Dye Your Soul Your Color   作:鏡狼 嵐星

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わがみも
こころも
たましいも
すべては
おまえたちのためにある
もじどおりな?



Original side, My spirit is forever with children

「ん?」

 

虚圏内、かつてザエルアポロが使っていた研究室の地下深く。外見こそ、少し前に発生した爆発のせいで荒れ果てたようになっているものの、地下ではいくつかの機器はまだ生きており、メコニルはそれを使って研究をしていた。コポコポと水音が流れる中、彼はメモ代わりに使っていた紙束を見ていたが、何かの違和感を感じ、顔を上げる。

 

「ワン?」

 

クッカプーロは彼の近くで丸まっていたが、メコニルの動きに反応して声を上げた。メコニルは視線を明後日の方向に向けたまま、首を傾げた。

 

「……何か生まれたな。ザエルアポロに似ているが、誰だ? あれか、蜘蛛の子か? あの子の糸は万能に近いが、再現はともかく命の創造までは……。今はなるべくここにいたいのだが仕方ない。少し見に行くか」

 

ボロボロの石でできた椅子と机を片付け、彼は立ち上がる。

 

「クッカプーロ。われは少し出かけてくる。何かがあったら、首輪のそれを噛むのだぞ」

 

「ワン!」

 

クッカプーロの首元にはネックレスのようなものがかけてあり、その先には小さな玉がついていた。

 

「良き良き。では行くか」

 

背後にいくつか並ぶ特殊な水槽の中身を確認し、満足気に頷く。部屋全体に過剰と言えるほどの強固な結界をかけた後、隠蔽用の鬼道もかけてから、彼は黒腔(ガルガンタ)の中に消えた。

 

 

 

 

 

断界。現世と尸魂界を繋ぐ空間。黒腔(ガルガンタ)に浮かぶ通路。二人の剣八が激突することで、時間すら歪んでいるはずのその空間が物理的に歪んでいた。十一番隊の連合軍が去ったことを確認した後、メコニルはそこに入り込んでいた。先程の戦闘の様子も覗き見していた彼は霊圧の残滓を確認してからつぶやいた。

 

「う~む。周囲との融合、か。随分とまぁ、凄まじいな。『反膜(ネガシオン)の糸』の元となった能力とはいえ、ヤバい。この力、色々な方法を考えれば、虚化した死神を量産するとかとんでもないことができるわけだが、そのあたりはどう思う?」

 

「……虚を殲滅することが死神の役目だ。虚化がそれに必要ならば行うが、その必要はない」

 

虚空に飛ばされた質問に答えるように、霞が集まって痣城剣八が姿を表した。

 

狂幻興凶元(きょうげんきょうきょうげん)、もしくはメコニル。私の計画を手伝わないか?」

 

「やらんぞ。というか、分かって聞いているだろう?」

 

「無駄かもしれないが、それだけお前の力に価値があると判断しただけだ。邪魔をした」

 

『キハ、キハハハハ!! 無駄嫌いのあんたが無駄だと思ってても聞きたかった相手! 一応、見たことがある相手とはいえ、改めて見ても異次元だね! ()()()()()()()()()()()()! あの刳屋敷剣八だって侵入できたのに! 左刑部世魅も真の卍解のお陰でアタシたちに気づいていた相当なバケモンだったけど、こいつはこの場所を見ただけでアタシたちのことを、能力を見抜いたんだよ! あんたの意図まで見抜かれてる! こいつがアタシの弱点までたどり着いていたらどうしようもないね!』

 

「黙れ」

 

確認を取った痣城は興味をなくしたと言わんばかりに、再度霞のようになって消えた。メコニルは腕組みし、不満げな表情を隠さなかった。

 

「結論を急ぎすぎだ。もう少しお前の言う無駄を愉しめば良いものを。さて、今代の剣八といい、復活した何者かといい、放って置くと不味いな。ワンチャン、空座町が消えかねん。……世魅は出てこないのか? いたら参戦しているだろうし。よし、なら都合がいい」

 

メコニルは自分を鬼道によって隠形し、その気配、霊圧、存在そのものを紛れさせた。

 

 

 

 

 

空座町で繰り広げられる乱戦。再誕したシエン(ザエルアポロだったもの)によって、黒腔(ガルガンタ)に引きずり込まれた更木剣八を除いた十一番隊は子どもの破面、ピガロたちと戦っている。痣城剣八は虚を殲滅するために義骸と改造した現代兵器を用い、その戦いに参戦する。そんな中、ドン・観音寺は謎の浮遊霊の女性を保護し、少し高台になった空き地へと避難することが出来た。途中、痣城剣八に滅却師十字(クインシー・クロス)を奪われた石田雨竜も参戦し、その場にいる()()が事情を把握した。

 

「なるほど、事情は大体わかった」

 

「ッ! 貴方はメコニルさん!?」

 

「ワッツ!? このボーイはいつの間に!?」

 

驚きながらも一度、彼に遭遇したことある石田はすぐに納得した。もし彼が本当に噂通りの存在なら、この事件を解決するために動いているのだろうと。

 

「先に行っておくが、われはこの件、解決できんぞ」

 

「っ、何故!?」

 

「そもそも言って聞くような奴らではない。あと、ある理由があって、われは今、別のものに霊圧を割いているから()()()()()()()。あの三人を同時には相手できん」

 

石田は自分の感覚を持ってしても、今のメコニルが弱体化しているなどとは微塵も思わなかった。だが、彼の言い分が本当なら、自分たちで彼らに手を出すことは非常に危険なことであると言える。

 

「ヘイ、ボーイ! 何か事情を知っているのかは知らないが、ユーも避難するんだ! バッドなスピリッツたちが彼女を狙っている! 私がどうにかするっとぉ!?」

 

ドン・観音寺の発言を聞き終えずに、メコニルは彼の顔を覗く。あまりにも至近距離であったために、流石のドン・観音寺も驚いて体を逸らす。

 

「ボーイ。私が有名人であると知っているのかな? 安心したまえ、サインは後で書いてあげるとも!」

 

「…………そうか。お前のような子も生まれているのか。これも予想通りか? まったく、()()()()()()()()()()()。われとの仲だろう。少しは教えよ、真面目な奴め」

 

「ワッツ? 何か言ったかね、ボーイ?」

 

「なんでもないぞ。サインは後でもらうとして、われも手伝わせてもらう」

 

何を言ってるのかね!?と驚く観音寺は、続いてメコニルに今の事態を分かっているのかねと説教を始める。外見こそ少年の彼だが、その存在が何者なのかをよく知っているロカ・パラミアはあわあわと慌てて止めようとする。しかし、メコニルは笑顔でそれを制した。

 

「知っているぞ。われはお前が空座防衛隊のリーダーであることを」

 

「ホ、ホワイッ!? 何故それをッ!」

 

「サインを貰うと言ったはずだぞ、カラクラゴールド。われもそこそこ戦えると思うのだが、メンバー入りできないのか?」

 

期待に満ちた眼差しで見つめられるドン・観音寺(みんなのヒーロー)は渋面を作る。

 

「む、むぅ。これは危険な任務なのだ、ボーイ」

 

「心配はいらん。なぁ、ロカよ」

 

「は、はいっ!! ひゃ、百人力です!!」

 

同意を求められたロカは思わず畏まってしまう。

 

「なんだね、ロカ嬢。顔見知りなのか?」

 

「そ、そんな、恐れ多くて……!」

 

「構わん、構わん。で、雨竜は来るのか?」

 

「……行きますよ。取り返さなければならないものもあるからね」

 

話の流れとメンツを見て、無視するわけには行かないと言わんばかりに石田は参加を決意した。

 

「良し! では行くぞ、カラクラプラチナム! カラクラスカイブルー! カラクラグレー! 我が愛車、ジャンヌダルクに乗り込むのだ!」

 

「行くぞ~!」

 

「が、頑張ります!?」

 

「誰がその戦隊ごっこに入ると言ったかな!?」

 

決意したのだが、雨竜は少しだけ後悔した。

 

 

 

 

 

 

 

黒腔(ガルガンタ)内で暴れ回る更木剣八と再誕したシエン。その影響で現世の空には亀裂のような穴が開き、黒い霊子が漏れ出していた。逆に黒腔(ガルガンタ)の中ではひび割れた場所から僅かにだが、現世が見えている。列車にひかれそうになったドン・観音寺一行はメコニルとロカのお陰で、黒腔(ガルガンタ)へと逃げ込んでいた。

 

「まずいな。現世と黒腔(ガルガンタ)の境界が崩壊しかけている。空間凍結一歩手前だな」

 

「空間凍結!?」

 

「尸魂界が行う最終手段だ。空座町ごと歴史から消滅させられかねんぞ」

 

メコニルの言葉を正しく理解できたのは雨竜だけだったが、その言葉が意味することをなんとなく理解したロカも戦慄する。

 

「……私が、どうにかします」

 

状況を好転させるために自分を犠牲にしようとするロカを、観音寺が心からの言葉で止める。虚は人間にとっての悪だと言うロカに、自分のことを簡単に悪だと決めつけるなと嘆く観音寺。観音寺の過去の行いを聞いたロカは道具として定められた自分を、自分は受け入れられるかと問う。道具であっても良い、生きる未知は自分で選ぶのだとそう叫ぶ観音寺の様子を見て、嬉しいと感じるロカ。

 

「ん~~~、素晴らしく良き。悪も正義も意思の一面だ。どう捉えようがお前たちの自由だとも」

 

様子を見守っていたメコニルのその発言を気に、黒腔(ガルガンタ)内に激しい衝撃波が走り抜ける。

 

「おっと、来たぞ」

 

現れた二人の悪鬼は彼らのことを気にすることなく、剣と虚閃(セロ)をぶつけ合う。濃縮し、反発し合う力は周囲の霊子を歪め、空間に亀裂を生み出す。迫る攻撃の余波をメコニルが弾き、ロカが車体を安定させる。そんな時、シエンの身体先にある触手にピガロが囚われていた。

 

「いかん! 子どもたちがバッド・スピリッツに食われかけている! なんとかして助けねば!」

 

「ピガロか!? シエンめ、霊圧を奪っているな!」

 

「カラクラグレーよ、あのボーイ・アンド・ガールズたちと知り合いかね!?」

 

「顔見知りだ! 見逃せんのだろう? 少しばかり気を引いてくるから後は頼むぞ!」

 

シュパッと『ジャンヌ・ダルク』からメコニルが飛び降りる様子をバックミラーで確認した観音寺は、ホワッツ!?と叫んだ。しかし、ロカと雨竜によって彼は大丈夫だと丸め込まれた観音寺は愛車を走らせ続ける。そんな彼らから視線を反らせるように、その必要はないと知りながらも気を配りつつも攻撃を避けながら、メコニルは更木剣八とシエンの前に立つ。

 

「初めましてだな。今代の剣八、そしてシエン」

 

「あぁ?」

 

「……何用かな、メコニル」

 

戦いの邪魔をした謎の存在に最初は苛立った更木だったが、シエンの一言で彼の正体を知り、顔をにやけさせる。

 

「なんだ、われもザエルアポロの研究に手を貸したのだぞ? その成果がどんなものか見る程度のことは許してくれんのか?」

 

「見るだけで済むのかい?」

 

「われもやることがあるのでな。様子を見にきただけだ。……本当だぞ?」

 

メコニルの顔を見て、それが真実であると判断したシエンは更木に向き合う。だが、肝心の更木はメコニルのことが気になってしょうがないようだ。

 

「よう。てめえが世魅の師匠か?」

 

「そうだぞ」

 

「へぇ、じゃあ、強いんだろうな?」

 

「戦わんぞ。目の前に極上のものがいるではないか」

 

「そうだな。だが、俺は敵がいくら増えてくれても構わねえんだぜ?」

 

覇気を増す更木に対して糠に釘だと感じたのか、メコニルは困った様子で、しかし、いい笑顔で言い放つ。

 

「では問おう、剣八」

 

「何をだ?」

 

「われは世魅の獲物なわけだが、それを横取りするのか?」

 

そう問われた剣八は渋面を作り、少し悩んだ後、ケッと唇を尖らせる。

 

「世魅の獲物なら仕方ねえか」

 

その瞬間、ひび割れた現世から軍用ヘリが出現する。有無を言わさず、そこから痣城の霊子によって殺傷力が格段に増した弾丸がマシンガンの如く撃ち込まれる。メコニルはすぐさま『ディメンション・プリザヴェイション』を展開して弾丸を別次元と仕舞い込む。更木もシエンも各々の方法でその弾丸を防いでいく。

 

「やれやれ、防ぐのでも手一杯なのだが」

 

現状、更木とシエンは戦う気のないメコニルには興味を失っている。しかし、痣城はそうではない。手が切れた以上、メコニルは痣城にとっては倒すべき敵であるためだ。

 

(手加減してくれているのが幸運というべきか。いくら隠しているとはいえ、今のわれは尸魂界にいた時よりも霊圧が弱まっているからか、それとも優先的な相手がシエンや更木の剣八であるためか? ……それにしてもこの状況で出し惜しみか。無駄嫌いが仇になったか?)

 

痣城はメコニルを含めて、全員に向けて攻撃を仕掛けている。義骸による多重の完全詠唱鬼道を含めて、威力自体は確かに凄まじいが、この場にいる面々に対しては致命傷を負わせる程度の威力。効率を優先したのであろう攻撃とそれが起こすであろう結果を、メコニルはこの場にいるシエンと更木の異様性を理解しているが故に、放っておくことがとてもまずいことに気づいていた。

 

(さて、お前たち次第だぞ?)

 

あまりに濃い戦いによって、シエンも更木も痣城も彼らの一撃に気付けなかった。大した力を持たない一団の不意打ちをまともに受けてしまったシエンは、道具であるはずのロカが自分に牙を向けたことを理解して吹き上がっていた激情を一気に冷ます。

 

「……君の差し金かい?」

 

「まさか。われのことを覚えているのであれば、われがそんなことをするはずがないと分かるだろう?」

 

初手でメコニルのことを疑ったシエンだったが、虚圏にいた頃の彼は神としての立場に立つだけで、個人の意志を助けるようなことはしたが、強制するような真似はしなかった。そのため、シエンはロカが()()()()()でシエンに逆らったことを理解した。更木との心躍る戦いを中断してでも、彼女を、今生まれた自分自身を量産しかねない原初の海を潰さなければならないと確信した。ひらひらと手のひらを振りながら見送るメコニルに対し、更木は殺気を隠さない。

 

「てめえのせいで獲物が減っちまったじゃねえか」

 

「だから、われのせいではない。というか、そんなに戦いたいなら世魅に頼め。われの名を使えば、どうにか整えてくれるだろう。かつて、われも名前を使われたことがある故な!」

 

あっはっはと笑うメコニル。しかし、更木は彼の提案を真剣に受け止めていた。なにせ世魅との戦いに更木は不満を持っている。戦いを楽しみたいのに、世魅はあくまでも研鑽のためと本気を出さないし、時間制限をつけられている。ちょうど楽しくなってきた瞬間に毎回、制限時間を迎える。今の発言が本当なら、自分の望む戦いができるのだ。

 

「そりゃ良いこと聞いたぜ。一先ず、てめえで我慢するか」

 

「……私も随分、軽く見られたものだ」

 

向き合う二人の剣八。更木が何故か霊圧を跳ね上げた事実と、メコニルが戦うための様子を見せないことから、痣城はメコニルを警戒しながらも、持っている重火器の殆どを剣八に向けて乱射する。

 

「ん、剣八の戦い。これも未知だなぁ。良き良き」

 

メコニルはただそれを嬉しそうに見守った。しかし、番犬に渡したものが反応する気配を察知し、表情を一変させ、その場からその身をくらませた。

 

 

 

 

 

全てが終わり、雨竜は帰宅する途中だった。

 

「おっ~す」

 

十字路を曲がったその眼の前にメコニルがいた。驚き、体を反らしたものの、彼はすぐに体勢を立て直した。

 

「何のようですか」

 

「研究を中断したついでに、これを渡しておこうと思ってな」

 

雨竜はメコニルから一つの銀筒を渡される。受け取る前まではただの銀筒に見えたが、受け取った瞬間、その銀筒がとてつもない異質感を放っていることを理解した。

 

「……これは、なんですか」

 

「銀筒だぞ。知らんわけでもあるまい。まぁ、われの発する霊圧を濃縮した霊子を詰め込んであるんだが」

 

メコニル(虚圏の神)の力が詰め込まれた銀筒。文字通り、神の力を宿した代物だった。

 

「何故そんなものを!?」

 

「石田宗弦との約定でな。お前に渡すことにした」

 

雨竜は自分の祖父であり師匠でもあるその名が、メコニルの口から出たことに目を見開くことになる。

 

「せ、先生とどんな関係なんですか!?」

 

「ん? なに、ちょっと教えを請うた身だ。あと()()()()についての研究仲間でもあったぞ」

 

流石の彼でも、情報量の爆撃に頭が痛くなる。この存在と自分が同門であるということももちろんだが、自分の師匠となにかを研究していたという事実にだ。鼻筋を掴んで考えをまとめているとメコニルはけらけらと笑う。

 

「その銀筒は教えを請うた代価として用意したものだ。宗弦には渡せなかったが、お前に渡したなら満足してくれるだろう。それは文字通り、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。無論、われも例外ではない。といっても、矢にしてしまえば、一本分にしかならんがな」

 

雨竜は思わず、唾を飲み込んだ。自分の手元にあるそれがどれだけ凄まじいものであるのかが、その言葉で証明された。

 

「……もう一度問います。何故こんなものを僕に?」

 

メコニルは笑顔を消して真面目な顔をすると、告げるように言葉を紡いだ。

 

「時が近い。取れる選択肢が多いに越したことはない。それは()()()()()()()()()()

 

ガラリと変わったメコニルの雰囲気に思わず飲まれる。思わず瞬きしたときには既にメコニルは姿を消していた。

 

「何なんだ、一体……」

 

意味がわからなかったが、それでも雨竜はその銀筒をしっかり握りしめ、帰路に戻った。

 

 

 

 

 

「なんだ、元気そうだな」

 

虚夜城(ラスノーチェス)のとある一角、『3ケタ(トレス・シフラス)の巣』。既にハリベルとその従属官(フラシオン)たちが去って半日ほど経った頃。現世につながる黒腔(ガルガンタ)を開き、一部のピガロたちを見送ったロカの元にメコニルは訪れていた。

 

「メ、メコニル様!」

 

「様付けはいらん。お~い、ピガロたち! ここにいる者たちも甘いお菓子を食べたくはないか?」

 

「食べたい!」「甘いの!?」「オイシ、ソウ」

 

「……貴方は誰……?」「誰だろ?」「いっぱい種類ある!」

 

「アイ、ス?」「丸いサクサク!」「coooookieeee」

 

「量はあるぞ、いっぱい食べよ!」

 

黒い球からは出せそうもないような巨大な皿の上にこれでもかと盛られたクッキーとアイスクリーム。服や頬など色んなところを汚しながらそれを食べるピガロたちを満足気に見た後、彼はロカに振り返る。

 

「あの、クッカプーロさんのこと、申し訳ありませんでした」

 

「急いで研究室ごと黒腔(ガルガンタ)内に逃がしたから無事だ。問題はないとも」

 

「……あまり聞くべきではないんですが、あれは……っ!」

 

ロカはメコニルが研究していたものを反膜(ネガシオン)の糸により集めた情報で、その内容を知った。まさしく神と呼ぶに値するその所業に聞くことを迷ったが、黙っている方が不味いと思い、それを口にしようとしたが逆に指を置かれて遮られてしまう。

 

「内緒だぞ?」

 

「は、はい」

 

ピガロのような無邪気な顔で笑うメコニルに、彼女は思わず頷いてしまった。

 

「シエンの方は?」

 

「回収します。私にも責任がありますから」

 

「うむ、それが良い。そうそう、これを渡しておこう」

 

ロカはメコニルから謎の機械(伝令神機のようなもの)を受け取った。

 

「これは、伝令神機、ですか?」

 

「いんや、現世の携帯電話だ。喜助に頼んだ特注品で、ここから現世にも電話をかけられる。われの番号とドン・観音寺の番号も入れておいたからいつでも連絡できるぞ」

 

キンキラキンの色紙にドン・観音寺と書かれたサインを黒い球にしまい込みながら、ロカが口を開いている様を見て、彼はまた笑う。

 

「なに、電話で待ち合わせするくらいはできた方が良いだろう? あ、霊子で充電できるからいつでも使えるが、物理的にはそこまで強くないから気をつけて使うのだぞ!」

 

そう言い放つと、彼はするりと黒腔(ガルガンタ)に消える。静止しようとするロカの声を聞いたのはピガロだけだった。

 




【死神図鑑ゴールデン】

外が騒がしいですね

十一番隊総出みたいだからね~。世魅くんは付いていかなくて良いのかい?

卯ノ花隊長との稽古がありますので

あ~、なるほどね

……京楽隊長、これを

なにこれ。って、遺言書!? 勘弁してよ、縁起でもない!?

どうやら約束が近そうなので

…………あのね。もう少し雰囲気とかさ。もぉ、仕方ない子だよ、君は

ありがとうございます

七緒ちゃんがいない瞬間を狙ってたでしょ。変に気が回せるんだから

では、行ってきます

ちょっと待った。確認させてほしいんだけど、本当に彼に勝てるのかい?

勝ちます。死ぬ気もありません。その程度の覚悟はあります

……参ったね。何も言えないじゃないかい

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アニメ版に沿うように書いているんですけど、今書いてるところ、アニメがまだなんですよねえ。ストックがぁ、無くなってぇ、きたんすよぉ(まだ予定投稿は耐えられるけど)。というか、年末どんなスケジュールになるのかなぁ?場合によっては結構、展開変わるが!?(石田の滅却師完聖体を見つつ)
そんな筆者の悩みを書き記しながら、感想をお待ちしております。
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