けいおんにもう一人部員がいたら   作:アキゾノ

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最近寒くなってきました。
風邪には気をつけてください!


第16話

Side 千乃

 

 

テストが終わり、唯さんの補習も無事に終わり、さあ練習だと思った矢先に唯さんがギターのコードを忘れてしまいました。

まああれだけ集中して勉強していたので、忘れてしまっても無理はないのかぁ・・・とか思っていたら。

 

 

「合宿をします!」

 

 

と澪さんが言いました。

 

 

「え?合宿!?」

 

 

「マジで!?海か!それとも山か!?」

 

 

「あらあら!」

 

 

「水着買わないと!」

 

 

 

「合宿・・・ですか?」

 

 

「言っとくが遊びに行くんじゃないからな・・・バンドの強化合宿!朝から晩までみっちりと練習するの!」

 

 

澪さんがビシッと言い切ります。

けれど・・・。

 

 

「水着もそうだけど新しい服も買わないとな!」

 

 

「私、そんなにお金残ってないよ~」

 

 

「聞けーっ!」

 

 

唯さんと律さんはもう遊びに行く気まんまんです。

でも、なんでいきなり合宿なんでしょうか・・・?

 

 

「あ、あああの・・・」

 

 

「どうしたの千乃ちゃん?」

 

 

「いえ、えっと、なんで合宿を・・・?」

 

 

「今、千乃がいい事を聞いてくれた・・・私達軽音部ができてからもう結構経つのに、まだちゃんと演奏してないだろ?」

 

 

「まあ確かに・・・まだまだ個人練習しかしてないもんな」

 

 

「コードも忘れちゃったし・・・」

 

 

「そう。ムギと千乃だけがちゃんとした形で演奏をしただけで私達軽音部としての演奏は、唯を勧誘した時のあれだけだ」

 

 

「・・・確かに。でもなんで合宿?」

 

 

「夏休み明けたら学園祭だろ?みっちり練習しとかないと」

 

 

その言葉に皆さんが目をキラキラと輝かせました。

 

 

「学園祭・・・!メイド喫茶やりたーい!」

 

 

「私はお化け屋敷がいい!」

 

 

「マッサージ屋さんがいいわー」ハァハァ

 

 

「私達はけ・い・お・ん・ぶ!!ライブやるの!」

 

 

いつもどおり、唯さんと律さんが冗談をいい紬さんもそれに乗って、澪さんがつっこむ。

日常です。

 

 

「あはは」

 

 

その日常に自然と笑みがこぼれてしまいます。

 

 

「おちゃめな律ちゃんジョークなのに・・・ていうかなんで私だけぶたれたの?」

 

 

ぷく~とふくらむたんこぶを痛そうに唯さんが見ます。

 

 

「・・・でもさ、メイド服似合いそうなやつ多いんじゃないか?」

 

 

「なっ、なにを言ってるんだ律は!」

 

 

「いやいや・・・考えてみろって。唯は抵抗なく着れるだろうし、ムギはどっちかって言うとメイドよりもお嬢様だけど絶対似合うだろ。千乃なんて恥ずかしがって俯きながらもじもじして注文聞いてくるんだぞ?男だったら生唾もんだろ」

 

 

「・・・ゴクリ」

 

 

「ムギちゃんどうしたの?」

 

 

「いえ、なんでもないでございますわよ?」

 

 

「口調がおかしいよ?」

 

 

「澪もスタイルいいし、軽音部でメイド服でも着て演奏するか?」

 

 

ニヤニヤしながら言う律さん。

一瞬考えた澪さんは、それでもやっぱり律さんを叩きました。

二段重ねのたんこぶ・・・前も見ました。

ちなみにメイド服ってどんなものなんでしょうか?

 

 

「ま、合宿やるのはいいけどさ、どこでやるんだ?」

 

 

「あ・・・」

 

 

「スタジオもあって、寝泊りできる場所なんて結構高いぜ?」

 

 

「私お金ないよ~・・・」

 

 

「・・・ムギ?別荘とかって持ってない?」

 

 

「ありますよ?」

 

 

「「「「あるの!?」」」」

 

 

「はい。でも今からだったらどこが取れるかわからないけど・・・それでも良かったらだけど」

 

 

「全然いい!むしろお願いします!!!」

 

 

「これで宿代は浮いたな・・・あとは交通費とか食費か・・・これくらいだったらいけるかな?」

 

 

「そうだな・・・っていうかみんな夏休みに2泊3日の合宿、いいのか?・・・今更だけど」

 

 

「私はいいぜ。早く皆で演奏したいし!」

 

 

「私もー!ギター上手くなってゆっきーと演奏したい!」

 

 

「友達とお泊りするの夢だったから私も大丈夫よ~」

 

 

「千乃は?」

 

 

「あ・・・えっと・・・」

 

 

特に、用事もありませんし、夏休みの宿題とかも計画的にやれば大丈夫ですよね?

少し考えていたら。

 

 

「・・・きついかな?親の許可とか・・・」

 

 

親はいません、と。

危うく言いかけましたが、ギリギリで止まってくれました。

危なかったです。

 

 

「親は・・・別に・・・」

 

 

その言葉に、皆さんが怪訝な顔をしてしまったので急いで返事をします。

 

 

「私も大丈夫です・・・よろしくお願いします」

 

 

「あ、あぁ・・・じゃあ全員参加だな!」

 

 

「楽しみね~」

 

 

「出発は大体2週間くらい先だな・・・それまでに宿題とかやっとくように、律」

 

 

「だからなんで私だけなんだ!」

 

 

「いつも写しにきてるからだ!」

 

 

「まあまあ・・・じゃあ予約しとくからね」

 

 

「紬さん、ありがとうございます」

 

 

「いいのよ~。楽しみましょうね」

 

 

こうして2週間後に合宿をすることになりました。

行き先はまだ詳しくはわからないそうですが、海がありスタジオがあるのは絶対だそうです。

海・・・昔お父さんとお母さんと一回だけ行ったことがあるそうです。

私がまだ幼稚園に通っていた時の話だそうで、全然覚えてはいないのですが・・・。

正直、すごく楽しみではあるのですが、澪さんも言っていた通り、練習をしにいくのであって遊びに行くのではないのです。

海を見れたらいいなぁくらいに思っておきます。

 

 

「今度、合宿の準備ってことで買い物行くか!」

 

 

「あ、律ちゃんいいねー!」

 

 

「私、人生ゲームやってみたいでーす!」

 

 

「だから遊びに行くんじゃないからな!っていうかムギまで!」

 

 

・・・・・・・・多分、澪さんはこれからも苦労するんだろうなーと思いました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「千乃、夏休み何か予定ある?」

 

 

テストが終わり、もう1学期が終わろうと、クラスの皆さんがうきうきしています。

そんな中、和さんが私に声をかけてくれました。

 

 

「え・・・っと、軽音楽部で合宿するくらいです・・・」

 

 

「あら、合宿するの?頑張ってね」

 

 

「あ、ありがとうございます!」

 

 

「うん。その合宿はいつくらい?」

 

 

「はい・・・夏休みに入ってすぐ、です」

 

 

「そっか。じゃあ合宿から帰ってきたら、一緒にお祭りに行かない?8月にあるんだけど」

 

 

「お、お祭り!」

 

 

その単語に私は自分でもびっくりするくらい気持ちが上がってしまいました。

和さんは、そんな私の反応をわかっていたようにくすくすと笑いました・・・恥ずかしいです。

 

 

「行きたいです!」

 

 

「わかったわ。まあお祭りだけじゃなくて、夏休みで練習が無い日とか良かったら遊びましょ」

 

 

なんて嬉しいお誘いなんでしょうか。

 

 

「はひ!お願いします!」

 

 

「なになに何の話―?」

 

 

「信代、千乃と夏休み遊ぶ約束をしてたの」

 

 

「あ、いいじゃん。わたしもわたしも!」

 

 

「いいわよ」

 

 

「の、信代さんもおm」

 

 

お祭り、一緒に行きますか?といい終わる前に。

和さんの指が私の口に押し当てられて、びっくりして言葉を続けることが出来ませんでした。

ののおののののののののどかさんの、指が、私の、口に・・・!!!

冷静に考えたらすごいことで、えっと、なんていうか、和さんの指、温かくって!

 

 

「和、なにしてんの?」

 

 

「・・・千乃の口にお米がついてたの」

 

 

「いや・・・そんなの無かったけど・・・」

 

 

お米・・・付いてたんですか?

和さんを見ると、今度は自分の口に指を当てていました。

・・・内緒っていう意味なんでしょうか?

というよりも、そのポーズがなんだか綺麗と言うか様になってると言いますか・・・。

 

 

「まあ、私もバスケ部の練習があるからまたメールするよ。千乃には電話ね」

 

 

「わかったわ」

 

 

「はい、よろしくお願いします・・・」

 

 

「じゃ、またねー」

 

 

「さ、さようなら」

 

 

「部活、頑張ってね」

 

 

信代さんが去ってから、なんだか気まずい沈黙が続きます。

別になんでもないことなんですが・・・。

 

 

「ごめんね千乃、口に触っちゃって」

 

 

「あ、いえ!別に大丈夫といいますか、和さんだからと言いますか・・・」ゴニョゴニョ

 

 

「・・・?」

 

 

「あの、えっと、さっきのはどういう意味なんでしょうか・・・?」

 

 

「・・・さっきのって?」

 

 

「あの・・・しーって」

 

 

「あぁ・・・お祭り、2人で行きたいなって思っただけよ・・・」

 

 

「そ、それって・・・唯さんも?」

 

 

「2人だけって思ってたけど。千乃は唯も誘いたい?」

 

 

「・・・」

 

 

正直、頭が混乱しちゃっています。

だって、あの和さんが私と2人でお祭りに行きたいって・・・そそそそそそそれってまるで、ででででで、デートみたいで!!

いやいやいや!女の子ですし!和さんも女の子ですから!そういうんじゃないですから!

・・・っは!?そういえばこの間、唯さんの家で勉強会したとき、女の子同士が付き合うという話があったような・・・!!!!

でもでも、和さんみたいなかっこよくて、綺麗で、何でもできる人が私みたいなのにそんな感情持つはずないですって!きっと、ろくに世間も知らない私に社会勉強させてあげようって感じですよ、うん!

 

 

「・・・唯は面倒くさがりで、いつもお祭りに誘っても行かないことが多いからって思ったんだけど・・・誘ってみる?」

 

 

「そそそういうことでしたか!」

 

 

なるほどなるほど・・・なら私だけを誘ってくれたことも納得できました!

 

 

「じ、じゃあよろしくお願いします・・・」

 

 

「えーと、2人でいいって事?」

 

 

「ひゃい」

 

 

「わかったわ。じゃあまた詳しい時間とかは電話するわね」

 

 

「ありがとうございます・・・和さん!」

 

 

「なに?」

 

 

「誘ってくれて、本当にありがとうございます!すっごく楽しみです!」

 

 

「そこまで喜んでくれるなんて・・・誘ったこっちも嬉しいわ」

 

 

そう言って、2人で唯さんを待ち、下校しました。

夏休み・・・合宿と和さんとお祭り、信代さんとも遊ぶ・・・いっぱい楽しみなことがあります。

子供みたいですけど、友達との予定があることがこんなに嬉しいんですね。

その日の夜はなんだか興奮して寝ることができませんでした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Side 和

 

 

テストが終わったあと、幼馴染の唯が赤点を取ってしまい、クラスでただ1人追試を受けることとなった。

普段から勉強はせず、けれどテスト自体は平均点を取っている唯にしては珍しいことだった。

理由はわかってる。

打ち込めるものを見つけたからだ。

軽音楽部。

そのメンバーをほとんど知らないけれど、唯がいい人ばかりだと言っていた。

そのうちの1人は私の友達でもある千乃だ。

千乃のことを考えるとなんだか変な気持ちになる。

どうしても気にかけてしまうというか、庇護欲を掻き立てられるというか・・・こんなこと初めてで良くわからないわ。

もっと仲良くなりたいと思ってるし、一緒にいたいと思っている。

高校に入って最初の友達で、千乃にとっても私が始めての友達だと言ってくれた。

だからなのかもしれないし、もしかしたら違う気持ちなのかも知れない。

お母さんってこんな気持ちなのかなと思うこともあるし・・・もしかしたらこれが好きになるって事なのかもって思った。

後者の気持ちを初めて持ったのは、唯の家で千乃達軽音部が唯に勉強を教えると言ったときのこと。

私も手伝おうかなと思い、家にお邪魔した時、千乃が軽音部のみんなと笑いあっていたところだったと思う。

その笑顔を見て、急に嫌な気持ちになった。

私と話す時、千乃はすごく緊張してる時のほうが多いんだけど、軽音部のみんなと話すその顔は自然体で・・・どうしようなんて考えてしまった。

その時に、あぁ、私って千乃の事が好きなんだって思った。

恋なんてしたことも無いからわからなかったけど、そうなんだ、私は千乃が好きなんだって思った。

でも、急に怖くもなった。

女の私が、千乃を好きになる。

これを千乃が知ったら、どう思われるのかなって。

千乃は優しい。

だからもしかしたら受け入れてくれるかもしれない。

でも、そうじゃなくって・・・あぁもう!

自分の気持ちがよくわからない、考えがまとまらない初めてよこんな気持ち・・・。

・・・正直、女の子どうしなんて普通じゃない。

海外だったらそういうことも認められてるけど、日本だとまだ周りの目は厳しい。

もし、私が千乃が好きだって言って、千乃は優しいから受け入れてくれたとして。

でも周りからは変な目で見られたとき、千乃も傷ついてしまうかもしれないと考えたら、背中が冷たくなった。

千乃が泣く姿なんて、見たくない。

だから、この気持ちは誰にも言わず、風化するのを待つことにした。

きっと、私が恋なんてしたこともないから、初めてのこの気持ちをそういう風に勘違いしてるだけよ・・・そう思って、閉じ込めた。

 

 

けど、千乃は笑った。

私のサンドイッチを食べてくれて、美味しいって何度も言ってくれて、笑ってくれたの。

1番に食べて言ってくれた。

単純な理由だけどそのことが嬉しすぎて、もう駄目だった。

うん、好きなのよ。

いつもあの子前だと、背伸びして大人びたフリをしてしまうけど。

素直になろうと思った。

同じ目線でいたい。

でも、どうしたらいいかなんてわからない。

そういう経験もないし、周りにも詳しい人はいない・・・お母さんに相談するのは・・・まだ早い。

だから、とりあえずは普通に接することにする。

特別なことなんて無い、普通の友達がするように遊ぶ。

と言うわけで、私は千乃を遊びに誘った。

夏休み、生徒会の仕事はあるけれど、それは千乃も似たようなものだし。

千乃が合宿に行く、と聞いてまた少し焦燥感を感じるけど、千乃も楽しみにしてるみたいだし、頑張ってと言う。

だけど私も千乃と遊びたいし、お祭りに誘った。

2人で。

千乃は少し考えてるようだった。

2人は嫌なのかしらと、緊張してしまう。

けど、どうやら唯を誘わなくてもいいのかということだったらしく、説明すると快諾してくれた。

千乃と2人きりでお祭り・・・自分で誘っておいて、緊張してしまうわね。

 

そんな話をしてると、信代が話しに混ざってきた。

信代も一緒に遊びたいらしく、それには私も賛成だった。

信代は、おおらかな性格で、クラスを盛り上げることが得意だ。

バスケ部という体育会系だし、千乃もリラックスしてくれるわきっと。

 

ただ、お祭りだけは2人で行きたいの。

千乃が信代にお祭りの誘いをしようとしたのを、なんとか止める。

急なことだったから、千乃の口に指を当ててしまった。

なんていうか・・・千乃の唇ってぷにぷにっていうか・・・桜色のその口は予想通りのものだったというか・・・こういう所がいちいち可愛いのよ。

信代には少し疑われたけど、なんとか隠し通せたわ。

・・・自分でもなにをやってるんだか・・・。

千乃も、本当は人数が多いほうが楽しめると思ってるかも知れないわね。

自分のことを優先させた私の本心を知れば軽蔑されてしまうかもしれない。

 

 

けど千乃は。

 

 

「誘ってくれて、本当にありがとうございます!すっごく楽しみです!」

 

 

と言ってくれた。

その笑顔がまた私の胸を貫く。

女の子を好きになるなんて思いもしなかった。

千乃に会うまで、そんな感情一切なかったのに。

あの日、あの階段で千乃に会わなかったら、こんなに悩まなくてすんだのに。

 

でも、出会わなかったほうが良かったなんて気持ち、これっぽちもないわ。

うん、それだけはない。

といかく、夏休みに入ったら千乃はすぐ合宿みたいだし、なるべく、宿題とか生徒会の仕事は早めに終わらせとこうと思った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Side 千乃

 

 

今日、私はお買い物に来ています。

といってもいつもみたいに、ご飯の材料の買い物です。

今日は何にしようかな・・・最近はレパートリーも少しずつですけど増えてきました。

やっぱりあの本を買ってよかったです。

『オリーブオイル派に送る至高の料理本!これだけあれば無人島でもLet`s Party!』という本・・・これでもかっていうくらいにオリーブオイルを勧めてくる本でした。

丁寧に書かれていて私でも作ることができたのですが、隙あらばオリーブオイルを足そうとしてくるのがたまに傷です。

いったい、なにが作者をここまで駆り立てるのでしょうか。

でもオリーブオイルも美味しいです。

愛用の本です!

今回は『見よ!これがオリーブオイル派によるオリーブオイル派のためのオリーブオイルだ!(チンジャオロース)』を作ることにしましょう。

でも料理の名前に『』が2種類と50文字の字数って・・・はじめてみた時は自分の目を疑ってしまいました。

まあそんなことはさておき、材料をかごに入れていきます。

えーっと・・・ピーマンに牛肉・・・あ、オリーブオイルも忘れないようにしないと・・・。

とその時。

 

 

「ゆ・き・の!」

 

 

そう呼ばれたと思ったら、急に後ろから抱きつかれました。

だだだだだれですか!?

 

 

「あ・・・律さん」

 

 

「おっす、何の買い物?」

 

 

「えっと、夜ご飯の買い物です」

 

 

「お使いか、偉いなー」

 

 

「律さんは、どうしたんですか?」

 

 

「私はお菓子買いに来たんだ」

 

 

「お菓子・・・ですか」

 

 

「おう!合宿の時に持って行こうと思ってさ・・・あ!千乃はきのこ?それともたけのこ!?」

 

 

何の話でしょうか・・・。

でも、律さんはその手に2つの箱を持っていて、パッケージにはきのことたけのこが描かれています。

きっとこのどちらかを好きかを聞いているのでしょう。

・・・昔に食べたような気がしないでもないです・・・喪失病で忘れてしまったんでしょうか。

でも、私の魂がこっちだと指差しています、なので。

 

 

「私は・・・たけのこさんのほうが好きかも・・・です」

 

 

「たけのこかー!美味しいよな!」

 

 

「律さんも、たけのこですか?」

 

 

「私はどっちも好きだ!というわけで両方買うことにする」

 

 

律さんらしいです。

 

 

「そういやさ、本当に合宿大丈夫なのか?」

 

 

「・・・?」

 

 

「いや・・・なんか迷ってたみたいだからさ」

 

 

「あ・・・いえ、そんなことは」

 

 

「本当か?・・・私は部長だからさ、なんでも言ってくれよな」

 

 

「・・・はい!ありがとうございます」

 

 

「うん!合宿楽しみだな」

 

 

「そうですね・・・」

 

 

「千乃、水着忘れるなよ?」

 

 

「え、持っていくんですか?」

 

 

「当たり前だろ!?何しに行くつもりなんだ!」

 

 

「音楽合宿じゃ・・・」

 

 

「あ、私が千乃の水着えらんでやろっか?」

 

 

「そういえば、持って無かったです・・・」

 

 

「じゃあ買いに行くか・・・って荷物あるな・・・肉は痛んじゃうし」

 

 

「すいません・・・」

 

 

「いいさ。まだ時間はあるし、今度買い物行こうぜ!」

 

 

「はい、よろしくお願いします」

 

 

「姉ちゃん、こんなところにいた・・・って誰?」

 

 

律さんの後ろから男の子が出てきました。

この声は・・・以前、律さんの家に電話した時に出てきた男の子の声、です。

ということは。

 

 

「お、千乃、紹介するよ。弟の聡。こっちは千乃だ」

 

 

「こ、こんにちは・・・湯宮千乃と言います・・・」

 

 

「あ・・・聡です・・・よろしくお願いします」

 

 

「なに照れてんだ聡~」

 

 

「う、うるさい姉ちゃん」

 

 

「お前、澪にも照れてるよな。面食い」

 

 

田井中兄弟の会話は続き、そのやりとりは本当に仲の良いものでした。

私も、弟や妹がいれば、こんな風に付き合えるのでしょうか。

 

お店で別れて、一人帰路に着く私は、そんな事を思い、ちょっとだけ寂しさを覚えてしまいました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




神様「ん和ちゃあん!」


今回は和が自分の気持ちに気づくという場面と、中のいい兄弟を見て千乃が寂しさを覚えるということを書いておきたかったです。

次もなるべく早く更新できるようにします。

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