けいおんにもう一人部員がいたら   作:アキゾノ

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大学始まると、時間が・・・グヌヌ
書くスピードはやっぱり慣れなのかなぁと思う今日この頃です。

今回は原作キャラの登場です。
「こんなの澪ちゃんじゃない!」
「律ちゃんはもっと男前や!」
「誰だ沢庵おいたやつ」
となってしまうかも知れません・・・すいません。


第1話 軽音部、結成!

Side律

「澪~、クラブ見学いこ~ぜ~」

 

「ちょっと待ってくれ。まだ荷物が・・・」

 

私は田井中律。今日から私立桜が丘高校に通うピカピカに1年生だ!

これから始まる高校生活、期待で胸が膨らむぜ。膨らんだら澪にも大きさで勝てるな!

・・・言ってて哀しくなってきた。

まぁでも、楽しみで仕方ないって言うのは本当。

高校生になった私たちは、選択肢が増えたってことだ。

勉強は難しくなりそうだけど、そこは幼馴染の澪がいるし。

バイトとかも興味があるな。修学旅行はどこに行くんだろう。

それになんと言っても、クラブ活動だ!

澪とも約束したし、軽音学部でLet’s Partyだ!じゃんじゃん叩くぞー。

まずは軽音楽部の部室に行って、入部届けを出さなきゃな。

澪のヤツは恥ずかしがり屋だから、気が変わらないうちに入部させとかないと・・・ふっふっふ。

 

「・・・・・」モタモタ

 

「・・・遅っそーーーい!こんなもんガッと鞄に詰め込めばいいんだよ!」

 

教師から配られたであろうプリントを丁寧にファイルにはさみ、折れないように細心の注意を払いながら、鞄に入れようとして悪戦苦闘している幼馴染にツッコミをいれ、代わりに入れてやった。

 

「ほら、入った!」

 

「あーーー!折れちゃってるじゃないかバカ律―っ!!」

 

ゴン

 

あいたぁ・・・ぶたれた。

丁寧に入れなおしている澪を尻目にため息をつく。

このプリント1枚に気を使いすぎてるヤツが私の幼馴染の、秋山澪だ。

澪とは幼稚園のころからの付き合いだけど、こういうところは変わっていない。

細かいというか、几帳面というか・・・だからベースとか指でちまちま弾く楽器が得意なんだろうな。

私はそんなの無理だから、豪快にドラムを叩くぜ。

 

「まったく・・・律はいつもいつも・・・」

 

もしかしたら澪も同じような事を考えてたのかも・・・。

 

「よし・・・っと。じゃあ行こうか」

 

荷物をまとめ終わった澪が私に言う。

 

「楽しみだな、澪」

 

「そうだな・・・でもクラブ見学って言ったってどこに行くんだ?」

 

「ひどい、忘れるなよ!軽音部だよ軽音部!」

 

とにかく、楽しみだ!!!

 

 

 

 

Side澪

「へ?廃部した?」

 

律が素っ頓狂な声をあげた。

私の名前は秋山澪。今日から高校生だ。

私はどちらかというと緊張しがちな性格だから、高校生活も少し不安だったけど、この幼馴染のおかげでそんな不安も一蹴された。

だから、クラブも付き合うつもりだった。

律と一緒に、職員室に軽音部の部室はどこにあるのか聞きにきたんだけど、どうやら廃部になっていたらしい。

目の前の美人な先生が言う。

 

「正確には廃部寸前ね

昨年度までいた部員は、みんな卒業しちゃって・・・今月中に入部しないと廃部になっちゃうの」

 

なるほど。メンバーを集めればいいわけだ。

・・・知らない人に声をかけるなんて、考えただけで足が震えてしまう。

隣で呆然と立ちすくんでる律。無理もないか。あれだけ楽しみにしていたもんな。

 

すると他の生徒が職員室に入ってきて、どうやらこの先生に用があるらしく。

 

「ごめんね。呼んでるから」

 

そういって、頑張って!と手を振り去っていく。

まだ律は動かない。

 

「きれいな先生だったなー。

でも廃部なら仕方ないな。じゃあ私は元から入りたかった文芸部に・・・」

 

そういった私の襟首を掴んで律は。

 

「誰もいないって事は、今入部すれば私が部長・・・ふふ、悪くないわね」

 

落ち込んでたんじゃなかったのか!?

さすが律・・・図太い卑怯だ。悪い顔が似合ってる。

だけど・・・それでこそ律だ。落ち込んでるよりこっちのほうがずっと律っぽいな。

 

「とりあえず、前使ってた部室に行こう!そこで作戦会議だ!」

 

私の手を取って、引っ張っていく律。

きゅ、急に走るな!

 

 

 

そして部室に到着。

まさか、最上階だったとは・・・疲れた。

 

「まぁまぁの部室だな」

 

「はぁはぁ・・・何様なんだ・・・」

 

「よし、まずは部員集めからだな。手当たり次第ビラでも配るか」

 

!!!???

 

「・・・知らない人にか?」

 

「当たり前だろ?この学校に知り合いでもいるのか?」

 

「むむむ無理に決まってるだろ!」

 

は、ハードルが高すぎる!

 

「高校生にもなって・・・」

 

はぁ、とため息をつかれる。わかってるんだけど、変わろうとはしてるんだけど、急には無理だ!こういうのは時間をかけないと・・・。

 

そこに第三者が現れる。

 

「あのー・・・見学したいんですけど・・・」

 

うわぁ・・・綺麗な人だ・・・。地毛なのか黄金色のウェーブのかかったロング。

触らなくてもわかる、あの髪は最高品質だ。女性の私からしても美人だとはっきり口に出来る。

そしてなによりも纏っているオーラ。一挙一動が洗練されたお淑やかな動きだ。

時代が時代ならお姫様と間違えてしまうほどだ。

 

「軽音部の!?」

 

そんな珠の様な、芸術品と言っても差し支えない女の子に、律は飛びついた。

 

「いえ合唱部の・・・」

 

「軽音部に入りませんか!?今部員が少なくて・・・」

 

「こら!!」

 

手を取ってまくしたてる律に私は大声を出してしまう。

 

「そんな強引な勧誘したら迷惑だろう!!」

 

ただでさえ相手は知らない人なんだし、合唱部目当てできたんだから。

 

ずるずると律を引き剥がす。

 

「それじゃ、私も文芸部に行くから」

 

第三者がきて、びびったわけじゃないんだからな。

 

「澪っ!!あのときの約束は嘘だったのか!?

私がドラムで!澪がベース!2人でずーっとバンド組もうって!!」

 

その言葉に、私は戸惑ってしまう。

こんな真剣な律、久しぶりかも・・・。

 

「律・・・」

 

「それでプロになったらギャラは7:3ねって」

 

「捏造するな!!」

 

前言撤回。頭を叩く。ちょっと真面目な話をすればすぐに茶化す。

 

「ぷっ・・・くすくす・・・」

 

なんだろう、と見てみれば、さっきの女の子が笑っている。

恥ずかしいところを見られてしまった。

 

「なんだか楽しそうですね。キーボードくらいしか出来ませんけど、私でよければ入部させてください」

 

おかしそうにクスクス笑う女の子は私たちに向かってそう言った。

 

律は満面の笑みを浮かべて

 

「ありがとーっ!!これであと一人入部すればっ!!廃部は免れる!!!」

 

その言葉に。

 

「・・・私はもう人数に入ってるのね・・・」

 

文芸部、入りたかったんだけどな。でも、バンドも面白そうだし。

なんだか素敵な出会いがありそうな気がする。

・・・っは!?まさか運命の・・・いい詩が浮かんできた。

 

「あとはギター!それにボーカルがいれば完璧だな!!さっそく勧誘だ!職員室でビラ作るための紙とか貰いに行こう!」

 

 

 

Side紬

 

今日は高校の入学式。

自分で言うのも恥ずかしいけど、親が大金持ちです。

そのせいか、幼い頃から英才教育を受けさせられ、何をするにも親の意向に沿ってきました。

でも、私は人形じゃない。両親のことは尊敬してるし、大好きだけど、私の人生は私が決めたい。

そう思い、親が進める学校ではなく、自分の意思で桜が丘高校へ入学しました。

今までのような、周りも同じようなお嬢様ばかりの学校ではない、ここでなら、私をお嬢様だって知ってる人もいない。

レッテルではなく、ありのままの自分で見てくれるはず。

凄く楽しみでした。

そして、入学式のあと、私は合唱部に入ろうと音楽室を訪れました。

けど、そこで私を待っていたのは素敵な出会いでした。

お嬢様、だから私に話しかけてくるのではなく。

人数が足りないから。私は笑ってしまいました。そんなことは初めてだったから。

軽音楽、やったことはありませんでしたが、凄く興味を持ってしまいました。

まったくの新しい世界が目の前に広がっている。親に進められた道ではない。

お嬢様というレールでもない。

普通の、女の子。私が求めていたもの。

目の前の2人の女の子たちは、お互いを信頼しあっているんでしょう。

私も、そんな2人が羨ましくて、仲間になりたいと思ったんです。

だから、入部を決めました。

田井中律さんと、秋山澪さん。今はまだ、苗字で呼び合う仲だけど、

いつか、私も気軽に名前で呼び合える仲に・・・フンスフンス

 

 

そして今、部員を集めるために、ビラを作るため、材料を職員室に貰いにいってる途中です。

・・・私が材料を用意するっていうのは駄目なのかしら。

 

 

3人で廊下を歩いて、職員室へ向かっている途中。

会話が続かない・・・。

秋山さんはずっと下を向いて、それを田井中さんが仕方ないなって顔してるみたいです。

・・・さっきまであんなに楽しそうに話してた2人になんだか申し訳ない気分です。

気まずいです。

 

 

何か喋ろうと口を開くのですが、それは声にならず。

田井中さんも困った顔をしてるみたいで。

もしかして、私、いないほうがいいんじゃ・・・

知らずに迷惑かけてるんじゃ・・・嫌な想像は止まらないものです。

 

その時、何か聞こえてきました。

これは・・・英語?

 

「なんか聞こえないか?」

 

田井中さんもそう思ったようで。

 

「英語・・・ですね。」

 

「ていうかこれ、歌じゃないか?」

 

田井中さんの言葉に、秋山さんも口を開き。

 

「綺麗な・・・声だな」

 

さっきまで下を向いてばかりだった秋山さんが、耳を澄ましてそう答える。

 

歌・・・確かにメロディがあって、綺麗な声です。

 

「Let It Be」

 

流暢な英語。けれど驚くべきところはそこではなく。

力強く、ぶれずに、声量がある声。

そしてなによりも、感情をそのままぶつけてくるような、鬼気迫る歌声。

うまい。本当に上手い。

 

 

心に、直接、語りかけるように、何度も何度も、そのままでいい、と歌うその声は。

私の心にあった、わだかまり。

自分で勝手に作った氷を溶かしていく。

 

 

そのままでいい、そのままで行こう。

私は、勝手に、救われていくのでした。

 

 

 

 

Side律

 

急に聞こえてきた歌に、私達3人は、足を止め、聞き入っていた。

うまい。

素人の私でもわかる。ただ上手いだけじゃなく・・・なんていうか・・・特別な上手さっていうか・・・まるで、歌うために生まれてきたような・・・あー!ボキャブラリーが無いからうまい言葉が見つからん!

でも、歌が好きなんだなって、めちゃくちゃ伝わってきた!それだけは確かだ!

英語の意味はわからないけど、心があったかくなる。

さっきまで、琴吹さんに緊張していた澪も目をキラキラさせている。

・・・正直に言うとさっきまで、かなり参ってた。

澪は初対面の琴吹さんに緊張して、琴吹さんはそれに呼応するかのように気持ちが落ちていって。

話せばきっと仲良くなれる。それは絶対だ!

だけど時間が短すぎて。急には仲良くなれなかった。あの澪ってこともあるし。

だけど、その重かった雰囲気が、いまでは嘘のように消えていた。

3人で一緒の空間を共有している。

それもこれも、この歌のおかげだった。

 

そして、歌が終わったようだ。

もっと聞きたいと思った。

!!!!

いいこと思いついた。

 

 

 

 

Side澪

 

私は、今、凄く感動している。

ついさっきまで、私は初対面の琴吹さんに対して、失礼な態度を取ってしまっていた。

いくら緊張していたからって、ずっと下を向いて極力目をあわさないようにしていたんだから。

本当に、こういうところを治したい。

でも、聞こえてきた曲。

これはたしかBeatlesのLet It Beだ。

誰が歌っているんだろう。そう思うや否や、そのうまさに驚いて聞き入ってしまった。

時に弱く、哀愁を込めて。

時に強く、叫ぶように。

 

そのままでいい、そこに答えがあるだろう

 

私は、比喩ではなく、泣いてしまっていた。

こんなこと初めてだった。

哀しくもない。痛みも無い。

なのに涙が溢れてくる。

 

抑えきれない、そう聞こえたような気がした。

そして感情の塊、『歌』が、私の体全部にぶつけられ。

 

そして、気づいたら、歌は終わっていた。

 

 

しばらくの間・・・誰も声を出すことが出来ずにいた。

余韻に浸っていたのかも知れない。

 

そして

 

「田井中さん、秋山さん。こんな時になんだけど、これから3年間、バンドの仲間として、よろしくお願いします」

 

と、琴吹さんが手を差し出してきた。

 

私も。

 

「こちらこそ、よろしく。・・・さっきはごめん・・・私、人と話すのが恥ずかしくて・・・」

 

「そんな、気にしないで」

 

律が笑ってた。

 

「よっし!今からが本当の軽音部の活動開始だ!」

 

肩を組んでくる律。

それを嬉しそうに受け入れる琴吹さん。

もちろん、私だって。

 

「でさ、私にいい考えがあるんだ」

 

ニヤっと笑い、私たちを抱き寄せる。

 

 

 

 

 

「今歌ってたやつ、ボーカルで軽音部に入ってもらおうぜ!!」

 




神様「ずうとるびwwww」

今回、びーとるずのれっといっとびーを作中で紹介しました。
この曲は大好きで、父が幼稚園児だった私に聞かせ続けてきた曲のひとつです。
最近、似た曲名のものが出ましたが勝手にびっくりしてました。

ようやく、原作キャラでてきたでぇ・・・。
大学とバイト、猟銃免許取得とか色々ありますが、次もなるべく早く投稿できるように頑張ります。

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