ただのハジマリです。
――なあ、どう思う?
年老いた声が問う。
―――どう、とは何がですか?
事務的な声が答えた。
―――あいつらは今の時代なれると思うかい?
―――客観的に申しますと不可能でしょう。
―――あ、やっぱり?
―――はい。覚悟も、思いも、甘さも、そして死地も知らぬ者が英雄となる資格を持てるはずはないと判断します。
―――×××さんもそう思うのかい? 実は僕もなんだよ。
―――××様もそう思っているのですか。珍しいですね、意見が一致するとは。あなたは彼ら側だったのでは?
事務的な声は特に何も思っていないと言わんばかりに問うた。
―――今だって彼ら側さ。けどね、今まで流れを見てきたけどこのままなあなあで行っても彼が英雄になれば世界は成り立たなくなるだろう。
―――では、何故未だに彼ら…織斑一夏たちを見守るのか理解できません。
年老いた声は笑いながら言った。
―――×××さんにはわからないだろうけどね。彼らには素養はあるんだ。けど、足りないものを補う事象が彼らには起きないのさ。
―――では、見捨てても問題ないでしょう。
―――そうだね。けどさ、僕らの仕事って何だったか覚えてるかい?
年老いた声が、事務的な声に今度は自分たちの仕事を問うた。
―――この世界の事象の観測と必要ならば成長させる事象を引き起こし、試練を与えて刺激を与えることです。
―――そうだね。けど、僕らにも想定外の彼女の思いは事象を歪めてしまった。だから、僕らがどうこの世界に干渉しようとも彼らの成長を促すことができない。
―――ならば
―――だから僕はね、この世界で事象による成長促進が出来ないなら、この世界以外の、別の世界に彼らを送り、成長を促そうと思うんだ。
―――事象干渉ではなく、超限定的な世界干渉にて彼らを私たちが干渉を行える成長促進可能な世界に送り込んで成長を促すなど…それは特例が必要になるのでは?
これは違反ではないかと事務的な声が問う。
―――いいや、必要ないさ。あの世界は彼女の、篠ノ之束の思いの力は想定外のイレギュラーを起こしている。だからこの超限定的世界干渉は非常事態に分類され、可能になっている。だからこそ、彼らの成長を促さなければいけない。これは禁止要綱に当てはまるかい?
年老いた声は問いに答え、逆に問うた。
―――イレギュラーによる干渉の対応としてこの案は必要と判断します。して、送る世界は?
事務的な声に、年老いた声は答えた。
―――惑星Zi。あそこで促すよ。
事務的な声は、判断した。
―――Passage。
それから程なくして、とある世界から七人の少年少女が姿をけした。