けいおんにもう一人部員がいたら   作:アキゾノ

28 / 60
ぐへぇ・・・遅くなってしまい申し訳ないです。
あと、感想を書いてくれる人が、最近なんだかボケを入れてくれるようになって、嬉しいなと思いました。



例によって、キャラ崩壊です。
おkという方のみよろしくお願いします。

今回はかなり短めですが、生存確認の報告と、なにか更新せねばと思い書き上げました。
最後のオチはひどいと自分でも思います。
でも、次くらいから、また少しシリアス気味になるので、その緩和剤と思っていただけたら・・・。
今年もよろしくお願いします。




第25話

Side 紬

 

 

真鍋さん・・・恐ろしい子!!

私は唯ちゃんと澪ちゃん、律ちゃんと一緒に千乃ちゃんの後をつけていた。

それは1人で歩くのが危険という意味もあるけれど、やっぱり気になってしまうから。

千乃ちゃんは、真鍋さんの話をする時、嬉しそうな顔をする。

その顔は、多分私が千乃ちゃんにするそれと同じ。

千乃ちゃん自身は気づいていないかも知れないけど・・・私はわかる。

そして多分、真鍋さんも同じ。

そしてそれは確信へと変わった。

お祭りを楽しむ2人を私たちはそっと見つからないように隠れながら見る。

所狭しと並ぶ屋台に目を奪われる千乃ちゃん、それに微笑む真鍋さん。

やばい・・・相当いい雰囲気だわ・・・!

そして事件は起こった。

千乃ちゃんが転んでしまい、それを真鍋さんが起こす。

しかし真鍋さんは千乃ちゃんに怒ってるようだった。

その理由は・・・私にもわかってしまう。

きっと千乃ちゃんは迷惑をかけたくないとおもってしまった。

私に対しても同じだった。

けど、話し合って助け合うと約束した。

そこに至るまでは衝突もしてしまったけど、そういう仲になれたから私は嬉しかった。

しかし真鍋さんはきっと違う。

千乃ちゃんの中で、真鍋さんという存在は最初から違うところにある。

真鍋さんは初めての友達、そう聞いたからわかってしまう。

初めてだからこそ、言えないこともある。

千乃ちゃんはきっと、初めての友達だからこそ迷惑をかけたくない・・・対等でいたいと思っている。

だから頼るということよりも、頑張ってる姿を見て欲しいと思うのかも知れない。

そういった点では、頼ってもらえるという点においては私は一歩リードしている・・・のかしら。

けど、それ以上に真鍋さんは特別であるように思えてしまう。

 

そして、真鍋さんが千乃ちゃんを叱って・・・千乃ちゃんが喪失病のことを話した。

その反応は私たちと同じでやっぱり動揺を隠せないようで。

2人は手を合わせて何かを話している。

うぅ・・・ここからだと会話の内容までは聞き取れないわね・・・。

 

 

「なぁ・・・ムギ、もういいんじゃないか?」

 

 

後ろから律ちゃんが声をかけてくる。

 

 

「そうだよー。私もうお腹すいた~・・・こんなに周りにいっぱい食べ物があるのに・・・」

 

 

「見た感じ、真鍋さんも受け入れてくれたみたいだし、もう心配する必要ないんじゃないか?」

 

 

唯ちゃんと澪ちゃんが言う。

 

 

「ダメよ!むしろ危ない匂いがするわ!ここでジャブの一発入れておく必要が・・・!」

 

 

その時、小さな声で・・・本当に小さな声で。

 

 

「好き」

 

 

と聞こえた。

まさか!

そう思って振り返ると、花火の音にまぎれて真鍋さんがそう発したんだとわかった。

だって、花火よりも真っ赤なんだもの。

重大な告白、お祭りで花火が上がるというシチュエーション・・・相手は可愛い女の子。

私だって言ってしまう。

しかし、幸か不幸か千乃ちゃんは聞き取れなかったみたいだけれど・・・それでも面とむかって言ったのは事実!

リードしていたつもりが、大きく追い抜かれた。

そんな気がした。

今日は真鍋さんに譲る日だって思ってたけど、気づいたら走ってた。

走って、千乃ちゃんのところに向かっていっていた。

後ろから律ちゃん達の声が聞こえたような気がしたけど、止まらない。

そして。

 

 

「私だって!」

 

 

大きな声でそう言っていた。

目の前にはびっくりした顔の千乃ちゃん。

色々と察した顔の真鍋さん。

きっと私の言った意味を理解したのだろう、真鍋さんは千乃ちゃんの手を取る。

その行為に、負けじと私も手を取る。

 

私と真鍋さんの間に挟まれ、何がなんだかわからない様子の千乃ちゃん。

 

 

「千乃、こんどこそたこ焼きを買って食べましょう・・・一緒に」

 

 

そう真鍋さんが言えば。

 

 

「千乃ちゃん、あっちに金魚すくいがあったの!やらない?2人で!」

 

 

私も言う。

 

 

「え?あ、えと、紬さん!?」

 

 

「千乃、今日は私と2人でお祭りに行く。そうだったわよね?」

 

 

「は、はい」

 

 

「でも千乃ちゃん的には、人数が多いほうが楽しいわよね?」

 

 

「えぁっと・・・はい・・・?」

 

 

私と真鍋さんがにらみ合うような形に。

 

 

「そういうわけだから、真鍋さん。私たちと一緒に行動しましょう?」

 

 

「・・・えぇ。千乃がそれを望むならいいわ。でも人が多いからはぐれないようにしっかりと手を繋いでおかないと」

 

 

「!!」

 

 

そう言って真鍋さんは千乃ちゃんの手をとったまま、自分のほうへと引き寄せた。

 

 

「3人並んで歩くと危険だし、迷惑だから琴吹さんは手を離してくれるかしら?」

 

 

危険。

もし3人で千乃ちゃんと手を繋いだまま歩いて、転んだりしてしまったら真ん中の千乃ちゃんは必然的に両の手がふさがってるから危険だ。

だから片方は空けておくべき。

その言い分はわかる・・・けど!

 

 

「・・・琴吹さん?」

 

 

「わ・・・私が千乃ちゃんのサポートをするから真鍋さんはゆっくり後ろにいてくれれば良いわ。なんたって同じ軽音部だもの」

 

 

立場を利用する。

軽音部仲間だから気兼ねなく・・・そういう意味で放った。

千乃ちゃんの手を引き、こちら側へ寄せる。

 

 

「・・・それにはおよばないわ。千乃の初めての友達として、私がサポートする」

 

 

平行線。

どっちも引かないし、譲らない。

他のなにを譲っても、これだけは負けられない。

 

 

互いの視線が絡み合って火花が散っている・・・と思う。

 

 

「いいか唯、澪。その昔、子供の親権をめぐって、子供の手をひっぱりあった親がいたそうだ。その時、本当の親は子供の痛がる顔に我慢できなくなって手を離した。それが愛っていうもんだ。」

 

 

「なるほど・・・じゃあ今回もゆっきーの手を最初に離したほうが勝者ってこと!?」

 

 

「そうなるな!」

 

 

「ならないだろ・・・ていうかそろそろ千乃を助けたほうがいいんじゃないか?本当に引っ張り合いになってきてるぞ」

 

 

律ちゃんたちには悪いけど、この手は離せない・・・。

離したら最後・・・一瞬で千乃ちゃんの横のポジションは埋められて、何かを言う前に歩き出してしまうに違いない。

つまり・・・この場で律ちゃんの言う道徳は通じない!

あるのは勝利という名の罪科だけ!

ふふ・・・人間の本質は石器時代から一歩も前に進んではいないのね・・・!

 

見れば真鍋さんも同じ考えのようで。

 

 

「勝てばよかろうなのだ・・・」

 

 

と小さな声でポツリと聞こえた。

 

 

「い、いたたた」

 

 

真ん中の千乃ちゃんが悲痛な声をあげる。

もう少し待っててね、すぐに私が救ってあげるから!

 

 

 

 

 

「あれ、千乃じゃん」

 

 

真鍋さんと私はその声に振り返る。

見れば、少しふくよかな女の子が酒瓶の入ったケースを持ってこっちに歩いてきている。

 

 

「信代さん!こんばんは!」

 

 

千乃ちゃんが嬉しそうな声を上げる。

真鍋さんと私はジロリとその人物を見やった。

たとえライバルでも、共通の敵には力を合わせない道理はない。

 

 

「おっすー・・・どういう状況?」

 

 

「私にもさっぱり・・・」

 

 

「ふむ・・・和がいるってことは・・・そういうことか」

 

 

察しのいい人らしい。

私と真鍋さんを一瞥して、少しため息をついた信代さんらしき人物は。

 

 

「信代ちょ~っぷ」

 

 

と、私と真鍋さんに軽いけど重たい、そんなチョップを繰り出した。

まさか同級生から、しかもこんなところでチョップされるなんて思いもしなかったからつい手を離してしまった。

 

 

「まったく・・・千乃が痛がってたよ。和も、えっと琴吹さん?もこういうところではしゃぐと危ないよ!」

 

 

通りのよい声で、叱られてしまいました。

それに・・・なんで私の名前を?

そんな疑問が私の顔に浮かんでいたのか。

 

 

「千乃に毎日聞かされてるからね・・・軽音部の話は」

 

 

照れくさそうな顔をする千乃ちゃん。

少し手をぷらぷらとさせていることに気づき、反省をする。

 

 

「それにしてもお祭りに来てたなんて」

 

 

「和さんに誘っていただいたんです」

 

 

「・・・はっは~ん。あの時のはそういうことだったのか」

 

 

ニヤニヤと笑い真鍋さんを見る。

そのことに顔を赤らめさせ、そっぽを向く。

 

 

「信代さんは・・・?」

 

 

「私?私はねー、家の手伝いで来てたんだ。もう終わるけどね」

 

 

「家の・・・手伝い?」

 

 

「そ。私の家、酒屋なんだ。今日はここの神社にお酒を奉納しに来たのと、あっちでべろんべろんになってる町内会のオヤジ達に差し入れに」

 

 

そう言って、手に抱えていたケースを見せる。

 

 

「もう終わるから、良かったら私も一緒にいい?」

 

 

「はい、もちろんです!!」

 

 

私と真鍋さんは何もいえなかった。

千乃ちゃんが嬉しそうに話すのもそうだけれど、信代さんなる人物に圧倒されてしまったからだ。

こういう雰囲気の人はいる。

いわゆる肝っ玉お母さん的な存在。

嫌味はなく、けど逆らえないというか・・・そんな感じ。

千乃ちゃんは信代さんに着いていってしまい。

 

 

「凄いな・・・暴走状態のムギと和を同時に制した・・・!」

 

 

律ちゃん達もそう呟きながら後を着いていった。

 

 

残された私と真鍋さん。

 

 

「・・・負けないわよ、ムギ」

 

 

名前で呼ばれ、びっくりしたけどこっちだって望むところ。

 

 

「私だって、和ちゃん」

 

 

緊張の空間は解かれ、自然と笑みがこぼれた。

誰かと好きな人を取り合うなんて、私の望んでいた世界。

ライバル。

絶対に負けない。

 

 

千乃ちゃん達のあとを追う私達は、きっと同じ気持ちだ。

 

 

「待ってー千乃ちゃん!私凄いこと気づいたの!金魚すくいとビー玉つかみ取りの店を合併させたら『金○すくい』に・・・」

 

 

「混ぜるな危険んんん!」

 

 

 

 

 

 

律ちゃんの突っ込みで人生二回目の頭にチョップを食らった私でした。

 

 

 

 

 

 




神様「ムギちゃんの下ネタはデフォになってきてるな」


次も早めの更新を頑張りますです。
けど、今でこのペースだと社会人になったらどうなってしまうんだろう・・・ボソ

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。