「ふむ…では特典はそれでいいのだな?」
「はい!よろしくお願いします!」
「良いだろう、お前が産まれたと同時に特典が適用されるようにしよう。」
「さて、そろそろ時間だな。
それでは第二の生を楽しむがいい」
………
「おぎゃあ!おぎゃあ!」
「あ!お母さん産まれましたよ!元気な男の子です!」
ここはイッシュ地方のヒウンシティにある病院内
そこで新たに小さな生命が産まれた
母親である人物はその小さな生命を抱き上げる
「産まれてきてくれてありがとう…」
こうして、とある夜更けに産まれた生命は母親に祝福されながらこの世に生を受けたのであった。
………
同時刻 シッポウ博物館でのこと
「…なんだ?!」
既に営業も終了し、館内にはジムリーダーであるアロエのみとなっていた。
そんな客もおらず暗い屋内で突如大きな光とともに地響きが起きた。
ジムリーダーは急ぎ光の見えた方向である展示室へと向かう。
するとそこには一体の大きな黒いポケモンが雷鳴とともに鎮座していた。
黒いポケモンがいた場所には今までダークストーンが展示されている場所であった。
「まさか…ゼクロム?!」
かつて存在した伝説のポケモン
今ではその身をダークストーンへと変えて眠りについたといわれていたが…
それが今目の前に蘇ったのだ
黒いポケモンは当たりを見回し出口を見つけるとその方向に歩き出した。
「?!ま、待ちな!」
動き出したポケモンを見たジムリーダーは静止を呼びかける。
何故、突然蘇ったのかは分からないがともかく外に出すのはマズイ
暴れでもされれば街が壊れかねない
そうしないためにもここで自分が止めなければ
「………。」
ジムリーダーの静止を聞いた黒いポケモンは一度ジムリーダーへと視線を向けたあと少し考えた様子を見せたあとに、得心が行ったような顔をした。
そしてジムリーダーの方に体を向ける。
「…!」(来るか?!)
ジムリーダーもいつでも戦えるようにとモンスターボールを構える。
「バリバリダー」
少し変わった鳴き声をしながら頭に手を伸ばし、乗っかっていた物をジムリーダーに手渡す。
「へっ?」
手渡されたものを見てジムリーダーは困惑する。
おそらく目覚めたときに乗っかったままであった展示用のガラスケースを手渡してきたのだ。
思わず手を伸ばし受け取ってしまう。
「えっ、ちょっ」
それを見た黒いポケモンは体を反転させ出口へと向かっていく。
ご丁寧に展示品を避けて
そして外に出ると青い光を出しながら飛んでいってしまった。
館内に残ったジムリーダーは全身を脱力させその場に座り込んだ。
「なんだったんだい…今のは」
………
それから数日が経ったとある昼下がり
ヒウンシティにある病院
母子ともに健康であると判断されたとある家族たちが退院手続きを終え自宅に帰ろうとしていた。
「〇〇くーんこれから私達のお家に行きますからね〜」
一人の赤子を抱えた母親が優しく赤子に話しかける。
赤子はそれに答えるかのように顔をほころばせる。
口元がふにゃふにゃになっていた母親は赤子の顔を見てさらにふにゃふにゃになる。
もうふにゃふにゃすぎてよくわからないぐらいになっていた。
「退院おめでとうございます。お子さんとお幸せに。」
共についてきていた看護師はそう母親である女性に話しかける。
さらに続けるように
「そういえば最近、シッポウシティの方でポケモンのような黒い影が飛び去っていったそうですよ
そのままリュウラセンの塔の方向に飛んでいったらしいですけど」
「あら、そうなんですか?
まぁ自宅の方向とは逆ですから問題ないですけど…」
自分が入院している間にそんなことがあったのかと聞きながら出口へと向かう。
「もしポケモンが来てもお母さんが守ってあげますからね〜」
そんなことよりも赤子の方が大事だとでも言わんばかりに視線を向け、ふにゃふにゃと破顔する。
そうして病院の出口を出ると外が何故か暗いことに気づく。
「へっ?」
看護師は驚きを顔に浮かべながら目の前を指差す。
それにつられて母親も顔を上げると
そこには黒いポケモンが自分へと視線を向けて立っていた。
「えっ…」
黒いポケモンは自分と視線を交わすと次に赤子に視線を移した。
「…!!」
そして赤子を見た瞬間に目をカッと開き、空を見上げ
「ババリバリッシュ!」と雄たけびを上げ全身から青い雷撃を迸らせる。
「「えぇぇぇ!!!?」」
母親と看護師は驚愕の声をあげる。
それを気にもせずに黒いポケモンは赤子を見る
「えへへっ!」
赤子はそんな母親の気持ちを知ってか知らずか嬉しそうに声を上げた。
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・赤子
転生者。
前世で死んだあとに神様に出会い転生することになる。
転生特典は『ゲームで持っていたポケモン達』
今世では皆と一緒に楽しく暮らすぞ〜!(無邪気)
・母親
サンギタウン在住
趣味はポケウッド鑑賞
息子が生まれた時はウッヒョー!カワイイー!絶対幸せにするー!とか考えていた。
謎のポケモンの話を聞いたときはまぁこっちには来ないでしょと思っていた(フラグ)
・看護師
ヒウンシティ在住
趣味は芸術鑑賞
子どもが生まれてめちゃくちゃ幸せそうな顔をする親を見ているときが一番生を実感する。
謎のポケモンの話を聞いたときはまさかこんな病院に来るわけないでしょと思っていた(フラグ)
・神様
赤子を転生させた張本人
産まれた瞬間にポケモン達を赤子のもとに集結させるのは流石に問題だよな…だからといって横に大量のボール置いとくのもな…
せや!関係するポケモンたちを今存在してる奴らと置き換えたろ!
とやった結果今回のような騒ぎになってしまった。
・黒いポケモン
ゼクロム
赤子が産まれた瞬間に前世を思い出し、会いに行かねばと思い復活した。
しかしいざ起きたは良いものの病院が開いてなかったし、そもそも、生まれたばかりのご主人(赤子のこと)に触れたりしたら危ないのでは?と考え、いい感じの年齢になるまではリュウラセンの塔で身を潜めようと飛んでいった。
が、結局我慢できなくなり、ご主人が病院から出た頃を見計らって飛んできた。
その後、ご主人が住んでいるところまで(勝手に)ついていき(勝手に)一緒に住んでいる。母親涙目。
・まだ見ぬポケモン達
ご主人が生まれた?!会いに行かねば…
(とある地方のどっかの研究所が爆破する音)
(とある地方で突如虹がどこかへ向かって伸びていく)
(とある地方の洞窟で古代ポケモンが蘇る音)
etc...