次もなるべく早めに投稿できるように頑張ります。
Side 律
あの歌を聴いてから、歌ってたやつのことばかり考えてた。
昨日アレだけ探しても見つからなかったんだから何か策を講じるべきか・・・。
とりあえず、いろんなクラスを回ってみるか。
名探偵もびっくりな私のスーパー頭脳によると、あの歌ってたやつは私とおなじ1年生である可能性が高い!
合唱部の先輩らがその存在を知らなかったこと。
入学式で学校には2年生、3年生らの上級生は手伝いに来てた少ない人数しかいなかったこと。
そして何よりも、私の勘がそう言っている!!!
・・・最後のは澪とムギには言わないほうがいいな。
なんか白い目で見られそうだ。
とにかく、同学年だってんならクラスを回れば見つかるはずだ。
うかうかしてたら他の部に取られるかも。
放課後は澪とムギにも言って手分けして捜すとしよう。
記念すべき軽音部4人目は、君に決めた!
「むむむむムリに決まってるだろう!!」
澪がそう言う。
放課後になり、クラスを手分けして探そうと提案し、ムギは快く了承してくれたのだが・・・。
澪め。
どうせ恥ずかしいって言いたいんだろう。
「あのなぁ・・・別に悪いことするわけじゃないんだ。人を捜すだけ」
「知らない人に話しかけるなんてムリだ!!」
言い終わる前に澪が喰い気味に。
しかし・・・澪の人見知りは昔から知ってるけど、直らんもんかね。
「まぁまぁまぁまぁ」
ムギがたしなめる。
「律ちゃんの考えは名案だけど、澪ちゃんが出来ないって言うなら無理強いは良くないと思うわ」
っぐ。
ムギに言われると反省してしまう。
「でも澪ちゃんも、勇気を出さなきゃいつまでも無理なままよ?」
申し訳なさそうに澪を見る。
それに対して澪もなんだか申し訳なさそうな顔をする。
「だから最初はみんなで一緒に回りませんか?チラシも作ってきたことですし」
そう言って、ムギは昨日放課後に立ち寄ったファーストフード店で考えてたビラを取り出した。
その言葉に澪はぱっと笑顔になった。
「そ、そうしよう!最初はみんなで、なっ!律!」
はいはい、わかりましたよ。
「とりあえず、職員室でコピーしてもらうか~」
「あ、なら私が行ってくるよ」
澪が立候補する。
澪は澪なりに積極的になろうとしてるのかもな。
もう少し、サポートしてやるか。
「気をつけろよ澪ちゅわん。知らない人について行ったらだめでちゅよ」
「うっさいバカ律!」
ぶたれました。
ムギがくすくす笑ってる。
ま、結果オーライだな。
Side 澪
まったく律は・・・私が人見知りなの知ってるくせに。
知らないんだろうか、私みたいな繊細な心の持ち主にそういう行為は逆行為だって事。
でも、ムギの言うように無理だといってても何も変わらないってこともわかってる。
わかってるつもりなんだけど。
勇気が出ない。
知らない人と話すって考えただけで足が震えてくる。
なんでこんなんなんだろう。
律みたいに誰とでも話せるようになりたい。
・・・私みたいな人間っておかしいのかな。
人見知りな人は多分いっぱいいるとは思うけど、ここまで極端な人はいないものなのかな・・・。
1年3組の教室の前を通りかかったとき、体のおっきな女の子の足元に荷物が散らばってるのが見えた。
いや・・・正確に言うならば、その体の大きな子の陰に隠れていた、小柄な女の子の荷物だとわかった。
て、手伝う・・・もし断られたらどうしようかな。
でも、私も変わりたいって思ったから。
これはその一歩・・・!
「大丈夫ですか?」
そう声をかけると、女の子が顔を向ける。
か、かわいい。
なんていうのか、まるで絵本の中のお姫様みたいだって思った。
ムギのように高貴なイメージじゃなくて、いや、そんなイメージもあるんだけど、なんだろう・・・。
人形のような美しさっていうのかな。
肌も雪原みたいだし、髪の色も天気のいい日に見える、宇宙に限りなく近い空の色みたいだ。
目もパッチリ大きいし、まつげも長い・・・。
有名な絵からそのまま出てきたって言っても信じてしまうかも。
「あああありがとうございまっす」
そんな女の子から、考えられないような返事が返ってきた。
すごく緊張してる、のかな?
だったら私と同じ!
・・・ここまで私はひどくない、と信じたい。
でも、この子も私と同じで、人見知りなのかも。
「そ、そうですよね!?普通初対面の人と話すと緊張しますよね!?」
仲間を見付けたような感覚になって嬉しくなり、その後に律のこととか私の体験談を喋ってしまった。
なんだか、話しやすかった・・・?
あ、名前を聞いてない。
せっかくいっぱい喋れたのに。
後でこのクラスにもう一度勧誘に来ようかな。
なにかクラブやってるのかな。
それに、どこかで聞いたような声・・・だったかも?
Side 律
澪が帰ってきて、なにやら興奮している。
どうやら初対面の人と随分話し込んできたようだ。
本当かどうかあやしいけど、私だってやれば出来るんだって言うドヤ顔がちょっとムカツク。
でもまぁ、それで澪の自信に繋がるならいいことだ。
ムギも興奮してるようで、詳しく話を聞いてる。
「おーい、お2人さん。そろそろ勧誘に行きたいんですけどー?」
「あ、ごめんなさい。その女の子のこと気になっちゃって」
「そうだ律!先にその3組に勧誘に行かないか?私が人見知りを克服したことを見せてやる!」
「はぁ・・・別にいいけどさ」
「よし!行こう!」
・・・こういうのフラグって言うんじゃなかったっけ?
「・・・・いない」
ほらやっぱり。
フラグ回収早いなー。
とりあえず、おろおろしてる澪も回収するか。
「澪・・・大丈夫だから、本来の目的を果たそうぜ?」
な?と問いかけると。
「本当にいたんだ!嘘じゃないんだ!」
「えぇ・・・澪ちゃんを疑ってない、わ、よ?」
「信じてくれー!ムギ!律!」
「わかったわかった。追い詰めすぎたよ。澪はそのままでいいからさ」
「本当なんだー!」
いじめすぎたかね。
でも、時間を取られたんだ!
これくらいしたってバチはあたらないはず。
さぁ、ここからが本番で、人探しだ!!!
絶対に見つけるぞー!
結果から言うと、何も手がかり無しだった。
誰もそんな人知らないっていうし、その歌自体、聴いてないって。
確かに入学式で、時間も結構遅かったけど、こうも目撃証言がないとは・・・。
くそぅ。
澪はまだショックから立ち直ってないし、ムギも残念そうな顔してる。
「あと一週間もないし・・・他の人を勧誘したほうがいいんじゃないかしら」
「う~ん・・・」
「部員を確保してから、ゆっくり捜すほうがいいのかも」
確かにムギの言うこともわかる。
むしろそっちのほうが現実的だ。
でも、早く見つけたいって気持ちがある。
早く見つけてあげたいって。
なんでそう思ったのか、自分でも良くわかってない。
でも、昨日あの歌を聞いてから、ずっとそんな風に思ってる。
うまかった。
鳥肌がたった。
それで軽音部が結束された。
でも、それ以上に、はやく仲間に入れてあげたいって思ったんだ。
だって、悲しそうな気がしたから。
なんでそう思ったかは・・・やっぱりわからない。
強いて言うなら、勘だ!
・・・本当だぜ?
とりあえず、作戦会議のために部室に戻るかー。
「ねぇ律ちゃん。」
「どしたー?」
見つけられなかったガッカリ感に支配されてる私にに、今なにを言っても無駄だぜー。
「何か聞こえない?」
「何かって・・・」
耳をすませてみる。
・・・もしかしてこのパターンは。
もしかして・・・もしかして!
「これって歌だよな!?」
「うん!それに多分あの歌の人かも!」
実際には誰が歌ってるかまではわからなかったけど、こうなりゃ賭けてやるぜ!
「どこだ!?どこで歌ってるんだー!?」
外か!?
教室か!?
屋上か!?
「これ・・・軽音部の部室じゃ・・・」
「・・・っえ!?」
なんで!?
ウソだろ!?
現在、階段の二階。
あと少し上がれば軽音部の部室につく。
澪も我に返ったようで。
3人で急いで部室へ向かう。
ドアの前に、なぜか私達はこっそりと覗くような感じで中を見る。
すると、そこには女の子が1人、歌ってた。
ここを軽音部の部室と知っているのかそうでないのか。
私たちが荷物を置かずに、勧誘に回ってたから今は無人のままであったからおそらくは知らなかったんだろう。
なんてチャンスなんだ!
極上の獲物が自ら口に入ってきた気分だ!
ぐへへへ!
でも、本当に昨日歌ってたやつか?
部室は防音が結構しっかりしてて、あんまり外に漏れないからわからないな。
・・・ここは律ちゃん様に任せなさい!
少し、ほんの少~しだけドアを開ける。
すると聞こえてきたのは紛れもなく昨日の声の持ち主だった。
歌ってる曲は、聴いたことない曲だった。
でも、なぜか優しい気分になる曲調に。
あの女の子の優しくて、囁くような歌声が完璧に調和してる。
歌詞も、誰かを応援してるような歌で。
励ますように、慰めるような、そして愛する人への歌詞で。
優しさと切なさをまるごと包み込むような、そんな歌詞。
・・・あーもう!最初から聞きたかった!
だけどわかった。
あの女の子が昨日、歌ってたやつだ!
そして、やっぱりどこか寂しそうだ。
悲しそうだった。
その理由はわからない。
わからないから知りたい。
そんなに悲しいなら、そんなとこで1人で歌うなよ。
私と・・・私たちと一緒にバンドやろうよ・・・。
口出そうとして、止めた。
まだ歌ってるから。
まだ聞いていたかったから。
夕日が差し込むこの部屋で、1人歌う彼女の姿は神秘的で。
時間も、場所も、何もかもを通り越して、香る愛しい人。
まさに彼女は歌をその折れてしまいそうな華奢な体いっぱいで表現をしている。
見れて良かった。
聞けてよかった。
歌い終わった女の子は、ゆっくりと息を吐き、よし!と顔をたたく。
私たちは気づいたらそのドアを開け放ち、走りよっていた。
「軽音部に入部してくれないか!?」
「さっき3組の前で会ったよね!?」
「美味しいケーキがあるんだけど!」
「!!!???」ビクッ
誰も聞いていないと思って歌ってたんだろうから、急に話しかけられて飛び跳ねるようにこちらを向く。
顔が見る見るうちに赤くなっていく。
な、泣き出した!
やばい!
どうする!?
どうすんの私!?
あれから5分・・・ムギが機転を利かして、とりあえずはイスに座らせて。
ムギ持参の多分高級な紅茶を両手でくぴくぴと飲んでる。
泣き出したときはびっくりしたけど、よく見れば・・・よく見なくてもかなり可愛い。
この容姿で、あの声の持ち主・・・アイドルか!
羨ましい・・・私はガサツだからな。
でも羨ましい以上に、すごいと思った。
だから、絶対にバンドに・・・ギラリ
「どう?美味しい?」
ムギが満面の笑みでそう尋ねる。
なんか上機嫌だ。
私だってそうだ。
さて・・・こっからどうやって入部させるか。
「・・・プハ。えっと、美味しい・・・れす。」
「あらあらまあまあ!」
・・・なんでムギ、こんなに喜んでるんだ?
まあいいか。
「え~っと・・・名前聞いていいかな?あ、私は田井中律!」
「琴吹紬です」
「秋山澪です。あの・・・さっき・・・」
ええい!
今はその話はいい!
「あえっと・・・湯宮千乃です・・・」
おなかの辺りで指をもじもじと絡ませながら言う。
あんまり、人と話すのが得意じゃないのかも。
澪と一緒だな。
なら、押しに弱いはず・・・!
「湯宮さん!軽音部に入部しない!?今、部員集めてるんだけど後1人いないと廃部になっちゃうんだ!さっきの歌も感動した!昨日も歌ってたでしょ!?本当は昨日も大声で探してたんだけど見つからなくてさ!だから・・・」
言いかけて、ぎょっとする。
何故また泣く!?
目から大粒の涙が今にも零れ落ちそうだ。
けど、それを落とすまいと必死にこらえてる。
不謹慎だけど・・・か、かわいい。
ムギが隣でなんか息が荒くなってる。
澪もなんか赤くなってる。
もしかして私も!?
わからない・・・どうしたらいいんだ!?
神様「ムギwww」
また台風が接近とか・・・。
ムギちゃんは私の中でこういうキャラだと思ってます。