『永遠』のガイアメモリを手に入れた男は風都で平穏に暮らしたい   作:藍沢カナリヤ

19 / 51
第19話 孤島のX / 黄色の炎

ーーーーーーーー

 

 

『エターナル』

 

「……変身」

 

 

変身する。いつもよりも身体に纏わり付く炎の温度が高い気がする。変身後、違和感を感じ、自分の腕を見ると、両腕に刻まれていた炎の色が赤から黄色に変わっていた。

 

 

『これは……?』

 

『遠治くんっ!』

 

 

『邪魔するなぁぁ』

ーーブンッーー

 

 

内から聞こえたアンナの声で我に返り、顔を上げるとすでに目の前には『巨大肉だるま野郎』の腕があった。『ディガルコーポレーション』での戦闘ではこの一撃でやられた。だけど、

 

 

『…………来いよ』

 

『ふぅぅぅぅぅぅんっ』

ーードゴッーー

 

 

ーーガシッーー

 

 

『なにぃぃ……!』

 

 

あの時とは違う。奴の全力の拳を、俺は右腕1本で止めることができていた。奴の攻撃が、軽い? さらに、

 

 

ーーボッーー

 

 

腕から黄色い炎が吹き出る。黄炎は『巨大肉だるま野郎』の腕を燃やす。

 

 

『おぉぉぉ!? あつい、あついぃ……』

 

 

肉が剥き出しだから、その分熱に弱いのだろう。ならば、ここは好機。一瞬で決める。右手で奴の拳を掴んだまま、メモリをベルトの右スロットへ装填する。

 

 

『エターナル マキシマムドライブ』

 

 

機械音とともに、熱は俺の左腕に集まっていく。その熱が最高潮に達した瞬間、奴を掴んでいた腕で、そのまま奴を引き寄せて、左の炎を奴の腹に叩き込んだ。

 

 

ーーボボボボボッーー

 

『ご、が…………っ』

 

 

腹から胸や腰に、そして、全身に回った黄色い炎は奴をよろめかせ、膝をつかせる。

 

 

『ふ、ふぅぅ……『0758』、お前が働いて、いればぁ……』

 

「っ」

 

『おい、『肉だるま』』

 

 

ひん剥いた眼球で椎ちゃんを威圧する『巨大肉だるま野郎』。俺はその間に踏み入り、告げる。

 

 

『人の幸せを、『平穏』を邪魔すんじゃねぇよ』

 

『エターナル マキシマムドライブ』

 

 

ーーバギィィィィィーー

 

 

黄炎を帯びた回し蹴りが奴の腹にぶち当たり、奴は遥か彼方に吹き飛び、爆散した。

 

 

~~~~side?~~~~

 

 

「大丈夫ですか」

 

「あ……あぁ……死ぬかと思ったなぁ……」

 

「流石の丈夫さですわね。しかし、まさか『アップグレード』したメモリを『ブルーフレア』にも至っていない『エターナル』で倒すとは思いませんでした」

 

「あー、すまねぇ……『強化アダプター』も『ラビリンス』も壊されちまったぁ……」

 

「構いません。貴方が生きていることの方が大切ですからね」

 

「…………それで『そっちも』取り入れたのかぁ……?」

 

「えぇ、わたくしも手筈通りに。それに、井坂先生は思った通り……いえ、思った以上に素敵な殿方でしたわ♡」

 

「そうかぁ……なら、よかったぁ……」

 

「今、迎えを呼びます。少しお待ちになってください」

 

「あぁ……ちょっとねむる……」

 

「えぇ、お休みなさいませ」

 

 

 

「…………さて、少々、認識を改めなくてはいけませんわね」

 

 

 

ーーーーーーーー

 

 

後日談。

『巨大肉だるま野郎』を撃破した俺は、その後またも気を失ったようだった。後でアンナから聞いた話によると、俺が『マキシマムドライブ』を発動したことで、アンナが俺の中から抜けてしまい、重傷の俺は再び意識を失ったらしい。

島からは椎ちゃんが外部との連絡ができる部屋に、社長さんを連れていき、『ディガルコーポレーション』の人間が島まで迎えに来たらしい。その迎えの船に、俺と椎ちゃんも乗せ、風都に戻ることができた、と。

ちなみに、椎ちゃんが持っていた『イマジナリー』のメモリはアンナが回収、保管しているそうだ。毒素はまだ残ってるだろうが、『シュラウド』にその辺はどうにか頼んでみるとのこと。

そんなわけで、存在しない島での一件は無事に終息したのであった。

 

そんでその数日後、俺が目を覚ました後の話。

 

 

ーーーー風森ハイム201号室ーーーー

 

 

「はい、お兄さん♡ あーん♡」

 

「あーん」

 

 

ベットから身体を起こした俺に、彼女ーー椎ちゃんがお粥を口に運んでくれる。まだ身体が上手く動かせないのもあって、俺は素直にそれを受け入れる。

 

 

「で、兄さん。この人はなんなんですか」

 

 

非常に、過去最高に不機嫌そうな表情で、雪南がそう聞いてきた。

 

 

「だから、椎ちゃんだって」

 

「はいはい! 椎でーす!」

 

「アンナから聞いてるだろ? 『財団X』の実験施設に囚われてた子だってさ」

 

「えーん、お兄さんっ、怖かったよぉぉ」

 

「あー、よしよし」

ーーなでなでーー

 

 

「そういうことじゃねぇんですよッ!!」

 

 

大きな声を出す雪南。なんだ、アンナの説明が不十分だったのか? そう訊ねると、義妹様はニコニコ笑顔で返してくる。

 

 

「だから、なんでわたしたちの家にこの人がいるのかって聞いてるんですが? 兄さん、文脈も読めないんですか、本当にバカなんですか?」

 

「あー、だから、椎ちゃん、帰る家がないらしいんだよ」

 

「だからって……アンナさんとか『シュラウド』に預かってもらえばよかったのでは」

 

「まぁ、俺もそうは言ったんだが……」

 

「ヤ、ボクはお兄さんと一緒にいたいから!」

 

「ということらしく……」

 

 

「~~~~っ 」

 

 

「そんなわけで少しの間、家で椎ちゃん預かることになり……ましたので、あのー、雪南さん、よろしいですか……?」

 

 

過去最高にぶちギレスマイルの義妹様の機嫌を損ねないように、ていねいに訊ねる俺。そんな俺に義妹様は答える。

 

 

「勝手にどうぞ、捕まれ未成年者誘拐犯」

 

「ちょっ!? 止めて、そのやべぇ呼称!?」

 

 

こうして、我が家にもう1人同居人が増えた。また『平穏』とは遠い生活が始まりそうな予感が、そりゃあもうすごくしていた。

 

 

ーーーー深夜・園咲邸ーーーー

 

 

「…………冴子? こんな時間にどうしたんだ?」

 

 

時間は日付を回った頃、部屋でなにやらスーツケースを開けている妻・冴子の姿を確認した霧彦はそう訊ねた。ここ数日、どこかに姿を消していた彼女が、またどこかへ行こうとしている様子に不信感を覚える霧彦。

 

 

「あぁ、霧彦さん。私、ここを出るわ」

 

 

彼の内心も知らない冴子はそう言った。

 

 

「は? いきなり何を言っているんだ」

 

 

いきなりのことで混乱する霧彦。彼の様子には構わずに、冴子は続ける。

 

 

「あなたはここにいてくれていいとお父様には話はつけてあるから」

 

「ま、待ってくれ、話が見えないっ!」

 

ーーバタンーー

「……よし」

 

 

彼女はそこで準備を終えたようで、スーツケースを閉めて立ち上がった。

 

 

「それじゃ」

 

「さ、冴子っ!?」

 

 

自分を制止する夫の声も聞こえないフリをして、彼女は部屋を出た。その手には、どこかのアパートのカギが握られていた。

 

 

ーーーーーーーー




『X』編終了!
新しい同居人や新形態も加わり、次回より新章!


【挿絵表示】

ヒロインだと思うのは……?

  • 雪南!
  • アンナ!
  • その他
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。