まりないながらも、逃げおおせるための隙を窺う他、彼に選択肢はなかった。

 

「イヤーッ!」「グワーッ!」

 

 パッセージスルーの脇腹を狙ったキツネビの、炎を纏った拳が遂に敵を捉える。腕を間に差し込まれ、直撃には至らなかったが、拳の衝撃と炎の熱で軽くないダメージをパッセージスルーの腕に与えた。堪らずパッセージスルーは姿勢を崩す。そして追撃に、胸元の位置を狙った炎を纏った拳。

 

「イヤーッ!」「グワッ、イヤーッ!」

 

 パッセージスルーの状況判断、受けた攻撃の勢いを利用して後退、連続バク転を決めて距離を離す。

 

「イヤーッ!イヤーッ!」

 

 そして地面を打ちタタミを返し、パンチで打ち出す。そして自分の姿が敵の視界から隠されている内に姿を隠す。最も危機的な状況であるからこそ、最も慣れた行動パターンへと立ち返ったのだ。

 だが、既に何度も見せたパターンである。イクサが始まったばかりの頃のキツネビならいざ知らず、今のカラテのみらずニューロンも冴えわたった彼も素早く状況判断。

 

「イヤーッ!」

 

 シャウトと共にタタミを拳に打ち込む。彼もまたタタミを返そうというのか。否、タタミ返しは如何なニンジャとて見様見真似で扱える容易いカラテではないのだ。

 キツネビの拳からパッセージスルーへ向けて、地面を炎が伝う。そして炎の熱が空気を熱し、空気が昇る。超局地的な上昇気流によって垂直で飛来してきたタタミの角度が崩れ、キツネビの視界にパッセージスルーの姿が映る。パッセージスルーは足首の位置まで床に潜り込んでいた。

 

「イヤーッ!」

 

 そしてキツネビは角度が倒れたタタミと天井の間を跳び越えていく。そして苦衷で体を捻り、浴びせ蹴りをパッセージスルーに決める。

 

「グワーッ!」

 

 パッセージスルーは腕でガードをしたが、足首まで床に潜り込んだ脚では踏ん張ることは不可能であった。大きく体勢を崩したパッセージスルーは咄嗟に片手を床に着けるが、ジツのために手首まで沈んでしまう。

 

「イヤーッ!」「グワーッ!」

 

 急ぎ体勢を立て直そうとするパッセージスルーの脇腹にキツネビのサッカーボールキックが決まる。

 

「イヤーッ!」「グワーッ!」「イヤーッ!」「グワーッ!」「イヤーッ!」「グワーッ!」「イヤーッ!」「グワーッ!」「イヤーッ!」「グワーッ!」

 

 サッカーボールキックで体が浮かび上がったパッセージスルーを、振り下ろしのチョップで叩き落とす。そしてチョップで沈んだパッセージスルーの体をサッカーボールキックで蹴り上げる。サッカーボールキックで体が浮かび上がったパッセージスルーを、振り下ろしのチョップで叩き落とす。そしてチョップで沈んだパッセージスルーの体をサッカーボールキックで蹴り上げる。サッカーボールキックで体が浮かび上がったパッセージスルーを、振り下ろしのチョップで叩き落とす。そしてチョップで沈んだパッセージスルーの体をサッカーボールキックで蹴り上げる。サッカーボールキックで体が浮かび上がったパッセージスルーを、振り下ろしのチョップで叩き落とす。そしてチョップで沈んだパッセージスルーの体をサッカーボールキックで蹴り上げる。サッカーボールキックで体が浮かび上がったパッセージスルーを、振り下ろしのチョップで叩き落とす。そしてチョップで沈んだパッセージスルーの体をサッカーボールキックで蹴り上げる。

 

「イヤーッ!」「グワーッ!」「イヤーッ!」「グワーッ!」「イヤーッ!」「グワーッ!」「イヤーッ!」「アバーッ!」「

 

 サッカーボールキックで体が浮かび上がったパッセージスルーを、振り下ろしのチョップで叩き落とす。そしてチョップで沈んだパッセージスルーの体をサッカーボールキックで蹴り上げる。サッカーボールキックで体が浮かび上がったパッセージスルーを、振り下ろしのチョップで叩き落とす。そしてチョップで沈んだパッセージスルーの体をサッカーボールキックで蹴り上げる。サッカーボールキックで体が浮かび上がったパッセージスルーを、振り下ろしのチョップで叩き落とす。そしてチョップで沈んだパッセージスルーの体をサッカーボールキックで蹴り上げる。

 そしてパッセージスルーは肋骨を蹴り砕かれ絶叫する。最早反撃も防御も不可能となったと判断したキツネビはカイシャクの一撃を振り下ろす

 

「アバーッ!」「アバーッ!サヨナラ!」

 

 ギロチンめいて振り下ろされた炎のチョップによって首を切断されて爆発四散!ソウカイヤの殺人クエストは見事完了!

 

「アッハッハッハ、やったぞ!キンボシだ!イサオシだ!」

 

 疲労と共に、ニンジャアドレナリンによって軽減されていたダメージによってふらつきながらも、キツネビは哄笑した。

 だがすぐさま味方の二人を思い出す。まずは近くの壁に凭れ掛かっていたマインドシーカーである。そしてアルミラージとツタンカー・メンポのニンジャは部屋には見当たらない、戦闘中に移動してしまったのだろう。向こうの状況は分からないが、加勢するにしても人数が多い方が良いだろう。

 

「立てるか、マインドシーカー=サン」

 

 キツネビはマインドシーカーに手を差し伸べる。競争心の強い彼だが、コブンめいて目下の相手には、彼なりのソンケイに則り面倒見が良いのだ。

 

「ありがとう、キツネビ=サン」

 

 キツネビに引っ張り上げられ、立ち上がるマインドシーカー。背骨へのダメージは強いが、幸い爆発四散には程遠い。スシを食べて数日休めば完全に回復するだろう。

 

「イヤーッ!」「グワーッ!」

 

 そこに聞こえてきたカラテシャウト。二人はすぐさま部屋を出る。そしてフスマで隔たれた数部屋先でアルミラージがツタンカー・メンポのニンジャを背後からフルネルソンに固めていた。そこそこ豊満な胸で押し上げられて威力が増強だ!

 

「こりゃ、もう終わりか」

 

 キツネビはイクサが事実上終わったようなものと判断した。アルミラージのフルネルソンホールドは完璧に極まっており、最早解くことは不可能だと。

 だが相手はニンジャなのだ。完全に息の根を止めるまで油断してはいけないのだ。ツタンカー・メンポのニンジャのニンジャ装束である包帯が何本も解け、アルミラージの体に巻き付き始めたのである。そして、

 

「ゴボーッ!?ゴボボーッ!?」

 

 アルミラージの目、耳、メンポの隙間、体の穴という穴から黒い液体が噴き出したのである!アルミラージは全身からカラテを吸い出されるかのような感覚と、液体による窒息や感覚の鈍化に襲われる。アルミラージの身に顕れた超常的現象、明らかにツタンカー・メンポのニンジャのジツに依るものなのは明らかだった。

 

「マインドシーカー=サン!」

 

 キツネビがマインドシーカーに呼びかけ、咄嗟に決断的にダッシュを始める。このままではアルミラージが確実に死ぬと判断したのだ。炎を纏わせた拳を振り上げる。だがツタンカー・メンポのニンジャの包帯はキツネビも絡めとる。

 

「ゴボッ!?」

 

 キツネビも同様に、喉の奥に、眼球の奥に、耳の奥に、正体不明の液体が涌き出る感覚に襲われる。だがそれらが溢れるその前に!

 

「イヤーッ!」「グワーッ!?」

 

 キツネビに隠れるように、その背後から跳び出してきたマインドシーカーのカナシバリ・ジツ。ツタンカー・メンポのニンジャと目線を合わせられてジツに侵される。同時に包帯が緩み、二人が解放される。時間的にツタンカー・メンポのニンジャのジツのダメージが軽いキツネビはすぐさま炎を纏わせた拳を振るう。

 

「イヤーッ!」「グワーッ!」

 

 拳の直撃を胸板に受け、吹き飛ぶツタンカー・メンポのニンジャ。だがその結果マインドシーカーのジツから逃れ、そのまま連続バック転を決めて距離をとった。

 

 一方長めの時間ジツの影響下にアルミラージはメンポを取り外し、喉や鼻からの液体を吐き出す。獣の様に頭を振り、液体を飛ばす。ヘドロのような粘ついた黒い液体。漸くそれをまともに見れる余裕が出来て、アルミラージはソウルの底から湧き出る怒りが意識を染め上げる。この黒い液体の正体を、彼女のソウルは知っており、強い憎しみを抱いているのだ。

 アルミラージの体が、ヘンゲヨーカイ・ジツによって変化する。

 

「ウオーー!」

 

 ウサギ・ニンジャのソウルから湧き出る憎しみに突き動かされ、アルミラージは跳び出した。

 

 

 

 

 

「ムハハハハ!悪くない結果であったぞ。ムハハハハ!」

 

 トコロザワピラー最上階にある謁見のまで、タタミ玉座に坐したラオモト・カンは上機嫌でニュービーニンジャたちの報告を聞いていた。

 裏切り者はケジメされ、組織の威厳は保たれた。ニュービーニンジャたちは自分たちが有用な存在だと示した。そしてマインドシーカーは抜け目なく敵対ニンジャの映像情報とデッドウィンド・ヤクザクランの諸々のデータを抜き取っていた。

 ラオモトは満足し、身辺に侍っていたオイランたちはニュービーニンジャたちにそれぞれ多くの万札が褒賞として渡された。

 

 退室したアルミラージは他二人と共に一旦ニンジャ用ラウンジに向かう。ツタンカー・メンポのニンジャとの戦いで汚水塗れになったニンジャ装束ではなく、学校の制服であるセーラー服であり、他のニンジャに奇異の眼差しを向けられていた。メンポを着けていなければ、顔を知らぬニンジャから、誰かが呼んだ特殊な趣味のコスプレオイランだとでも思われたかもしれない。

 

「よし、お前ら。このまま飲みに行かねえか?奢るぜ?美味いサーモンスシピザを出す店を知ってるんだ」

 

 キツネビが他二人を食事に誘う。三人の中で唯一ヤクザに近い出自を有する彼は、同時に高い上昇志向も持っていた。例え財布が軽くても、目下に対して示すべき態度があり、ソンケイを重点する。受け取ったインセンティブは三人とも同額ではあるが、彼にとってはとるべき行動は違うということなのだ。

 

「エ、私未成年なんでサケはちょっと……」

 

「ボクも、人が多い場所は、その……」

 

 だがこの場の二人は、どちらもその手の場所に馴染みがなく、キツネビの提案に難色を示した。

 

「テメエら、もうヤクザだろ!そんなガキみたいなことが言い訳が通用すると思うな!」

 

 キツネビが無理矢理に連れたつ形で、三人は夜の街に繰り出した。

 

 

 

 




 天気が不安定な今日この頃、皆様いかがお過ごしでしょうか?どうも、郭尭です。
 今回でようやく最初の任務が終わりました。途中、明らかに質が良くない部分もありましたが、取り合えずの形にできました。中々原作キャラはタイミング的にまだスレイしたくないので、暫くはオリキャラ敵がメインとなると思います。そしてキャラ作る度に同名キャラがいないか調べてみたり。
 今回の敵であるツタンカー・メンポのニンジャは、一応原作世界線のエピソードから拾ってきたネタでした。今後も原作エピソードで改めてこちらでエピソードを嵌め込める空白を探したりしたいと思います。変化が大きくなるのはニンジャスレイヤー登場後かなと。
 それでは今回はこの辺で。また次回、お会いしましょう。
 
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