勇者の世話係辞めたい 作:社畜
『やはり驚いたかい。まあそれはそうだろうネェ。今ならまだ戻れるが、此処から先は地獄に近い場所だよ。さぁどうする?』
そう言って老婆はまた笑う。どうするかって。そんなの普通なら断るしか無い。魔王はこの世界の敵だと言うのが世界共通の認識なのだから。そして逆もまた然り。それなら、まだ勇者の世話係として百合ハーレムを作ったほうがマシだと思う。今の所は皆のママって感じだけど。
そう、普通なら断るしか無い。断って、いつも通りママをしてれば良い。でも気になる。
魔王の存在は恐ろしく、残虐な者だと語られてはいるけど実際に見た者はいない。一番の理由は魔王城に近づくことが出来ないからだ。そんな場所に行ける。自慢……は出来ないか。だったら私は。
「あ、あの」
『何だい?』
「魔王様って男ですか?女性ですか?」
欲に素直に従う事にした。
『女だが、何「行きますか」早いネェ』
『ほら此処が魔王城。魔王の間だよ』
即決した後、怪しげな老婆が用意した魔法陣に乗るとそこはもう魔王城だった。
『別名、魔王の部屋とも言うけれど、まあ良い。取り敢えず入りな』
そう急かされ、目の前の重そうな扉がゆっくり開いた。いつも通りの老婆の後ろを歩くと。
『私の部屋に勝手に入らないでよ。入る時はノックしろって言ったでしょ!』
突然、美少女が現れた。可愛い。黒髪で長髪。左右色の違う瞳。だが、その瞳は釣り上がって可愛い口は不満そうに文句を繰り返している。
『申し訳ございません、魔王様。ですが魔王様のいつもの姿をこの者にも見せておかなきゃいけないと思いまして』
そう言って、私の方に目線を向けた。どうやら流れ的に挨拶をしなきゃいけないらしい。私は完璧な挨拶をする為口角を上げて笑顔を作った。
「初めまして!お初にお目にかかります魔王様。私の名前はチャソと申します。宜しくお願いします」
『今回は、このチャソ殿に魔王様のお世話係をして貰おうと思うんだけどネェ。どうでしょう』
『いらないわよ、世話係なんて』
即答で存在を否定されてしまった。私から世話係を奪ったら、百合ハーレムを狙う変態しか残らない。由々しき事態である。此処はアピールしなければ。
「いえ、僭越ながら貴方には私が必要かと思われます」
急に発言したせいで笑顔を繕うのを忘れてしまったが、魔王様は何故かニヤリと笑っていた。
『薄っぺらい笑顔よりそっちの方がマシ。……それより何で私には
彼女は自信満々にそう言った。自分で自分のことが出来るとさぞ自信があるのだろう。分からせg……んんっ。
「そうですね、言いたい事はクソほどありますが、まず臭いですね。クソ臭いです」
魔王の間はそう言うシステムだと言われれば、納得してしまうほど悪臭を放ってる。それは魔王もまた同じで臭かった。果たして部屋が臭いのか、部屋の主が臭いのか。どっちなんだろうね。