けいおんにもう一人部員がいたら   作:アキゾノ

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口の周りがなんだか甘い!!!



次もなるべく早く更新できるよう頑張ります!


第29話 文化祭①

Side 千乃

 

 

桜が丘高校の文化祭の今日、いつもよりも賑やかな校内。

廊下を歩くだけで、私にとっては目新しい出し物が沢山あります。

綺麗な折り紙やシールで彩られた窓、道行く人にチラシを配るメイド服を着た学生さん。

外にはこの日のために建てられた出店やアクセサリーを作れるお店、クレープ、オムレツ、カキ氷などなど・・・。

着ぐるみと写真を撮っている他校の方も見ました。

中庭にはすごろく広場や占いの館、各クラスの宣伝の風船や垂れ幕が青空に映えています。

天気もよく、絶好の文化祭日和です。

みんながみんな、楽しそうに笑顔を浮かべています。

本当なら凄く楽しくてはしゃいでしまうと思うのですが、私の心はどこか憂鬱です。

 

私のクラスは焼きソバを作って売る、喫茶店のようなものをしています。

焼きソバ自体、そんなに難しい料理でもなく、また私も恥ずかしながら自炊をしているので力になれると思ってたのですが、和さんと信代さんに包丁は握らせてもらえませんでした。

喪失病のせいですよね・・・それで私は売り子やチラシ配り、客引きを担当させて貰っています。

普段は迷惑をかけっぱなしなので、こういうところで一生懸命頑張りたいと思います。

クラスの中は、熱気が凄いです。

普通の焼きソバを売るというのは面白みに欠け、クラス対抗の売り上げ勝負に勝てる要素が見当たらないというクラスの過半数の意見によりとある工夫を凝らすこととなっています。

たくさんお客さんを連れてこれるように・・・と言うことと、ここでしか食べられない焼きソバを出すと言うこと。

前者はともかく、後者は、それが出来たら苦労はないと皆さんが言っていたのですが、唯さんが持ってきたレシピ通りに作ったところ、クラス全員が美味しいと納得の行くものでした。

焼きソバとは本来ソーズをベースとした味付けなのですが、唯さんの案はセレクトできるというもの。

ソースに限らず塩ベース、醤油ベース、キムチベース、キーマカレーベース、卵とからめるテッパンミーなどなど・・・。

このたくさんの種類は和さん曰く、妹の憂さんが一生懸命考えて何度も作り、今日の日のために仕上げたものだそうです。

唯さんのために徹夜していたそうです。

そして唯さんのオリジナルメニューである『シュガソバ』。

これが人気メニューであります。

シュガー焼きそば・・・らしいです。

私はこれを見ていると頭が痛くなって、何か思い出してはいけないものを思い出してしまいそうになるのです・・・具体的に言うと澪さんの笑顔が・・・うぅ頭痛い。

このシュガソバが、怖いもの見たさで注文が殺到し、また食べた人が不思議な味だと口コミで広がり次から次へと飛ぶように売れていっています。

この口コミも、和さんの戦略で客引きするさいにその存在をほのめかしたり、サクラを使って廊下で吹聴して歩かせたりと・・・なんだかお金を管理しているときの和さんの顔は、私の視界がぼやけてるせいでしょうか、とても悪い顔に見えました。

和さんも生徒会の仕事があるのですが、出来るだけクラスにいてくれたり、私がチラシを配りに行く時はついてきてくれたりと、気を使わせてしまっています。

 

チラシを配ってるとき、琴吹病院のシンちゃんやカザマ君、ボーちゃんにマサオ君にネネちゃん、トム先生や他の人達も来てくれました。

クラスへ案内すると、唯さんが制服ではなくてアフロに衣装を着ていたので、楽しそうに笑っていました。

 

他にも、他校の女の子や男の子に声をかけられたりもしました。

けど、すぐにどこかへ走って行ってしまったのでお話をすることは出来ませんでした。

和さんが「どうしたのかしらねぇ・・・」と笑顔で言っていたのが何故か印象的でした。

 

初めてヅクシの文化祭、凄く楽しい・・・はずなのに私はちゃんと笑えているのでしょうか。

私だけじゃない、唯さんも律さんも澪さんも、紬さんも。

 

 

あの日、琴吹病院で演奏をした時、結局菊里さんにはなんの変化もありませんでした。

ドアの前に行っても紬さんだけでなく、私も入れてくれませんでした。

また来てね、と言ってくれていたのに返事も無く一度も会えず終いでした。

 

それからと言うもの、私達は仕方ないと口では言っていたものの、やはり何か変えられるだろうと思っていたのか、練習に身が入らなかったのです。

そして今日、文化祭で私達は3曲披露する時間があるのですが・・・今のままでは成功させることが出来るのか、なんて思ってしまいます。

この間、病院で歌った『歌う人』はともかく、あとの2曲はちゃんと練習で、やれるとこまでやった!と言う実感が持てずにいるのです。

もちろん、夏休み前から練習していて、合宿でも何度も何度も演奏はしているのですが、どうしても自信が持てずにいます。

 

各々のクラブ活動がある人は時間を区切ってクラスの出し物を手伝うという、徹底した和さんのタイムスケジュール管理の下で交代をしていきます。

私達の軽音部はまだ時間があるので、唯さんは一心不乱に焼きそばを作っています。

私としては・・・練習をしたい・・・のでしょうか。

いえ、どちらかというとお布団にくるまって蹲ってしまいたい気分です。

怖いと言う感情なんでしょうか。

チラシを配っている途中、澪さんがいました。

私に気づいたみたいで近づいてきてくれます。

 

 

「千乃、お疲れ様」

 

 

「お疲れ様です」

 

 

「・・・・・・」

 

 

澪さんの顔はいつも以上に緊張しているのがわかります。

もともと人見知りと言うこともあるのですがそれだけではない気がします。

私と同じで、上手くいくイメージがないのだと。

 

 

「えっと、千乃はあとどれくらいで部室に来れる?」

 

 

「私は・・・多分30分後には・・・」

 

 

「そっか・・・唯は?」

 

 

「唯さんはもう少しかかるかもしれません」

 

 

「練習しときたいのに・・・」

 

 

その言葉を聞いたとき、私の気持ちは重くなりました。

あの時の演奏は、素晴らしかったと思うのです。

律さんのドラムも、澪さんのベースも。

唯さんのギターだって最高だったし、紬さんはいつも以上に気迫がありました。

だからあの演奏だったら、変な話だけど誰にも負けないくらい素晴らしいものだって思ったんです。

それなのに、菊里さんには届かなかった。

それは・・・私が下手くそだからなんじゃないか・・・ずっとそう思ってます。

私が足を引っ張っているのではないか。

もちろん、周りの人達はそんな風には思わないかもしれないけど、私自身がそう思ってしまうのです。

 

 

「とりあえず、先に部室で待ってるから」

 

 

そう言って澪さんは歩いていってしまいました。

 

 

「千乃?」

 

 

和さんです。

 

 

「和さん・・・私・・・」

 

 

「千乃達の音楽、凄かったわよ」

 

 

「え?」

 

 

「病院のみんなのため・・・榊さんのために頑張って歌った千乃の音楽は、ちゃんと届いてるわ」

 

 

和さんは・・・やっぱり和さんで、いつも私の言いたいことを察してくれて・・・。

 

 

「でも・・・頑張ったって・・・何も変わらなかったら・・・」

 

 

「急には変われない人だっているわ。千乃達の音楽を聴いて、何か感じて、それが何なのかを理解して、変わっていくには時間だって必要よ。それに千乃の歌は周りの人の心に響いて、花を咲かせてるわよ。大丈夫、ちゃんと届いてるわ」

 

 

「和さん・・・」

 

 

「あの時、周りの人達の顔はちゃんと見た?」

 

 

周りの人達というのは、シンちゃん達や先生方のことでしょうか・・・たくさん拍手をしてくれていました。

 

 

「それだけじゃないわ。感動して泣いてる人だっていたんだから。信代なんて大号泣よ」

 

 

ふふ、って笑う和さんはどこか嬉しそうでした。

 

 

「そう・・・だったんですか」

 

 

「まあ、榊さんに気を取られてたのはわかるけど、あなた達はちゃんと周りの人達に感動を与えてたんだから。それって凄いことなのよ、誰にだってできることじゃない。それだって立派な結果よ」

 

 

だから、と付け加え。

 

 

「心配ばっかりしてないで、さっさと練習してきなさい」

 

 

「え?でも、まだクラスの手伝いが・・・」

 

 

「いいから。私が代わりにやっておくから」

 

 

「和さん・・・」

 

 

「そのかわり、3曲ともちゃんと頼むわよ。楽しみにしてる人がいるんだから」

 

 

「・・・はい!和さんありがとうございます!いつも助けて貰ってばかりで・・・」

 

 

「いいわよ別に。今度デートさえしてくれれば」

 

 

「・・・・・でででででででででデート!?」

 

 

それってあのいわゆる大人の男性と女性が仲良く手を繋いだり一つのパフェをお互いに食べさせたりき、き、き、き、きすとかしちゃったりする大人の付き合いのやつですかぁ!?

 

 

「・・・顔、真っ赤よ。」

 

 

「へ!?いや、だって和さんが!」

 

 

「・・・あぁもう可愛いわね。」

 

 

「うぅ・・・」

 

 

「デートって行っても、買い物したりご飯食べたりするだけよ」

 

 

「あ・・・そうなんですか・・・」

 

 

ホッとしたような残念なような・・・ってなんで残念なんですか!

 

 

「ま、無理にとは言わないけど」

 

 

「いえ!お願いします!」

 

 

言った後に気づいた。

なんてことを大きな声で・・・恥ずかしいです。

 

 

「そ。ならまずは最高の歌を頼むわ」

 

 

あくまでクールビューティーな和さん。

でもなんでほっぺを手で押さえているのでしょうか。

 

 

「はい、わかりました。精一杯歌います」

 

 

「うん。行ってらっしゃい」

 

 

いつもよりも少し早足な和さんはそう言ってクラスへと向かっていきました。

私は、さっきまでの答えは出ていないけど、そえでも自分に出来る事は歌うことだけ。

それ以外になんの能もない。

そうだった。

忘れてたんだ。

病院で生活してきた私が唯一褒められたことは歌うことだけ。

なら歌うだけです、下手は下手なりに一生懸命に、一曲一曲を大切に。

 

菊里さんに伝わらなかった、んじゃない。

まだ伝えている途中なんだ。

この文化祭が終わったら、もう一度会いに行こう。

何度でも歌うよ。

伝わるまで。

 

足取りは軽く、部室へと向かう私でした。

 

 

 

 

 

 

 

Side 和

 

 

あの病院での演奏以来、軽音部のメンバーは元気がないように思えた。

榊さんに変化が見られなかったからだと思う。

千乃や澪はともかく、あの唯までいつもと違った。

 

頑張ったけど、その結果が出なかったらがっかりするのもわかる気がするけどそうじゃない、それだけじゃないという事を千乃に伝えられて良かったわ。

それに榊さんはわからないけど、私達の心にはちゃんと響いていた。

誰かのために演奏する千乃達の音楽が。

そのことに気づいていない本人達は、練習にも身が入らなかったみたい。

だから、今の私に出来る事はこうやって後押しすることだけ。

いじいじしたまま練習したって何にもならないから。

元気になって、やる気も出た今ならきっと一回で何回分にもためになる練習が出来るはず。

 

ま、うん、千乃が元気になって良かった。

まったく、手のかかる友人だわ。

あなた達の音楽を楽しみにしてる人がいるんだから、しっかりしなさい。

 

 

それにしても・・・。

 

「最後のはずるいわ・・・不意打ちよ」

 

 

頭が沸騰しそう。

抑えとかないと頬が勝手に緩んでしまう。

 

絶対にデートで私が千乃に同じ思いをさせてやるんだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Side 千乃

 

 

いつもの階段を上り、部室を目指します。

唯さんはさっきまで教室にいたのを見ていたのでまだ来てはいないでしょう。

澪さんは律さんや紬さんを迎えに行っててまだ帰ってきてはいないのでしょうか。

どちらにせよ、1人でも練習をしなければ・・・。

 

すると、部室のドアの前に誰かいます。

あのちょっとぽっちゃりとした大柄なシルエットは・・・トム先生!?

何故ここに・・・。

 

 

「こんにちは」

 

 

「おぉ千乃ちゃん、待っておった」

 

 

にっこりと笑ってこちらに振り返ります。

その大きな手で私を引き寄せてくれるのですが、やはり何故ここにという疑問が強くて・・・混乱状態です。

 

 

「子供らは他のスタッフの方に任せて楽しそうに遊んでおる。やはりお祭りは楽しいの。あんなに子供らが楽しそうにしているのは儂も嬉しい。・・・・本当じゃったらあまり病院の外に出たがらない子達ばかりだったんじゃが、君達の演奏を聞いて、つき物が取れたかのように変わった子達もいての。感謝しておる。なかなか人前で言うのは恥ずかしくてのぉ。こんなところで申し訳ないが感謝の気持ちを述べさせて貰おう。」

 

 

「いえ!そんな・・・私1人じゃ何も出来なかったですし・・・それに、そう言ってもらえると、私も嬉しいです・・・救われます」

 

 

「救って貰ったのはこっちなんじゃが・・・あまり元気がなかったのは菊里ちゃんのことか?」

 

 

「いいえ、って言うと嘘になっちゃいます。私達は・・・私は菊里さんに何もしてあげられなかった。私みたいな人が人様に何かしてあげられるなんておこがましいかもしれませんが・・・結果が出なかったことが・・・それが悔しかったんだと思います」

 

 

「ふむ」

 

 

「でも、そうじゃなかったんです。さっき私の友達に教えられました。

何も出来なかったなんてことはないって。ちゃんと種をまけたんだって。

感動してくれた人達がいて、今も先生にありがとうって言ってもらって。

それだって立派な結果なんだって・・・そう言ってくれたんです。

だから私、諦めません。

もっと菊里さんとも話したいです。面倒くさがられても、無視されても、菊里さんとちゃんと話したいです。

話して、その結果で怒られたり嫌われてしまったっていいです・・・。

結果が出ずに、終わらせたくないんです。

・・・こんな考えって、おかしいんでしょうか?」

 

 

「いや、おかしくないとも。それが人間じゃ。でも、嫌われたっていいなんてそんなことは言わないでおくれ」

 

 

そう言って、頭をわしわしと撫でられました。

 

 

「はい・・・」

 

 

「うむ。じゃあ、今のをちゃんと伝えてあげておくれ」

 

 

背中をポンっと押され、その言葉の意味を理解できないまま、私は部室へと入りました。

そこには、車椅子に乗った菊里さんがいました。

 

 

 

 

 

「菊里・・・さん・・・?」

 

 

「こんにちは、千乃ちゃん」

 

 

「え・・・だって・・・病院から出られないんじゃ・・・?」

 

 

「トム先生の日々の診察のおかげ、とでも言うのかしら。医術は進化してるのね。」

 

 

ほら、と言って車椅子に座っている菊里さんは足元にかけた薄手の布をめくりました。

その手には機械がありました。

その機械から伸びるチューブは菊里さんの体に繋がっていて、菊里さんの言っていた延命装置なんだとわかりました。

私も似たようなものをつけてはいましたがここまでコンパクトなモノではありませんでしたが。

 

 

「これのおかげで、2時間くらいなら外に出られるようになったわ。」

 

 

「・・・・」

 

 

「そんな驚いた顔をするなんて。無理言って頼んでよかったわ」

 

 

微笑を浮かべる菊里さんは、前のような雰囲気はなく、なんていうか柔らかい感じがします。

 

 

「あまり時間がないから、軽音部全員の子のクラスには回れないけど、紬ちゃんのところには行って来たわ。」

 

 

「そうなんですか・・・」

 

 

「忙しそうだったしあんまり喋れなかったけどね。だから一言だけ、今まで私を一人にしないでくれてありがとうって言って来た。凄く驚いてたわ。9年間、顔を見てこなかったからあんなに美人になってたなんて思わなかった。」

 

 

そして。

 

 

「千乃ちゃんにも、ありがとう。あの歌を聴いてなかったらこんな気持ちになれなかったと思う・・・」

 

 

「・・・菊里さん、あの、私」

 

 

「待って。私に言わせて。」

 

 

一呼吸。

 

 

「今まで、ずっと恨んでた。こんな自分が嫌だった。周りの幸せそうな人が憎かった。でもそれを表に出してこなかった。出してしまえば同情をされる、必死だと笑われると思ってた。だからいつも飄々として、一歩引いて、気にしてませんって強がってた。親も来ない、友人もいない。来てくれた紬ちゃんにも会わなかった。紬ちゃんを愛して裏切られるのが怖かった。紬ちゃんが私の事で傷つくのが怖かった。」

 

 

「・・・・・・」

 

 

「でも、千乃ちゃんが一生懸命歌ってくれて・・・私のために必死に力を振り絞ってくれて・・・その千乃ちゃんをサポートする軽音部の演奏を聴いて、わかった。誰かと繋がるってこんなに凄いことなんだって。あの日、あの演奏を聴いてからそう思えるようになったの。だから・・・ありがとう」

 

 

満面の笑みで笑った菊里さんは、凄く綺麗でした。

そんな菊里さんに私は。

 

 

「菊里さん、私、今幸せです」

 

 

「私も、千乃ちゃん」

 

 

「菊里さん、この後って・・・」

 

 

「うん、楽しみにしてるライブくらいかしら」

 

 

「!!」

 

 

「きっと素晴らしい音楽が聴けるって思うの。なんたって、人一人を救ったバンドだもの」

 

 

ちょっと意地の悪い顔を浮かべる。

こういうところは地だったみたいですね。

 

 

「はい!きっと・・・きっと感動します!一生懸命、力の限り歌うと思います!」

 

 

「そう・・・なら、そんな一生懸命に歌ってくれる音楽隊にこれを渡しておいてくれるかしら」

 

 

そう言って菊里さんが大事そうに取り出したのは、綺麗に包装された箱でした。

まるでプレゼント箱。

中に何が入ってるのか凄く気になります。

 

 

「きっとこれからそのバンドは有名になるわ。ライブハウスとかでも演奏すると思う。そんな時に使って貰えればって思って…不器用だから作るのに時間がかかって、それで会えなかったん…だけど一生懸命作ったの…触発されちゃったかしら」

 

 

「・・・・」

 

 

「中身は全員そろってから見てもらえると嬉しいな」

 

 

そして、キコキコと車椅子を動かしてドアへと向かいます。

手伝おうとしますが、それは声にて制されます。

 

 

「大丈夫・・・1人でできるよ。強がってるんじゃなくて、これからもっとやりたいことが出来たから、そのリハビリに」

 

 

その笑顔は強がりなんかじゃなく、前へ進もうとする気高い顔でした。

 

 

「また、病院でも歌って欲しいな。あれ以来、病院内で凄く評判良いの。皆、聞きたがってる」

 

 

トム先生と何人かの病院スタッフが車椅子を持ち上げ階段をゆっくりと降りていきます。

 

 

「紬ちゃんとも、ちゃんとゆっくり話さなきゃ」

 

 

どんどん降りていく菊里さんに私は大きな声で。

 

 

「菊里さん!プレゼントありがとうございます!それと・・・私と友達になってください!」

 

 

手を軽く振る菊里さんの姿が見えなくなるまで私はずっと手を振り続けました。

 




神様「さ~て、来週のけいおんは!」

こんばんわ。
アキゾノです。
寒さがなくなって、ようやく春へと向かうかなと思っていたのですが、今日からまた寒くなると、なんだかおかしな天気が続きます。
みなさんも風邪など引かないように気をつけてください。
花粉症にも悩まされる季節に近づいてますが・・・もし花粉症になったら諦めましょう!
では、次の話は曲紹介の怒涛の3連続です(一曲は歌う人)!
またよろしくお願いします!

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