勇者の世話係辞めたい 作:社畜
『じゃあ、行ってくるけど……本当に大丈夫?夕飯は食べて来ようか?』
勇者がそう気にかけてくれる。流石、どんな時にも頼れる皆が大好きな勇者様だ。正直頼りたくなる。
「いえ、賢者様の食事だけで店が潰れる事になりそうですし、本当に大丈夫です」
『じゃあ遠慮無く楽しみに待ってる』
『バクちゃん……ちょっとは遠慮した方が良いよ』
『でも戦ったらお腹は空くし、魔力を使ってもお腹は空くから食べないと死ぬ』
『それがバクちゃんのチートだもんねぇ』
お願いだからそこで喋らないで。やっと一息付けると思ったのに……。早く行って。
『ほら、早くしないと遅刻するから。それじゃチャソ!行って来ます』
『行ってきます!』
『ばいばい』
「勇者の方々が今日もまた元気で帰って来れます様に。行ってらっしゃいませ」
勇者の姿が見えなくなるまで、手を振るとドアを閉める。力が抜けてそのまま倒れた。
誰もいないし、ちょっと此処で寝よう。
ん?何か忘れてる様な。……何だろう。どうでも良いぐらい眠い。
『大丈夫?死んでるの⁉︎』
ゆさゆさと身体が揺らされ、目が覚めた。せっかく気持ち良く寝ていたのに。一体誰?
『今回は私も行くから起こしてって言ったじゃない!……ってごめん、でも寝るのならベッドにした方が良いわよ。床で寝ると起きた時のダメージが酷いから』
そう言って彼女は慌ただしく、家を飛び出して行った。ちょっとは吹っ切れてみたいだし、お役御免で良いのでは?
そ、それよりもう少し寝よう。ちゃんとベッドで……。
「んん〜、今何時かな?」
まだ体は怠いけれど、余り寝ていても仕方が無い。ベッドから体を起こして時計を見ると。
「あぁ……」
眠らなければ良かったかなと微妙に後悔するけれど、そんな事を思ってる時間が勿体無い。それから、脱ぎっぱなしの服。乱れたベッドのシーツを人数分直し、お腹を空かして帰ってくるだろう皆の為に料理を作る。前に買い物行かないと。
「そういえば、後任の話どうなったんだろう。探してくれてるかな」
また買い物の帰りになってしまうけど、寄ってみるのも良いかもしれない。
『おぉ、あの日ぶりだね』
「えぇ、お久しぶりですね」
小さな上司の問いかけに対して、私はそう答える。
「あれからどうですか?」
『そうだね、順調って言えると思う。でも君の後任はまだ見つからないんだ。人数を増やそうと思うんだけど、中々難しいんだよね』
君からも何か希望とかある?と聞かれたので、素直にで良いのならと前置きしつつ、答えた。
「カウンセラーが最低でも二人。コックも二人ぐらい必要ですね、それから家事をする人も必要ですから……」
もう良いやと言われてしまった。