勇者の世話係辞めたい   作:社畜

8 / 9
8話

 

『じゃあ、行ってくるけど……本当に大丈夫?夕飯は食べて来ようか?』

 

勇者がそう気にかけてくれる。流石、どんな時にも頼れる皆が大好きな勇者様だ。正直頼りたくなる。

 

「いえ、賢者様の食事だけで店が潰れる事になりそうですし、本当に大丈夫です」

 

『じゃあ遠慮無く楽しみに待ってる』

 

『バクちゃん……ちょっとは遠慮した方が良いよ』

 

『でも戦ったらお腹は空くし、魔力を使ってもお腹は空くから食べないと死ぬ』

 

『それがバクちゃんのチートだもんねぇ』

 

お願いだからそこで喋らないで。やっと一息付けると思ったのに……。早く行って。

 

『ほら、早くしないと遅刻するから。それじゃチャソ!行って来ます』

 

『行ってきます!』

 

『ばいばい』

 

「勇者の方々が今日もまた元気で帰って来れます様に。行ってらっしゃいませ」

 

勇者の姿が見えなくなるまで、手を振るとドアを閉める。力が抜けてそのまま倒れた。

 

誰もいないし、ちょっと此処で寝よう。

 

ん?何か忘れてる様な。……何だろう。どうでも良いぐらい眠い。

 

 


 

『大丈夫?死んでるの⁉︎』

 

ゆさゆさと身体が揺らされ、目が覚めた。せっかく気持ち良く寝ていたのに。一体誰?

 

『今回は私も行くから起こしてって言ったじゃない!……ってごめん、でも寝るのならベッドにした方が良いわよ。床で寝ると起きた時のダメージが酷いから』

 

そう言って彼女は慌ただしく、家を飛び出して行った。ちょっとは吹っ切れてみたいだし、お役御免で良いのでは?

 

そ、それよりもう少し寝よう。ちゃんとベッドで……。

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

「んん〜、今何時かな?」

 

まだ体は怠いけれど、余り寝ていても仕方が無い。ベッドから体を起こして時計を見ると。

 

「あぁ……」

 

眠らなければ良かったかなと微妙に後悔するけれど、そんな事を思ってる時間が勿体無い。それから、脱ぎっぱなしの服。乱れたベッドのシーツを人数分直し、お腹を空かして帰ってくるだろう皆の為に料理を作る。前に買い物行かないと。

 

「そういえば、後任の話どうなったんだろう。探してくれてるかな」

 

また買い物の帰りになってしまうけど、寄ってみるのも良いかもしれない。

 


 

『おぉ、あの日ぶりだね』

 

「えぇ、お久しぶりですね」

 

小さな上司の問いかけに対して、私はそう答える。

 

「あれからどうですか?」

 

『そうだね、順調って言えると思う。でも君の後任はまだ見つからないんだ。人数を増やそうと思うんだけど、中々難しいんだよね』

 

君からも何か希望とかある?と聞かれたので、素直にで良いのならと前置きしつつ、答えた。

 

「カウンセラーが最低でも二人。コックも二人ぐらい必要ですね、それから家事をする人も必要ですから……」

 

もう良いやと言われてしまった。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。