皆様、よろしくお願いします。
タクシーの仕事は、基本的に客商売である。
この仕事を始めてから既に12年ぐらい経っていた。
気づけば、俺も既に34歳のおっさんとなっている。
「まぁ、とりあえずは、あいつが立派になった事を喜ぶべきか」
そうしながら、既に最後の客を乗せようとしていた。
「お客さん、どちらまでって」
俺は、そう、乗せた相手を確認するように振り返る。
すると、そこにいた相手は、俺にとっては予想外の人物であった。
「久し振りだね、片木君」
そう、俺に話しかけてきた人物に対して、驚きを隠せなかった。
「・・・久し振りだな、是之助さん」
その人物、飛電是之助が客として、乗ってきた事に対して、驚きを隠せなかった。
飛電是之助。人工知能搭載人型ロボット「ヒューマギア」を開発・派遣するサービスを展開している大企業飛電インテリジェンスの社長。
「・・・とりあえず、目的地まで言ってくれないか?」
「そうだな、それじゃ、私の家まで頼めるかい?」
「分かった」
それと同時に、俺とこの人はとある繋がりはある。
「或人は元気にしているかい?」
「今では、芸人となって活動しているよ。あの人の言葉に従ってな」
「そうか」
或人。
それは、俺が少し前まえで親代わりに育てていた青年。
今では独り立ちをしているが、少し前までは、俺が世話をしていた。
といっても、保護者代わりのような物ではある。
「君も相変わらずの様子で何よりだ」
「それはどうも。というよりも、あんたは会いに行かないのか?孫なんだろ」
「果たして、私に会う資格があるのかどうか」
「資格なんて、考えている暇があったら、さっさと会えば良いだろ」
「そうもいかない。既に、戦いが始まろうとしている以上は」
「戦い?」
俺はその言葉に思わず首を傾げる。
「君は、もしも再び、ヒューマギアが暴走するとしたら、どうする?」
「・・・さぁな、暴走する時もあるんじゃないのか?人間だって、機械だって、失敗する時はある」
「それが、悪意のある者によって引き起こされるとしたら」
「何が言いたいんだ?」
俺はそう、是之助さんに問いかける。
「12年前の悲劇が、再び始まろうとしている」
その言葉を聞いた瞬間、俺は思わず、ブレーキを踏んでしまう。
幸い、信号機が赤になっていたので、問題ないが。
「まさか、デイブレイクが起きるとでも言うのかっ」
それは、俺にとっては、忘れられない記憶。
12年前。
大学を卒業したばかりの俺は、すぐに就職活動を行っていた。
その一つとして、訪れたのが、今はデイブレイクタウンと言われている実験都市だった。
「あの悲劇を知っている君ならば分かるはずだ。あの悲劇が再び起きれば、人類は過ちを犯してしまう」
「・・・」
「ヒューマギアを止める為にも、力を貸して欲しい」
「ヒューマギアの為か」
その言葉と共に、俺は思い出すのは、決して忘れてはいけない恐怖。
実験都市において、俺は暴走したヒューマギアに襲われた。
ただの一般人である俺が、暴走したヒューマギアに勝てる訳はなかった。
逃げるしかなかった。
「あなたも知っているはずだ、俺はヒューマギアの事が怖い事を」
「あぁ、君が体験した事を考えれば、それも理解出来る」
俺の経歴を知っていて、その事を言うとは、是之助さんもとんでもない人物だ。
いや、この時代で、会社の社長までなった人ならば、これぐらいは出来るのだろう。
「だけど、同時に、君は知っているはずだ。ヒューマギアの可能性を」
「・・・」
それと同時に、俺が思い出したのはもう一つの、決して忘れてはいけない恩。
暴走したヒューマギアによって、俺は死にかけた。
このままでは不味い。
そう思った時だった。
「逃げろ」
聞こえた声。
それと共に、俺を助けたのは、ヒューマギアだった。
それは、後の事件の顛末を聞かされれば、デイブレイクタウンを爆破させた張本人。
しかし、同時に、人類とヒューマギアの両方を救った英雄。
ヒューマギアである飛電其雄によって。
「だから、俺は或人を育てた。けど、或人を戦わせる為に育てた訳じゃない」
「あぁ、分かっている。だが、私の中では、最も可能性があると思っている」
「可能性だと?」
そう、俺は問いかける。
「人間とヒューマギアの境目。生命と機械。
その違いを、今の人々のほとんどは差別的に考えている。
君も、其雄がきっかけでなければ、ヒューマギアをただの機械だと思っているだろ」
「否定はしない。だけど、それがなぜ或人に」
「或人は、ヒューマギアである其雄に育てられた。当時、父親がいなかった或人の親代わりになって貰いたいと願って。いや、私自身が、もしかしたらもう一度、息子を失う恐怖を味わいたくない為に、押しつけてしまったのかもしれない」
「実体験、だからこそ、人工知能特別法第6条だろ」
それに対して、是之助さんは、頷いた。
「だが、或人は、其雄に育てられ、ヒューマギアも一つの命と見てくれる。それが、これから訪れる悪意に立ち向かえる力となる」
「だからこそ、戦わせるつもりなのか」
「あぁ、身勝手なのは分かる。だが、私はもう」
そう、自身の心臓に手を当てる。
「長くない。身勝手なのは分かる。だからこそ」
「もぅ良いよ」
それだけ言い、目的地に辿り着く。
「・・・あんたの言いたい事も分かる。俺が勝手に言う事でもない。けど」
俺はそれと共に、ゆっくりと息を吐く。
「もしも、それが少しでも良くなるんだったら、俺も手伝ってやるよ」
「・・・ありがとう、そして、これを」
是之助さんは、そう言い、俺の方に渡してきた。
何かと思い、見ると、それはスーツケース。
スーツケースの蓋を開けてみると、そこに入っていたのは二つの物。
一つは、近代的なナイフと呼んだら良いのだろうか。もう一つは何やら四角い箱のようだけど。
「一つは、飛電カリバーライザー。もう一つは、プログライズキー。
この二つが、君を仮面ライダーに変身させる」
「仮面ライダー?」
聞いた事のない名前に、俺は首を傾げる。
「それって一体」
そうしていると、是之助さんは。
「後は頼んだよ」
その一言と共に、料金は支払われ、そのまま自宅へと入っていった。
「・・・仮面ライダーか」
未だに、俺に何が出来るのか、疑問ではあった。
だが、その数日後、是之助さんが亡くなった事がニュースで流れた。
「・・・始まるのか」
あの時から、既に戦いは始まろうとしていた。
タクシーには、それを示すように、カーナビでその場所を示されている。
俺は、そのカーナビで示された場所へと向かう。
その向かった場所。
その先にあったのは、戦場だった。
「・・・本当に、起きているのか、あの時と同じ出来事が」
そして、その場所は、俺も知っている。
或人が、今、働いている遊園地である。
俺は、そのまま、降り立つと共に、そのまま走る。
すると、そこには見た事のない軍人だと思われる者達がおり、彼らが戦っているのは、かつて暴走したヒューマギアと同じだった。
その中で、1人の女性がヒューマギアに襲われそうになっていた。
「危ないっと」「っ」
俺は、その人物の前に出る。
動きは全て、カリバーライザーが自動的に行ってくれる。
自然な動きで、ヒューマギアのナイフを受け止め、そのまま流れるように。
「・・・悪いな、成仏してくれ」
その一言と共に斬る。
「お前は」
「・・・まぁ、ただのタクシー運転手だ」『ハリケーン』
それと共に、俺はストーミングペンギンプログライズキーを起動させ、そのままカリバーライザーに装填する。
『Kamen Rider…Kamen Rider…』
鳴り響く音声と共に、俺はそのまま腰にあるドライバーにカリバーライザーを装填すると共に。
「変身」『スラッシュライズ!Spining cyclone!ストーミングペンギン!』
鳴り響いた音声。
それと同時に、俺の身体が変わる。
ブレード状の頭部アンテナが特徴的であり、その身体は、ストーミングペンギンに合わせて、青い。
「仮面ライダーだとっ」
先程、俺が助けた女性は、どうやら名前を知っているようだ。
だけど、今は。
「こっちが先だな」
俺はすぐに、カリバーライザーを手に取り、構える。
カリバーライザーを右手に、左手を地面に置く。
周囲を見れば、被害は大きい。
ならば、被害を最小限する為に。
『ハリケーン』「演算開始」
同時に、カリバーライザーに集まるのは風。
脚からも噴射させる風。
「ルート確認、エネルギー充填完了」
それと共に、カリバーライザーのボタンを押すのがスタートとなった。
周囲にいるヒューマギア達は、こちらを向く。
しかし、それらのヒューマギア達に向けて、次々と斬り裂いていく。
一撃で。
必殺で。
苦しみもないように。
全てを斬り裂き終えると共に、そのまま、俺は着地すると共に。
『ハリケーンレイン』
鳴り響く音声を最後に、その場にいた全てのヒューマギアは、そのまま真っ二つと斬られる。
その残骸を見届けると共に。
「待て、お前は一体」
そのまま、こちらの方に構えるのは、その場にいた特殊部隊の人物だろう。
「言っただろ、俺はただのタクシー運転手。そうだな、あえて名乗るとしたら」
俺は思い出したように、この仮面ライダーとしての名を伝える。
「仮面ライダーナビだ」