けいおんにもう一人部員がいたら   作:アキゾノ

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お久しぶりです。
もう書く気ねーだろコイツ、と思われていた皆さん。
すいませんでした!
言い訳になるのですが、新入社員というのは本当に時間がなく、帰ってきても精神的に疲れてすぐにベッドにもぐりこんでしまうのです・・・。
はい、すいません、もう言い訳しません!
今回もかなり短く、その上久しぶりに書いたので、視点が入り乱れて、しかもあまり話が進まないという・・・。
次もいつになるのか解らないのですが、なんとか書きたいと思っています。
完結だけは絶対にさせたいのです。
よろしくお願いします。



第34話

Side 和

 

 

千乃たち、軽音部が対バンをするらしい。

なんでも律が提案し、急遽決まったと。

私は音楽の事はあまりわからないけど、もっと練習期間とか必要だったんじゃないかしら・・・。

と、そんなことも考えてしまうけど今はもっと優先的考えなければならないことがある。

千乃が電話で泣きついてきたのだ。

曰く、律にきついことを言ってしまったと。

話を詳しく聞くと、どうやら律は思い悩んでいたらしく(何についてかは千乃は言わなかったし、私も聞かなかった)、それが最近律らしくない行動に繋がってしまったらしい。

律の悩みねぇ・・・案外ああいうまとめ役をする子に限って、自分の悩みは打ち明けられないことが多い。

頼れる自分を維持しないと、先頭に立てなくなり、ひいては組織の崩壊に繋がる・・・なんてそんな難しい話ではないのだけれど。

まあ、なんとなく想像はつくわね。

千乃はきついこと言ってしまったと気にしているようだったけど、後悔はしていなさそうだった、声が震えていたけど。

しかも今度の対バンに来なくていいとまで言ったそうだ、鼻をすする音が聞こえてたけど。

実のところ、私は律の事をあまり心配していない。

と言うのも、薄情というわけではなく千乃がそこまで勇気を出したのだから、きっと律もこれを機に大きく変わると考えてるから。

千乃は優しい。

優しさゆえに、傷ついてきた子よ。

だから、そんなあの子と話すとみんな気づく。

この子は強くない、強くあろうとしているのだ、と。

これって結構重要なことなのよ。

強い人なんて本当に稀で、多くの人がその姿を見て安心して頼ってしまう。

自分で言うのもなんだけど、私はどちらかと言うと頼られるタイプで、それが自身を支える根幹でもあるのだけど、それでもたまには思う。

本当に私の強さは間違ってないのか?

まとめ役、リーダー、部長。

先頭を走る者の呼び方は数多くあれど、その悩みはきっと一つだ。

『本当に間違っていないか?』

並び立つものがいない場所にいると、相談も出来ない。

完璧を目指せというわけでもないのに、弱みを見せられない。

見せてしまえば、他の人が不安がってしまう。

しかし、だからと言って傲慢に何でも自分が正しいとは思ってはいけない。

それは皆を引っ張るものとしてやってはいけないことで。

この2つの考え方が、重荷となってしまい相談することも出来ず溜め込んでしまうのである。

溜め込んで溜め込んで・・・どうしようもなくなった時。

強くなろうとしている人を見ると、なんていうのかな、救われる。

傷つき、もがいて、強くなろうとしているその姿に思い出す。

強くなろうとしていたころの自分を。

その時に、密かに抱えていた心を燃やすような情熱を、信念を。

 

千乃は、今まさに強くなっていっている。

その姿は、きっと律にも何かを与えている。

私や、ムギに対してもそうだったように。

・・・けど、千乃がきついことを言ったってちょっと想像もつかないわね。

バカ、とか嫌い、とか言ったのかしら。

もし自分がいわれたらと考えただけで涙が出そうになるわ。

でも、それも友達よね。

今回、私に相談してくれた千乃に私はちゃんと役目を果たせたのか気になったけど、最後に。

 

 

「和ちゃんに相談できて、本当に良かった」

 

 

と。

もう本当に・・・かわいすぎるわ。

 

 

 

 

 

 

 

 

Side澪

 

 

律の家にお見舞いに行った次の日、千乃がとんでもないことを言い出した。

 

 

「今度の演奏は、律ちゃん抜きでやります」

 

 

その言葉の意味も驚いたけど、いつもおどおどしている千乃がこんなにはっきり喋ることなんてあんまり見ないからそこにも驚いた。

しかしなんで急に・・・最近の律もおかしかったけど、千乃も何か変だ・・・と思っていたらムギが詳しく話を聞く流れに。

さすがはムギ・・・私なんかは人の話を上手く聞くなんて難しいんだけど、ムギは平然とやってのける。

軽音部でそんなことが出来るのはムギと・・・律くらいだな。

唯は話している途中で、そんなことどうでも良くなってしまうような雰囲気を持ってるけど。

上手く言葉に出来なかった千乃に変わって、ムギが話す。

律はなにか悩んでいるらしい。

その悩みを解決するまでは参加できない、と。

しない、ではなくできない。

千乃がそう律に言ったそうだ。

これまた驚いた。

もっと詳しく聞きたかったけど、ムギが律に直接聞くべきだと、そういった。

結局、本番まで時間もなく、練習が始まったのだが・・・律がいないだけで何で自分はこんなにも調子が狂うんだろう。

なんて。

解ってる。

なんで、私じゃなくて千乃なんだ・・・。

私に相談してくれたら良かったのに。

そう考える自分と、それを恥じる自分がいる。

そのことが、たまらなく嫌で、練習に身が入らない。

私が音楽を続ける理由、ここにいる理由は・・・。

律がいたからなんだ。

あの日の律を忘れられないからだ・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Side 千乃

 

 

律ちゃん抜きでライブをする。

そのことを、軽音部の皆さんに伝えた。

当然、皆さんは驚いてました。

律ちゃんの事情、特に澪ちゃんとのことについては話さずに上手く説明できるかなと心配だったのですが、紬ちゃんが機転を利かせてくれてうまく説明してくれました。

紬ちゃんも事情はわからないはずなのに、何かを察したように。

本当に感謝しかありません。

何はともあれ、律ちゃん抜きで練習が始まります。

いつも頼りになる律ちゃんがいないことで上手く合わないのは予想していたのですが、まさか澪ちゃんがここまで動揺するなんて。

ボーっとすることが多く、いつもみたいな完璧なリードもない。

そして見る見るうちに元気がなくなってしまいました。

 

 

「澪ちゃん・・・大丈夫?」

 

 

唯ちゃんがそう声をかける。

いつのまにか音楽は止まっており、そのことに今気がついたかのようにハッと顔を上げる。

 

 

「あ・・・あぁ、大丈夫だ。ごめん、止めちゃって」

 

 

ベースに手をかけ、もう一度演奏をしようとする澪ちゃん。

だけど、それを紬ちゃんがとめた。

優しく、その手を重ねて。

 

 

「澪ちゃん、律ちゃんがいないから調子が出ないのよね?」

 

 

「・・・・・・」

 

 

「わかるわ。いつも仲良しな律ちゃんが、自分に悩みを打ち明けずに千乃ちゃんに話したことに嫉妬する気持ちも、律ちゃんの悩みに気づけなかった自分を責める気持ちも」

 

 

澪ちゃんがびくりと、体を震わせる。

そして、私も。

澪ちゃんは律ちゃんの一番の友達。

幼いころからずっと一緒で、律ちゃんから聞いたような過去もある。

ずっと一緒で、これからだってきっと2人はずっと一緒だと思う。

だからこそ、澪ちゃんは自分に相談して欲しかったのではないか、私はそれに気づかず無神経にも澪ちゃんの前で喋ってしまったのでした。

それでどんな気持ちになるかも考えずに。

 

 

「・・・・・・」

 

 

否定もせず、頷きもせず澪ちゃんはただ黙っています。

私は恥ずかしくなってしまいました。

律ちゃんのために何かをしてあげたかったのに、それで澪ちゃんを困らせてしまっています。

挙句、軽音部全体に迷惑をかけているのだから。

 

 

「澪ちゃん・・・今回は出るの止めとく?」

 

 

紬ちゃんのその言葉に、驚いたのは他でもない澪ちゃんでした。

何を言ってるのか解らないと言った顔で次第に悲しそうな顔をします。

 

 

「あ、別に澪ちゃんが必要じゃないって言ってるんじゃないのよ?ただ、私たちは5人で軽音部でしょ?」

 

 

ゆっくりと、その意味を飲み込みながら頷く。

澪ちゃんを見て、唯ちゃんを見て、そして私を見て紬ちゃんは言う。

 

 

「誰が欠けてもダメ・・・けど律ちゃんは今いない」

 

 

「うん・・・」

 

 

「律ちゃんはあれで繊細なところもあるでしょ?澪ちゃんならわかるんじゃないかしら」

 

 

「そう・・・そうなんだ」

 

 

「なら、誰かが寄り添ってあげるべきだと思うの。もちろん全部を全部サポートするんじゃなくて、本当に必要な時にそっと手を差し伸べれるように」

 

 

ニコっと笑う紬ちゃんがそう言い、空気が柔らかくなります。

 

 

「その役は、やっぱり澪ちゃんにしかできないって思うの」

 

 

「でも・・・いいのか?3人だとライブは・・・」

 

 

「任せてよ澪ちゃん!私、一生懸命頑張るから!だから・・・律ちゃんのこと頼むね」

 

 

「・・・あぁわかった!」

 

 

唯ちゃんが負の感情を吹き飛ばすほどの明るさでそう言って、澪ちゃんもつられて。

私は、結局何も出来なかったと思った。

私が勝手に動いて、ライブまでもう時間がないのに不和を引き起こしてしまって、それを紬ちゃん、唯ちゃん、澪ちゃんに解決して貰って・・・。

実感する。

無力な自分を。

胸の中をどろりと思い何かがはいずる感覚。

そこに。

 

 

「千乃もありがとうな・・・千乃が律に言ってくれなかったらきっとあいつはずっとそのままだったよ」

 

 

少し上目遣いで、澪ちゃんが私にそう声をかけた。

 

 

「さすがゆっきー、お手柄だね!」

 

 

唯ちゃんの屈託のないその声に振り返り。

 

 

「本当・・・千乃ちゃんはいつでも人のために一生懸命ね」

 

 

なんで・・・なんでこんなに優しい言葉をかけてくれるのですか?

私、迷惑をかけたのに、律ちゃんにも嫌な思いをさせてしまったのに。

澪ちゃんだって・・・それなのになんで優しい言葉を・・・。

 

 

「よしよし・・・」

 

 

鼻がツンとする。

ぼやけた視界がさらにぐちゃぐちゃになる。

最近、涙腺がゆるくなっている気がします。

紬ちゃんが包んでくれるからより一層・・・。

 

 

「な、なんで泣くんだ千乃!?」

 

 

「あわわ・・・泣かないでゆっきー!」

 

 

「大丈夫よ、悲しくて泣いてるんじゃないものね?」

 

 

一生懸命に頷きます。

悲しいんじゃなくて。

でもこの感情がなんなのかもわからず。

涙は、悲しい時に出るもの。

でもそれだけじゃない。

文化祭の時にも。

 

 

「嬉しいときにだって涙はでるものよ」

 

 

そう・・・そうなのです。

私は今、うれしいんだ。

誰かのために、何かを出来たことが。

それを認めてくれたことが。

 

 

「じゃ・・・澪ちゃん、よろしくね?」

 

 

「あぁ、任せてくれ。そっちも」

 

 

「うん!律ちゃん連れて見に来てね!」

 

 

「もちろん・・・千乃、負けるなよ」

 

 

握られた澪ちゃんの手が、私を押す。

その部分から、血が沸騰するような熱さを感じました。

そしてそれは体をめぐり、今なら何でもできそうなきさえします。

 

 

「まぁ千乃にいう必要はなかったかな」

 

 

「そうね。千乃ちゃんは大丈夫よ」

 

 

どういう意味かは解らないけれど、勇気を貰いました。

そして走って去っていった澪ちゃん。

残された3人で演奏の準備をする。

ギターとピアノとボーカルという異色のトリオ。

放課後ティータイムのリズム隊がいないけど、それでも私たちは怖くなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

Side 律

 

 

 

 

「はぁ?」

 

 

今、部屋に澪がいる。

まあそれはいい。

ちっちゃいころから、澪とは付き合いが長いしもうライブまで時間がない。

なのに、不参加だとなれば部屋まで押しかけてくるとは思ってたし。

だからまあそれはいい。

すっとんきょうな声を上げてしまったのは、千乃とムギと唯の3人でライブをやると言うことに、だ。

つまり澪はでない。

 

 

「なんで澪は出ないんだ!?」

 

 

まさか私が出ないからか!?

ありえる・・・ビビリの澪だ。

そういうこともあるかと考えた。

けどやっぱりありえない。

澪は強い。

口では嫌々と言うけど、逃げたりしない。

いじめっこに立ち向かったように。

 

 

「手のかかる幼馴染のお尻をたたかないといけないから」

 

 

それは・・・その言葉は。

合宿で私が澪に言った言葉・・・。

覚えてくれてる。

そのことに無性に嬉しくなる。

ニヤついてしまう顔を隠すように布団をかぶる。

 

 

「千乃から聞いたよ。悩み、あるんだろ?」

 

 

「・・・・」

 

 

「律はバカなんだから深く考えるなよ」

 

 

「な、なんだとぉ!」

 

 

「で、その悩みはなんなんだ?」

 

 

「うっ・・・言えるか!」

 

 

千乃は言わなかったのか・・・ていうか澪のヤツ。

ツッコミをさせることによって緊張を解かせてから尋問するなんてやり手になってきたな。

 

 

「そっか」

 

 

悲しそうな顔を見せたのはきっと気のせいではない。

でも・・・こんなこと、澪にいえないよ。

 

 

「まあそれもいいさ」

 

 

そう言って、立ち上がって言う。

 

 

「明日、ライブ、行くだろ?」

 

 

「あー・・・まだわかんない」

 

 

「行こう」

 

 

力強い言葉だった。

ずるいぜ澪。

こんな時だけ、強引なんてさ。

でも・・・実際どうしよう。

千乃から言われた『強さの答え』を私はまだ見つけてない。

考えれば考えるほどよくわからない。

 

 

「2人が嫌なら、1人でもいい。だから、絶対に来い」

 

 

そして澪は帰って言った。

残された私は、うずくまるように布団に逃げ込んだ。

 

 

 

 

 




神様「本当に申し訳ない・・・」orz
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