「「「バリバリダー」」」
「うわっ…」
「「「モエルーワ」」」
「わぁ…!」
今、私の目の前には地獄のような光景が広がっていた
一匹でさえ邪魔になるくらいのデカい奴らが、何故か3匹ずつ目の前にはいたのだ
いったい何故こうなったのか…
………
息子が10歳になり、トレーナー試験を受けることとなった
学校でも家でもしっかり勉強し今回の試験に備えていたので、試験は無事合格できた
そして昨日合格通知とトレーナー資格認定証が届いたので、今日はトレーナーカードの発行とボックスの登録をしに、ヒオウギシティにあるポケモンセンターにやってきたのであった
ポケモンセンターの2階に受付があり、そこで手続きをすることができる
息子は合格通知が来てからずっと今日を待っていたのか落ち着かない様子であった
今日なんて朝からとても元気で早く早くと私のことを急かしていた
よっぽどトレーナーになるのが楽しみだったのね
でも登録の受付は24時間やってるわけじゃないから、早く行っても結局待たされちゃうだけよ?
息子に引っ張られながらヒオウギシティに向かって歩いていく
道中草むらを通ることになるけど、ここら一帯の野生のポケモン達は、息子がデカいの達のヌシということを理解しているので、ちょっかいをかけてくることは無い
私達が通ると態々横にそれ、道を開けてくれるのだ
うーん快適、こっちに来たばかりのころは通るたびに2、3匹は寄ってきてイタズラしてきたのに、今じゃ畏怖の眼差しで平伏しかしなくなっちゃったもの
そんなわけでなんの問題もなくヒオウギシティに辿り着いた
予定通りにポケモンセンターへと向かう
「おはようございます。こちらトレーナーカード発行及び紛失時の再発行の受付になります。本日はどのようなご要件でしょうか?」
「息子のトレーナー登録をお願いします。」
「かしこまりました。それでは、こちらの用紙にお名前、住所、生年月日、トレーナー資格認定証記載のトレーナーIDをご記入下さい。」
「わかりました。◯◯、ここに座って。」
「うん!」
受付に向かい必要書類の記入を行う
息子は予め用意しておいたメモと認定証を見ながら必要事項の記入をしていった
間違いがないかとメモと書類を交互ににらめっこしている姿は何だか微笑ましい光景に見える
受付の人も一生懸命な息子の姿を見て、少し口角が上がっていた
可愛いでしょ?うちの息子のなの
「はい。書類に問題ございませんでした。それでは―」
その後も証明写真や、トレーナーカードの取扱方法、紛失時の再発行のやり方などを聞き、最後にトレーナーカードを受け取って終了となった
「じゃあ次はボックスの登録手続きね。」
「…うん。」
次はボックス登録に行こうと言うと息子は少し身を強張らせた後、何か決意をするように頬を叩いた
トレーナーカードを作ってるときはあんなに楽しそうだったのに、これはいったい?
まぁでもやる気十分といった感じなので、まぁ大丈夫でしょう
「ボックス登録手続きですね、ではトレーナーカードをお預りします。」
先程と同じように必要書類を記入し、トレーナーカードを渡すと早速登録作業を始めていた
そういえば私、登録したきり一回も使ってない
今って私の時とどれぐらい変わってるんだろ
そう思いながら数分待っていると
「はい!登録完了です。ボックスの新規開設には20分程お時間いただきますので、20分後にこちらの控えを持って再びこちらに来てください。」
「わかりました。」
「ありがとうございます。」
1枚の紙を受け取り一度、下に戻る
息子は今もまだ神妙な顔をしており、何だか元気がないように見える
そしてそれを慰めているのか、息子の腰辺りについているボールがユラユラと揺れていた
ちなみに今日はゼクロムとレシラムがついてきていた
今回も誰がついていくかの勝負をし、勝利したゼクロムは何時ものようにドヤ顔をかましていた
レシラムはというと両腕を上げ、どっかのクイズ番組で見たかのようなポーズを取っていた
コイツらは息子が何を悩んでいるのかを知っているのだろうか
それともただ、息子が元気がなさそうだから励ましているのだろうか、私には分からなかった
「ここで待ってても他の人の邪魔になっちゃうし、外でご飯でも食べよっか。」
「うん…」
ただここで何もしないでいるのも暇なので、少し早いが食事にしようと息子を誘う
息子は小さく頷き私の手を握る
握った手のひらは少しだけ震えていた
…
「はい。こちら本日から◯◯様用のボックスログインIDとしてご利用いただけます。ご使用の際の注意点は―」
昼食を終え少し休憩してからポケモンセンターへ戻った
息子もご飯を食べたら少し落ち着いたのかさっきほど顔色は悪くなっていなかった
「これで初回ログインは終了です。これ以降は一階のパソコンからいつでもご利用いただけます。専用の端末をお持ちでしたらそちらに同期を行えば、そちらでも使うことができます。」
「はい。ありがとうございました。」
「ありがとうございました。」
最後に色々説明書や、パンフレットみたいなのをもらって、無事終了となった
はぁ…これで遂に息子が旅に出る準備が出来てしまったのね…
行かせたくないなぁ…このまま家にいてほしいなぁ…って、またダメになってたわ
そういえばさっきの落ち込んでたのはなんだったんだろ
息子は早速とばかりに下へ降りるために走り出していた
とても楽しみにしていたから、もう居てもたってもいられなかったんだろう
私は息子に転ばないようにと注意しながら、走って降りていく息子の後ろをついていく
息子は回復施設の横にあるパソコンの前に到着すると早速パソコンを起動した
期待するような目で身を乗り出すように画面を覗いている
「◯◯ー、あまり画面を近くで見すぎると目が悪くなるわよー。」
「…いた」
「え?◯◯?」
「…っ!よかったぁ〜」
「え?え?」
息子はパソコンの画面を見て目を見開くと、全身から力を抜いてその場に座り込んだ
突然の行動に私は驚き、急いで息子の下にまで駆けつける
息子を心配しながらも、私も画面が気になりそちらに視線を向けてしまう
「…へ」
その画面には既に沢山のポケモンで埋まった状態のボックスが映っていた
しかもそこに写っているのは全く見たことのないポケモンや、見たことはあるが知っている姿とは色の違うポケモン、そして…
「ゼクロムが2匹…いる…」
そう、あの憎き黒いのが画面に映し出されていたのだ
しかも2匹も
私は画面上部を見る
間違いないこれは息子のボックスだ
息子のボックスは先程作ったばかりなのだ、まだポケモンを預けるなんてことはしていない
なのに何故こんなにも沢山のポケモンが、何故ゼクロムが2匹もいるのか
「…もしかしたら会えないかと思ってた。」
「◯◯…?これはいったい…」
「でもちゃんと叶えてくれたんだ!あぁよかったぁ…」
「ね、ねぇ?◯◯?これはどういうことなの?」
「あ!早く見てみないと!とりあえずこの4匹でいっか。」
「ねぇ◯◯?お母さんの声聞こえてる?ねぇ?◯◯?」
「できた!お母さん、広場の方に行こ!ここだとちょっと狭いから!」
「ちょ、ま、待って◯◯!」
息子は興奮しっぱなしで私がどれだけ聞いても反応してくれない
ボックスから2つの紫のボールと2つの真っ赤なボールを取り出すと、さっさとパソコンをおとし外へ向かって走っていった
今の紫のボールって、シルフカンパニーの最高品質のボールじゃなかった?
絶対に購入は不可能で、何かの景品とかシルフのお偉いさんと接点が無ければ手に入らない超希少なボールじゃなかった??
あの真っ赤なボールに関しては見たことなかった
何あれ?滅茶苦茶輝いてた
ゴージャスとか超えてプレシャスって感じだった
って!ボールのことなんかどうでもいい!早く息子を追いかけないと!なんかすーっごく嫌な予感がする!
………
「皆!やっと会えたー!」
「「ババリバリッシュ!」」
「「ンバーニンガガ!」」
「バリバリダー」
「モエルーワ」
「なにこれぇ…怖。」
ゼクロムとレシラム達のうち4匹は息子と嬉しそうに抱き合い、残り2匹はその後ろでうんうんと頷いていた
私はもう何が何だか分からなかった
ボックスの中に大量のポケモンがいたのもそうだが、それよりも目の前の光景が信じられなかった
お前ら一匹ずつしかいないんじゃないんかい!
いや、私もねアンタらが神話に出てくるのとは別個体だと思ってはいたよ?
でもね?他にももう2匹ずついるとは思わないじゃん…
実は別の地方ではいっぱい繁殖してて、当然のようにいるポケモンだったりするの?
つーかお前らはなんでそんな後方腕組みポケモンと化してるの?
困惑する頭の中で、以前息子が学校に行くために私を説得しようとしていた時の表情を思い出す
あのときの息子は、まるで少しでも早く会いたい誰かがいるかのようであった
「◯◯!」
「お母さん?どうしたの?」
「もしかしてなんだけど、◯◯が早くトレーナーになろうとしてたのってこのポケモン達に会うためだったの?」
息子はゼクロムとレシラム達によじ登りながらこちらに視線を向ける
もし、もしコイツらが息子の会いたい誰かであるのなら、それはつまりトレーナーになる理由はこれで達成したってことになる
それってもしかして…もう旅に出なくて良くなるってこと?!
私は息子の目を見る、それはそれはとても真剣に
「うん!そうだよ!」
「よっしゃぁぁあああ!!!!」
「バリッ?!」
「モ、モエルーワ?」
私はガッツポーズをして天に咆哮を上げる!
よっしゃあ!これで息子は旅に出なくて良くなる!
それはつまり息子がこれからは家にいてくれる!もう離れ離れになる心配をしなくて済む!!!!
勝ったな風呂入ってくる
「ボックスが使えるようになれば、もしかしたら会えるって思ってたんだ〜!」
「そうなの〜!良かったわね〜!」
「うん!皆大切な仲間だからこれからは一緒にいられて嬉しい!」
「ね〜!良いわね〜!」
息子がずっと家にいてくれるなら、ちょっとぐらいポケモンが増えたって構わない!
4、50匹ぐらいでしょ?今の稼ぎなら余裕よ!
あー最高!これからはもう息子欠乏症に陥ることは無いのね〜!
仕事から帰ってきたら変わらず毎日息子が出迎えてくれるのね!
あぁ良かった、本当に良かった
「これで後は色々な所にいる皆に会いに行くだけだね!」
良くなかった
「え…◯◯?可笑しいな…私の聞き間違いかしら…」
「?何が?」
「そこにいるのが会いたかった子たちなのよね?」
「うん」
「じ、じゃあもう旅には出ないのよね…?」
「いや、まだまだ会いたい皆がいるから旅には出るよ?」
「ヒュッ」
「お母さん?!」
どぉしてだよぉぉおおお!!!
私はその場に倒れ込む
クソッなんで世界は私にこんな試練を与えるんだ…いったい私が何をしたっていうんだ…
「う…」
「だ、大丈夫?お母さん…」
「うわぁぁああん!!やだー!!行かないでー!!ずっと一緒じゃなきゃイヤー!!」
「お、お母さん!?本当にどうしたの?!また発作?!」
こうなったら息子が旅に行かないって言うまでここから私は動かないぞ!
絶対に動かないからな!!!
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・やっと皆会えたねー!(主人公)
頑張って勉強したので、トレーナー試験は無事合格できた
もし、ボックスの中にポケモン達がいなかったら最悪見つけるまで旅から帰ってこないつもりだった
・公衆の面前だろうと関係ない!(母親)
自分の息子よりも駄々をこねるのが得意な母親
もう息子が旅に出なくて良いんだ!と考えた途端に色々我慢していたものが吹っ飛んでしまった
そのせいでそれが虚構だとわかった途端、何もかもが嫌になってしまった
ここまでやっても止まってくれないのだから、もう自分以外の人も呼んで説得させるしかないんじゃないかと考えるようになった
・ゼクロム×3
ホワイト産:いつものドヤ顔相棒系黒龍
特技は、音もなく相手を気絶させること、主自慢をすること、人肌の温度までミルクを調節すること
ブラック産のレシラムには興味が無い、だって俺の方が主の相棒に相応しいのは一目瞭然だから
ブラック2産:元ヒャッハー系気怠げ黒龍
ブラック時代は「俺様ことが理想の体現!その証明のためにお前ら全員養分となりやがれぇ!ヒャッハー!」とか言ってたけど、ブラック産のレシラムにやられてからは、「あんな奴に負けるような理想とかゴミですわ。これからはあんま、頑張らないようにします。」ってなった
Nに関しては自分のつまらない事に加担させてごめんねと思ってる
主に対しては、いや〜先輩(ホワイト産ゼクロム)がいい感じに頑張ってくれるんで、自分は影に隠れられて楽っすよ!いや〜主さんに捕まえてもらって良かった〜と思ってる
映画館産:英雄?何それ美味しいの?系黒龍
配布データから作り出された存在なので、イッシュ地方のこととか英雄がどうとかよくわかんない
そんなことよりバトルしたり遊んだりしてる方がたのしい
ご主人はすき。あそんでくれるしごはんくれるから
伝説のポケモンというよりは、伝説の皮を被った一般ポケモン
・レシトリオ
ホワイト2産:いつものですわ系白龍
ゼクロムがいつもボケ倒してくるので、仕方なくツッコミ役に回ってる
キュレムとの中は普通に良いので、吸収合体にそこまで拒否感は無い
ブラック2産のゼクロムは、自分と同じようにNと共に行動してきてどうしてあんなに卑屈になるんでしょう?と思っている
ブラック産:超絶ナルシスト系白龍
いや〜ボクって余りにも素晴らしいじゃない?
だからもうボクこそが真実であり、理想だと思うんだよね〜!
だ・か・ら!ボクを差し置いて理想の体現とか名乗っちゃってるお馬鹿なゼクロムくん(ブラック2産)にはお仕置きしてあげたんだ〜!ボクってえらーい!
キュレムと合体ぃ?なんで今のままで素晴らしいボクが合体なんてしなきゃいけないんだよぅ!
主ー!ボクのこと好きー?ボクはボクが好きー!
映画館産:人造ポケモン系白龍
誰が産んでくれたのだ?誰が作ってくれたのだ?
マジでたのしい!最高!ごはんおいしい!
作ってくれてありがとう!ご主人の元に連れてってくれてありがとう!
・ボックスの中にいたポケモン達
この世界に呼び出された時に
複数存在していると矛盾が生じてしまう場合
その個体が覚えることのない技を覚えている場合
単純に未だ何処に生息しているか分からない場合
配布や配信によりデータから作り出された場合
はこのボックス内に選別される