勇者の世話係辞めたい 作:社畜
『臭い?何を言ってるのか分からないわね』
「そうですか。なら、最後にお風呂に入ったのはいつですか?」
どうやら魔王様は自分が臭っていると言う自覚が無いらしい。まずはそこからだと思う。
『二週間ぐらい前?それがどうかした?』
良く平然とそんな事を言えるなこの人。もしかしてこれが人と魔族の違い?風呂スキップが当然の文化なのか魔族は。
『ローバ様、これが普通なのでしょうか』
『いや、私は一日に一回入らないと気が済まないネェ』
なんか気持ち悪くてと言う老婆の言う通りそこは違いは無さそうだ。つまり、魔王がおかしい!
「魔王様お風呂へ入りましょう」
『面倒臭い……やだ』
ああ、子供って何でこうやって風呂を嫌がるんだろう。面倒臭いんじゃ無くて臭いんだよ。もうっ!
「良いから、入りましょう。勇者と戦う前に病気になって、亡くなったら話にならないでしょう!」
私はローバにお風呂場の場所を聞き、魔王を部屋から連れ出した。三人よりは一人の方がマシだと思ったけど結局大変さは変わらないのでは?
『あぁぁぁぁぁぁ……流される私の邪悪なオーラがぁ』
「邪悪なオーラじゃなくて垢ですよ。垢。ばっちいですね」
何回も何回も丁寧に洗ったせいで、私も濡れたから結局裸の付き合いになってしまったけど、結果的に綺麗になったし、良いや。
『なんか気持ち良い』
お湯で濡れた美少女を丁寧に隅々まで拭いてあげる。なんか此処だけ聞くと私が捕まりそうだ
「お風呂は体に良い物ですからね。これからは毎日。難しければ精々二日や三日に一回は入って下さい」
『えー?んーまぁ、じゃあまた一緒に入ってくれるなら良いかな』
『私とですか?うーん、私はまだ契約してませんし。今回はあくまでも見学のつもりでした。なので、次は……』
あっ、落ち込んでる。どうしよ。
「毎日は無理ですが、三日に一回来ますよ。だから、ちゃんとお風呂に入って勇者が来るまで健やかに生きてくださいね」
はぁ、約束してしまった。目の奥が痛む。帰ったら少し寝よう……ちょっと疲れた。
『うん、うん!また会おう』
の前に。
「部屋を片付けますか。何をどうしてこんなになっちゃうんですか」
この部屋の汚さは見逃せない。三日待てばどうなってしまうのかとも思うけど大変になるだけだろうし。
『修行してたら汚くなっただけだし、でもごめんなさい』
「謝らなくて良いですよ……は違うか。汚したら片付ければ良いだけですから一緒にやりましょう?」
『うん』
それから暫く掃除を続け。部屋からゴミが片付いて床が見える様になった時には、太陽が見えて来た。
「それでは魔王様、また今度。おやすみなさい」
『また今度』
行きと同じ様に魔法陣で送って貰い、私は家に帰った。