Dye Your Soul Your Color   作:鏡狼 嵐星

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挑むことに躊躇など無い
ただあんた以外には


優しさとは
ただ想いを捧げること



Both side, Birth of change/Restart of renew

生まれた時のことは今でもよく覚えている。黒い空間の中で、ほのかに見える師匠の顔。とても嬉しそうで、とても興奮したのか息が荒かった。どうにか落ち着いた師匠は、一部の大地が宙に浮くという特殊な重力関係を持つ叫谷に移動した後、慣れた手つきで子供の姿の俺たちに服を着せ、料理をし、俺達に振る舞った。

師匠が最初に困ったのは名前だった。師匠は黙々と食べる俺と音を立てながら口周りをぐちゃぐちゃにして食べるもう一人を呼び分ける際、左右の方向で呼んでいることをすぐに気にし始めた。しかし、名前は体を表すからしっかり考えねばならぬとあの人はウンウン悩んだ。

あんた、自分の名前を適当に作ってなかったかと思った俺は悪くないはず。

しばらくした後、師匠は死神の流儀及び滅却師の法則に則り、いくつか候補を出し、好きなものを選ぶように言った。加え、理屈ではなく、勘で選ぶようにとも。名前の候補たちには法則性があり、俺の名前の候補には『左』に関連する文字が入っていた。茨木左羅鬼(いばらきさらき)葛ノ葉吊加佐(くずのはつかさ)などが並ぶその中で、『左刑部世魅』という名に惹かれた。隣にいた少年は並べられた名前を読むことができないのか、色々ひっくり返したり、書いてある紙を破ったりし、最後に残った一枚に書いてあった『レヒト・ヴィーダ』がそのまま彼のものとなった。

その後、師匠はこの世界の常識を含め、霊的な知識に関すること、霊圧や霊子の操作方法などの戦闘基礎技術を教えた。尸魂界に来て分かったことだが、師匠の教鞭は他の誰よりも優れたものだった。そのためか、十年程度で俺とレヒトは並の最下級大虚(ギリアン)は相手にならない程度の実力を手に入れることができた。その頃から師匠が有する魂、その桁の違いを認識できるようになり始めた。

師匠から漏れ出す霊圧の質が最下級大虚(ギリアン)のそれとは比べ物にならないぐらい濃く、滑らかで、透き通るようなそれをとても美しいと思った。同時に、それほどの実力と知識を持つあの男に未知を見せるということの難しさを思い知った。強くなればなるほど、差というの名の暗雲立ち込める道が少しずつ晴れていき、その長さが見えていく。ただの努力では全く足りず、研鑽の量を増やし、貪欲に学んでも、差が広がっていくようにしか感じなかった。

そして、師匠にとっての未知とは何かを常に考えていた当時、彼の昔話にあった霊王についてを思い出し、『死』はそれに当てはまるのではないかと考えた。知識や経験では年月の差が分厚すぎて、まともな未知を提供できるとは思えない。ならば俺ができることは未知なる体験を生むしかない。しかし、生半可な体験はすでに経験済みだろう。絶対に体験していないこととして俺の頭で導けた結論はそれだけだった。

だが、それは困難極まりない道のりだ。そう決めた後はなりふりかまってはいられなくなった。今までに行っていた修練の量を限界まであげ、寝る間も惜しんで勉強し、体を壊す寸前に師匠によって止められた。ひたすらに強さを求めていた俺に、師匠は『努力するその姿だけでもわれにとっては十分な未知なのだぞ?』と嬉しそうに笑いながら、俺の頭を撫でた。レヒトにも大分、怒られてしまった。その言葉だけなら、心の底から信じられなかっただろう。だが、その時の師匠の笑みと優しい手に嘘があるとは思えなかった。

その後、師匠をそれだけ魅了する未知とは何なのか知りたいと願うようになり、それが完現術(アナライズ・コンプリヘンド)を生んだ。同じものでも視線を変えれば全く異なるものに見える世界を感じたことで、その()()を心地よく思うようになった。

 

 

 

 

 

 

流魂街の北80区、更木。流血沙汰すら日常の場所の更に外れ。世魅、浮竹、そして更木剣八、草鹿やちる、斑目一角、綾瀬川弓親という尸魂界でも濃いメンツがそこに集まっていた。

 

「……おい、世魅。俺はお前と斬魄刀を使って戦えるって聞いて来たんだぜ? どこまで行く気だ?」

 

「まともな場所でお前とやり合えるわけがないだろ。総隊長に戦闘許可を出してもらうのにどれだけ苦労したと思ってる?」

 

剣八は斬魄刀を用いた戦闘を世魅と行ったことがない。それは彼らの実力の高さゆえに、周囲への影響を鑑みた結果である。しかし、つい先日、メコニルの話をした剣八に対し、世魅から斬魄刀を用いた訓練を用意すると告げたのだ。喜びを感じていた剣八であったが、肝心の戦いに移るまでの時間が長かったため、若干、苛つきが出ていた。世魅はそんな剣八を嗜める。彼にも少しばかり苛立ちが見える。

 

「まぁ、そう言うな。周囲の保全と俺がお目付役として出ることでどうにか許しが出たんだ。更木ももう少しだけ我慢してくれ」

 

浮竹は彼らを落ち着かせるために、間に入りながら歩く。十三番隊を海燕に任せられるようになり、隊長格を引退をした彼だが、自由に動けるようになったことを活かして、救急隊員として活動を続けていた。そして、救護隊員としての任務兼お目付け役として、世魅と剣八の実践訓練を任されることになったのだが、その表情に嫌な気持ちは見えない。そして、およそ半刻ののち、枯れ切った大地の上で世魅と剣八が対面する。浮竹を含む他の面々は、彼らが指先ほどにしか見えないほどの遠く離れた場所で待機していた。

 

「……まさか隊長と世魅さんが全力で戦うシーンを見れるなんてな。運がいいぜ」

 

「よみよみと戦えること、剣ちゃんすっごく楽しみにしてたよ! 剣ちゃんが言うからこんなに遠くで見てるけど、もっと近くで見たい!」

 

「無茶です、副隊長! 世魅さんだって巻き込まない自信はないそうですから!」

 

十一番隊の面々の様子がいつも通りであることを確認しながら、浮竹は遠くにいる彼らがやりすぎないかを心配していた。

 

(それなりには回道の腕を持っているつもりだが……。それでも大怪我するなよ、世魅)

 

剣八はすでに抜刀し、眼帯は外していないものの、霊圧はすでに空間を揺らしている。世魅はそれをスルーして、懐から取り出した箱のようなものを空へと投げる。その箱は展開すると同時に、周囲に結界のようなものを張る。

 

「あ? なんだこりゃ?」

 

「マユリと共同開発した、特殊な霊圧遮断機構だ。俺達の戦いでどれだけ被害が抑えられるのか、これの実験も兼ねている。お前にとってはあまり関係のないものだ、気にするな」

 

世魅は腰から斬魄刀を抜き、前に差し出すように剣を構える。

 

「始めようか」

 

「やっとか! 待ちくたびれたぜ!」

 

言うが否や、斬魄刀を振りかぶり、剣八が世魅へと斬りかかる。

 

「卍解、変幻自在無蔵」

 

世魅もまた剣八が動く前に卍解し、伸ばした灰色の触腕でその剣を受け止める。

 

「知ってんだぜ、お前の卍解は二段階あるんだろ!? さっさと出しやがれ!」

 

「少し体を温めてからな」

 

刀が振り回されるたび、地面がえぐり取られていく最中、銀色の液体とボロボロの剣がぶつかり合い、甲高い金属音が響き渡る。変幻自在無蔵は普段より大幅に小さくなっており、触腕の数も少ない。しかし、凝縮した卍解によって、触腕の動きが素早く、洗練されたものとなっており、剣八の一撃を防げていた。そんな中、世魅はこの数回の剣戟の間に欲しい情報を集めていた。

 

(間違いない。数撃の間に実力が変わっている。虚圏の一件は白哉から聞いてはいたが、鍛錬を積み続けていた白哉と戦いはあれどそれを楽しむだけの剣八に()()()()が開いていないことは本当らしい。始解はできず、鬼道も使わず、歩法もデタラメ。その強さはただの本能。だが、その本能ただ一つでこの力を得ているという事実。もしこの男が()()()()()()()()()()()()()()()()()()、より高みを目指せる壁になる)

 

触腕の先を刃のように変化させ、剣八に突き立てる。剣八はそれを嬉しそうに剣で受け止めながら、斬り飛ばしていく。世魅は分かたれた刃の部分を分裂させ、棘のように伸ばして射出するが、それも剣を振った際の風圧に吹き飛ばされる。

 

「ははっ、たまんねえな! お前と戦っているときは飽きが来ねえ!」

 

(そう安々と斬れるような硬さでも、剣圧で弾けるような威力でもないはずなんだがな)

 

世魅は剣八が徐々にその実力を変化させていることを認識し、その変化に合わせて変幻自在無蔵で使える手札を出していく。世魅に傷がつくことはなく、剣八は傷だらけだと言うのに、世魅の表情は優れず、剣八は笑顔を浮かべている。

 

「あぁ? どうした、世魅。まだ始まったばかりだぜ?」

 

「……そうだな。そのとおりだ」

 

世魅は卍解を再度纏め直す。その様子を見た剣八は、次に彼がどうするのかを察し、より楽しそうな笑みを浮かべた。

 

「変幻自在未形無蔵」

 

弾け飛んだ灰色の液体を視認した直後、剣八は自分の勘に従って剣を振り下ろす。剣八は剣に何かがあたったことを認識したが、その瞬間に巨大な衝撃をその身に受けて吹き飛び、地面に寝転がった。

 

「ハッ、ハッハッハァッ!! なんだそりゃ、訳わかんねえ能力だな!? だが、それがお前の本当の力か!?」

 

「お前の場合、体で受けた方が早いだろ?」

 

「そうだなッ!!」

 

剣八が飛び起きて突撃しようとするが、頭に衝撃を受け、また地面に再度叩きつけられる。剣を振り回すが、何かに当たった感触はない。

 

(なんだ、何にやられた?体が痛えから、とんでもねえ一撃を喰らったってことはわかる。だが、それが見えねえし、聞こえもしねえ)

 

世魅が拳を構えて突き出す姿を確認してから、自分の姿勢も気にせず、無理やり剣を振るう。僅かに何かに掠った感触があるが、また吹き飛ばされて宙を舞う。

 

(見えねえ力か。ただそこにあるんなら斬れるな。問題は世魅が操ってんだから、そう簡単には斬らせてくれねえってことだ。めんどくせえが、周り全部斬るか)

 

吹き飛ばされた先で剣八が世魅の卍解を防ぐために、周囲丸ごと斬ろうと刀を構えた瞬間、両手両足が動かなくなる。

 

「あ?」

 

それは世魅が手を合わせたことで、その場に固定されたためだった。剣八はそれを膂力だけで無理やり破壊しようとするが、その前に世魅が片手を振り上げ、手を握ると、剣八の真上に巨大な霊圧の塊が出現する。剣八は頭突きで剣を握る右手の固定された部分を破壊し、右手だけを自由にして剣を構えたその時、霊圧の塊がそれごと叩き潰すように落下する。

 

「……頑丈だな。並の大虚(メノスグランデ)なら紙くらい薄く潰せるんだが」

 

膨れ上がった剣八の霊圧によって、世魅の落とした霊圧の塊がひび割れていく。そこから傷だらけの剣八が眼帯が外れた状態で現れる。その顔に浮かぶ笑顔に世魅はため息をつく。

 

「まだまともに斬りかかってないのに、楽しそうだな」

 

「当たり前だ!てめえと本気で殺り合えるってだけで嬉しくてたまんねえんだぜ!?」

 

距離が開いているにも関わらず、剣八がその剣を振り下ろす。斬撃が飛び出しているわけではなく、ただ空気を切り裂いただけ。だが、世魅の一撃を受けたことで跳ね上がった霊圧により、嵐のように風が巻き起こる。

 

「……ならもっと楽しくしてやろうか」

 

その光景を見た世魅が両手を重ね、人差し指と中指だけを伸ばしたまま握り込む。すると、彼の周りから炎が噴き出て、地面の上を走る。

 

「偽型:流刃若火」

 

次に薬指と小指を下に伸ばしながら、人差し指と中指を握るように組み替える。すると、空の上に水分が集まり、巨大な水球を生み出す。

 

「偽型:皇鮫后(ティブロン)

 

総隊長の始解に加えて、十刃の帰刃の再現。もともと剣八は一角から、世魅の卍解が他人の卍解を再現可能であると言う話を聞いていたが、鬼道系の再現ができることは知らなかった。

 

「はっ!お前、鬼道系の能力は再現できねぇんじゃねえのか?」

 

「それは『変幻自在無蔵』の話だろ」

 

剣八がまだ少し先にいる世魅に突撃する。勘に従いながら剣を振り回し、周囲から発生する剣八を押し留めようとする力を斬り抜いていく。世魅は想定通りと言わんばかりに、再現した流刃若火の炎を宙に浮かべて連射する。対して、剣八は多少の被弾は気にすることなく、飛んでくる炎を斬り飛ばしていく。

 

(空間に存在する霊圧そのものも、濃縮した炎も斬れる対象か!滅茶苦茶なやつめ!)

 

皇鮫后(ティブロン)の模倣によって作り出された水を蛇のように変化させ、流刃若火の炎に巻きつける。炎と水はそれぞれが混ざることはないが、一本の槍のように独立して剣八の下へ飛ぶ。剣八はその攻撃も難なく斬り裂いてしまうが、その直後、分かれていた水と炎が混ざり合い、巨大な水蒸気爆発を発生させる。遠くにいる浮竹たちですらその爆風の強さに顔を覆わざるを得ないほどの威力で、やちるは宙に浮いてしまい、弓親に掴まれながら笑っていた。

 

「二度目だが、頑丈にもほどがあるな。なんで火傷程度で済んでいるんだ?」

 

球体のようなにかにその体を守られた世魅の先には、着ていた死覇装が殆ど焼け焦げ落ちていながら、体全身が赤黒くなっていながら、その目から闘志を失わずに立ち続けている剣八がいる。世魅は久しく感じていなかった恐怖を自覚し始めていた。

 

「……ゲホッ、熱いな。だが、これで身体が随分温まった。続きをやろうぜ」

 

世魅は認識を改めた。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()だと。世魅は自分の顔の上に手を添える。

 

「死ぬなよ、剣八」

 

そう呟いた世魅はその顔に虚の仮面をつける。跳ね上がる霊圧の重さ、加えられる禍々しさが浮竹たちにさえ背筋に冷たいものを感じさせる。

 

「ようやく本気か!いくぜぇっ!」

 

剣八が喜びの雄叫びを上げると同時に振り上げられた剣が空間に存在する何かに衝突する。甲高い音が鳴り響き、今まで斬れていたその何かに剣が弾かれたことで体勢を崩した剣八の体に、一瞬で打撃痕のようなものが大量に浮かび上がり、世魅がいる方とは真逆の方へと弾き飛ばされる。血を吐きながらもすぐさま体勢を立て直そうとする剣八だったが、四方八方から押さえ込まれる力によって、地面に押しつけられる。そして、先ほどと同じように、体中あらゆる部位に打撃を与えられていく。仮面をつける前とつけた後では、その鋭利さが段違いだった。

 

(……やべえ、な。……意識が……朦朧として、きやがった……)

 

現状、剣八は世魅に一撃すら与えられていない。それは世魅が全く油断しておらず、剣八の体が行なっている実力の調整具合を把握しているためなのだが、それを剣八は自覚していない。だが、模造刀とはいえ、彼とは長く刀を合わせてきたせいか、剣八はその実力に疑問は持っていなかった。

 

(くそ……、世魅の攻撃にゃ、隙がねえ。……ただ剣を振るだけじゃ……、軽く対処され、ちまう。……足りねえ。今の俺の剣は、あいつに届かねえ。……どうすりゃいい?)

 

斬れないということがつまらない。それが大前提としてあるが、今の場合は自分に力が足りていないが故に斬れないのだから、世魅に文句をつけようはない。

 

(世魅と斬り合えりゃ、楽しいんだろうなぁ……! 力が、力が欲しい! あいつと、世魅と斬り合いてぇっ!)

 

願う、願う、願う。心の底から、魂の内から。

 

(…………け……………ち)

 

(あ? 何かが、聞こえる?)

 

(…………ざら…………け…………ぱち)

 

(なんだ? だれだ?)

 

(…………まだ……………ない。………すこ…………だけ……………)

 

どこからか聞こえたその声に耳を傾けようとしたその時、自身の内から力が漲る感触を得た剣八は即座に剣を振るう。爆音と共に、空気が裂け、近くの空間が破裂するように軽くなる。僅かにブレたように見える斬魄刀を気にせず、剣八は世魅を見据える。突然の出来事に対し、流石に動揺があるのか、技の反動か、彼は姿勢を崩していた。その隙を逃す剣八ではない。全力の瞬歩と全力の振り下ろし。何度も何かを破壊する音が響き渡り、繰り出された一線は世魅の身体に巨大な傷をつけ、血しぶきをあげさせた。

 

「ガッ!!」

 

一瞬だけ巨大化したように見えた剣八の斬魄刀を、変幻自在未形無蔵によって作られた幾層もの斥力の盾で受け止めた世魅だったが、防ぎ切ることが出来ず、吹き飛ばされた。張られた結界を突き破り、地面を転がりながら、彼は途切れゆく意識の中でどうにか自分を卍解で受け止めて勢いを殺し切り、地面に横たわる。剣八は振りかぶった勢いで地面にめり込み、起き上がらない。

 

「…………よ、世魅ッ!!」

 

「…………たいちょおっ!!」

 

結界が割れた衝撃で爆散して砕け散ったことにより、ほぼ同じタイミングで正気を取り戻した浮竹と一角は安否を確認するために飛び出した。弓親はその数秒後に手を掴んでいた副隊長を連れて行こうとするが、彼女は動かない。

 

「すごいね、よみよみ。もう少しだったよ」

 

「副隊長、副隊長! いかなくて良いんですか!?」

 

「……そうだね! 行かなきゃ! けんちゃ~ん、よみよみ~、すごかったね~!」

 

走り出す少女のその姿には年相応の嬉しさがあった。

 

 

 

 

 

見えざる帝国(ヴァンデンライヒ)、地下に存在する闘技場。本来、虚などを捕らえた後に戦闘訓練として用いられる場所であり、普段はグレミィ・トゥミューの遊び場として使われている場所である。

 

「じゃ、始めよっか」

 

レヒトはリラックスしたような余裕の笑みを浮かべながら、グレミィと対面する。

 

「……好きにしたら?」

 

グレミィの言葉を聞くや否や、レヒトが飛廉脚でグレミィに近づいて蹴りを放つ。ただし、すでにそこにはグレミィはいない。すでに距離を取ったグレミィの周りにはマシンガンを含めた重火器が大量に浮いており、レヒトが蹴っている身体の状態に対して発砲される。しかし、銃弾はレヒトが手を振ることで生まれた風が弾き飛ばす。

 

「僕の『夢想家(The Visonary)』はこの世で一番強い能力だと思っているけど、君の『更新(The Renew)』も随分と卑怯な能力だよね。誰のどんな能力でも一時的に使えたり、攻撃も防御も何でもできる。僕の力によく似ていると思うよ」

 

「そうだね!」

 

レヒトがいた場所にいきなり溶岩が出現し、彼の周りを覆う。レヒトは周囲の霊子を集め、棒状に形成すると、溶岩に突き刺して振る。すると、溶岩が棒の先にまとまって、球体のようになって固定された。次にレヒトは突如水の中に閉じ込められる。溶岩と反応したそれは一気に膨れ上がり、水蒸気となって爆発した。昇る白煙を見据えながら、グレミィはその白煙が極限にまで凝縮された姿を()()()()。刹那、その場にあった白煙が全て、ビー玉のようなたまに押し固められ、転がった。

 

「ふう、危なかった!」

 

「危なかったで済ませるあたり、君も君だよね」

 

グレミィの後ろに降り立つレヒトに、彼は文句を述べた。レヒトは不満そうな顔をして反論を始める。

 

「避けなきゃ死んじゃうじゃん!」

 

「そもそも避けられないって言ってるんだけど?」

 

グレミィはレヒトと自分との常識の差異を埋めることをほぼ諦めかけていた。レヒトのある意味の常識の無さを貶すが、レヒトは不満そうにしていた顔を不思議そうな顔に変え、馬鹿にされたことがわからないようで、グレミィは呆れた。しかし、その態度にグレミィは不快感を感じることはなかった。

 

「最早、お前では相手にならんようだな。グレミィ!」

 

「耳元で叫ばないでくれるか、ジェラルド。頭に響く」

 

その時、闘技場の中に2つの気配が現れる。西洋にあったとされる帝国の戦士のような装束を纏った男と左目のバツ印を付けた軍服をつけた男。ユーハバッハ直下、神赦親衛隊(シュッツシュッタフェル)のジェラルド・ヴァルキリーとリジェ・バロだった。

 

「……神赦親衛隊(シュッツシュッタフェル)がわざわざこんなところに何のよう?」

 

「僕だって好き好んでこんな場所に来るわけないだろう。陛下からの命令だよ」

 

「へぇ、陛下が? 陛下はレヒトのこと、嫌いなんじゃないの?」

 

「陛下がそんなくだらないことで対局を見誤るものか。それにしても……」

 

「陛下の言ったとおりだったな!」

 

グレミィがリジェに突っかかる中、ウワハハッと笑うジェラルド。その光景を目にしているレヒトは口を開かずに、ただ彼らを見つめている。

 

「ん? レヒトがやけにおとなしいな!」

 

「一切の星十字騎士団(シュテルンリッター)との交流を禁ずる、ただしグレミィのみ訓練をする際の交流を許す。陛下の言葉を守っていると言いたいんだろうが、先程の会話はその範疇を超えている。これも報告だな」

 

リジェがレヒトを睨むと、レヒトは何のことですかと言わんばかりに笑顔で首をかしげる。

 

「それで、陛下の命令ってなに?」

 

「グレミィ・トゥミュー。君はレヒトの訓練相手として役不足と判断された。牢屋に戻れ」

 

その言葉を聞いたグレミィがその目から光を失い、僅かながら笑みを浮かべる。

 

「…………へぇ、逆に聞くんだけど、君にレヒトの相手が務まるの? ほぼ初見のレヒトに『万物貫通(The X-axis)』を対応されたくせに?」

 

「ウワハハハ! 痛いところを疲れたな、リジェ!」

 

引き続き、笑い続けるジェラルドを気にせず、リジェは口を開く。

 

「……レヒトの相手はジェラルドだ。そして、君がその役目から降ろされた理由は単純だ。君の力が強力だということは間違いない。だが、今の君は()()()()()()()()()姿()が想像できないと陛下が判断したんだ。それでは意味がない」

 

少し目を見開きつつも、納得してしまったグレミィは彼らから視線をずらす。

 

「そういうことだ! お前の相手は我だ、レヒトッ!!」

 

剣を抜いたジェラルドが、レヒトへと飛びかかる。レヒトも霊子兵装を用いて剣を生成すると、ジェラルドの剣を受け止める。

 

「我が名はジェラルド・ヴァルキリーィイ!!! 我は最大・最強・最速の滅却師!! 我は全てを与えられた戦士!!」

 

ジェラルドの膂力で振られた剣を受け止めるのではなく、剣を合わせて受け流すように動き、直撃を避ける。

 

「貴様が本当にメコニルとやらを殺せるのかどうか! 我が貴様を確かめてやろうッ!!」

 

ジェラルドの剣がレヒトの剣に接触したその瞬間、レヒトの霊子の剣が弾け飛ぶ。レヒト自身は一切手加減しているわけでも手を抜いていたわけでもないが、その〝奇跡〟のような現象を意に介さず、即座に新しく同じような剣を生成して、再度振るわれた一撃を受け止める。

 

「ほう! よく受け止めた!」

 

「…………」

 

「何も反応がないというのは実につまらんな!!」

 

ジェラルドとレヒトの剣戟を横から見ているリジェとグレミィは、違和感を感じていた。

 

(レヒト、明らかに防いでばかりじゃないか。まぁ、脳筋戦士(ジェラルド)とはいえ、そいつの能力も厄介なわけだし、仕方がないのかな)

 

グレミィが勝手に納得していると、リジェはディアグラムの銃口をレヒトに向けて構える。

 

「何してるのさ?」

 

「君も気づいているだろう。レヒトは手を抜いている。それでは意味がない」

 

そして、リジェは銃口をずらし、()()()()()()()()銃弾を放った。

 

「……っ!」

 

グレミィの『夢想家(The Visonary)』は想像を現実にする力。誰もが夢に見るほど、万能な力。ただし、想像力が豊かでなければ使えない。そして、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。リジェが銃を構えて弾丸を放つまでの速度は、グレミィがそれを認識して防ぐ手段を考えて実行するまでの速さを僅かに超えていた。

 

「……ゲホッ」

 

グレミィは銃弾が打ち出された瞬間、その場から突き飛ばされた。突き飛ばされたすぐ後に振り返った時、レヒトの喉元付近に大穴が空いている姿が目に映った。

 

「馬鹿だろ、きみはっ!!」

 

グレミィはすぐさま、レヒトの元通りの姿を想像する。喉元の傷が埋まったことを確認したレヒトは笑顔を取り戻す。

 

「ありがとう、グレミィ」

 

「ぼくの想像は間に合った! 傷を負ったとしても回復できる! なんで庇った!?」

 

「庇いたかったから。痛いのは誰だって嫌でしょ?」

 

理解し難い発言だった。そもそも、さっきの傷は痛いの範疇ですらない。レヒトの『更新(The Renew)』は『夢想家(The Visonary)』ほどではないにしろ、非常に応用力がある。ただし、想像するだけでいいグレミィに対し、彼の場合は触れていなければ発動しない。つまり、グレミィを救うことを優先した結果、彼は自分が死んでいたかもしれないのだ。

 

「レヒト、本気を出せ」

 

「……本気です」

 

「違うな。君の本質は怒ったあの姿だ。……そうだな。数人なら聖兵(ゾルダート)()()()()()()()()と陛下から許可をいただいている。出さないというのなら、その死体を持ってこようか?」

 

リジェの発言を聞いたレヒトから一気に濃密な霊圧が噴き出る。表情から緩やかなものは消え失せ、瞳から怒気が伺える。

 

「いい表情だッ!!」

 

ジェラルドが再度、斬りかかる。レヒトは隣にいるグレミィを庇うような位置に移動しながら、右手首にさげていた滅却師十字(クインシー・クロス)を取り出す。

 

「『神の学習(アルマトロン)』」

 

 

 

 

 

 

 

 

初めて感じた景色のことはあんまり覚えてない。先生と世魅が何かを話していたことだけが記憶の中にある。僕は滅却師の性質と虚の関係上、思念樹と欠魂(ブランク)のうち、欠魂(ブランク)を多く与えられたらしく、思念樹の持つ人の記憶を多く受け継いだ世魅よりも子供らしく、成長に遅れが出ていた。でも、子供の僕と世魅は優しく接してくれた。先生という親と、世魅という兄のようなもう一人の自分と過ごすことが楽しくて幸せだったことは明確に記憶に残っている。でも、どんどん前に進んでいく世魅の姿を見て、置いていかれそうでとても怖くて、一人になったような気がしてとても寂しかった。

そんな時、世魅は先生を殺すことを決意したと彼から言われた時はどうしたらいいのかわからなくなった。世魅は先生を殺すこと以上の未知はないとその一点張りで、それまでの無茶を超えてより無茶をするようになった。そんな姿を見て何もできなくなっていた自分に、先生は『したいことをすれば良い。その全てを肯定しよう』と言った。思わず、『自分の子をと殺し合うことを肯定して良いんですか!?』と反論してしまった。先生は少し考えてから、『何が正しいのかもお前たちが決めること。二度目だが、われはお前たちの全てを肯定する』と再度、僕に言った。

その言葉にとても言いようのない、重さを感じた。その真剣な表情を見て、僕は考えた。先生に応えてあげたくて、でも家族を失うのも怖くて、家族がいなくなるのは嫌だと返す自分に、『ならば愛したいものを増やせ。代わりを作れと言っているのではないぞ。われが世界を愛するように、この世界に存在する命を愛するように、数も大きさも問わん。家族愛も兄弟愛も友愛も恋愛もある。どれでも構わん。人は、世界は、魂はうつろいゆくものだ。われに固執して、お前の望む道を選ばないような真似はするなよ?』と諭してくれた。

愛する、とはどういうことだろう。先生や世魅に感じていることだと思う。それは多分、家族愛や兄弟愛なんだろう。友愛は知らない。恋愛はしたことがない。それは今、感じているような暖かいものなのだろうか。僕は先生や世魅が与えてくれる暖かさがずっと続くものだと思っていたから、それがいつか消えるものだと言われたことにショックを受けた。この時間がずっと続けばいいとそう思っていた。

……したいことをしていいのなら、僕はこの暖かいものをずっと手にしていたい。そのためなら、あなたに勝とう。世魅みたいにどんな未知をあなたに見せられるのか、まだわからないけれど。そう思うほどにそれが大切なものだと思うから。僕は変わりたくないと感じているけれども。あなたに未知を見せられるよう、僕は自分を新しくしていこうと、決意した。

仲間が欲しい、友達を作りたい、あなたたちに家族でいて欲しい、もっと暖かいものが欲しい。そう願った時、僕は不思議なものが見えるようになった。二人の感情が、思いが、考えが色や形で見えるようになった。その僕の目を見た先生は僕が完現術に目覚めたことを教えてくれた。今思えば、この力に目覚めたからこそ、この力で先生と世魅を見たからこそ、自分がどれだけ苦しくても、暖かいこの想いがもっと欲しいと考えるようになった気がする。

 

 

 

 

 

 

 

 

彼のそれは数多の立方体だった。彼の滅却師完聖体(クインシー・フォルシュテンディッヒ)は翼も、光輪(ハイリゲンシャイン)も全てが小さな灰色の立方体が数え切れないほど集まって構成されていた。メコニルのように鳥が持つような翼ではないが、他の聖章騎士(ヴェルトリッヒ)たちの滅却師完聖体(クインシー・フォルシュテンディッヒ)に比べると、幾何学的な形は似ているが、圧倒的な異質感が漂う。

 

「ゲイズ・シナスタジア」

 

()()()()が放たれると、彼の虹彩が銀色に煌めく。瞳孔が縦方向に伸び、角膜の端まで届いた特殊な形状となる。その目はジェラルドを見つめると、その瞳孔が小さくなる。

 

「気持ち悪い目だなッ!」

 

突撃したままの状態でレヒトのすぐ前まで来たジェラルドは、グレミィのことを気にすることなく、斜め上から剣を振り下ろす。しかし、振るわれた立方体による翼に剣が弾かれてしまう。

 

「何ッ!?」

 

その隙をついて、レヒトはグレミィを抱えて、リジェとジェラルドから距離をとった。

 

「……巻き込んでごめんね」

 

「君の答えは想像できたけど、言ってほしくなかったね」

 

不満そうなグレミィにレヒトはいつもよりもぎこちなく笑うと、先ほどと同じような瞬間移動でジェラルドとリジェの前に戻ってくる。

 

「飛廉脚ではないな!」

 

「……いや、飛廉脚に何かを加えている。動きは読みにくいが、読めないわけではなさそうだ」

 

「手を出すなよ、リジェ! 我の相手としてふさわしい霊圧だ! 貴様の滅却師完聖体(クインシー・フォルシュテンディッヒ)の実力を試してやろう!」

 

意気揚々とレヒトの前に歩いてくるジェラルドを見てから、レヒトは自身の翼を広げる。

 

「何も見えない。貴方達には色も形も無い。……本当に人形のよう。陛下はそこまで誰かを信用することもできないのかな」

 

レヒトが剣を構えるジェラルドに向けて指を向ける。その瞬間、ジェラルドの体の動きが止まる。違和感を感じたのか、走り出そうとするがなにかに身体を巻き取られてそれを封じられる。

 

「うおおっ、何だこれはッ!!」

 

ジェラルドが剣を振り回すが、斬った感触が彼にはない。次に地面がジェラルドの身体を這い上がるようにしてその動きをさらに阻害していく。レヒトの聖文字(シュリフト)は触れることでしかその能力が発動しない。だが、滅却師完聖体(クインシー・フォルシュテンディッヒ)となったが故に条件が多少変わっているようだ。

 

「ええい、汚らしいッ!!」

 

ジェラルドは剣を地面に振り下ろし、地面の一部ごと無理やり一歩を踏み出す。しかし、踏み出した傍から地面が彼の肉体に手を伸ばしていく。その力をうざそうに捌く様子を見たリジェがディアグラムを構え直す。

 

「ジェラルドにダメージを与えないつもりか。どこまでも無駄なことを」

 

バンバンと2回の銃声とともに、ジェラルドの身体に穴が開く。同時にリジェの3倍はあろうかという巨体となったジェラルドが現れた。

 

「手を出すなっと言ったはずだぞ!」

 

「レヒトの実力を確かめるのが陛下の命令だ」

 

仕方あるまいとジェラルドはその巨体のまま、レヒトを見据える。身体とともに巨大化した『希望の剣(ホーフヌング)』を振り下ろす。レヒトは手をおろして、うつむきながらつぶやいた。

 

「『似せ字繋ぎ(ナーハァムング・ヴァーヴィンデン)貴方が抱く奇跡(The Miracle of Yourself)』」

 

希望の剣(ホーフヌング)』がレヒトに向けて振り下ろされる。彼はそのまま抵抗することなく潰されてしまったので、ジェラルドは疑問に思い、剣を戻そうとしたその時。翼も含め、ジェラルドとほぼ同じ大きさとなったレヒトが出現する。その体にはジェラルドと同じような甲冑が身についている。そして、レヒトがふわりと浮き、その両翼を円のようにつなげ、光り輝かせる。彼の手にある霊子の剣が徐々に色がついていき、『希望の剣(ホーフヌング)』にそっくりな外見となる。

 

「貴方の奇跡は〝霊王の心臓〟によるもの。(L)イドさんの力を使っても、真似をできるのはここまで」

 

「ウワハハハッ! 我の猿真似か!? 面白い!!」

 

(なるほど。レヒトの滅却師完聖体(クインシー・フォルシュテンディッヒ)は発した霊子に触れれば、能力が発動するのか。思っているより厄介だな)

 

巨体の姿で対峙する二人の男。緊張が張り詰め、お互いに斬りかかる直前。

 

「そこまでだ」

 

闘技場の入口に現れたユーハバッハがそれを止めたことで、両者とも全ての能力を解き、頭を下げた。

 

「陛下、言葉を挟む無礼をお許しください」

 

「許す」

 

「虚化を使っていない以上、レヒトはまだ本気を出していません。それを確認する必要があるかと」

 

リジェの言葉を聞いたユーハバッハはレヒトに視線を向ける。

 

「……レヒトよ、言いたいことは分かるな?」

 

「はい。ですが、先生に調整されたとはいえ、滅却師完聖体(クインシー・フォルシュテンディッヒ)と虚化を同時に使うことはまだ安定しません。神赦親衛隊(シュッツシュッタフェル)を相手に戦うには、もう少し時間をください」

 

レヒトは顔を上げ、ユーハバッハの目を見てそれを伝えた。対して、その顔を見たユーハバッハは確信を持って告げる。

 

「嘘はないが、真実もないな」

 

「どういう意味でしょうか?」

 

「貴様の役割は変わらん。今後はジェラルドと戦え。グレミィは再度、結界の中に入れる」

 

「……分かりました」

 

答えはしたものの、残念そうな声音のレヒトを無視し、ユーハバッハは神赦親衛隊(シュッツシュッタフェル)の二人を連れて闘技場を去った。残ったレヒトはグレミィの元に、先ほどとは違い、飛廉脚で移動した。レヒトの表情が暗いのを見て、グレミィは先んじて自分の本音を伝えた。

 

「謝らないでよ?」

 

ビクッと反応した彼に、呆れながらグレミィは続ける。

 

「君が僕を少しだけでも外に出したかったのは分かるよ。想像するまでもなくね」

 

「……えっと」

 

「でも、そろそろ君は自分のことだけを考える時期なんじゃない?」

 

グレミィの言葉を受け止め、少し困った顔になった彼を見届けて、グレミィもこの場所を去った。レヒトはその姿を見送り、俯く。

 

「……やっぱり短いよ。もっとみんなと一緒にいたい。いたかった。いたかったよっ……!」

 

レヒトは誰もいなくなった闘技場の壁にもたれかかる。

 

「世魅、もう少しで時間だよ。頑張ろう。先生、あと少しです。もう少しだけ待ってください」

 

その状態で座り込み、空を見上げる。天井があるため、黒い空は見えない。




【滅却師大全】

今回もわれ一人だ。最近、1人の割合多くないか? 悲しいぞ!

では、レヒトの完現術である『ゲイズ・シナスタジア』について答えよう。

共感覚というものを知っているか? 音を聞いた時に色を感じる感性豊かな子が稀にいるだろう。あれだ。

元々、感情豊かな子だったこと。寂しがり屋であったこと。そして、関わる相手がわれと世魅くらいしかおらず、その真意を知りたがったからこそ後天的に芽生えた力。

未知の感情、いいや、未知の信号に対してこれは働く。あの子がこの能力で見たものの感情や考えを、色や形として見ることができる。ただ心を読む、なんてとんでもない芸当ではない。あくまでも表層意識しか読めん。

世魅のものとは違い、見たいと思ったら発動するほどお手軽なようでな。最初の頃は扱いにひどく困っていたぞ。

それにしても、二人とも、未知なるものに対して発動することになるとは。われの影響だと思いたいな! 後は二人とも、あくまでも未知なるものを認識するだけの力であって、ただその内容を知る能力ではないことが、われはとても嬉しいのだ。

……そういえば、現世で一護が死神の力を取り戻したらしい。いくら研究で忙しかったとはいえ、見に行くべきだったなぁ。喜助も知らせてくれてもよいだろうに。まぁ、配慮してくれたと考えよう

なにせ、もう約束のときは近いのだからな
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次回、千年血戦篇。
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