Dye Your Soul Your Color   作:鏡狼 嵐星

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研鑽
練磨
解明
理解
お前の喉元まで
あと一つ



Left side, Stand face to face with you

バラガンが崩御し、スタークが堕ち、東仙が折れた後、一護の不意打ちを防いだ藍染に、それぞれと戦っていた死神たちが対面していく。市丸が戦線を一時離脱したため、平子も参戦し、世魅が鏡花水月による位置認識阻害を無効化したことにより優位に傾いたと思われた。

 

しかし、世魅の『万物万視(アナライズ・コンプリヘンド)』は彼の手で藍染の位置を割り出すものであり、世魅以外の死神に対する鏡花水月の能力そのものを無効化出来るわけではない。結果、死神たちは鏡花水月の能力で居場所や攻撃手段を再度誤認識させられ、同士討ちをし、本来の力を出した藍染に斬り伏せられ、鬼道で押しつぶされ、言葉で精神を破壊されていく。そのざまを見ていた一護は衝撃で目を見開き、世魅はため息を付きながら球体を崩し、中から姿を見せる。

 

「結局、俺がやるしか無い訳か」

 

周囲の地面に倒れ伏した隊長たちを見やり、世魅は藍染の前で頭から手を離して、展開されていた網を解除する。世魅は一護に手を出すなよと一言かけた後、自身の卍解をその背後に球体として纏める。

 

「それにしても、うまく考えたものだ。鏡花水月の一部とはいえ、それを無効化する手段を作ることで、周囲の味方を先に戦わせ、最終的に私と一対一の状況を作り出す。これこそ君の望んだ状況と言えるだろう」

 

下で呻いている隊長たちや、遠くの結界の中で藍染を睨みつけている副隊長たちの様子を見下ろす。

 

「否定はしない」

 

「素直だな」

 

「事実だ」

 

一護が見守る中、彼が藍染に向けて、手を伸ばす。霊圧の高まりを感じ、戦いが始まると一護は確信した。

 

()()

 

その発された言葉に、藍染も一護も困惑の色が映る。なにせ、既に彼は卍解しているのだから。

 

 

 

 

 

卍解とは自分の魂を理解し、斬魄刀の真の名を呼ぶこと。それを呼ぶことで初めて、自身の斬魄刀の持つ力を全て引き出す権利が与えられる。

 

俺が初めて、始解が出来るようになったのは、浅打をもらってから約一ヶ月。霊術院に入学するまで、師匠に習った事を元に自分の力をコントロールする訓練や、精神の修行を欠かさず行っていたからこそ、短期間で自分の魂を転写することができ、対話と同調も進められた。立方体のような太陽が中心に浮かぶ巨大な球の中のような精神世界は、その大地が海のようにゆらめくのに通常の地面のように硬く、踏みしめることができるという不思議な世界だった。そこにいたのは般若の仮面を被った真っ白な少女、その周りには黒子のような顔を隠した黒服がを着た老若男女が大量に控えているというこれまた奇妙な体であったため、少し驚いたことは記憶に新しい。そして、霊術院にいる間に斬魄刀の具象化まですんなりと進んだ。

 

ただ、順調なのはそこまでだった。変幻無蔵の屈服条件は複数の戦闘スタイルを用いて、彼らに認められる(戦いにおける変化の真髄を見定める)こと。戦闘方法は通常の刀の他に、鞭、槌やトンファー、薙刀などの槍状のもの、斧、鎖鎌、そして手甲を用いた拳術が主体。それを入れ替えながら、彼らに勝つ。武器の基本を学び、独学で修練を進めていたとはいえ、師匠の一部を引き継ぐ彼らを満足させることは容易ではなかった。変幻無蔵はその性質上、あらゆる武器の扱いに長けていなければならず、それを組み合わせることが変幻無蔵の真価を引き出す方法であるが故の条件と言えるだろう。そして、刀を扱う方法だけでも流派が数え切れないほどあり、武器の長さや重さ、形状まで含めれば、始解の彼らを扱いきるための鍛錬時間が全く足りていなかった。結局、卒業するまでの一年間では卍解に至ることはできなかった。

 

京楽隊長に推薦され、八番隊の三席を預かるようになってからからというもの、数えきれないほどの席官たちと戦い、斬魄刀を用いた修練を行い、存分に各武器での戦い方を練習させてもらった。徐々に相手を副隊長、隊長と格を上げて対戦していくうちに変幻無蔵とも互角に戦えるようになっていった。そして、十年間続けた屈服がようやく成功し、彼らから真の名とその力を明かされた。しかし、その真の力を聞いた時点で確信した。始解の変幻無蔵を扱える程度の実力では、過去を追従しているだけの今の知識や技術では、()()()()()()()()()()()()()()()()と。

 

卍解を会得したその瞬間に、俺は彼らに頭を下げて頼み込んだ。始解が仮の名であり、卍解がその真名ならば、()()()()()使()()()()()()()()()と。変幻無蔵が始解を十全に扱えると判断して、俺に真名を明かしてくれたことは誇らしかった。それは自分自身に、師匠の一部に認めてもらったに等しい。心底嬉しかった。だからこそ、今の自分ではその真の名を呼ぶに値しないと理解した。

 

変幻無蔵はひどく困った様子だった。女の子の方は泣き出しそうな声をあげていたため、周囲の黒子たちが慌てていたほどだった。厚かましいだろうが、それでも頼むと俺は彼らに頼むしか無かった。期待を裏切るような真似はしないと女の子に誓い、周囲の黒服たちには命を賭けてお前たちを扱いきってみせると叫んだ。一時間近い説得の後、彼らは納得し、その名を削ることで、真の力の一部を削いでみせた。

 

それが変幻自在無蔵。あらゆる形状や性質に変質可能な自由な刀。ただし、それそのものにはならず、あくまでもそれを真似する刃。正直に言えば、今現在に至っても、この力すら扱いきれているとは言えないと思っている。それほどまでにこの力が扱える技や戦術の範囲は広く、奥深い。

 

そして、例外の事情(都の虚化)を一件だけ除き、このときまで彼らの真名を呼ぶことは無かった。それは俺が彼らを操り切れる自信がなかったことはもちろんだが、変幻自在無蔵で十分対処可能な相手ばかりだったからだ。だが、今、目の前にいる男は俺が知る限り、師匠の次に世界を見ていると感じた男だ。その世界を変えるべきだと、その生を捧げた男だ。これ以上ない、強敵だ。

 

戦うために、初めてお前の真の名を呼ぶ。藍染、お前は見えないほどの高い壁であるだろう。それを俺たちの力で乗り越えて見せよう。

 

じゆうにかわりながらも、いまださだまらぬ、そのつきぬちからで。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

変幻自在未形無蔵(へんげんじざいみけいむぞう)

 

その名を言い終わると同時に、背後にあった灰色の真球が歪に膨らみ、風船が割れるように破裂する。そのまま萎んでいき、灰色の液体そのものがその場から消え去った。つまり、彼の卍解であるはずのものは彼の周りから消滅し、彼は身一つでそこに立っていることになる。

 

「…………」

 

流石の藍染も警戒せざるを得ない。あの世魅の卍解、その真の力。何がくるのかを頭の中で想定する。

 

「準備はいいか?」

 

世魅がその言葉を発すると同時、伸ばした手の指を下から上に移動させる。すると、藍染の体に巨大な斬撃のようなものがぶつかっていた。

 

「……何っ!?」

 

藍染が警戒していたというのに、その体に一撃が入った。その現象には本人も吹き飛ばされてから気づく。刃を振るった様子もなく、鬼道を発動したわけでもない。ただ指を動かしただけだというのに、月牙天衝の如き巨大な斬撃が藍染の身体を襲う。それを手でどうにか弾き飛ばすが、身体にはしっかりと斬撃を受けた証拠である切り傷が浮かんでいた。泡立ちながら再生する様子を見て、世魅は目を細める。

 

「この程度で傷つくってことは、崩玉との融合はまだ完全じゃないみたいだな」

 

傷が再生する様子を見ながら、世魅が再度、掌を振るう。次は藍染の肩にこぶし大の穴を開ける。顔を驚きで歪める藍染から視線を外し、その右下の方面に向けて蹴りを放つと、爆音とともに放射状に地面が抉れ、そこから藍染が姿を見せる。その身体に斬撃の傷跡はあるが、穴はない。

 

「……なるほど。君のその卍解は()()()()()()だ。以前の卍解があらゆる形に変化するならば、今の能力は形さえ無くすことでより巨大な力に成る、といったところか。加えて、霊圧である以上、周辺一帯には君の卍解が満ちているとも言える。以前の卍解を介して私を見聞きしたならば、より自由度が増した分、私の力への対策方法も増える。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。ならば、私も正面からぶつかる他無いな」

 

藍染が自らの斬魄刀を抜き放ち、正面から斬りかかる。世魅はそれを見て避ける様子もなく、手を握ると周囲が強烈な圧力を持って藍染を押しつぶそうとする。しかし、彼は既に周囲にエスクード(鬼道の盾)を展開しており、それを防ぐものの、それには徐々にヒビが入り始める。

 

「黒棺」

 

その盾の中から放たれる詠唱破棄の黒棺が世魅を覆うが、彼が両手を交差すると、黒い壁が構築し切る前にそれがひび割れ、その形を保てず、崩壊した。

 

「いくら詠唱破棄とはいえ、今の私の黒棺を破壊するか。いや、君の卍解は前の状態ですら、私の鬼道を破壊していた。以前よりも卍解を力に特化させた君が打ち破れぬわけはない」

 

ヒビの入ったエスクード(鬼道の盾)を観察しながら、それを解除する。余裕そうな藍染を無視して、世魅は自身の両手を何度も握り直した。それはまるで感覚を確かめるような動きであり、それを終えた世魅の表情はよく落ち着いていた。

 

「この状況でも余裕そうだな。崩玉という後ろ盾があるからか?」

 

「従えたと言ってもらおう」

 

「俺はその崩玉とやらが、何かに従うような存在には見えない」

 

世魅が左腕を上から下へ振り下ろす。藍染が飛んでくるであろう斬撃を防ごうと斬魄刀を構えるが、剣に衝撃が走ることはなく、また藍染の体に直接叩き込まれる。

 

「……ほう」

 

すぐさま体勢を立て直した藍染だったが、世魅が合唱するように手を合わせると、藍染の両手両足がその場に拘束される。身動きが取れなくなっている藍染に、世魅が右足で虚空を蹴り上げると、巨大な衝撃音が響き渡り、藍染が空座町のレプリカに突っ込んで土煙を上げる。

 

「一護」

 

「…………えっ、はっ、お、おう!?」

 

「今、藍染を圧倒できているのは()()()()()()()()()()()()()()()()()だ。予想通りというべきか、攻撃がほとんど効いてない。まだ手札はあるが、効く保証はない。俺は倒す気だが、俺が負けるとお前が判断するなら準備をしておけ」

 

「い、今の攻撃、効いてない、のか……?」

 

「あれでダメージを与えられるなら、他の死神たちでもダメージ程度は与えられてるはずだ。それに()()()()()()()()()()ぞ」

 

最初、平子と退治していたというのに、途中から戦闘そのものを放りだして遠くのビルの上で観察に徹していた市丸を指差す。

 

「お前は自分が何をするべきなのか、考えておけよ」

 

「お、俺に、何が……」

 

「自分で決めろ。逃げようが見捨てようが文句は言わん」

 

一護が市丸を見たことと市丸が笑ったことを確認し、世魅は地面に降り立つ。土煙が収まると、再生によって傷を直した藍染が顎に手をおき、悩む素振りを見せながら立っていた。

 

「どうやら、ただ暴力を振るうだけの卍解ではないらしい。まだわからない点が多いが、それもいい。もっと私を楽しませてくれるんだろう、世魅?」

 

「楽しませる、ね。自分が負けることは想像しないのか? 目の前の未知の力に」

 

「確かに力を保たない者にとって、未知とは恐れるべきものだ。だが、私がそれを恐れる必要はない。じっくりと君の力を理解していくとしよう」

 

藍染がゆっくりと世魅に向けて歩み始める。対して、世魅が人差し指を向けた瞬間、藍染の胸元に一撃が入るが彼の胸元の皮膚上には鬼道が展開されており、先程のようなダメージは受けていない。

 

「これで君の卍解が私の剣をすり抜けた理由がわかった。君の一撃は私の身体の()()()()発生していた。つまり、その前で刀を構えたところで防げないということだ」

 

「……流石に理解が早い」

 

あっさりと肯定した世魅に、藍染は少し笑みを浮かべた後、右手で雷吼炮を放つ。しかし、世魅は避ける素振りを見せずに手を払う仕草をすると、雷吼炮はその射線をずらして彼方へと飛んでいく。

 

「次は霊圧で通り道を作った、いや力の向かう方向、ベクトルに変化を加えたのか。便利なことだ。ただ、今のままでは私の命までは届かない。さて、次はどうする?」

 

世魅は無言のまま藍染を見据えたまま。表情を変えていないように見えるが、息が若干上がっている。そして、彼の鼻の端から血が垂れ始める。

 

「……君が真の力を使わなかった理由はそれか。なるほど、変幻自在無蔵の時点で相当自由度の高い卍解だ。私の身体にダメージを与えるほどの一撃を持ちながら、異常な自由さを操るということはそれだけ使用者に負荷がかかるということだろう。いや、恥じることはない。君は私に何度も傷をつけてみせた。誇っていいほどだ」

 

諭すように話す藍染に、世魅は鼻から出た血を指で拭う。

 

「未知。それは俺の師が愛してやまぬもの。世界に普遍的に存在するもの。そして、戦闘においては不確定の部分であり、逆転の要素だ」

 

ピクリと藍染が反応する。

 

「お前は未知を恐れないと言ったな。なるほど、お前は強者だ。だが、崩玉を手にしたという確固たる理由から油断があった」

 

「……油断か。君が脅威であることは確かだが、余裕があったと言うべきだろう」

 

「だから、お前は見逃している。俺の卍解による一撃を受けて、その後に起こるかもしれないことを考慮していない。お前相手に対策もなしに俺が生半可な力で戦うと思ったのか?()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

彼が目を閉じると、周囲の霊圧の動きが明らかに変化する。

 

崩侵廻寄(ほうしんかいき)

 

そして世魅が右手を前に出すと、藍染も同様に自身の右腕を前に出した。藍染の視線が自分の腕に向くが、その顔は驚きと不快感を表していた。

 

「お前の言った通り、俺の真の卍解は形を無くすことで巨大な力になる。変幻自在無蔵と異なるのは、固体・液体・気体のような三態という形の制限すら無くったことで、真似るのではなく、それそのものに変化することができるということ。本来、真似するだけであった力はその本質に迫る。そして、その力の種類は物理的なものにこだわらない」

 

藍染が右腕で胸元に存在する崩玉を、自分の手で握って取り出そうとする。自身の行動が世魅によって操られていることを確認した藍染は、自身の右腕を止めようとするが、他の腕や足も動かない。いうことを聞かない自身の体に次第に焦りが見える。

 

「メタスタシアが持っていた霊体融合による身体の操作能力。アレンジは加えたつもりだが、流石に意識まで奪うのは無理か。しかし、俺の卍解の一部をお前の体と融合すること自体は可能だった。しっかりお前の身体を動かせる。どうだ、融合されて体を動かされる気分は?」

 

「……確かに、動かせない。だが、それは大したことではない。これだけの能力なら、相応の霊圧を消費しなければなし得ない。いくら君の卍解でもこれ以上自由はできないだろう」

 

藍染の霊圧が迸る。その抵抗を受けた世魅が自分の顔の上に左手をかざす。

 

「ならダメ押しだ」

 

世魅が手を取り払った後にあったのは、ギザギザの牙を見せつける憤怒の表情をした白い仮面。それを見た一護が斬魄刀を落としそうになり、さすがの藍染でも目を見開いた。跳ね上がる凶々しい霊圧によって、止まりかけていた藍染の体が再度動き出す。

 

「世魅、貴様ッ……!」

 

もはや抗う方法は一つしかないと体から霊圧を迸らせる藍染に、世魅は虚化した影響で禍々しくなった自らの霊圧を合わせ、卍解を動かす。藍染が抵抗するも、徐々に自分の胸から崩玉を抜き出していく。そして、世魅はその抵抗の上から卍解による操作をしているせいで、目の端や鼻などから流れる血が滴り、勢いを増すことで仮面が血で濡れていくが、彼は気にしない。

 

「う、おぉぉっ!!」

 

ついに藍染の胸元から崩玉が取り出された。その勢いで宙に浮いた崩玉を世魅が手にしようとするが、藍染が表情を一変させてそれを取り返しにかかる。しかし、その瞬間、藍染の腕を掴む老骨の腕。

 

「藍染惣右介、捕らえたり」

 

 

 

 

 

 

 

「……予想より、消耗が激シい、な」

 

虚の仮面を消し去り、血だらけになった顔を拭おうとするが、世魅は自身の腕どころか、全身が震えていて立つことすらままならないような状態だった。

 

「こいつがなければ、どうにかなるはず、なんだが……」

 

崩玉に視線をやり、目の前で展開される炎熱地獄を感じながら、戦いの行く末を見守ろうと思ったその時だった。元柳斎の斬魄刀の能力を帰刃したワンダーワイス・マルジェラが封じることで形勢が変わる。心なく、ただ自分の意欲の赴くまま元柳斎に襲いかかるワンダーワイスを一瞥することなく、世魅のもとに藍染が姿を表す。

 

「拳西……、しくじった、な……」

 

「最初から、私から崩玉を奪うことが目的だったのか。君は確実に私を殺すための下準備をしていたのか。ふふふ、素晴らしい。ワンダーワイスがいなければ、私は相当なピンチに陥っていたことだろう」

 

世魅は血だらけのまま、ただ藍染を睨みつける。対し、藍染は歩みを止めず、世魅の持つ崩玉に手を伸ばし、あっさりと奪い取った。

 

「二度目となるが、惜しいよ、世魅。私は君を殺すことが惜しいと感じるほど、キミの力を認めている。その不屈の精神を含めて、()()()()()()()()()()()

 

世魅は抵抗できない。既に彼は自分にできる限りの攻撃を終えたばかりだからだ。藍染の手が世魅に触れるその一瞬前。

 

「それは許さん」

 

ただ、一言だった。いつの間にか藍染の隣にいたその男は言葉だけでその動きを止めさせた。

 

「われの楽しみを奪ってくれるな、惣右介。われはお前の邪魔はしておらんぞ?」

 

「やはり、世魅の師というのは君か。メコニル」

 

「驚いているように見えん。だいたい想像ついていたのではないのか?」

 

「驚いているさ」

 

藍染は世魅から手を引く。

 

「君と争うのは時期が早い。今回は私が退くとしよう」

 

「惣右介は話が早くて助かる。まぁ、お前にとってはまだ戦いの最中なわけだし、新たな敵を作らないことは妥当か。そろそろ元柳斎が戦いを終えそうだし、そちらはいいのか?」

 

「そうだね。あの男は確実に殺しておかねばならない。少し時間をもらおう」

 

ワンダーワイスの体が破壊されることを確認してから、藍染は元柳斎のもとに向かった。メコニルは倒れそうな世魅を支えながら、近くの瓦礫に横たえさせる。

 

「まったく。無茶をするのはレヒトも変わらんが、お前もよく似ているな」

 

「……あんたの血筋だろ」

 

「否定できんのが辛い」

 

荒れた息を整える世魅を隣で見ながら、メコニルはポケットから黒いマントの切れ端のような物を取り出した。

 

「馬鹿め。その力は絶対であるが、お前そのものは無敵ではないと言っただろうに」

 

そしてそれを口に入れた。もぐもぐと咀嚼する様子のメコニルを世魅は半目で見ていた。

 

「声の一つくらいかけてやっても良かったんじゃないのか」

 

「ん~、もう話したいことは話した。子供ではないのだから、われがどうこう言わねばならぬ理由もないだろう」

 

けらけらと笑うメコニルであったが、その表情は少し悲しそうだった。

 

「それにしても虚化を会得していたか。レヒトよりも条件が厳しくないとはいえ、しっかり身に着けているあたり、流石だな」

 

「俺としてはあんたに手札がバレていくことのほうが心配だ」

 

「いや、いくらわれでも見ただけで対策できるほど万能ではないぞ?」

 

「それができかねないから嫌なんだろ」

 

「……レヒトといい、お前たちはわれを何だと思っているのだ」

 

目の前で起きている世界の命運を賭けた戦いを尻目に、彼らは自分を隠さずに話し合った。

 




【滅却師大全】

情報(ダーテン)より抜粋。
八番隊第三席、左刑部世魅について。
一般的な死神を評価する斬拳走鬼では、全死神の中で各分野で突出はしていないものの、全てが片手で数えられるレベルの上位に君臨する。
狂幻興凶元の子であること、卍解を会得していることから脅威度が高かったが、藍染惣右介との戦いにおいて、卍解に二段階目があること、虚化が可能であることを確認。
その力の多彩さを確認した陛下は彼を六人目の特記戦力として認定し、その力を『未知数の対応』とすることを決定された。
以下、彼の卍解について、調査結果を示す。確認されたし。

『変幻自在無蔵』
卍解、その第一段階。固体、液体、気体の三態いずれにも変化可能な灰色の塊ようなもの。柔軟性および防御力が特徴的だが、搦手以外にも自身に纏わせることで戦闘力を上昇させることも可能であることを確認。注意されたし。

『変幻自在未形無蔵』
第二段階。一段階まで存在した灰色の塊が爆散することで発動。三態という制限をなくした不可視の攻撃を行う。霊圧そのものであるおかげなのか、崩玉を取り込みかけていた藍染惣右介に傷をつける威力の高さを見せた。加えて、藍染惣右介の斬魄刀『鏡花水月』に対処し、体の制御権を奪っていたことから、鬼道に類する能力を獲得していると考えられる。一段階目よりも負荷が高いのか、長期戦闘は向かない模様。
観測結果からまとめたが、その能力は詳細が不明であるため、他の戦闘方法も存在する可能性がある。より一層の注意をされたし。

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アニメが最高すぎる。1話でも石田ァッ!って叫んでましたw
今更なのですが、アニメに合わせて若干変更しつつ書いております(アニメの続きはよ。特にジェラルド戦が変わるのか気になる)
まだ書き溜めがありますので、週一投稿はしばらく続けられますのでご安心を。

良ければッ!感想をッ!お願いしまっす!
あと、仕事辛いんぬ。社会人って感じていたものよりよっぽど大変ぬ。みなさんも頑張りましょうんぬ。
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