Dye Your Soul Your Color   作:鏡狼 嵐星

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からだがかわ()
よくぼうがかわ()
こころがかわ(虚無)
あぁ、そんなかわいてゆくせかいもいとおしい



Original side,『       (HOLLOWS GOD)

現世にて、井上織姫が失踪した。元柳斎は彼女を離反者とし、見捨てる判断をした。同時、現世に出向いていた死神全てを一時的に尸魂局へと帰還することを命じる。朽木ルキアおよび阿散井恋次は必ず戻ると、黒崎一護に言い残して戻ってきた。

 

「恋次、必ず戻るぞ」

 

「おう」

 

「ほう、何処にでしょうか?」

 

穿界門から六番隊隊舎に向かう道中、朽木白哉に連れられながら、彼らは決意を改めて宣言する。ただし、それに返答したのは白哉ではなかった。

 

「世魅さんっ!?」

 

「世魅殿っ!?」

 

「散々、総隊長に説得されてそれか。頑固さは誰に似た?」

 

世魅はちらりと白哉に視線を向けるが、白哉は表情を変えない。

 

「安心しろ。別に止めに来たわけじゃない。お前らが説得程度で辞めるとは思ってないしな。アドバイスに来ただけだ」

 

緊張を帯びていた2人の体が一気に弛緩する。そして、ルキアがその意図を聞き直す。

 

「アドバイス、とは?」

 

「井上織姫の誘拐には考えられる理由が二つある。一つは井上の能力だが、誘拐するにしては時期が遅いし、藍染の目的として考えると弱い。もう一つが彼女を救いに来た一定数の死神を虚圏に呼び込むことであり、こちらが本命だろうな。藍染の目的が空座町である以上、あいつは確実に攻めてくる。空座町に移動した時、虚圏に攻め込んできた奴らを閉じ込めて、戦力分断を狙っているというわけだ。総隊長はそこを懸念している」

 

「それはその通りですが、井上を助けに行かぬ理由には……!」

 

「まぁ、聞け。これが罠なのは間違いない。だが、逆に言えば、お前たちが空座町に来るであろう藍染と市丸と東仙、上位十刃と戦う可能性は低い。下位とは戦うかもしれないが、それくらいの覚悟はあるだろう。だからこそ、お前たちの目的が井上織姫の奪還なら、相手を倒すことだけに意識を割くなよ。勝てないなら逃げてでも目的を果たせ、いいな。特に恋次」

 

指差しされ、恋次は反射的に背筋を正して、はいと返事する。ルキアも名指しこそされなかったが、彼の言葉は正しいと心に刻んだ。

 

「現世の方は心配するな。なんとかする」

 

あっさりと言い放ち歩む世魅の背中から、歴戦の猛者の貫禄が見える。これほど頼もしい相手もなかなかいない。

 

「後、朽木。藍染が寄生型の虚を造っていたことは聞いていたな?」

 

ルキアは思わず、息を呑む。世魅は白哉から向けられた視線を無視し、続ける。

 

「……はい」

 

「なら、尖兵なのかどうかはわからんが、それに似た虚がいる可能性も考慮しておけ。藍染ならそのデータを使ってより凶悪な虚を造っている可能性はある。あのときのように固まったままになるなよ。……最後に、言うか迷ったんだが、言っておく」

 

振り返ること無く、彼は言う。

 

「朽木の処刑騒ぎの時と同様、この一件は過去に類を見ない歴史の転換点となるだろう。そんな未知なるものを見逃す師匠(メコニル)じゃない。虚圏にいるぞ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「敵襲だ。まずは紅茶でも入れようか」

 

虚夜宮(ラスノーチェス)内、十刃(エスパーダ)の集まる場所。そこに藍染、市丸、東仙の3人がその衣装を一新し、集まった。東仙がゆっくりと紅茶を準備し、藍染を含む十刃全員の前にカップを置く。

 

「さて、紅茶は行き渡っただろうか」

 

藍染が指示を出すと、その背後に敵と思われる3人の青年が映し出される。侵入者3人の説明がされ、黒崎一護の顔が写った瞬間、グリムジョーの表情が変わる。

 

「こいつらが」「敵ナノ?」

 

「なんじゃい。敵襲じゃなどと言うからどんなやつかと思うたら、まだ餓鬼じゃないか」

 

「ソソられないなァ、全然」

 

「……ちっ」

 

「侮りは禁物だよ。彼らはかつて旅禍と呼ばれ、たった四人で尸魂界に乗り込み、護廷十三隊に戦いを挑んだ人間たちだ」

 

アーロニーロ、バラガン、ザエルアポロの侮りと思われる発言を藍染がたしなめる。表情を一切変えない彼らのボスに頭を下げたり、目をそらしたりした。事実、藍染から侮る気配を感じないが、どうにでもなる相手であると判断しているように見える。侵入者の中に井上織姫がいたことを確認する十刃たちの中で、グリムジョーだけが席を立ち、外へと歩き出そうとした。

 

「何処へ行く、グリムジョー」

 

「殺しに行くんだよ。入った虫を叩くのは早いに越したことはねえだろ?」

 

「藍染様の御命令がまだだ。戻れ」

 

「その藍染様のためにあいつらを潰しに行くんだろうがよ」

 

それを止めた東仙と反論するグリムジョー。それに対し、藍染が口を開こうとしたその時だった。最初に十刃が入ってきた扉が勢いよく開く。十刃を含め、この場にいる全員の視線が集中したその先にいたのは、灰色の髪を持つ青年。黒と白の服を着こなす彼は若干汗をかいているようで、それを拭いながら笑顔を見せた。

 

「おお、ようやくついた! いやぁ、まさか虚夜宮(ラス・ノーチェス)がこれほど大きくなっているとは夢にも思わなかったぞ。お陰で入口を見つけるのにもずいぶん苦労したし、ここまで来るのに若干迷ってしまった」

 

あっはっはと笑いながら、彼は十刃たちが座るテーブルへと歩みを進める。先ほど映像に写っていなかった侵入者に黙っている十刃たちではない。各々の判断で座ったままで睨みをきかせるもの、席を立って剣を抜こうとするものなどその種類は様々である。が、次の瞬間に行った自分たちの行動に、1人を除き、困惑することとなる。

 

(何を……している……?)

 

ティア・ハリベルは膝をつき、頭を下げていた。ただし、藍染に対してではなく、()()()()()()()()。それはほぼ無意識による行動で、彼女が頭を下げていることを認識したのは、その行動を終えた後だった。事実、十刃のほとんどが同様の格好と自問自答をしており、それを見ていた市丸と東仙もうろたえていた。

 

「やめよ、やめよ。われに頭など下げるな。われはかつて自らのために、お前たちを見捨てたようなひどいやつだぞ。というか、バラガン。お前が真っ先に頭を下げてどうする?」

 

「何をおっしゃいますか。我が神がようやく姿を現しになられたのです。頭を下げぬ理由などありませぬ」

 

少年がバラガンを名指しで呼び捨てにした挙げ句、頭を下げたバラガンが丁寧な口調で少年に返事をした。傲岸不遜、自らを虚圏の王であり、神だと自称する虚が行った行動とその言動に、周囲の十刃どころか、市丸が驚きで口を開け、東仙が眉にシワを寄せる。流石に藍染も、ほうと言葉を漏らした。

加えて、虚圏の神を自称したバラガンが発した『我が神』という言葉には意味以外にも、その事実だけでも受け入れがたいものがある。長く、永い間、君臨したバラガン・ルイゼンバーンという神にして王。自らを神と名乗るほどの存在が、他の存在を神と崇めていたなど信じられるものではなかったからだ。

 

「いやいや、われはお前に神の座を譲っただろう!? 名こそ譲れなかったが、それ以外の全て、引き継いでくれたではないか!?」

 

「私は一時期お預かりすると申したはずです」

 

「詭弁だ!? われは再度、その座につくことはないと言ったはずだぞ!」

 

「神とは気まぐれなもの。あなた様が意見を翻す可能性を考慮したまでのことです」

 

われってそんなに信用ない!?とたじろぐ少年。その表情は実に感情豊かで、バラガンが神と呼ぶ存在としてはあまりにも子供らしすぎる。

 

「……なるほど。尸魂界で感じた違和感は君だったわけか。狂幻興凶元(きょうげんきょうきょうげん)、いや唯一級大虚(ソロディオス)というべきかな?」

 

藍染の出した2つの名前に反応し、驚きつつも納得した表情で彼はその疑問に答えた。

 

「その名を知っているということは、やはり()()()()()()な? まぁ、お前なら知っていても無理はない。それと、今はメコニルと名乗っている。好きに呼ぶが良いぞ。われもお前のことは惣右介と呼ぶことにする」

 

「そうか。なら私もメコニルと呼ばせてもらおう」

 

すると、メコニルは手の上にふわりと黒い球を浮かせると、そこから巨大で豪勢な紙箱を取り出した。

 

「洋菓子は好きか? ケーキを持ってきたぞ」

 

「ああ、嫌いではないよ。そうだね。では君の分の紅茶も入れよう」

 

藍染が東仙に指示を出すと、彼はもう1人分の紅茶を用意し始める。そして、指を鳴らすと、長机が変形して更に長くなり、藍染の対面である位置に椅子も作り出される。メコニルは何一つ躊躇することなくそこへ座り、周囲の十刃たちに声を掛ける。

 

「ほれ、お前たちも座るがいい。ケーキは全員分あるぞ。ショートケーキに、チーズケーキやフルーツタルトもある。好きなものを持って行くといい。全部、われの自信作だぞ」

 

巨大な箱からは色や種類が異なる様々なケーキが入っており、それを取り出す。ケーキを真っ先に受け取ったのはバラガン。次にザエルアポロ、続いてスタークと徐々に受け取っていく。

 

「惣右介はどれがよい?」

 

「どれでも構わないよ」

 

「では、ミルフィーユだ。自信アリだぞ」

 

先程集まっていた十刃の中に少年が追加された絵面となるが、そこには色とりどりの洋菓子が追加されて少年の笑い声が響くためか、雰囲気が変わっていた。

 

「で、だ。惣右介よ。この後どうするのだ? お前の目的がどうであれ、護廷十三隊がこのまま黙ってみているわけもあるまい」

 

「もちろん、迎え撃つ。君は私が勝つことは難しいと言うつもりかな?」

 

「そうでもない。重國は火力こそ凄まじいものであるが、熱くなりやすいから罠にかけやすいだろう。そのあたりは惣右介の得意分野だろうし、完全催眠とやらを使っているならもっと話は早かろう」

 

カチャカチャと、フォークと皿が当たる音がする。しかし、音を立てるのは食べている者たちだけで、皿の上のケーキに手をつけないゾマリなどは静かなまま。そしてすぐに食べ終わってしまったヤミーのもとに、隣からケーキが届く。

 

「おかわりもあるぞ。遠慮するな!」

 

不服な顔をしながらもそれを食べることをやめないヤミーを見ながら、メコニルは自分の分のおかわりを取り出し、フォークで突き刺し、丸ごと一口で平らげる。そして、出された紅茶を一気に飲み干す。気品を感じられない、豪快な食べ方だった。

 

「……聞きたいことがあるんだ、メコニル。答えてくれるかな?」

 

「構わんぞ~」

 

彼を呼び捨てにしたことに強烈な殺気を放つバラガンだが、藍染もメコニルも気にした様子はない。

 

「君にとって、世界とは?」

 

藍染の問い。それはひどく曖昧な質問ではあったが、メコニルは先程まで浮かべていた笑みを少し変え、唇を突き出し、上を向きながら考えを語り出した。

 

「ん~、この世界にはわれでも知らぬことは未だに多い。加えて世界は変化を続け、その姿を常に更新しつつある。実に楽しく、飽きぬものだ。この世界を味わうことには千年でも足りなかったほどだからな」

 

つらつらと述べられる感想を藍染はただ聞く。表情を一切変えず、霊圧を揺らすこともなく。そして、目をつぶり、そうかと呟く。

 

「ただ、お前が聞きたいことはそんな感想ではあるまい」

 

そのつぶやきを聞いてから、メコニルが真剣な表情に切り替わり、その雰囲気が重々しいものへと変化する。隣に座るヤミーやアーロニーロが思わず少し離れるほどの圧力が発される。

 

「そうだな。われはこの世界が()()()()()()()()()

 

「……というと?」

 

「お前の言った通り、われは狂幻興凶元(きょうげんきょうきょうげん)と呼ばれしもの。かつての虚圏の神(ソロディオス)でもあったもの。ただその前に、今の世界の在りようを求め、霊王と争ったものである。結末がどうであれ、われはその戦いに負けた。だからわれはこの世界の一部であることを認め、虚の神として、その座についた」

 

霊王という単語に東仙が僅かに反応した。メコニルはそれに反応しない。

 

「しかし、ある一件で霊王が世界に僅かな不満があることを知った。この世界の在り方すべて、霊王が望んだこと。ならばその不満が何処にあるのか、われは知りたくなった。だが、逆に言えば、知りたいだけなのだ」

 

メコニルは空を見上げる。空と言っても、ここには天井があり、空を見上げることはできないが、彼はそれでも見上げた。

 

「われは敗北したがゆえ、この世界を一度受け入れた。だが、この世界を勝ち取ったあいつが不満を持っているというのなら、その理由を知りたいと思うのは負けたものとして当然の心境だろう? それにわれはこの世界そのものは気に入っているし、なによりも」

 

メコニルは見上げていた空から視線を下げ、まっすぐに藍染を見据える。

 

「世界の在りようはこの世界を生きる子が決めることだ。われはこの世界ができる前の世界の住人であり、敗北者であり、この世界を受け入れたもの。ならば、われにはこの世界にケチを付ける権利などない」

 

「……なるほど。君は敗者であることを受け入れたと。それは残念だ」

 

藍染はその答えを聞き、椅子から立ち上がる。踵を返し、メコニルに背を向けて歩き出す。

 

「そうそう、惣右介。世界を変えようとしているお前に、われからアドバイスを一つやろう」

 

「必要ない。既に君に興味はないよ」

 

「そう言うな。ある意味でわれはお前の先輩なのだ。一言ぐらい聞いていけ」

 

背を向けながら立ち止まる藍染に、メコニルも席を立ち上がりながら言葉を放つ。

 

「大いに過程という未知を楽しめ。成功しようと失敗しようと、お前の生だ。生きるなら、それを楽しんだもの勝ちだぞ」

 

聞きはしたものの、考慮する価値なしと判断したのか、藍染はそのまま退出する。

 

「さて、われも帰るか」

 

「ッ! お待ち下さい、我が神よ」

 

「待たん。バラガン、お前の考えはわかった。だが、われが神の座に戻ることはない。それに虚圏でわれを知っているものなど最早、お前とザエルアポロ以外にどれほどいるのか。そんな状態でお前が神の座を降りるほうがまずいだろう」

 

少年に諭されるバラガンというなんとも奇妙な光景を目にしても、十刃たちは笑うことができない。それをすれば、後でバラガンに目の敵にされるから。ただ、ザエルアポロだけがため息をついた。

 

「僕を巻き込まないでくれるかい? 君に関わるとろくなことがないからね。なんで君に頭を下げなければならないのさ」

 

「そうか? われはお前の実験とやらに何度も付き合ったはずだぞ。それに頭を下げたのはお前たちが勝手にやったことだろう」

 

「いいや、違うね。君はバラガンのように神を自称するものじゃない。忘れられかけているとはいえ、虚圏の神として、虚に畏れられる存在として、君はこの世界に定義されているんだ。例え、最上級大虚(ヴァストローデ)でも、破面(アランカル)だとしても、十刃たる僕たちをしても、それに逆らうことは僕たちの虚としての本能が許さない」

 

ハリベルは巨大な力による支配が不要な戦いを産まぬ最善の策だと考え、藍染に従った。命の恩義もあるが、藍染の力の凄まじさを理解したからこそだった。偽りでもこの虚圏を、その闇を照らすものがあるべきだと感じたからだ。だが、目の前にいるこの存在はどうだ。かつて自分を従えようとしたバラガンですら心酔する正真正銘、本物の虚圏の神。先程の態度を見ても犠牲を強いる性格には感じられず、この存在なら本物の太陽(・・・・・)として虚圏を照らすに足るのではないのか。そう思ってしまう自分がいた。

 

「……言われてみれば、われに頭を下げるものは実に多かったな。まぁ、いいか」

 

また笑い声を上げながらこの場を去ろうとする彼に、ハリベルは思わず手を伸ばしてしまう。

 

「ん、どうした?」

 

それに反応されてしまい、ハリベルは思わず言葉に詰まってしまう。そんな彼女に、メコニルは再度、満面の笑みを浮かべる。

 

「なに。われは神の座にはつかぬが、バラガンならば十分、虚圏を治めるに足る。惣右介が目的とすることは、ある意味でこの世界の解放だ。それの恩恵を受けることも良いだろう。何をするか、成すかはお前たち次第。われはお前たちのすべてを肯定しよう。好きにするが良い」

 

そして、メコニルは藍染とは真逆の扉を通り過ぎ、その気配をくらませた。スタークは目を閉じたまま動かず、バラガンの表情は険しく、ハリベルは困惑し、ウルキオラは表情を変えず、ノイトラは苛立つ顔を抑えず、グリムジョーはメコニルが通り過ぎた扉を睨みつけ、ゾマリは警戒を続け、ザエルアポロは笑みを浮かべ、アーロニーロは微動だにせず、ヤミーは残ったケーキを口の中に放り込んだ。

 

 

 

 

 

「さて、これからどうするか」

 

藍染との会合ののち、メコニルは黒腔内でふよふよと浮いていた。霊子の乱気流に弄ばれるまま、上下左右が激しく揺れるさまをのんびり楽しむという常人ならざる感覚でなければ、そんな事はできないのだが。

 

「これから空座町で注目の戦いが起こるから、それは見に行くとして。それまでの間、虚夜宮(ラスノーチェス)の戦いを見届けるか、瀞霊廷に行くかだな〜。隣に座っていた最下級大虚(ギリアン)の子は都の霊圧を感じ取れたし、あれを真似するのだろうか? 見たい。ただ、戦うために隊長格の全員が現世に来るだろうから、隊長のいない瀞霊廷を見れるのは今だけだし。ん〜、悩む!」

 

高速で流れつつも逆なった姿勢で、顎に手を置く。そして、何かを思いついたのか、手を叩く。

 

「そういえば、世魅に会ったのだから、レヒトに会いに行かなければ平等ではないよな。よし、先に瀞霊廷に行ってこよう! 急いで戻ってくれば間に合うだろう! 多分!」

 

善は急げと、体の位置を正常に戻し、霊子で足場を形成してそれを蹴る。風など起こらないその空間を歪ませるような勢いで、彼は飛び去った。

 

 

 

 

 

 

バラガン、われは神をやめる。

 

……またお戯れですか?

 

やることができた。確かめねばならないことがある。

 

貴方ほどのお方が何を確かめるというのですか。この世界の全て、あなたの掌の上でしょう。

 

そうでないことは散々、お前に話したはずだぞ。

 

今、起ころうとしている争いは死神と滅却師のもの。我々が介入する理由はありませぬ! 両者とも、我らの敵ではありませんか!

 

われはこの世界の全て、等しく愛しているとそう言った。お前たち、虚はもちろん、死神も滅却師も人間も全て、な。

 

介入するにしても、神の座を放棄する必要はないでしょう!?

 

いや、確かめたいことを確かめるには、われが神であってはならぬ。故に、われはこの座を放棄する。

 

何故ですか!? 何故、神の座を降りると仰るのですか、我が神よ! あなた以外に誰がこの世界の上に立つと!?

 

バラガン、頼むぞ。

 

…………は?

 

お前以外にまかせられるものなど誰がいる。ザエルアポロは論外、     (已己巳己巴)はこの世界を治める器ではない。どちらかといえば壊しにかかる側だ。

 

私が、神になれ、と?

 

そうだ。永い間、お前は虚の王として、われについてきた。ならば、神たる資格は十分にある。

 

……王と神が異なるものだと仰ったのは貴方様でしょう。

 

そうだな。ただ兼任してはならぬと言った覚えはないぞ。王は治めるもの。神は畏れられるもの。われは治める能力がどうにも足りなかった故に、お前をそばにおいたのだ。それが分からぬお前ではなかったはずだぞ。

 

私は、あなたの座す世界の王であっただけでございます。

 

ならば、次はお前がそこに座れ。

 

………………。

…………っ、何を確かめに行かれるので?

 

世界の意思、その不満をな。

 

不満、ですか?

 

せっかく世界を手に入れたというのに。ああまでして、望んだ理を敷いたというのに。何が不満なのだ。何がおかしいのだ。われにもそれを教えよ。教えられぬなら、探すまでだ。

 

……もはや、何を言っても無駄でしょう。この座、お預かりします。いずれまた、あなた様が座る日をお待ちしております。ソロディオス様。

 

待たんで良い。その座はもうお前のものだ。虚圏全て、お前の元にある。好きにするがいい。

 

はい。好きにいたしますとも。

 




【破面大百科】

どうも。今回は唯一級大虚(ソロディオス)に関してのお話や。簡単に言えば、虚圏の神様のことやで。バラガンとちゃって本物や。本来、大虚は3種類なんやけど、メコニルはんだけ特別扱いされとるみたいやね。

特別扱いというか、そうせざるを得なかったみたいだな。

……呼んだ記憶ありませんけど、平気でいらっしゃいますね。

面白そうな気配に参加しないわれではないぞ!

これは手厳しい。そんなら質問してもええですか?

無論だとも。

ザエルアポロが言ってましたけど、この世界に神として定義されとるってどういうことですの?

ん〜、われも実感はないが、おそらく、種類は違えど現世にも尸魂界にも神がいるのだから、虚圏にも神がいなければならないということだろう。そして、世界の根本が変わらない限り、そのシステムも変わらん。信仰が根絶されぬ限りはな。少なくとも、われを神として知る全ての者ががわれを忘れぬ限り、世界というシステム上、われが神であることは否定されないといったところかな?

なんか難しい話ですね。

そうだな。別に覚えんでも良いぞ。

と、いうわけで、今日の講義はここまでや。また来週〜。

またな!
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本音を言うと、多分、アニメに間に合いません。
仕事忙しいんじゃ。(言い訳)
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