針の彗星 MINIGUN   作:ガンダムラザーニャ

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自分を赤い彗星と思ってるバカ

ここは塗装業『赤い彗星』の工場。

 

車の塗装、または建物のペンキ塗りなどを請け負う場所だ。

 

人工知能搭載人型ロボット、ヒューマギアが普及してから、減ってきてはいるがそれでもゼロではない。

 

そもそもここの塗装業者はそんなことではめげない。

 

むしろ、裸で踊り出すほどだ。

 

こんな風に。

 

「はいっ、全部を赤く塗れ〜!(あっそーれ!)

 

全部を赤く塗れ〜!

 

性能3倍!出力3倍!

 

何でもかんでも、赤く塗れ〜!」

 

「あなたの血で真赤に染め上げて上げましょうか大佐ぁ?」

 

「す、すひまへん…もうひまへん」

 

下着もない全裸で裸踊りを踊っている金髪のヘルメットの男のは西、通称シャア大佐。

 

この塗装業の業者で社長だ。

 

そしてシャアにドリルを突きつけようとしてる女性がララァ、秘書だ。

 

「全く、あなたは社長なんですから、あまりアホなことしないでくださいよね」

 

「だ、だってさぁ、なんかテンション上がっちゃって……」

 

「上がるってもんじゃないですよ」

 

ララァがそう言うとシャアは舌をちょびっと出して、頭をかきながら照れ笑いをした。

 

アホ以外の何者でもない。

 

「今日は来客の予定があるんですよ?

 

ほら、来てしまわないうちにさっさと着替え『ピンポーン!』…あ」

 

来客のチャイムがなり、ララァはゲンナリした顔をした。

 

「…大佐、ここは私が何とかしますから、さっさと「はーい今行っきまーす!!」あかーん!!」

 

着替えずにそのまま行ってしまうシャアを止めようと、必死で追いかけるララァ。

 

しかも時既に遅し。

 

その客がもう入ってきてしまった。

 

「ふぅ…、時間通りに」

 

最悪のタイミング。

 

客が目にした光景は、全裸のシャアが今まさに自分に飛びかかり、その後ろでララァが青ざめた様子でシャアの服を持って必死に追いかけてるという地獄絵図だった。

 

そしてそのまま、その客はシャアの股間で顔面を強打し、倒れ込んでしまった。

 

しばらくして。

 

「…来て早々別の意味で凄く下品な光景を見てしまった気分だ」

 

「すみませんすみません!

 

うちのバカがほんっとうにすみません!!」

 

「すんまへぇん」

 

気がついた客を座らせ、ララァは必死に謝罪し、その横でララァに顔面をボコ殴りにされて変形するくらい腫れ上がった顔でシャアは若干意識を朦朧とさせながら、シャアは謝罪していた。

 

「いや気にしなくていい。

 

こういうことなら事前に連絡してから行くべきだったのは私の方だ」

 

「…ねぇララァ、このおっさん誰?」

 

「知らないんですか!?

 

ザイアの社長ですよ!

 

ニュースでも時々出てるんですよ!」

 

「ほぇー」

 

アホみたいな顔して聞いてるシャアにララァは頭をかかえた。

 

「さて、改めて自己紹介をしよう。

 

私はZAIAエンタープライズジャパンの代表取締役社長の天津垓だ」

 

「ふっ、私は赤い彗星のシャアだ。

 

よろしく頼む。

 

こちらは秘書のララァだ」

 

「あの、それでザイアの社長が、何故このような場所に?」

 

「実は、ザイアではあるものを開発してるのだが、その運用データが足りなくてね。

 

そのデータ収集に協力して貰いたいのだよ」

 

そう言うと天津は手に持っていたアタッシュケースを取り出し、中身を開いた。

 

中身は銃と四角くて薄いものだ。

 

「これは?」

 

「我が社が開発してる試作型デバイス、ザイアキジュウライザー、そしてこれはプログライズキーだ」

 

「キジュウライザー?プログライズキー?」

 

「これは見てわかるように銃として使うのも良いし、このプログライズキーを読み込ませて変身することも可能だ」

 

「ふむ」

 

シャアはそれらを手に取り、まじまじと眺めた。

 

「…天津社長、君はこれの運用データが欲しいと言ったかな。

 

これを使うとなれば、それは何かと戦えと、そう言ってるのではないのかね?」

 

「っ!」

 

「話が早い。

 

君のことは正直ヴァカだと思っていたが、物わかりがいいと助かる」

 

「それは待ってください。

 

ウチは塗装業であって戦うなんてことは」

 

「見返りとしてはそうだな。

 

私がここに投資し、尚且君たちに客が来るように手配をしよう。

 

最も、これは君たちが塗装業としてそれなりの実力があるかどうかの話になるがね」

 

「そ、それは」

 

ララァは俯く。

 

そもそも塗装業『赤い彗星』は、ヒューマギアが普及してから、塗装を行うヒューマギアも現れたため、仕事が徐々に減っていき、従業員もいなくなってこの塗装業の社長であるシャアが自ら塗装をするようになったのだ。

 

しかしそれでも客足は伸びない。

 

「ララァ」

 

「……大佐」

 

「私は構わんよ。

 

これはビジネスだ、それに私はこのザイアキジュウライザーとやらに興味がある。

 

だが、このキジュウライザーはともかく、このプログライズキーに関しては色が気に食わん」

 

「ほぉ?」

 

ムッとした様子でプログライズキーを取り出すシャア。

 

「まず、何だこの緑に似た色は!?

 

私を雇うなら赤く塗れ赤く!

 

知らんのか?赤く塗れば3倍は強くなるんだぞ!?」

 

「ちょっとでも真面目にやってくれてるって期待した私がバカだった…」

 

シャアの赤に対する拘りに頭を抱えるララァ。

 

「残念ながら、このプログライズキーはこの色で対応している。

 

それに、プログライズキーを赤く塗ったからって3倍になる訳がない。

 

よって、そういうことは却下だ」

 

「うそん」

 

ぴえんという感じで落ち込むシャア。

 

「ただ、最近はテロによるヒューマギアの暴走が相次いでいる。

 

それに、人間の悪意に苛まれて暴走ヒューマギアもね。

 

もし、それらを対処してくれるのであれば、今後の報酬としてそういうことも考えなくはない」

 

「ホント!?」

 

「大佐…」

 

ヒューマギア暴走による事件はここ最近続いている。

 

そんなものに戦うのに無縁な職業のシャアが出向くのは無理がある。

 

そしてシャアはそういうことをちゃんと理解してるのか怪しいと、ララァは頭を抱える。

 

「では、交渉成立だ。

 

やり方に関してはケースの説明書を読んでくれたまえ」

 

そう言って、天津は帰ってしまった。

 

「はぁ…」

 

まさかこんなことになるなんて、と、ため息をつくララァを他所に、シャアは軽く説明書を読む。

 

「ふむふむ、なるほど」

 

「ちょっと大佐?

 

これ以上はアホなことはやめてください。

 

そもそも私たちは塗装業なんですよ?

 

暴走したヒューマギアと戦うなんて「ふっ、見せてもらおうか。変身した私の性能とやらを」ちょっと聞いてます?」

 

ワクワクが止まらないシャアはベルトを巻き、そこにキジュウライザーを装着してからプログライズキーを構える。

 

『リボルバー!』

 

『オーソライズ!Kamen Rider…Kamen Rider…』

 

「変身」

 

『ショットライズ!

 

ガトリングヘッジホッグ!

 

Infinite spines shoot towards the enemy』

 

プログライズキーのスイッチを押してキジュウライザーに装填・展開すると発射した弾が周りを旋回し、緑の装甲となってシャアの体を包む。

 

右肩にシールド、左肩にスパイク、頭部のモノアイが特徴の、まるでロボットを思わせる姿へと変身した。

 

「ほ、本当に変わった」

 

「えっ、うそ!?

 

…ふふっ、なるほどこれが説明書にも書いてあった仮面ライダーミニガンというものか」

 

「あっ、確かに書いてありますね」

 

「だが、やはり色が気に食わんな。

 

よし、シャア・アズナブル、ミニガン出るぞ!」

 

「だからってそのまま赤い塗料に風呂感覚で入ろうとしないでくださいよ大佐ぁ!!」

 

後にこれを知った天津は、胃に穴が開きそうな思いをしたという。

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